世界を敵に回しても   作:はすきるりん

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31話 天使とエイユウ

『緊急警報‼︎緊急警報‼︎吸血鬼たちの襲撃がありました!敵は西防御に攻撃を仕掛けています。民間人の皆さんは東防御壁へ退避してください‼︎』

 

「は〜い!今向かってるわよ!」

 

「…ヒメ、返事しても意味ないよ」

 

「西防御壁以外も攻めらてるんだけど」

 

表参道駅地下襲撃後、シノア隊と別れてから約1時間が経った頃、シオン達は吸血鬼が攻め込んできてる西防御壁へ向かっていた。

シオン達は今の放送がかかるまで、ほかの被害が出ている場所を次々と移動しては吸血鬼たちを狩っていた。

 

「西防御壁まぁまぁ遠いな…」

 

「他の人たちに任せればいいんじゃない?もうシノアたちも戦場にいると思うし」

 

シオンは苦虫を噛み潰したような表情でいると隣にいるクロが悪魔の囁きをした。

 

「確かに経験を積ませるって意味でもそうした方がいいのか…」

 

「そーだよ、実戦は大事だよ。

シノア達なら今回の相手になら戦えるよ。

それに僕たちの担当も、もうそろそろだからね」

 

シオン達は廃ビルの屋上で移動を止めた。シオンが悩んでると、クロはもう動かないという意思表示なのか仰向けに寝転んだ。

その様子を見たシオンは軽くため息を吐くと今度はヒメの方を向いた。

 

「私も別にいいわよ?ただ休むなら1番高いビルで休みましょ!そっちの方が気持ちいいもの!」

 

ヒメは1番高いビルを指差して言った。ヒメの顔はとても笑顔でこの戦争中には似合わないぐらい輝いていた。

 

(なんでわざわざ…あ、バカと煙は高いところを…)

とシオンは失礼なことを考えていると、クロは黙ってシオンの背中に飛びついた。

 

「まぁそれがヒメだからね。それよりあのビルまで運んでよ、黙っててあげるからさ〜。

ね、いいでしょ?僕もう疲れたし」

 

クロはシオンの心を読んでいたらしい。シオンはまたもため息を吐くと、クロを背負い直してヒメと一緒に高いビルへと向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その頃シノア隊side

 

シノア隊はグレンからの命令で、敵の司令塔がいる新宿五丁目交差点へと向かっていた。

シノア達は先ほど吸血鬼の貴族3人と交戦し、力の差を思い知らされていた。

中でも優一郎は鬼呪装備を使っても貴族に勝てないことに怒りを覚えていた。

そんなことからシノアは移動しながら優たちに鬼呪促進剤の存在を教えた。

そして交差点に着いたシノアたちが見た光景は、自分たちの上司である一瀬グレンが吸血鬼に刺される瞬間だった。

 

「てめえ…グレンになにしてんだああああ‼︎」

 

優はグレンを助けるため薬を飲み、一気に加速してグレンを刺した吸血鬼に己の刀を刺した。

 

「死ね吸血…え?……いや」

 

あとは鬼呪を発動すればいいだけだったのに優は鬼呪を発動させなかった、いやできなかった。なぜならその吸血鬼は今まで死んだと思っていた家族の百夜ミカエラだった。

一同はその事実にひどく驚いていた。

ミカとの再開を果たした優の反応を見ていた司令塔のフェリドは

 

「うわー何あの可愛い態度、君がこだわるわけだなぁ。それじゃ優ちゃん以外の人間を皆殺しにしようか」

 

フェリドは剣を抜き、戦闘を再開させようとした。

するとそこに

 

「私をお呼びと聞きましたが…第七位始祖様」

 

「ああクローリー君かぁ、待ってたよ〜。」

 

先ほどシノア隊が接触した吸血鬼の貴族、クローリーだった。

後ろにはクローリーの従者であり貴族でもあるチェスとホーンがいた。

 

「君たちがいたら、もうゲームセットだねぇー、彼らを殺す必要もない。

よし家畜にしよう、吸血鬼殲滅部隊家畜化計画〜」

 

貴族が増えたことにより、グレン達の勝率はほぼ0となった。

 

「頭を潰すのに時間がかかりすぎたか…終わりだ。新宿は捨てる!

総員離脱態勢‼︎」

 

グレンは新宿を捨てることを選んだが、優はミカを取り戻したいのかその選択を止めようとしたが状況が状況のため諦め撤退することにした。

だが吸血鬼達が易々と撤退をさせるわけがなく

 

「逃さないよ〜ん」

 

フェリドはグレン達の妨害を始めた。

人間と吸血鬼の戦争が再開すると、優はミカに連れ去られた。

優はミカと話すべく足掻いてミカから離れた。

 

「おい…ミカお前…もう人間じゃないのか?あ、俺のせいか…俺が逃げたせいで…」

 

「違う!優ちゃんは悪くない‼︎いいから行こう、ここは危険だから…頼むよ」

 

優はミカの誘いを断った。ここには仲間がいるからと。だがミカは優を助けたい一心で優を説得していた。だがその時

 

 

いやあああああっ‼︎

 

シノアの声が聞こえ優は振り返った。その優の視線の先には吸血鬼に血を吸われる仲間の光景だった。

 

「やめてくれ‼︎う…うわああああああ…‼︎

 

ギュル

 

優が突然叫び出したと思ったら、優の片目から血が流れた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

優一郎side

 

優は周りに何も何もない空間にいた。

 

「…あれなんだこれ。おい阿修羅丸」

 

優はいまいち状況がわからないのか、目の前にいた自分が契約してる阿修羅丸へ声をかけた。

 

「んー?ああ優、なに?」

 

「こりゃ一体なんだ?お前俺を乗っ取ろうとしてるのか?」

 

優の質問に阿修羅丸は口角を少し上げると

 

「違うよ、僕はなにもしてない…でも困ったなぁこれ。まさか鬼である僕が、取り憑いた人間のバケモノっぷりに怯えることになるとはね」

 

「なんだよそれ」

 

「あの空見てよ。世界を呪うように真っ黒に染まって


ねえ優ミカの言う通りだ。まだ間に合うなら、2人で人間から逃げた方がいい。

じゃないと君はもう人じゃいられなく…………」

 

阿修羅丸は空を見て固まっていた。優も同じように空を見ると、真っ黒な空から一つの光が差し込まれた。

 

「あ…だめだ。手遅れみたい…君の人間じゃない部分の暴走が始まる」

 

〜♪〜♪〜♪〜♪

空から舞い降りたのはラッパを吹く天使だった

その時優は完全に意識を失った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

現実

 

優が精神世界で気絶したと同時にずっと動かなかった優の体に異変が起きた

 

うおおおおあああああああ‼︎‼︎

 

優の背中を突き破るように黒いモノが生えてきた。その姿は片翼しかない天使のようだった。

 

「始まった」

 

その光景を見たグレンはニヤリと笑った。

 

「や…やっぱり人間どもは優ちゃんを…‼︎優ちゃんダメだ!僕と一緒に……!」

 

ミカは必死にユウに声をかけた…がその声はユウには一切届くことはなく、逆に優はミカに向かって刀を一回振った。

 

するとミカの方に強烈な衝撃が生まれ、ミカの周りを吹き飛ばした。

 

「…なんだ?ちょっとまずそうなのが出てき…」

 

クローリーは優の方を向くと、その瞬間ユウはまた刀を振った、その威力は先ほどのとは比べものにならない威力だった。一瞬で当たりの建物は崩壊し、吹き飛ばされ周りは更地になった。

 

「なんだよこれ、人間は気味の悪いバケモノをつくるなぁ」

 

そう文句を言いながら現れたのはユウに攻撃されたクローリーだった。

クローリーは傷一つなく平然とフェリドの元へ歩いてきた。

 

「でもちょっとやばいか、フェリド君どうする?」

 

「ん〜あれ何?」

 

フェリドは自分が首を絞めているグレンに問いただす。グレンはその問いをはぐらかした。

 

「また君ら人間お得意の人体実験?一体その際限ない欲望はどっから湧くのかなぁ?正直怖くなるよ、おまけに君らはいつもそれを制御できないし。…ほら」

 

フェリドは視線をずらして、グレンに見ろという合図をした。

そして2人の視線の先には暴走したユウがシノアに向かって刀を向けていた。

 

「つつツツツツツ罪人は…………罪人は………ミナミナミナ皆殺しだ」

 

「え…ちょ……優さん?」

 

「だ…だめだ!優ちゃん!」

 

ユウはシノアに狙いを定めると、切っ先をシノアに向けて力強く踏み込んだ

人間離れしたユウのスピードにシノアは反応できずにいた。

ユウの姿が消えた瞬間シノアは死を覚悟した。

 

ドスッ

 

刀が刺さる音がした。シノアの顔に血が滴る

 

「…え?」

 

シノアは刺されてなかった。確実にシノアを狙った切っ先は、シノアの前にいる人物の脇腹を貫通していた。

 

「…なんかさっきもこんな感じのあった気がするんだけどさ…それよりも」

 

シノアの前に立つ少年は刺されたことを気にしてないのか平然と喋っていた。

 

「あ…あぁ…」

 

シノアはその声を知っていた。自分が最も尊敬し、愛してる人。初めて心の底から大切だと思えた人

 

「…お前なにしてんの?」

 

殺意しか込められてない絶対零度の目でユウをみる三宮シオンがいた。

 

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