フェリドは今心の底から楽しんでいた。かつて人間がこれほど自分を楽しませることができただろうか?否、考えても1人の少女ぐらいだろうとフェリドは思った。少女の動きは見ていて面白かった、自分にはもうない欲望に忠実に動いていたから。だが目の前の少年はまた違った、それよりもずっと前、もういつだったかも忘れるぐらい昔にあったこの命と命の奪い合いの楽しさを。
「すごい…凄いよシオン君!僕を戦いで愉しくさせるなんて、人間じゃ君ぐらいだよ!」
「ハハハ!モットダ!力を!スベテを奪うチカらを!もっと血を!肉を‼︎死を俺にみセロオオォォォ‼︎‼︎」
「ハハ!随分イカれちゃったね君!でもさっきまでとは別人みたいだね。なんか時々燃えてるし、能力の使い方も範囲もさっきまでとはまるで違う、これはまた人間お得意の人体実験なのかな?」
シオンは血涙を出し所々体から黒い炎がでていた。
「もっとモット力を!ヨコセエェェェ‼︎」するとシオンの頭からズンッ!とツノが2本生えてきた。
「今度はツノまで出して鬼になっちゃうなんて君の血は一体どんな味なのかな?僕もう我慢の限界だよ〜」
「ハハハハハ俺はコワスぞ!全テコワしてさらニ力をテニイレル!」
シオンは笑いながらも全てを破壊するような乱撃をする、一方でフェリドも剣に自分の血を吸わせて全て防ぎ切っている
だが2人の戦いの余波が周りの建物を壊し、辺り一面瓦礫の山へと変わっていった。
【シオンの精神世界】
「なぜシオンが動いている!あいつは完全に気を失ったはずだ!覚めたなら僕たちがわからないはずがない!お前は一体なんなんだ!」
「羽はあるけど天使ってわけでもないわよね?ツノあるし。それに何よりシオンの姿をしているのがわからないのだけど説明してくれるかしら?」
クロはシオンのことを察知できなかったことに少し焦っていた。
対してヒメはいつもの元気な感じはなく、今は見たもの全てを射殺すような目で異形のシオンを見る。
「俺はあいつの欲望そのもの。昔のあいつは人体実験の被験体の中でもダントツに心の制御がうまかった。だが、あいつは実験で入れられたバケモノと一緒に己の欲望も封じ込めた。
最初はバケモノが暴れ俺を喰らおうとした、だがあいつは成長するにつれ欲望に飢えていった。力が欲しいというその欲望が、俺に力を与え、逆に俺がバケモノを喰らった。」
「バケモノを喰らったって…そんなこと普通の人間じゃできない!」
クロは目の前の異形な姿のシオンの発言に納得できなかった。
「あいつは普通の人間じゃない…あいつ自身気付いてないだけで、正真正銘あいつ自身がバケモノなんだよ!あいつの純粋な欲望は実験のバケモノさえも殺せる!心が強ければそれから生まれる欲望も強いんだよ!」
「じゃあ今向こうで暴れてるシオンの力は本来のシオンの力ってことかしら?」
「そうだ、お前らの力も多少は入っているが、ほとんどはあいつの欲望の枷が外れたことによる力。俺の姿はその欲望とバケモノが混ざった形」
「それじゃシオンはその欲望をコントロールすればこの力を普通に出せるようになるの?」
「完全には無理だ、人間は己の欲望を100%表には出せない。
必ず少しは理性が働くからな、ただ本能で動くときは理性は働きづらい。
本能ってのは考える暇もなく体が勝手に従うからな、それに喰らったとはいえ欲望とバケモノが混ざり合ってる俺を完全にコントロールするのは無理だ。
だが少しずつなら可能だろう、そこら辺の調節は俺自身にはできない、俺はただの欲望の権化にすぎないからな。
お前らがあいつのいろんな欲望をこまめに喰らえば俺は今回みたいに溢れることはないだろう」
「てことは私たちがもっともっとシオンとくっつけばいいのね!」
「いやそれは僕達の欲であってシオンのとは違う気が…」
クロはヒメの考えを少しばかり否定した。
確かにシオンは性欲があるようには見えない、と言うのもいつも自分たちのお願いでしてもらっているから、シオン自身にあるかないかと問われたらおそらくNOだとクロは予想していた。
「いやあながち間違ってもいない」
「間違えてないの!?」
クロの予想はあっけなく外れた
「性欲は生き物にとっては当たり前の欲望だ。
様々な欲望の中で性欲は1番強い欲といっても過言じゃない。
そしてその欲望はあいつにだってある、ただ本人が自覚してないだけだ。」
「それじゃシオンはムッツリってわけね!よかったわねクロ!私たちこれからは遠慮することなくできるわ!」
「ヒメは前から遠慮はなかったでしょ…。
でもそっか、シオンあの見た目でムッツリだったのか…カワイイナ」ボソッ
「最後なんて言ったの?」
「な、なんでもないよ!///」
クロはシオンの本心がわかって嬉しくもあり、恥ずかしくもありで顔が赤くなる
「それで話を戻すがあいつはもうすぐで倒れる。いきなり欲望が溢れたことによる反動でな、そしたら俺もあの扉に引き戻される。
この戦闘が終わったらあいつは今より強くなるだろうし感情も少し豊かになる筈だ、欲望の枷が緩むからな。お前らはただあいつのそばにいて見守ればいい、三葉とかと一緒にな。」
「「わかった(わ!)」」
2人は覚悟をしたように強くうなづいた。
「お前らが俺らの鬼でよかった…頼んだぜ」
異形のシオンは扉のほうに吸い込まれていった。
そして湖のように広がっていたどす黒い液体はゆっくりと消えていった。
異形のシオンが消える少し前
【現実】
「もうそろそろ撤退の時間だから残念だけど終わらせようかシオン君。」
「ダマれえぇぇぇ!俺ハお前をコロスんだあぁァァア!」
シオンは視認できない速さで刀を振り下ろしフェリドは横薙ぎに剣を振るった。わずかな差でシオンが先にフェリドの右腕をを斬った
さらに斬り込もうと踏み込むが急にシオンは自身の身体の力がなくなって隙が生まれた、それをフェリドは見逃さなかった
「おやすみシオン君」
ガッ!とフェリドは左手でシオンの頭を掴むと思いっきり地面に殴りつけた。
バゴーンッ!とそこには小さなクレーターができ、シオンはその一撃で完全に気を失った。
「じゃあねシオン君、また僕を楽しませてね♪」
フェリドは生き残った部下を連れて撤退していった。
数分後、残党兵駆逐兼救護担当を引き連れたグレン隊がシオンを回収し
新宿防衛戦は終わった。
今回の防衛戦のシオンの戦績を認めた柊天利は、シオンを養子に迎え入れるため、娘の柊シノアをシオンの許婚にすることが決定した。
そして軍上層部はシオンの昇格を認め、シオンは13歳にして少将となった。
『13歳で貴族を3体単独で駆逐し新宿を守った本物の神童』この話は日本帝気軍の間で瞬く間に広まっていった。
よし終わりましたー!w
次はとうとうシノアちゃん来ます!
やっとシオン君と絡ませられますたのしみですw
それではこれからもよろしくお願いします!