Vault101のジゴロ   作:神山

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Vault7

「驚いたな!まさか本当にやり遂げるとは!」

 

「わっはっは!今日はめでたい日じゃ!長生きはするもんじゃのう!」

 

翌日。俺はさっそく保安官の家へと報告に訪れていた。内容はもちろんメガトン中央部の不発弾の解除のことだ。

 

というのも、昨日の夜にステルスを起動させて爆弾に近づいたんだが……誰もいなかったんだ。見張りもおらず、通るのはせいぜいメガトンの浮浪者位でステルス状態の俺をわざわざ気にするような連中でもなかった。昨日のあの時間がちょうどいない時間だったのか、普段から誰も触らないからいないのか定かではないけど、運が良かったと言っていいだろう。その後はゆっくりとノヴァと過ごすことが出来た。今は俺がいたベッドで死んだように寝ていることだろう。

 

何も焦ることなく冷静に起爆装置の解除とパーツの解体を終了することが出来た。これでミサイルでも撃ちこまれない限り爆発することはないだろう。わかりやすい内部パーツを保安官にこの町の水の管理を一手に引き受けているウォルター爺さん監修の元で見せたので保安官も信じてくれた。彼も技術屋だからきちんとした判断をしてくれたし、口が堅いからこのことが信者に漏れることはない。

 

「これが報酬だ。ところでお前さん、技術と戦闘の腕前は見せてもらったが、他に何か出来ることはあるのか?」

 

「そうですね……元はVaultで医者をやっていたので医学。それと技術関連でハッキングなんかも出来ます。あとは簡単な武器の整備と趣味の範囲内で料理ですかね」

 

「ほとんどなんでも出来るんじゃのう。若いのに見事なものじゃわい」

 

報酬の300キャップを受け取って質問に答えると、保安官はなにやら思案顔をした後にウォルター爺さんと顔を合わせて互いに頷いた。

 

「お前、ここに住む気はないか?」

 

「……俺は父を捜すために色々な場所に行かなくてはいけません。しばらくここにいることもあればその逆もある。他にも依頼を受けることも多いでしょう。申し出は有難いですが、俺が住んでもここに利益が少ないと思いますが」

 

「それでもいいさ。お前みたいに何でもできる奴が一人いるだけでも違うんだよ。しかも外に出て生きて帰ってくる確率が高いというのも魅力的だ。ここの住人は戦えるやつが多いわけじゃないから、外への用事を頼める奴が必要なのさ」

 

「わしとしても若い技術屋が居てくれると助かる。老体に鞭打って今まで機械の整備をしてきたが、外の調子まで目を向けられなくなってきてな。そういうのがわかる若いのが一人は欲しかったんじゃ」

 

俺は基本この町にいないだろう。メガトンは大体の中心地だから結構な頻度で帰ってくるにしても、家を与えることに対する町への還元率の低さから辞退しようと思ったんだけど思ったよりも二人が頑固だ。

 

俺としても家が欲しくないわけじゃない。自分の家をしっかり持って、帰る場所を明確にするのはそれだけで心に休息と余裕を作れる。こういうのは精神的にも良い事なのだ。こんな殺伐とした世界ならなおのことである。

 

「そうですか……俺としても家が欲しくないわけじゃありません。ただ、定期的な町への還元が出来ないので」

 

「それは心配いらない。今回の事で十分元は取れている。だがどうしてもそれが気になるって言うなら、何でも屋でも開いてみないか?」

 

「おお、それはいい。お若いのの能力から考えればそれが一番かの」

 

けらけらと笑う二人をよそに、俺は頭の中で整理を開始する。

 

正直家を手に入れられるのは有難い。だが、その分ここに拘束される時間も出てくるわけだ。そしてさっき言っていた何でも屋として働かされることになるだろう。その仕事によっては長時間の拘束によって父さんを追うことも出来なくなる。場合によっては色々と面倒なことになるだろうし……あれ?よく考えたら原作主人公とやってること変わらなくなるのか。

 

彼も人の頼みを聞いてあっち行ったりこっち行ったりしていたわけで。ゲームのお使いクエストとはいえ、リアルに考えると何でも屋として働くこととそう大差ないんじゃあないだろうか。

 

「わかりました。お二人のご厚意、ありがたく受け取らせていただきます。まぁ、何でも屋をするにせよ、店を自宅に構えることは出来ないので、どこか仲介役をあとで決めさせてもらいます。俺が必ずいるかどうかわからないので」

 

「おお!そうかそうか!まぁそれについては追々考えていけばいい。商売なんていきなり始められるものじゃないからな。ひとまずメガトンの住人の依頼でもこなしていけばいいだろう。じゃあ、これが鍵と権利書だ。中には最低限の物しかないから、必要なものはモイラの所で買うか、自分で何とかしてくれ」

 

上機嫌で鍵と権利書を渡してくる保安官。家の場所はメガトン入り口近く、ブラスランタンの上だ。二階建てで、中々広い。2,3人は十分住めるだろう。中には収納器具とベッド、冷蔵庫に簡易風呂、そして執事ロボットがある。

 

執事ロボットは多機能家庭型ロボットであるMr.ハンディーがワッズウォースという固有名称付きで、供給された水の管理や散髪、家の清掃をしてくれるらしい。基本的な雑用係だ。

 

「うむうむ、メガトンの新しい仲間に乾杯と言いたいところじゃが、少々困ったことがあってな。早速だがモンド。頼まれてくれるか?」

 

「大丈夫ですが……私は水道に関しては殆ど専門外ですよ?」

 

「あぁ構わん構わん。何も本体を維持しろと言っているわけじゃない。外にあるパイプの状態を見てきてほしいんじゃよ。最近圧力の調子が悪くてな。おそらくどこかのパイプから水漏れをしておるんじゃろう。それを探し出して閉めてきてほしいんじゃ。中での調整をする分には大丈夫じゃが、至る所にあるパイプをすべて見てくるのはキツくてな」

 

「それくらいならお安い御用です。少し時間がかかりますが、大丈夫ですか?」

 

「問題ないよ。引き受けてくれる者がいてくれるだけでも十分じゃったしな。ただ、出来るだけ早くしてくれると助かる」

 

「もちろんです」

 

早速ウォルター爺さんから依頼を受け、報酬も約束する。こうして仕事を回してくれるのは有難い限りだ。しかも俺の得意分野ばかりなので仕事も捗るし、やりやすい。

 

だがこれ以上受ける前に一つずつ片づけなくてはいけない。あまり多く引き受けすぎても手が回らなくなる。

 

俺は二人に挨拶をして、外に出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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外に出て露天を開いているクロウを見つけた俺は作業用服を二つとタオルを購入する。あとは安全靴と手袋といった具合か。

 

「昨日に引き続いてありがとさん。また何か仕事を見つけたのか?」

 

「そんなところさ。あと、昨日の仕事の報酬で家も手に入れた。暇な時にでも遊びに来てくれ。歓迎するよ」

 

「本当か!そいつは凄い!メガトンに住む権利はなかなかもらえないんだぞ!」

 

ざっと彼の手持ちを見ると店舗への商品の補充が終わったからか、数が昨日よりも少ない。それでもバラモンを用意できていない事を見るに、金が足りないんだろう。聞いてみると、やはりそうだった。元気のいいバラモンを一頭手に入れるだけの金は手持ちにないそうだ。拠点のカンタベリーに戻れば何とかなる伝手があるそうだが。

 

「それを確約出来るものがないんだ。俺の顔は確かにメガトンではある程度馴染んでいるが、バラモンを譲ってくれとなると話は変わる。バラモン管理をしているやつも即決で払えって言ってくるしよ……足元見やがって」

 

「いくらなんだ?」

 

「2000キャップだ。ったく、そんなのすぐに払えるわけがねぇ」

 

まぁ、メガトンみたいなところでバラモンを売ってくれとなるとそれくらいするのか。近くに野生のバラモンもいないし、再調達するのも時間がかかる。

 

先程モイラの店で見た機械の類が1500キャップ位だったから、妥当と言えば妥当なのか?それにしても高すぎる気もするが。

 

だが、これは良いチャンスかもしれない。カンタベリーの商人に対して資金提供をしておけば、今後の買い物にも好影響が出る可能性がある。行商人というのは様々な土地を周るから、父さんの情報も得られるだろう。出資者になればなおさらだ。幸い、俺には金がある。

 

「なぁクロウ。俺から出資という形で2500キャップ払うと言ったら、どうする?」

 

「それはもちろんありがたいが……おい、まさか本当に払えるのか?」

 

「あぁ」

 

頷いてPip-Boyから2500キャップ入った袋を取り出す。500キャップは今後のためのかさまし出資だ。

 

「それが本当にもらえるのだとすれば、俺はあんたに大きな借りを作ることになるな。そんで商品の割引と、各地の情報提供、他の商人にもあんたのこと話すだろう。どうだ?」

 

「よし、決まりだ」

 

「おっしゃ!すぐに契約書類を作ろう!少し待ってくれ!」

 

がさがさとバックを探り、紙を取り出すとすらすらと契約内容を書き始めるクロウ。そしてそれを三枚書き、お互いにサインと血印を押す。朱肉があればいいんだが、生憎とそんなものは残っていない。

 

契約書は互いに持ち、残り一枚はカンタベリーで保管することになった。出来る事なら第三者に持たせたかったが、そんな頼れる人はいない。メガトンで持つよりも商人として行動するカンタベリーの方がまだマシだった。

 

クロウは礼を言った後すぐさま駆け出し、バラモンを買い付けに行った。

 

「さて、仕事するか」

 

俺は物陰でPip-Boyを操作し、先程買った作業服や工具などを身に着ける。足元の一つを修理後試に見渡してみれば一つ漏れを見つけたのですぐに閉め、また探すといった地味な作業だ。

 

新居に一旦帰るという選択肢もあったが、その帰り道に漏れ箇所を見つけてしまったのだからやるしかない。それに一度やりだすと他が気になってくる俺としては、途中で投げるのはよっぽどの時ぐらいだろう。

 

「ふぅー……ん?」

 

そうして探しては修理する作業を繰り返していると、気づけば夕方になってしまっていた。しかし外で発見出来る所は全て探したつもりだ。爺さんには時間がかかると言ったが、何だかんだで今日中に終わらせてしまった。

 

「なんだか疲れたな……」

 

伸びをすれば景気のいい音をたてる背骨と腰骨。無心で作業していたからか、時間を自覚したらどっと疲れた。とにかく何か飲みたい。爺さんへの報告は明日でもいいだろう。

 

俺はブラスランタンで簡単に夕食と水分補給を済ませ、そそくさと新居に帰ることにした。




はい、家獲得です。それとウォルタークエの完了手前まで。

正直バラモンの正確な値段がわかりませんでした。なのでガンランナーの銃よりは安いけど他と比べたら高い2000キャップに設定。家の医療器具も1800キャップ位なので、それよりは少し高いだろうと思いました。場所も場所だし。

今後は家を拠点にしつつ行動していきます。まずは余りあるキャップで家電をそろえ、少しはマシな家にするところからですかね。私はPC版を持ってないのでMODを知りません。なので、家の魔改造が出来ませんでした。申し訳ない。
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