背中に何か衝撃を受ける。気づくと空中で飛んでいた筈の俺の身体は安定した体制になっていた。腰に腕が。
後ろを振り向いた。
「この遅刻魔」
と俺は来た早々のナイトに向かって暴言を吐いた。
「まだ一回だろ」
ダークウイングを背中に装備し、滑空したナイトが無事に着陸する。同時にベノスネーカーと交戦していたドラグレッダーも炎を吐き出して押し返した。
「仲間を呼んだわけか」と王蛇。
「遅刻したけどな」
俺はいまだに根に持っている。
「いいだろ、もう」
瑠維はやはりだらしない。
「まあ一人だろうが二人だろうがどうでもいい。まとめて相手してやるよ」
そういうと王蛇が引いて見せつけてきたカードの絵柄には磁石のような絵柄が描かれていた。
『ユナイトベント』
聞き覚えのないカードだ。そのカードが装填された瞬間、ベノスネーカーとベノヴァイパーがなんと融合したのだ。
俺とナイトは目を見張った。
目の前で起きている衝撃の出来事に、結局は不安が増大してしまった。
「なんだあれ・・・」
ベノスネーカーがベノヴァイパーの尾を噛み、ベノヴァイパーがベノスネーカーの尾を噛み、輪のような形となる。何かの神話で見たことがある。そしてその蛇の輪が回転し、一つの巨大な蛇のモンスターへと姿を変えた。
バイザーには、UROBOROSと表示されている。
ウロボロスは新たに頭部に角を生やし、白い翼を得ている。なんと神々しい姿だ。
「見とれてる場合じゃない。行くぞ」
瑠維の戦闘スイッチが急に入る。取り出したのはタッグベントだ。
カードを使いきっていたため、これで戦いを継続できる。早速ナイトのソードベントを装備した。
「俺はあのモンスターをやるよ。だからあんたはあのライダーを頼む」
ウロボロスと同じく飛翔できるナイトだからとることができる戦法だ。俺は返事をすると再び王蛇に立ちむかった。
ナイトがドラグレッダーと共にウロボロスに空中戦を挑む。
王蛇は俺が振り下ろした槍を手を交差して受け止めた。
「さっきの戦いでカードが尽きたんじゃないか?」
今度こそ正真正銘の煽りを入れる。
「若造が・・・」
どうやら図星らしい。タッグベントのお陰で助かった。俺はそのまま攻撃を押し切り、槍先で相手の腹部を突いて吹っ飛ばした。
地面に転がった王蛇は直ぐにウロボロスに命令する。
「やれ」
ウロボロスは角でドラグレッダーを軽々しく吹っ飛ばし、さらに衝撃波を放ってナイトをも壁に激突させた。
「瑠維!」
衝撃でナイトは壁から崩れ落ちる。ぴくりとも動かないあたり、気絶したか。あいつ良いとこ無いじゃねえか。
何か。何か策はないのか。
「やってくれたな。今からぶちのめしてやる」
王蛇が反撃に出ようと立ち上がってくる。
「くそ。なんかないのかよ!」
そういって無心でカードを引いた。
それは、磁石の絵柄が描かれたカードだった。
「これは・・・」相手に見せてからカードを装填する。
「何!?」
王蛇も思わず驚いたようだ。何が起こるかはわからない。でもやってみる価値はある。
『ユナイトベント』
ドラグバイザーから発生された音声と共に、ドラグレッダーの体が浮かび上がった。更に、ダークウイングが飛来してきた。なるほど、タッグベント下であるからこそ使えるカードなわけか。じゃあ瑠維も遅刻してまで来た意味あったわけか。
空を飛ぶドラグレッダーの背中に、ダークウイングが融合する。
そして新たなモンスターが誕生した。なんとドラグレッダーに翼が生えている。それはダークウイングの漆黒の翼だ。翼にはソードベントで使われていた槍がそれぞれに装備されている。体は元々の赤に黒のラインが所々に入っている。
バイザーにはFAFNIRと表示されている。
俺たちは睨みあうと、地を蹴り互いのモンスターの背に搭乗した。巨大モンスターの空中戦が始まる。ウロボロスとファフニールが互いに衝撃波を放ちあい、尾をぶつけあう。
一旦距離を取ったところで、ファフニールが翼に搭載されているウイングランサーをミサイルとして放った。
凄まじい勢いでミサイルがぶつかる。相手の翼をミサイルが貫いた。好機。
『ファイナルベント』
俺はカードを装填し、ファフニールと共に飛翔した。
ファフニールから飛び上がり、キックを放つ体制になる。そしてファフニールが放つ炎とウイングランサーのミサイルと共にドラゴンナイトキックを放った。動けなくなった王蛇はウロボロスから飛び降りた。
このままウロボロスを倒す。
そう思っていた。