世界を敵に回しても   作:はすきるりん

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32話 決着とリベンジ

「…お前なにしてんだよ」

 

シオンはユウの刀を掴み逃さないようにしていた。

 

「し…シオン…さん」

 

シノアはシオンが助けてくれたことへの嬉しさと、自分を守るために怪我をしたことの悲しさが混じっていた。

そしてそんな自分たちの状況を、三葉、与一、君月は心配そうに見ている

 

「…無事でよかった。お前はすぐにみんなのとこ行ってろ…あとでこいつもそっちに連れてく」

 

「ツミツミツミ罪人は……皆殺しだぁぁ!」

 

ユウは刀を掴んでない方の腕で殴りかかろうとするが、その前にシオンがユウを思いっきり蹴り飛ばした。

蹴られたユウは、20m離れていた廃ビルに勢いよく吹き飛んだ。

シノアはまだ体に力が入んないのか、その場に座ったままでいるとシオンがシノアを抱えて三葉達のところまで運んだ。

 

「お前らは下手に動くなよ。…ヒメ、指示があるまでこいつらを守っといてくれ」

 

 

シオンの隣に、ヒメとクロが上から落ちてくると、シオンはシノアたちに背を向けながらヒメに指示をした。

 

「いいわよー!でもちゃんと後で私の遊ぶ時間も用意して欲しいわ!」

 

「わかってるよ…そんじゃクロ、殺るぞ」

 

「いいよ。久しぶりに遊びがいがありそうだからね、存分に楽しもうか」

 

クロは自分の影を花のように変えて、自分を包み込ませ姿を刀に変えた

クロが突然刀に変わったことに君月と与一は驚いていた。

 

「お…おいあれどうなってやがる…」

 

「ぼ、僕もわからないよ…」

 

「あら?そーいえばあなた達には言ってなかったかしら?私とクロは鬼よ?

シオンと契約した鬼呪装備!

ちなみにランクはあなた達の鬼箱王や月光韻と一緒の黒鬼よ!」

 

ヒメはフフン!とあまり膨らみのない胸を張ってドヤ顔をした。君月と与一はそのドヤ顔はスルーしてある言葉に引っかかっていた。

 

「ちょっと待てよ!鬼呪装備って二つ持てるものなのか!?1人につき一体しか鬼と契約できないんじゃ…」

 

「君月の言ってることは正しい。これはシオンが特別なだけだ。今まで日本帝鬼軍が為せなかった鬼の多数契約、それをあいつは12歳でやった。

そんな偉業も含めてあいつは“神童”と呼ばれている」

 

三葉の説明が終わると同時に、先ほどシオンに吹き飛ばされたユウがビルの瓦礫から出てきた。

 

あああぁぁぁぁぁぁぁああ!

 

ユウは思いっきり踏み込むと、ものすごい速さで一つの線となってシオンの方へ突っ込んでいった。

 

「クロ、こいつを止めるのは俺たちの任務には含まれてない。だから…」

 

ユウは一瞬でシオンの背後に回り刀を振り下ろしたが、シオンはそれを簡単に受け止めた。ユウは受け止められたことなど微塵も気にすることなく、連撃を繰り返しどんどんスピードが増している。

だがシオンはその連撃を全て簡単に弾き返していた。

二人の刃がぶつかる度に激しい衝撃が生まれ、シノア達はその衝撃に飛ばされないように耐えることしかできないでいた。

 

「…すぐに終わらせるぞ」

 

『はいよ〜それじゃ一瞬だけ上げるよ』

 

クロは自分の力を大量にシオンへ送った。するとシオンの顔に黒い痣が浮かび上がり、力が膨大に流れ込んできた

 

「いや別に…まぁいいかありがとう」

 

シオンは渋々お礼を言った後ユウの刀を弾き飛ばし、ユウの体勢を崩した。

するとシオンはクロの形を一瞬、グローブのように手に纏わせるとユウの鳩尾を的確に殴った。

 

「ガハッ!」

 

ユウはその重い一撃に膝をつき気を失った。

暴走の際に現れた片翼の翼は、ユウが気を失ったからか崩れ散った。

 

「とりあえず終わったかな」

 

「ん…ふぅ。…おいシオンお前、僕の力いらないって言おうとしたでしょ」

 

クロは自分の姿に戻ると不機嫌そうに頬を膨らましていた。

 

「いやまあ…ごめん」

 

シオンは言い訳もせずに謝るとクロは

 

「ハァ〜まぁいいけどさ、今日はいつもより多めに相手してもらうからね」

 

と条件を出すとシオンは仕方なくそれを了承したことでクロの機嫌はなおった。

この瞬間、シオンは今日まともに睡眠を取れないことが決定した。

それからシオンは気絶している優をシノア達のところまで運んだ

 

「もうすぐここに渋谷本隊が来るだろうから、お前らは安心して休め」

 

シオンはそう言いながら優を降ろすと、シノアと三葉の首に吸血の跡があることに気付くと二人の傷口をそっと撫でた。

 

「俺が遅かったばっかりにお前らにこんな傷をつけさせた…ごめん」

 

シオンは俯いていて表情がわからないが、とても弱々しい声だった。

 

「…グレン、お前の隊をこいつらのそばに待機させてくれ。…この頼みが無理なら…胸糞悪いけど柊家の権利を使って命令する」

 

シオンはいつの間にかフェリドの元から離れたグレンに言った

 

「ハッ!ガキが随分偉くなったな…

だがお前があの戦闘の中、影使って俺を助けてくれたからな。

今回は何も言わねえで従ってやるよ」

 

グレンの言った通りシオンはユウとの戦闘中にクロの能力を使ってグレンを救出していたのだ。

シオンの頼みを聞いたグレンは、シノア達を囲うように自分の隊を配置した。

 

「ありがと」

 

「はいはい…んでこんなことするってことは…。あー、程々にな」

 

「ん。…王金姫、黒影鬼、来い」

 

シオンは珍しくヒメとクロの真名を呼んだ

 

「怒ったシオンも素敵ね!たーくさん私を使ってちょーだい!」

 

「あはっ!久しぶりに真名言われちゃった///」

 

ヒメはひまわりのような笑顔を、クロは頬を紅くし妖艶な笑みを浮かべながら姿を変えた。

ヒメとクロを装備したシオンはまるで神をも射殺すほどの殺気を前方にいる吸血鬼の集団にぶつけた。

そしてその殺気を受けたある1人の吸血鬼は、ニヤァと笑顔を浮かべた。

 

「いや〜これほどの殺気とは…成長したねえ〜♪

さぁ!殺り合おうか…シオン君♪」

 

「お前らは俺の大切なものを傷つけた。

悪いが手加減はできそうにない、ここで無様に死ね吸血鬼。

…そしてその気色悪い笑みを必ず壊してやるよ…フェリド・バートリー!」

 

シオンの瞳には吸血鬼の集団の中で一際目立つ、銀髪の吸血鬼が写っていた。

 

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