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「こんなところに傷できる?普通」
というとくすくすと笑い出した。花枝は疑っては来なかった。別に浮気してできるような傷でもないから気にしないのだろうか。
それから、彼女の細長い指は俺の下着の中へ伸びた。久しぶりなせいか緊張した俺は、言葉が出なかった。花枝は結構積極的な方ではある。お互い土日休みの職についていたとしたら、身が持たなかったかもしれない。
「早くない?」
裏筋をなぞりながら言った。彼女は割と喋りながらやるタイプだったが、俺は照れてしまう。あまり喋ることができなくなるので、黙って唇を振り向きながら交わした。
朝目覚めるまで二回はやっただろうか。久しぶりなせいか花枝は相当興奮していたようだった。
俺はその時案の定スマホの電源を切っていたから通知が遅れていたがその頃瑠維や清岡の元にはある通知が入っていたらしい。
『フェス開催! サバイブのカードをゲットしよう!』
本当にスマホゲームのようなことになってしまい、二人は見た瞬間困惑していたようだ。
開催日は翌週だったようで、瑠維から連絡が入っていた。
『来週なんかフェスが始まるらしい。俺の予想では野生モンスターが湧いてくることになる気がする』
いつもおちゃらけているあいつにしては真面目な考察だなと思った。もしそれが本当に起こるとなれば、龍騎やナイトは集団戦向きではないと判断した。
集団戦といえば...。
思いついた瞬間、連絡先の清岡重吾をタップしていた。
『なんだ』
てっきり忙しくて出ないと思っていた。出てもあのハスキーボイスの秘書が出ると予想していたので、少し意外だった。
「通知見たか?なんだよフェスって」
『ああ。サバイブフェスとかいうふざけたやつだろ?そろそろ黒井も退院してくる頃だ。あいつも参戦するに違いない』
「そういえばそうだな。で、瑠維の推測なんだが、野生のモンスターが大量発生するかもしれないらしい。そこで」
「俺の力を借りたいってわけか。漸く素直になったな』
真面目な話をしているのに茶化してくるあたり胡散臭い。これでスーパー検事な訳だからたまげる。
「別にそういうわけじゃないけど。範囲攻撃を支えるのがでかいってだけだ」
「まあ冷やかしはここまでにしておいて、分かったよ」
元々仲間を組めと言っていたせいか、清岡はやけに素直だった。これで貸しも返せるわけだから俺としてはいいのだが。
問題はサバイブというキーワードだった。単に訳せば生き残るという意味だが果たして。
これに関しては真司が当てになりそうだったので連絡を取ってみた。するとサバイブはライダーを強化するカードだとわかった。だが、サバイブは烈火と疾風の2種類しかないという。これで争奪戦でも行うのだろうか。確かに強化カードは誰もが喉から手が出るほど欲しいだろう。
「サバイブかあ」
と俺は虚空に向かって呟いた。そこに不意打ちと呼べる攻撃が飛んでくる。
「サバイブって何?」
黄色い声だ。意識外から飛んできたその音に俺は震え上がった。
振り向けば冬沢さんがいた。
「いたんですか」
「仕事中にもしかして、あの話?」
そういえば今仕事中ということを忘れていた。そして冬沢さんがライダーバトルの話を知っていることも。
「まあ、そうですね」
「それより、あの俳優と不倫してたBEEEの取材、行くわよ」
俺はすっかり編集長から依頼されていたそのモデルの取材も忘れていた。この時、俺はまだ誰しも、老若男女ライダーバトルに参戦する可能性があることを。
次回予告
俺たちは蜂山が泊まったホテルに潜入した。
鏡にはモンスターの影が。