少しばかり沈んだ俺の気持ちを嘲笑っているかのような太陽と強烈な日差し。からからに乾いた風と砂埃。それが俺を最初に出迎えてくれたものだった。Vaultでの地下暮らしのせいで目が慣れないが、アーマーが自動調整してくれたので失明はしなかった。それでもしばらくはこのままか、サングラスをかける必要がある。
見渡す限り広がる乾いた大地。草木は枯れ果て、大地はひび割れている。戦前の名残である車やガードレールもこの200年で朽ち果てて、この風景に物寂しさを足していた。
「さて、どうしようか……」
Pip-Boyを起動させてマップを見てみる。そこに表示されているのはコンソールからダウンロードしたメガトンと、現在位置であるVault101だけだ。試しに少し動いてみたらマーカーも動いたので外でも問題なく稼働している。
位置的にここからメガトンへは真っ直ぐに進んでいくだけだが、警戒は怠らない。月光を腰に薙ぎ、アサルトライフルを構えて辺りを警戒しながら進んでいく。ボロボロの道路は歩き辛く、何度か蹴躓いた。
そうして下り道を進めば廃墟と化した住宅群に出た。名前はスプリングベール。かつては人でにぎわっていただろう姿は跡形もない。ここに残すのはもはや廃墟のみで、残っていた物資もスカベンジャーに荒らされていることだろう。
だがそれでもと思い、少し中を探索してみることにした。でも出てくる大半はがれきと鉄くず、薬莢といったところだ。殆どが使い物にならないのだが、一つだけ残っている金庫を見つけた。鍵もボロボロで簡単に開けることが出来たものの、中身は状態の悪い.44マグナムとその弾薬数発、18キャップ、手榴弾3個。まぁ、見つけられただけでも上々か。おそらくレイダーが一時的に入れてたんだろうけど、こんなところに置いておくのが悪いのだ。
ちなみにレイダーというのは薬でイカれた連中だったり野盗のようなやつだったりと、詰まる所殺しても構わない悪党共だ。基本的に一般的なウェイストランド人への害悪にしかならないので、駆除しておいた方が良い。場合によっては地元住民に感謝されるんじゃないか?
えっちらおっちらと廃墟のがれきを登り、外に出る。すると少し離れた場所から銃撃音が聞こえてきたので即座に身を伏せる。注意して聞けば、音源はこの建物の向こう側、少し先の所から聞こえてくるようだ。音から察するに、アサルトライフルとレーザーライフルの戦いのようだ。
「行ってみるか」
俺はアサルトライフルを構えて先へと進む。十分な警戒は怠っていない。その音源ばかりに気取られず全体を把握し、トラップの可能性も無視しない。非常に疲れるものの、一度も来たことが無い場所では今後これが普通になる。アーマーを過信してはいけない。Vaultでの暮らしがいかに楽だったのかを思い知らされた。
「ひゃっはー!最高にハイってやつだー!」
『――――ジ、ジジジッ』
壁越しに音源池を見る。そこにはいかれたレイダーが数人たむろっており、足元にはボロボロのアイボットが倒れていた。どうやら薬でハイになっているらしく、男も女も入り乱れて銃をぶっ放したり奥にしけこむ奴もいる。相当キてる状態のようだ。さらに面倒なことに、開けた通路にいるからメガトンに行くためには無視出来そうもない。
数は10、目視出来るのは6。残りの4は奥でヤってる連中だろう。そこは手榴弾を投げ込めば終わる。とりあえずはレーダーで確認したからまず間違いはない。念のためプロメシアンビジョンで確認したが問題ない。奥にももっといるかもしれないが、それは後から考える。
「すー、はー……行くぞ」
HUDの標準機能のおかげで見やすくなっているアサルトライフルを構え、手榴弾を一つ中心へ滑るように投げ込んでしゃがむ。いつでも動けるように構えるも、こちらに背を向けているやつらは気づかず馬鹿をやっていた。
「ん?なんだぁ?」
と、ようやく一人気づいたと同時に爆発。残りは目視3、奥に4。俺は一気に駆け出し、アサルトライフルを3点バーストで撃つ。銃自体に切り替えはないが、指切りで頑張って対応する。一気に撃つなんてよっぽどのことだし、弾の無駄だ。煙と爆発の動揺に加え、薬のせいでうまく動けないレイダーは良い的だった。
「ぐぇっ」
「なぁっ!!」
タタタンッ、タタタタンッ、と時折多く撃ちながらもアーマーと生身との違いや使い勝手も確かめる。本当に使いやすいアーマーだ。動きの阻害を全くしないどころか肉体や神経の活性化と補助をしてくれるため今までよりも最適な動きが出来る。アーマー内も快適で、蒸れることも寒いこともない。さらにクリアな視界に補助機能……最高だ。
「な、なんだぁ!てめぇ!」
「このデカブツの化け物がぁ!」
目視出来た3人を駆除し終えると、奥にいた男女のレイダーが丸出しで出てきたのでサクッと終了。武器も持たずに出てくるとか、阿呆としか言いようがない。しかも残りの2人は薬でハイになり過ぎたのか気づいてないし……とりあえず殺して物資を回収。周囲の警戒も忘れない。
「ふー、こんなものか」
回収したのは5.56mm弾とアサルトライフル2丁、壊れた10mmピストルにその弾丸、キャップも少しと麻薬のジェット2、サイコ1だ。近接系の武器は手榴弾の爆発で壊れたようでどうしようもなかった。
銃器の回収が出来たものの、状態が酷いので売り物にならないだろう。後でパーツごとに分解して組み直してからでないと使い物にならない。まあ、吹き飛ばしたのがいけなかったんだろうが。
「ん?こいつは……」
焼け焦げたレイダーの死体を退かすと、その下には壊れたアイボットがあった。どうやらうまい具合にレイダーの死体が被さったようで、破壊された時のまま残っていた。
よく調べてみると、一部内部構造が壊れて外装の損傷があるものの、中心となる構造は無傷だった。これなら少し修理してパーツを揃えれば直して連れていけるだろう。装備しているレーザーを強化すればさらによし。最悪ロボット商人にでも売れば良いし、良い暇つぶしにもなるだろう。
俺は壊れたアイボットをPip-Boyに入れ、アサルトライフルをリロードする。辺りを見回すも、何も確認できないのでさっさとメガトンへ向かうことにした。死体は廃屋の隅の方に投げておけばいいだろう。
荒れた道路を少し進むと、錆びた金属に書きなぐられたメガトンへの案内板を発見した。その方角を見ると金属で囲まれた大きな建物が見える。記憶が正しければ、あれがメガトンのはずだ。と、またもや銃撃音が聞こえてきたのでレーダーを確認すると、3つの味方表示のマーカーが敵に襲われているのが確認できた。
メガトンの周辺で襲われているとなると、助けておいた方が後々便利になるだろうと思い、アーマーの能力をフル活用して駆け抜ける。まあ速い速い。自己ベストを早くも更新した。しかも疲れない。
「うおおおおおっ!!」
「くっ、数が多すぎる!」
走りながらメガトンを見てみると、どうやらその前にいたキャラバンが襲われているようだった。違う場所から引き連れて来たのか、巨大なサソリであるラッドスコルピオンとデカい蟻のジャイアントアントの群れに襲われていた。メガトンの上から狙撃手が援護しているものの、気休めにしかなっていない。あ、護衛が一人食われた。
と、呑気に見ている場合じゃない。ようやく到着したのに悪印象から入りたくないし、さっさと終わらすか。
「ふっ!」
「ギィッ!!」
ミョルニルアーマーの性能をフルに使って助走をつけた拳は、生存者の女の目の前まで来ていたラッドスコルピオンの横腹を半分以上抉って吹き飛ばす。そして周りに群がってきていた虫共もそれに巻き込まれながら飛んで行く。俺はそこへ追い打ちにアサルトライフルをフルオートで撃ちこんだ。続けてもう一人の男の方にも弾をばらまき、虫共を殺しながら離れさせる。これでとりあえず生存者と虫とのスペースが出来た。
「早くメガトンの中へ行け!」
「す、すまん!助かった!」
「ありがとう!」
逃げていく二人を援護しつつ弾を撃ちこむ。メガトンの閉まっていた戸が少しだけ開けられて中に入っていくのを確認した俺は、途中で弾薬が0になったためアサルトライフルを投げ捨て、武器を月光に切り替え一気に斬り込む。
硬い甲殻部分も斬り裂けないことはないが、非効率なので出来るだけ関節を狙ってばらしていく。足や尻尾、頭と胴の付け根をミョルニルアーマーの補助を受けたことでより強力になった剣筋で斬り裂いた。感覚的には分解作業のような気分だ。殺すのは無力化してからでも十分だからな。
もっとも、その最中にも何度かダメージを喰らってシールドがガリガリ削れたので冷や汗ものだったわけだが。シールドは物理攻撃にはあまり耐性が無いというか、弾丸やエナジー系を防御するために作られてるから専門外なんだ。
「これで、終了だ」
「ギッ」
ラッドスコルピオンの頭にストンと月光を落とし、一息。周りには10と少しの虫が散乱し、まだ生きているのもいるが、すべて無力化してある。順番にミステリアスマグナムで止めを刺していけば終了だ。上にいるスナイパーに手を振って安全を報告すると、すぐに戸が開けられ始めた。
アサルトライフルを確認してみたところ、殆どフルバーストで撃ったにも関わらず熱ももう治まっていてほとんど問題はなさそうだ。傷も特にないし、自己修復機能の有難味を早くも実感した。
「おいあんた、すっげえな。助かったよ」
「私からもお礼を言わせて。ありがとう」
戸が完全に開き、中から先程助けた二人とカウボーイ風な恰好をした黒人男性が出てくる。俺は月光とアサルトライフルを下げて三人に向き合った。
「いいさ。だが、一人間に合わなかった……すまない」
「何言ってんだよ。少なくとも俺達は助かったし、メガトンの防衛も務めてくれたんだ。それだけで十分さ。なぁ保安官?」
「あぁ、通りすがりとはいえメガトンへ貢献してくれたのは確かだ。町へ来るキャラバンを守ってくれたこともな。ところで、そのアーマーは……お前、B.O.S.か?」
「違う。丁度Vault101から出てきた新入りさ。ちょっと聞きたいことがあってここに寄ろうとしたんだ」
「あぁよかった。まぁ、B.O.S.のやつらじゃないよな。やつらが地元住民を助けるわけがない。しかし、またVaultか」
アサルトライフルやミステリアスマグナムをリロードしながら三人と話していると、保安官がぼそりと呟く。アーマーの補助機能もあって聞き逃さなかった俺はここぞとばかりにそれに食いついた。
「また?ここに来たやつがいるのか?」
「あぁ、ついこの間ふらっとやって来て酒場に直行したよ。背中に101とデカデカ書いてあるジャンプスーツを着てたら丸わかりだ。初老の男だよ。他にも今まで何人か来てるしな」
明らかに父さんだ。こちらとしては痕跡を残してくれるのは有難いんだが、父さんももう少し目立たないように動けなかったのか?ウェイストランドから来たんなら服とか持ってるはずだろうに。ジャンプスーツのまま行動するとか見つけてくださいって言ってるようなものだ。
「まぁこんな所か。いい加減立ち話もなんだし、中に入ろう。虫共は他の連中が処理するだろうさ。ようこそ、メガトンへ」
「おっと、商品取ってくるからちょいと待ってくれ……あー、バラモンが」
父さんに少し呆れながら、俺は項垂れる商人の男を手伝いに行った。
これから、長い旅になると確信して。
メガトンの床はアーマーでも抜けない強度を誇ると言うことで一つ。ごちゃごちゃに改修工事をしまくったのでとりあえず強度だけあるとします。うちではそうなのです。
さて、アサルトライフルが無い方がマシンガンじゃなくある程度Halo:Ledgendsのターミネーターチーフが使ってたぐらいには補正がかかりました(笑)弾丸は5.56mmを使用するため多少劣化しましたが、それでも従来の物よりは大分いいものです。まぁ、しょせん無い方がマシンガンなのですぐに武器を変えるようになりますが、人間相手には十分。ミュータント戦ではゲームと同じ状況になります。