合わせ鏡が無限の世界を作るように、世界は一つではなく、異世界もまた存在する―。
神崎士郎という学者の論文にある一文だ。これは研究結果などではなく、彼本人のセリフのようにも聞こえる。調べれば、神崎士郎はアメリカで行方不明になったという。俺はとあることからこの謎の学者に興味を持ち、こうして今も調査中というわけだ。ミラーワールド。これがその異世界のことなのか?
俺の名前は継巳開斗(つぐみかいと)。ネットニュースの記者をやってる。
俺の世界では最近、謎の行方不明事件が多発している。なんでもSNSの噂では、鏡に消える、だとか。
最初はマジックか何かで、人を揶揄っているのかと勘違いしていた。だが、いつまで経ってもその人が返ってこないことから本格的な行方不明事件として扱われ、警察も動き出している。そうして調べているうちに、この神崎士郎に行きついたわけだ。だが、この人物も恐らく死んでいるのだろう。本人に直接問いただすことは難しそうだ。
この図書館には神崎士郎についての本は、今読んでいるこの一冊しかない。もうあてにできるものはないな。
俺は図書館を出ると、ダメもとでスマホでミラーワールドについて調べてみた。
すると幸運の女神が舞い降りたのか、驚きの結果が画面に浮かび上がった。
『ミラーワールドの謎 編集;城戸真司』と一つのネットニュースの記事が浮かび上がった。かなり古いネットニュースで、なんでも30年近く前のものだ。だとすると、まだスマホが普及していない時代か。ニュースサイトの名前はOREジャーナルというらしい。
一応OREジャーナルについて先ず調べてみたが、どうやら閉鎖しているらしい。スマホが普及していない時代にネットニュースをやるのは、少し先走りすぎているような気もするが。
そして、この記事に目を通した。文才はないが、なんだか好奇心を掻き立てるような内容である。ただ説明が下手すぎて所々何を言っているのかよくわからない。この城戸真司とかいう人物はそこまで頭が良くないのか?と、見ず知らずの人物について考察を張り巡らせた。
しかしこの人物に会ってみたくなったものだ。どうにかして会う方法はないものだろうか。そこで思いついたのがFacebookだった。便利な時代だなと、文明の利器の良さを実感する。
検索結果として”城戸真司”について一件見つかったようだ。現在は50歳。どうやらフリーの記者をやっているようだ。この年齢でフリーの記者であるなら、一度失業でもしているのか?(まあ実際にOREジャーナルが閉鎖しているのがそうであるのだろう。)彼のプロフィールに、「お仕事の依頼はDMで」とあったので早速ダイレクトメッセージを送ってみた。
これで一先ず様子見だな。一度オフィスに戻ろう