仮面ライダー龍騎 unite   作:moriseo

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長かった一章を分割して読みやすくしたものです。



Vent1 初めてのアドベント
1 城戸真司(分割版)


俺はオフィスに戻ると、デスクに図書館での論文の報告をした。デスクの名前は小久保弘樹。初老の

42歳だが、まだまだ機敏に動く敏腕の記者である。俺は元々この人に弟子入りして今こうしている。

「へえ。で、神崎士郎っていう人物はもう死んでいると思われるから取材は難しい・・・ってか」

「でも、Twitterでミラーワールドについて調べたらある記事が出てきまして」

俺は両手を合わせて胡麻をするように、城戸真司の件を話した。冷静な小久保デスクはまた一つ頷くと、

「まあ調べてみろよ。お前の腕は信じてるからさ。最近不倫のニュースばかりになっていたから、読者も飽き飽きしてるんだよ。ここは頼むぜ」

どうやら期待されているようだ。ここは俺も頑張らないとな。気合が注入された気がした。

 

 再びオフィスを出た。今日はこのまま一度直帰かな。花枝―俺の彼女―からの連絡もないし、本当に帰ってよさそうだ。

 念のためスマホの通知を確認すると、Facebookから一件の通知が来ていた。まさか、と思って通知欄をタップした。開かれたFacebookのページのDM欄に一つのメッセージが。 

 From;城戸真司。・・・これは。

 すぐにメッセージを開いた。『連絡ありがとうございます!よかったら会いませんか?いつでも空いてるので』

 ここで俺の記者本能が疼いた。俺は直ぐに返信した。

 その後やり取りがあり、俺は明日の正午、城戸真司と会う約束になった。

 

  約束の場所のカフェに来た。水色のジャンパーと言っていたが、あの長髪の男性だろうか。俺は近づいていき、話しかけた。

「あ、どうも。城戸真司です」

小じわが目立つ50歳とはいえ、まだまだ元気がありそうな雰囲気だ。性格の良さが滲み出ている。話しやすそうな、気さくな人物であると感じられた。

「この記事について、聞きたいんですけど」と言いながら俺はあの記事を見せた。「これはあなたが書いた記事ですよね」

聞いた途端、目が泳いだ。どうやらそうなのだろうが、何か不味いことでもあるのだろうか。

「いや、これは正確には大久保っていう俺の編集長が書いたんだ。あ、元編集長か」

「どういうことですか?」

「あれは、・・・俺の体験談なんだ」

実際には、俺はミラーワールドの謎を閲覧することはできなかった。4o4で閲覧期限が切れていたのだ。だからこうして本人に聞くしかないというわけだった。にしても何故隠す必要があるのか。

「たいけん、だん?」

よくわからない事態に、俺は言葉を繰り返すことしかできなかった。

「ああ。信じてもらえるかわからないけど」

会った瞬間の明るさはもう消えていた。そして真司はポケットの中に片手を入れた。ここまで来たらもう、なんでもいい。信じるしかない。

「俺はミラーワールドに自由に出入りすることができる。このカードデッキを使って」

と言いながら真司が出してきたのは、黒いカードデッキだった。真ん中には、金色の龍の顔を模したマークがある。俺は言葉が出なかった。

「カードデッキ?」

今更紙のトレーディングカードゲームは流行ってはいない。なのになぜこんなものが。俺と彼の間でジェネレーションギャップが生じていた。

「ミラーワールドの中で繰り広げられていたのは、このカードデッキで変身したライダーと呼ばれるもの同士の戦い。このカードデッキを鏡に向けると変身できる。戦いってよりは、・・・殺し合いに近いかな」

「え、・・・あんたまさか?」

俺は唖然として口が大きく開いたままになった。

「お、俺はやってないよ」焦った真司は慌てて手を振って否定した。「勿論、中にはやったやつもいる。凶悪犯とかもライダーでいたからね・・・」

冷静に考えてみればそうだ。私は人殺しです、などと平然に言えるサイコパスの取材なんてやってられない。俺の頭の中には、凶悪犯という言葉が引っかかった。あとは殺し合いか。

「じゃああなたもライダーになって戦っていた?っていうことですか」

「そう。俺はその戦いを勝ち抜いた・・・?だからこうして・・・」

疑問形の言い方であったり、言葉を濁しているのが気になった。殺し合いと言っているくらいだから、説明できないほどの感情があったに違いない。そこは察することができた。

「なるほど。ありがとうございました」一礼して礼を言った。「ちょっと見てもいいですか?」

 俺はこの謎のカードデッキというものに興味が湧いた。ただ失敗だったのは、自分のスマートフォンを近くに置いてしまっていたことだった。

 真司は二つ返事で許可をくれた。カードデッキには勿論カードが入っていた。黒い枠に青い背景が裏面のカードであった。表を向けると、赤い龍の絵が描かれていた。その他にも、武器が描かれたカードなども存在し、真司は一つ一つ丁寧に解説してくれた。こう聞いていると、このライダーバトルというのは殺し合いと言っている割にはゲームのようなものにも思えてくる。推測だが、ゲーム感覚でやっている者もいたんだろう。

 真司の解説が終わり、カードを仕舞った時だった。俺のスマホの画面が鏡代わりとなり、そこにはあの赤い龍が映り込んでいた。それは絵の反射などではなく、動いている。

「ど、ドラグレッダー!?」元飼い主は驚きの声を上げた。「最後にこいつを見たのは15年くらい前の、2019年だ。俺が最後に挑んだライダーバトル・・・。それ以来だ」

俺を悪寒が襲った。俺がカードデッキを触ったせいで・・・。

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