俺は様子を伺っていた、相手の方が上手な以上、こちらから下手な真似はできない。
『ソードベント』
先に動いたのは、王蛇だった。
乱暴な戦法でこちらに襲い掛かる。それは前から変わりない。
『ガードベント』
すぐさま相手の攻撃を俺は防いだ。
「あんた、力任せにしか動けないのかい?前もそうだった」俺は相手を煽った。
「そういって焦っているのはお前の方だ」俺は仮面の中で目を見張った。「しょうもない戦法だ」
王蛇は更にぐっと力を入れた。俺の身体がじりじりと押されているのがわかる。けどこれで少しは相手も油断しているはずだ。カリスマ性のある社長なんだからメンタルが多少強くても納得がいくとは思っていた。
俺は仕込んでおいたカードを装填した。
『ストライクベント』
空いた右手にドラグレッダーの頭部を模したドラグクローを装備する。
「何?」
この戦法には相手も流石に驚いたようだ。ナイトのダークバイザー(剣)や王蛇のベノバイザー(杖)は最悪武器としても使うことができる。しかし、俺のドラグバイザーはただの手甲であるため武器としての機能がない。
だが奇襲には使える。構造上、カードを差し込んだだけの段階では相手からすれば見分けがつかないという点を利用した。
そしてドラグクローが0距離で火を噴く。
火炎弾を腹部に受けた王蛇は見事吹っ飛んだ。
この前ビビって逃げ出したのが馬鹿みたいだ。しかしそう甘くはなかった。相手は驚きの行動に出る。
王蛇は空中にいながらベノバイザーにカードを装填したのだ。
『アドベント』
ベノスネーカーが召喚され、毒の息を吐いた。
あまりに一瞬の出来事に、思わずドラグシールドを構えた。なんとか防ぐことに成功はしたが、ドラグシールドは相手の毒の強烈な酸で溶けてしまった。なんてことだ。あんなの、体に食らったら一溜りもない。
『アドベント』
ドラグレッダーが飛翔する。俺も応戦するしかない。巨大な相手にこの小柄で戦うのは無謀すぎる。
体勢を立て直した王蛇が再び剣を振り回して向かってくる。
威嚇射撃としてドラグクローから火炎弾を連続で発射した。だが相手は動じておらず、そのまま猪突猛進してくる。なんとも黒井らしい戦法だ。攻めるときは攻める。だがそれまでは相手を驚くような戦法で欺く。まるで狩りをする蛇のように。
「効かない!?」
無理だと悟った俺はドラグクローを捨ててソードベントを使った。
漸く剣と剣がぶつかり合う。かと思って俺は剣を思いきり振り下ろした。
けれども王蛇は再び意表を突いてきた。
相手は剣を振り下ろさず、一枚のカードを装填した。
『アドベント』
二枚目のアドベント。仕舞った、あれだけ気を付けていたのに。俺は熱くなって調子に乗っていたのかもしれない。側面からベノヴァイパーが飛んできて尻尾を振り回した攻撃を諸に受ける。
勢いよく吹っ飛んだ。
「くそ・・・」負ける。「お前寝坊するからだろ!!!!!」
何故か約束を破った瑠維への怒りが吐露した。
「ヒーローは遅れてやってくるってね!」
刹那、漆黒の翼を装備した影が飛来する。後方から声がした。