4章も折り返しに差し掛かりました。
いつもありがとうございます。
読後、お気に入り等よろしくお願いいたします。励みになります
「俺とタッグを組め」
清岡はそう言った。今俺は瑠維とタッグを組み、登録されているような状況だ。
ここで清岡とタッグを組めばどうなるかはわからない。一応あいつに連絡はしておくか。
「いきなりすぎて話が読めない。時間をくれよ」
「まあ、そうだな。一日待ってやる。だが、タッグを組まない場合はわかってるな?」
嫌な睨みを利かせてくる。蛇睨みにあってるみたいだ。口元がにやけているのが余計にいやらしいというか。
結局のところ、俺は瑠維に連絡する猶予を与えてもらっているだけな気もした。
「悪い話じゃないと思うけどな」
見送る際、扉付近で清岡はそう言った。どのみち黒井は暫くは病院生活だ。それまでは考えなくてもいいのだろうか。
今回はとりあえず検察庁を出た。
瑠維に連絡をする。彼の予想は当たっていたのだ。
前世の記憶なんて信じられないことであるが、どこか信じてあげたくなった。清岡が戦う理由に。
実際に悪い話ではなかった。だがあの状況で二つ返事で頷けるほどの自信がなかった。何故だろうか。何かが俺を引き留めていたのだ。
それは、・・・・少しの間だが瑠維と一緒に戦って生まれていた絆なのかもしれない。
あたしのスマホが鳴ったのは、力山さんの病室を再び訪れる直前だった。
『近くにライダーがいます』
嘘でしょ。こんなところで・・・。あたしは目を見張った。
今確実に動くべきではないのは分かっていた。病院は広いし人も多い。今ミラーワールドに飛び込んでも不意打ちを食らう可能性があるし。
だけどあたしは変身せざるを得なくなった。
偶然人通りの少ない通路にいたせいか、そこはモンスターにとっては絶好の狩場だった。
目の前にいたナースが鏡の中に一瞬で吸い込まれた。これは驚かない。不謹慎だけど、見なれた光景。こんな悲劇を繰り返させない。スマホを操作した。
ベルトを呼び出そうとした瞬間、大きなフードで顔がよく見えない人間とすれ違った。顔が見えないせいで、男か女かもわからない。身長は175㎝くらい。背の高い女性と捉えてもおかしくはない。
その思考は、鏡に翳したスマホがカードデッキに変化したことで打ち切られた。
スマホが白いカードデッキに変る。中央に彫られているのは、白鳥の舞を模した彫刻。美しい。素敵。
本当、「変身!」あたしに似合ってると思う。
鏡の中に突入し、あたしは雪肌のライダー―ファム―に変身した。ちなみにもう直ぐでMAXレベルの20。
相棒の白鳥型モンスターのブランウイングに搭乗し、ミラーワールドに突入した。
華麗に病院の中庭のミラーワールドに着地した。同時に目に映ったのは、猪型モンスターのワイルドボーダーがあの攫ったナースを捕食しているところだった。間に合わなかった。
怒りに震えながら、レイピア―ブランバイザー―を抜刀し、突撃した。
白銀の刺突が相手を吹っ飛ばす。勢いのままカードを引いた。
『ソードベント』
ブランウイングの翼を模した黄金の長刀を装備する。
怪人に切りかかろうとした時、強い衝撃に襲われて今度は私が吹っ飛ばされた。
―いてて。何?
見ると、もう一匹、私の目の前に猪型のモンスターが現れた。仮面の中の画面では「Shieldborder」と表示されている。仲間?いや・・・。
その疑念は、目の前からやってくる足音で晴れた。
目の前には、橙色の猪の牙を模した仮面のライダーが現れた。
「ビー、ト?」
あたしの声が聞こえたのか、相手も口を開く。
「こんな近くにライダーがいるとはな」
声はどこか聞き覚えがあったけど、仮面のなかで少しくぐもった声になるため、よくわからない。
「あんた、人間を襲ってどうする気?」
「ああしないとモンスターが強くならないんだろ?あんた、俺より先輩な癖に知らないのか?」
「馬鹿にしてるの?非道なことはあたしの主義に反するわ」
「そんなこと言ってるから、あんたは弱い。俺は強い」
そのセリフ。どこかで聞き覚えのあるセリフだ。声とかじゃない。もっと有名なもの。
『ストライクベント』
仕舞った。
あたしが立ち尽くしている隙に相手は武器を装備した。ボーダーたちの胸部を象った超巨大なメリケンサック。
ボクシングでもするのかしら。
その時、あたしの中でスパークが起きた。二つの事象が頭の中を駆け巡る。
「うぉらあ!」
勢いよくビートが殴り掛かった。
だけど相手は手ごたえが無いよう。辺りには白鳥の羽が散らばっている。その幻想的な光景に余計混乱しているのがわかる。
掛かった。あたしの罠?術に。とっくの間にあたしは脇に移動していた。
ブランシールド。今咄嗟にガードベントを装填し、装備した。この盾は防御というよりは攪乱という言葉が似合う。相手が攻撃する瞬間、羽をまき散らして幻想を見せる。
「な、なんだ・・・」
「これが格の違いよ」
ウイングスラッシャーを振り回して相手を切りつけた。相手も反射的に盾を装備する。シールドボーダーの盾だ。
「どうしたの?”攻撃は最大の防御”だっけ、あなたの異名」煽り文句を直接ぶつけた。「聞いて呆れる!」
精神を崩された相手は長刀の猛攻になす術もなく吹っ飛んだ。
「お前・・・」
「力山大志。・・・どうやって怪我を治したかは知らないけど、あなたにもうボクシング界に戻る資格はない・・・」
「お前に何がわかる!正義の味方のつもりか!」
そう言ってビートが抜いたカードは磁石の絵のカードだった。まさか・・・。
謎のカードで戸惑っているよう。まさか初陣なのかしら・・・。それにしても、あの雑に強いアタックポイントは危険に思える。ここで倒しておかないと不味いことになりそう。
『ユナイトベント』
音声が発せられたと同時にワイルドボーダーとシールドボーダーが融合し、巨大な牙を持つ猪型のモンスターが新たに誕生した。名前は、・・・ベヒーモス。
「面白いじゃねえか。いけ!」
ビートがあたしの方を指さすと、勢いよく突進してきた。
なんとか避けたけど、凄いスピード。一撃でぶつかった壁が破壊されてる。
「・・・やるしかないのね」
あたしは覚悟を決めて二枚のカードを引いた。
『アドベント』
近くにいたブランウイングが背中にもう一匹のモンスターを乗せて飛来する。
小さくて可愛いからか、相手はその姿を視認するのに時間がかかっていた。
名前はパシフィックエンジェル。クリオネ型の小さなモンスター。あたしにぴったり。そしてあたしの・・・、
『ユナイトベント』
ジョーカー。
4章ー4 次回予告
「あたしは後戻りできない。これ以上は・・・」
『タイムベント』