普段は主人公の開斗からの視点を描いていますが、花枝の活躍を描くのはかなり新鮮な気分でした。
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『ユナイトベント』
これがあたしのジョーカー。
ブランウイングとパシフィックエンジェルが光に包まれる。白鳥の仮面を被った天使が降臨した。名はミケランジェロ。
神々しい姿に、ビートは唖然としている。
「な、なんだ。・・・だからどうした。俺と同じことしただけだろ。やれ」
ビートはベヒーモスに攻撃するよう命令をした。声が震えているのがわかった。ボクシングの試合では威勢がいいのに。
まあ、本当に命がかかっているとなると怖いものか。
今一瞬自分の初陣を思い出した。それはモンスターとの戦いだった。今思えば、ライダーと戦うのは初めてかもしれない。
ベヒーモスは動かない。ミケランジェロのせい。
ミケランジェロが放つ光を浴びたモンスターは服従する。動けなくなる。
「どうしたんだよ。動け、動けよ」
大きく手を動かしたりしてベヒーモスにアピールするビート。だけどそんなので動いたら溜まったもんじゃない。その巨体はびくともしない。
あたしはゆっくりと近づいた。
足がすくんで動けないのかしら。そこにウイングスラッシャーで一突き。見事相手を転ばせた。
首元に刃を突き付ける。
「どうしてあなたの腕は治ったの?」
「・・・あんた、あのときの保険会社の人か。まさか女に負けるなんてな。・・・治ったのは腕だけだ。まだ内臓とか肋骨っていう体の内部は治ってない」
余計に疑問が深まった。治すなら内臓の方が簡単そうだけど。けれどボクシングの練習に復帰したいなら、・・・外部だけ治せばどうにかはなるか。
でもどうやって?
それは渚川花枝が今日この病院を訪れる少し前の出来事。
力山大志の病室には大きなハードで顔を隠した人物が入ってきた。面会に関しての制限は緩くしていたものの、どうして。
「力が欲しいか?腕を直して欲しいんだろう?」
高い声だった。女性に思えるが、その割には背が高い。
「治せるのか?すぐにだ。俺には時間がない」
力山の声は震えていた。謎の人物を前にして、半信半疑になっていた。
それもそう。
目の前に時計が描かれたカードを見せられて疑惑の念を持たない人がいるとすれば、それはライダーだ。
力山はまだライダーではない。
この人物は、力山をライダーにするためにやってきたのだ。
「いいだろう。お前の腕だけはすぐに治してやる」
『タイムベント』
持っていたカードが輝き出し、力山の包帯が巻かれた腕に光が灯った。
それから力山は腕を動かすことができた。まだ半信半疑だ。だが、包帯をとっても問題がない状態になった。一瞬で。
自分の腕をまじまじと見つめた。信じられないが、治っている。痛みもない。調子に乗ってシャドーボクシングをしてみた。
すると痛みが体に迸る。痛んだのは、自らの腹部だった。つまりまだ内臓は治っていない。
「外側だけは治してやった。内臓等も治したいなら、ライダーになれ」
「は?」
すぐに聞き返した。
ーライダー?さっきから何者なんだこいつ。
力山の承諾も得ないまま、謎の人物はスマホを取り出した。
「鏡にかざせ。そうすればお前はライダーになれる」
その後、ライダーについての説明が軽くなされた。耳には残っていたが、意識して聴けていなかった。意味のわからない内容だからだ。
謎の男もしくは女はすぐに姿を消した。
こうして力山は仮面ライダービートとなった。
「ふーん、そういうことね」
多分その謎の男もしくは女は、さっきあたしがすれ違った人なんだろう。
「だから俺は内臓をすぐに治すために、ボクシングで勝つためにライダーになった」
この時、あたしに一瞬の迷いが生じた。
勝負はあたしの勝ち。でも、この人を生かすも殺すもできる。
それにしても、タイムベント...,
そんな化け物じみたカードがあるなんて。その謎の男もしくは女もライダーなのかしら?
運営って考えもあるわよね。このライダーバトル、スマホのアプリになってる以上、運営があるはず。
「あなた、あたしに協力しなさいよ」
「え?」
まあそういう反応になるとは思ったけど。あたしが最強なのよ。
その後、力山を解放した。現実世界に戻ると、とりあえず保険金が降りる手続きをしてもらった。お金は欲しいだろうしね。
万が一何かあったとき、とりあえずこの人を頼ろうかしら。
病気を出ると、開斗から連絡が来ていた。
『土日空いてるだろ?どっか出かけないか?』
珍しい。そういえば最近はデートも行ってなかったなあ。
『いいよ。ディズニー行きたい!』
開斗はOKとスタンプを送ってきた。
このデートがあんなことになるなんて思ってもいなかった。
次回予告 5章
ディズニーランドでライダー通知が届き、開斗はミラーワールドに突入する。
「白い、ライダー?女か?」