その翼は何処へ   作:フェネック

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約7ヶ月ぶりの投稿です。

お待たせして申し訳ありません


歴史改変部隊(前編)

1942年/AM09:22:14/統合戦闘飛行隊アフリカ基地

 

 

 

 

 

 

 

「......まさか、こんな形で送ってくるとは......な」

 

 

格納庫の天井まで積み上げられた大量のコンテナを見上げていたプライアーが呟いた。

 

 

「まぁそろそろ燃料も切れそうだったし、交換パーツもごまかし程度に保たせていたが、これで十分整備出来るな」

 

 

隣に立つ佐伯がコンテナのリスト表をペラペラと捲りながらそう答える。

 

2時間ほど前に、突然加東大尉から呼び出されたプライアー。

 

「貴方宛てにリベリオン軍から荷物が届いているわよ」と最初に聞いた時は首を傾げた俺だったが、加東が次に言った「貴方の事、一言もリベリオン軍には言ってないのだけれど」との言葉に、その荷物の中身に心当たりがあった俺は急いで空きの格納庫へ搬入中のコンテナを確認した。

開けてみれば、其処に入っていたのは大量の兵器、機材、燃料等だった。そして、冒頭に戻る。

 

 

「アヴェンジャーの給弾機材からTF34の予備まで......って、とりあえず言える事は俺たち2人だけで兵器取り付けから整備をやらねえといけないのかよ」

 

 

クルスが髪の毛をぐしゃぐしゃと掻き回し唸る。

まぁ、そりゃそうなるよな、と心の中で同情するプライアー。

最初は俺が単独で送られ、その後2人が送り込まれたわけだが、合計たった3人(+攻撃機1機)の寂しい歴史改変部隊だ。あのいい加減野郎(ロジェック)には、これが終わり次第たっぷりと痛めつけてやらないと気が治まらない。

 

 

「...先ずはJP-8のタンクを......どうする?」

 

 

「アフリカ整備班に手伝ってもらって地下にやるか?」

 

 

「いや、重機がなきゃキツイ。  土嚢と砂でタンクを覆うしかないな。そっちのほうが手っ取り早い」

 

 

「りょーかい、りょーかい」

 

 

クルスと佐伯の2人が話し合いながら格納庫の奥へ歩いていく。

2人を見送った俺はA-10のある格納庫へと足を運ぼうとして、背後から呼び止められた。

 

 

「ウィル」

 

「マルセイユか」

 

 

声の主へと振り返ると其処には我らがアフリカの星がいた。

彼女が格納庫入り口から俺に対し手招きをする。何だ?

俺が歩み寄るとポケットから何かを取り差し出す。

 

 

「これは?」

 

「ケイがウィルに、と。  お前もアフリカの一員だからな。今後はそれを身に着けておけよ?」

 

 

マルセイユが差し出したのは統合戦闘飛行隊アフリカの部隊マークのパッチだ。アフリカ軍団の盾ベース内に扶桑の日月紋、中央にワシ、その上に星、そしてAFRICAの文字が入ったやつだ。

マルセイユから受け取った俺はパッチをまじまじと見つめたあとABUのベルクロに貼り付けた。

 

 

「ありがとうマルセイユ」

 

 

「礼ならケイに言ってくれ。私はただ渡しただけだ。 …あ、そう言えばケイからついでに呼んでくるよう言われていたな」

 

 

「さて、今度はどんな仕事なんだろうな」

 

 

「さぁ?」

 

 

いたずらっ子のような笑みを浮かべたマルセイユがわざとらしく肩をすくめ、両手を上げると背を向け、天幕へと歩き出す。俺も天幕へ行くため彼女についていく。

 

 

「そーいえばウィル、朝食は?」

 

 

「あ、食ってない...」

 

 

「もうマミが片付けたぞ」

 

 

「......ちょっとマミに頭を下げに行ってくる」

 

 

その後、俺はカトー大尉に会う前に食器を洗う途中だったマミに頼んで朝食を作ってもらった。マミは「わかりました」と微笑みながら言い、作ってくれた。マミはやさしいなぁと思わず涙が出そうだった俺だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「防備を固めることに専念?ネウロイが?」

 

 

いつもの天幕内でケイから切り出された話は前線のネウロイの行動の変化に関することだった。

 

 

「ブリタニアの挺身隊も確認したそうよ。ハルファヤより東側でのネウロイは攻勢を控えているっぽいわ」

 

 

加東が言う。

挺身隊とはブリタニアのLRDG(長距離砂漠挺身隊)のことだろう。覚えている限りでは確か特殊部隊の部類に入るんじゃなかったか? まぁともかく、加東が言うにはここ数日のA-10による近接航空支援、BAI(戦場航空阻止)等により損害ばかりを被るネウロイはA-10とアフリカのウィッチを警戒し、前線の向こう側で防衛線を構築中らしい。なんとも迷惑な話だ。

 

扶桑茶の入った湯飲みを置いた加藤が話を続ける。

 

 

「マルサーマトルーフ辺りまでの複数箇所に拠点型ネウロイが点在していると、モンティは考えているらしいわ」

 

 

マルサーマトルーフはトブルクより東にあるキュレナイカ、エジプト国境線近くにある町サッルームよりさらに東の海岸沿いにある。敵中のアレキサンドリアまでの中間に位置する。

 

 

「ウィルのおかげか」

 

「ウィルさんが頑張るから」

 

「まぁ...仕方ないですね」

 

「俺の所為かよ!?」

 

 

マルセイユはともかく。真美、ライーサにそう言われるのは予想

外だった為かなり心的ダメージを受けた。

 

 

「......とにかく、これ以上、ネウロイに陣地を構築させる余裕を与えさせるわけにはいかないわ。  ロンメル将軍とも話したけど、ブリタニア軍にも要請して戦線を一気に上げる為に先ずは確認された拠点型の2箇所に仕掛けていくわ」

 

 

加藤の言葉にその場の全員が頷く。

すると椅子に座っていたマルセイユが尋ねる。

 

 

「ネウロイの場所は?」

 

 

「ハルファヤから東南東に約30kmの位置よ。これが私たちとカールスラント軍の担当で、もう一つは北東にあるけどそっちは第8中隊とブリタニア軍が担当するわ」

 

 

「シュレーアの部隊か。アイツなら大丈夫だな」

 

 

「ウィル、貴方にはいつも通り対地攻撃に専念してもらうわ。航空ネウロイに関しては任せてちょうだい」

 

 

「了解ですよケイ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後、作戦が開始された。

北東にある拠点型にはマルセイユに次ぐアフリカのエース航空魔女ヴァンデリーン・シュレーア中尉がいる第8中隊とセシリア・グリンダ・マイルズ少佐率いる第4戦車旅団C中隊を主力とした部隊が向かい、加藤たちとKAKの機甲戦力からなる部隊は東南東にある拠点型へと進撃した。

 

 

『見えた!』

 

 

『11時上方、高度4000に新たなネウロイを確認! ケリドーン型、8機、降下してきます!』

 

 

マルセイユとライーサの声が無線から聞こえる。

拠点型の周囲に群がる四脚の陸戦ネウロイに対し爆撃を行っていた俺は機首を上げ一旦上昇する。眼下の地上ではKAKの機甲部隊が砂丘を利用した被弾面積を減らすハルダウン(稜線射撃)戦法で陸戦ネウロイに対し熾烈なる砲撃戦を展開していた。

 

彼等の上空ではマルセイユたちが白い航跡を引き、ヒエラクスやケリドーンと言った航空ネウロイとのドッグファイトを行う。

 

 

『真美、左翼の地上部隊の援護に向かって!』

 

『はい!』

 

『ライーサ、右のやつは任せた!』

 

『ヤヴォール!(了解!)』

 

 

上空から急降下してきた真美が、その小柄な体格には合わないボヨールド40mm機関砲を構えると1発、2発と撃ち込む。放たれた砲弾は吸い込まれるように敵陸戦ネウロイ車体上部に命中、撃ち抜かれたネウロイは少し間を置いて光の破片となる。

 

 

『よくやったわ、真美。 ......! マルセイユ、3時下方に中型飛行ネウロイ! 低空で機甲部隊に接近しているわ。おそらく爆撃機だわ』

 

 

機体を反対方向に傾け確認する。

兵装の照準センサーが目標を捕捉するとHMDバイザーに低空を飛行するネウロイを赤い△の枠で囲いマーキングし、表示する。

 

同時にセンサーが解析した目標をMFD(多機能ディスプレイ)の一つに敵脅威情報として映し出し、NB-03“ケファラス”中型爆撃機ネウロイと判明する。

 

それが3機、編隊を組んで機甲部隊側面から迫っていた。

 

 

『分かっ......っ!クソ!』

 

『12時直上よりケリドーン型7機、接近!』

 

 

無線から察するにマルセイユたちは敵戦闘機型に手一杯の様子だ。手遅れになる前に、と、ケイ大尉に呼び掛ける。

 

 

「加東大尉、こちらマンバ6。マルセイユたちは敵戦闘機型の相手を、こちらは接近中の爆撃機型を撃墜する」

 

 

『了解。頼んだわよ』

 

 

了解、と答えると機体をロールさせ降下を開始。

ケファラスと同高度に迫ると水平飛行に移り、使用兵器を2連ランチャーに懸吊している視程内射程空対空ミサイルのAIM-9Xサイドワインダーに切り替える。赤外線シーカーが標的を睨む。

 

標的のケファラスは尾部の対空ターレットでこちらを狙ってきているが当たりはしない。

 

イヤフォンに長い電子音が鳴り始め、標的の熱をシーカーに焼き付けたサイドワインダーがロックオンしたことを告げる。

 

 

「FOX2!」

 

 

発射ボタンを押すとパシュッと音を立て、ランチャーから発射されたサイドワインダー。相手は時速400kmそこらで飛んでいる為、狙われたケファラスは数秒後にはミサイルに食いつかれた。

 

シーカーが反応し爆薬が起爆すると複数の鋼鉄製ロッドが四散し、ケファラスの翼を引き裂くようにダメージを与える。

 

バランスを崩したケファラスはどんどん高度を落とし地面に叩きつけられ消滅した。

 

 

「スプラッシュ1! ロックオン...FOX2!!」

 

 

撃墜報告後に次のケファラス対し再びサイドワインダーを発射。

白い航跡を描き、マッハ2で迫るガラガラヘビを避ける事が出来るはずがないケファラスに呆気なく命中し撃墜する。

 

その直後に残ったケファラスが胴体上部のターレットから1条の赤い輝きを放つビームをこちらに撃ってきた。

 

 

「うおっ!?」

 

 

咄嗟に機体を横に傾ける。

機体の直ぐ傍をビームが掠め左主翼の上面が少しだけ消失した。

 

ビシュウゥゥッ!!

 

ビシュウゥゥッ!!

 

少し照射時間を長めで撃ってくるケファラスに対し機体を左右に振ったりロールしたりと回避機動をとる。

 

同時に尾部の速射式ビームガンターレットで追い討ちを掛けてくるケファラスにHMDバイザーの照準システムで狙いを付ける。

 

ジ...ジ...ジ...ピーッ!

 

イヤフォンに響くロックオンの電子音。

 

 

「喰らえクソッタレッ...! FOX2!!」

 

 

罵声を吐くと同時に発射符丁をコール。

残ったサイドワインダー2発を続けざまに発射した。

発射されたミサイルが互いにどちらが先に命中するかを争うように突き進む中、ケファラスがピッチアップ、上昇しつつ3箇所のターレットで弾幕を張るが無駄だ。逆に上昇したことで少なかった“余命”を更に縮ませてしまったな。

 

 

獲物を目の前にして、牙をおさめるヘビはいねぇよ。

 

 

左右から挟み込むようにアプローチしたサイドワインダーがほぼ同時に炸裂し、無数の鋼鉄製ロッドの雨が襲い掛かった。

 

高速で放たれたロッドに為す術も無く、機体を無惨に切り裂かれコアを損傷したケファラスは短い悲鳴をあげると消失を始めた。

 

その様子を見届けた俺は無線を加東大尉に繋げた。

 

 

「マンバ6より加東大尉へ。敵爆撃機、全機撃墜。これよりKAK機甲部隊への航空支援に再度移る。オーバー」

 

『こちら加東、良くやったわマンバ6。支援に向かってちょうだい。こちらはあと少しで戦闘機型を排除完了出来るわ』

 

「了解。アウト」

 

 

加東からの指示にそう答えた俺は、いったん機体を上昇させた。

地上の様子を伺うとKAKの機甲部隊がネウロイを蹴散らしながら進撃を続けていた。例の拠点型まであと数kmと言ったところか。

 

彼らが無事にたどり着けるように援護に向かう。




こんな遅更新な作者の為に待ってくれる人なんているのだろうかと心配しながら書いていましたが、半年以上も更新してない申し訳なさの方がでかかったのでなんとか仕上げました。

本当に申し訳ありません!

今度からはACE WITCHESと平行してどちらとも早く仕上げて更新を続けたいのですが、仕事の方で少し部署変えがありまして......今後も遅れるかもしれません。すいません。

1ヶ月には2話更新出来るようには努力します。

で、友人から提案を出されてですね。
随分前に私が書いていたストライクウィッチーズのSSを更新日までの暇つぶしとして出せばいいんじゃないの?と。

2年前くらいに書いたSSで、ヒロインはミーナ中佐の話なんですが......出した方がいいですかね?

まぁ......手持ちタイトルが増えるのは少し躊躇いが出てくるのですが、どうですか皆さん?


感想でお待ちしてます。

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