転生したと思ったら、俺は豚貴族で地位を追われていました。   作:如月空

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オリジナル2作目です。のんびり更新していきます。


転生したと思ったら、俺は豚貴族で地位を追われていました。

 最近、俺の弟が増長してきている。使用人共も弟の味方の様で俺を敵視してやがる。

 

「忌々しい…、俺はこの家の長子であり、長男だぞ!だと言うのに、どいつもこいつも弟を立てやがって…!」

 

 本当に腹立たしい。…まぁ良い、病床の父はそう長くは無いだろう。父が亡くなれば、俺がこの伯爵家を継ぐ事になるのだからな。

 

 その後、一月も経たぬ内に父が死んだ。あっさり死んだ父に多少の情が湧いたが、直ぐに頭を切り替えた。

 

「先ずは、弟と其の取り巻き共の追放だな。」

 

 我ながら甘い考えだとは思っている。だが、下手に始末をしてしまえば、いらぬ恨みまで買うことになる。

それに、対外的には簒奪を目論んだ弟に温情を掛けた、心優しき領主となるんだ、領民共も考えを改めるだろう。

 

 意気揚々と執務室に入ると、何故か弟や妹、そして母と使用人共が揃っていた。

 

「…何故、お前が其処に座っている?」

 

 俺がそう問い掛けると、弟…レヴィルが首を傾げた。

 

「何故と仰られても、私が領主を受け継いだから…としか、答えられませんよ?兄上。」

 

「なっ!?」

 

 そんな馬鹿な話があるか!長男である俺を差し置いて次男であるレヴィルが領主の座に着く等と!

 

 そして、其の後も俺はごねたごね続けた。言えば言うほど、暴れれば暴れるほど立場が余計に悪くなっていくと言うのに、”この時の俺”は何も分かっていなかった。

 

 粘っていたが、結局俺は領地そして国から追放という処分が言い渡され、現在は国境近くの町に滞在している。

 

 ちなみに、俺のお目付け役というか監視役として執事が一人付いている。と言っても、この町でお別れとなるわけだが。

 

「済まないな、付き合せてしまって。」

 

「いえ…、それよりも此れからの事、本当に大丈夫なのですか?」

 

「ああ、頭も冷えたからな、何とかやってみるさ。お前が持って来た此れもあるしな。」

 

 そう言って、二冊の本を手に取る。其れは初級魔術教本、そして中級魔術教本だ。

 

 何でこんな物を持っているかと言うと、この男の家は、所謂魔法貴族と呼ばれる魔術に精通している家系だったからだ。

 

「それにしても……。」

 

「ん?如何かしたのか?」

 

「…変わりましたな、アレフ様。」

 

「はは、もう少し早く目を覚ませれば良かったんだがな。」

 

 と、此処で違和感を感じている者が居るのではないか?クソ豚貴族だった俺が、こんな事を言うなんて裏があるのでは?と…。

 

 なんて事はない話、ただ単に”俺が目を覚ましただけ”だ。

 

 目を覚ました時は愕然としたよ、何しろこの豚が自棄になって散財しまくった後、目が覚めるのが遅過ぎだっての!!

 

「とりあえず、店主が買い戻ししてくれて助かったよ。」

 

 とはいえ、6割ぐらいで買い取って貰っただけだから、手切れ金として渡された金は大分減ってしまったが…、飲食した分は戻ってこないしな。

 

「そうですか…。」

 

「そうだ、マルフォイ。レヴィル…いや、ヴェリアス伯爵と其の家族。そして、其処に仕えている者達に伝言を頼めるか?」

 

「それは…。」

 

「いや、可能であればで良い。ただ、皆に色々迷惑を掛けて済まなかったと…。本当なら直接言うべきだろうがな。」

 

「…分かりました、お伝えします。…アレフ様、どうかお元気で…。」

 

「ああ、最後にマルフォイ殿に感謝を。」

 

 そう言ってマルフォイの手を取り、握手を交わす。すると、マルフォイはすぅーっと涙を流し、そして、彼とは其処で別れた。

 

 マルフォイが部屋から退出し、一人残された俺はベッドに倒れこむ。

 

「はぁ…、やっと終った。敵役みたいな名前なのにマルフォイいい奴過ぎる。」

 

 何でも、この豚が生まれる前から仕えているらしく、コイツの教育係だったらしい。あんな良い人を困らせるなんて如何いう事だよ!?と腹に一撃を与える。

 

「…痛い。」

 

 さて、オチてはないが、とりあえず話を進めよう。そうだな、先ずは俺の身の上話か。

 

 あー説明口調なのは将来この体験を小説か何かにして一山当ててやろうとか思っているのと、自身の状況整理だぞ。

 

 そして、此処まで来れば察しているだろうが、俺は転生者だ、前世の名前は今川義経、享年31歳。あー別に今川義元の子孫だとか、源義経に関係があるとかじゃないぞ?親のノリだ。死んだのは21世紀の地球だしな。

 

 んで前世はごく普通の家庭で生活、就職先は自宅から近い場所。移動時間が勿体無いからな。

 

 前世の趣味はWEBSSを読んだり、ラノベを読んだり、ゲームをしたりと色々やっていたのだよ。

 

 そんで、俺は趣味に全力でね?仕事があるというのに、遅くまで趣味に没頭…、でも仕事には行かないと生活出来ないから仕事は行く。

 

 物語を読んでいる時は其れに没頭し過ぎて、食事すら忘れる事も多い。でもって偏食も多く、不摂生の極まりといった感じだ。あ、仕事前はシャワーぐらい浴びるぞ?社会人だからな。

 

 まぁ、自他共に認める様な趣味人だった訳だ。ちなみに死因は分からん。最後の記憶は大作を読み終えた後、思いっきり伸びたら視界が暗転したんだよ。んで気が付いたのはついさっき…、一時間ぐらい前か?

 

 で、アレフとして目覚めた俺は、この豚の記憶を引き継いで一つとなった。ちなみに意識の混濁とかはない、魂的な物は一緒なんだろう。つまり、豚貴族アレフも俺自身という事だ。

 

 と、此処まで話が進んだ事で次はアレフの話をしよう。

 

 このアレフという男は、傍目から見るとラノベなんかでよくいる豚貴族そのもので、無能で我侭、そして傍若無人のクズだ。

 

 魂が同じなのに、何故こんなに性格が違う?とか思われそうだが、多分俺の根っこの部分がクズなんだろうと思う。今の俺は前世の知識と理性があるからな。

 

 ちなみに魂が同じだと思った事には理由がある。それは、この男も趣味に傾向する性格だったという事だ。

 

 とは言え、未発達の世界では娯楽にも限りがある、其の上高い。となると、満足出来ない。出来ないから別の趣味を探す。だが、見つからない。

 

 其の繰り返しでどんどん我侭になって行き、無駄に権力があるもんだから拍車を掛ける。そう豚貴族の誕生だ。

 

 豚になった原因は、数少ない娯楽に食事がある。つまり、そう言う事だ。ちなみに、食事の味は前世と比較にならない。ダメな意味でな。

 

 そして、魔法の方なんだが…。アレだ、この世界では魔法は一般的だ、冒険者以外の庶民でも初級魔法ぐらいなら使える者が多い。つまり、一般教養レベルと言う事だ。

 

 流石に中級魔法以上は、才がないと使えないが、魔法が一般的だと言う事には違いは無い。

 

 んで、そうなると魔法の鍛錬というのは、普通の勉強と変わらなくなる。つまり、勉強嫌いだったんだよ、この豚。素養は滅茶苦茶高いって言われていたらしいけど。

 

 結局、無能のクズと言う烙印を押されたアレフは、追放されて今に至ると。うん、終ってるね。俺が目覚めてなきゃ、数日でのたれ死んでいたんじゃねえかな?

 

 さて、身の上はこんなもんか?ああ、使用人やメイドに手を出そうとしてたとかあったな。本当にクズだなぁ。

 

 色々と自分に突っ込みたい所ではあるが、これからの事も考えよう。

 

 先ず、今いる宿に泊まれるのは10日間だ。うん、執事のマルフォイさんが手配してくれた、マジ有能。主人公の敵役っぽい名前とか思ってゴメン。

 

 次に所持金の確認。散財して金貨1枚(1万円相当)を割ったが、買戻して貰ったり、着ていた豪華な服を売り払ったりで何とか金貨5枚ぐらいにはなった。

 

 相場の方は平民を基準にするなら、1食に付き小銀貨3枚から銀貨1枚、300円から1000円程度。当面は飢えない程度に食えればいい、豚体型だしな。

 

 宿代に関しては今泊まっている宿は高いが、安宿に移れば銀貨3枚から5枚程度で二食付きらしい。あ、今の宿も飯付きなので10日は何もしなくても凌げるよ。

 

 それで、これから事だけど、一人で生きていかないと行けない訳で、仕事を探さないといけない。ただ、国外追放なので近々出て行かないと不味い(猶予はある)

 

 手っ取り早いのは冒険者だ。うん、憧れの職業だね。……こんな体じゃなきゃ。

 

 という訳で、方針が決まったので発表しよう。

 

 先ずは、魔法の基礎を学び直す。一応、今の俺でも初級魔法ぐらいは使えるが、基礎をちゃんと理解している訳じゃない。なので勉強をし直さないといけない。

 

 幸い、基本知識程度はあるので作業は今の俺が理解する為の復習になる。出来ればそのまま中級魔法までは覚えたい所だ。

 

 そして、平行して行わないといけないのはダイエットだ。うん、今の体で旅が出来る訳が無い。とはいえ10日程でどれぐらい絞れるか…。

 

 本を読みながら、ストレッチでもしてみるか?いや、集中しないと身に入らないよな…。食後に軽く走るとかしてみよう。

 

 ともあれ、目標は出来た。うん、大丈夫だ。魔法はかなり興味あるし、今生の俺のいい趣味になるだろう。ダイエットは自主的に頑張らないとな…。

 

 こんな感じで、俺の異世界生活が始まったのだった。

 




冒頭はアレですが、シリアスではありません。どっちかっていうとギャグ路線を目指します。
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