モデルのBEEE。本名は蜂山波子。長身の女性で下半身の方が上半身より長い。まさにモデル体型。美脚で中性的な顔は、現実に多くの男性を虜にしている。その体型からか女性からの人気も高い。
俺と冬沢さんはパパラッチとしてホテルに張り込んでいた。今は蜂山が入った部屋の隣にいる。見事に忍び込むことに成功した俺たちは、蜂山の部屋の前に小型カメラを設置して待機した。
壁に耳を張らせる。しかし思ったより声は聞こえない。まだ会話している途中だろうか。
「男女二人でホテルってどきどきするね」
冬沢さんが不意に耳打ちをする。はっとした俺は思わず彼女と目を合わせてしまった。やっぱり美人だなーと改めて思ってしまった。罪深い。いや罪深いのは冬沢さんの方だ。
「俺彼女いますよ」
現実に戻った俺は冬沢さんに現実を突きつける。どのみち今は仕事なので、二人で堕ちるところまで堕ちたとなれば、迷惑をかけるのは花枝だけではないのだ。
「そういえばそうだったかー。残念」
その言葉に耳を疑った。俺は聞き耳を立てていた耳を壁から離し、改めて冬沢さんを見た。
「え?」
今さっきと違って、俺の目をじっと見つめていた。いつも絡んでるせいで忘れがちだが、この人はとんでもない美人だった。
「昔から狙ってたんだけどね、君のこと」
君?明らかに雰囲気が違う。なんだか顔が赤い。気分も高揚している。照れて赤くなっているわけではなさそうだ。
視線をテーブルに向けた。なんとビール缶が一本空いていた。
最悪だ。冬沢さんは酒に弱い。なのに飲みたがる。これがめんどくさい。唯一の汚点と言ってもいい。
「先輩、仕事中ですよ」
俺の顔が引き攣っていたのは自分でもよく分かっていた。だがこの程度じゃ効かない。というかもう遅い。
花枝には悪いが俺の動悸が止まらなかった。
絶世の美女が四つん這いでこっちに近づいてくる。軋むベッドの揺れが緊張感を与えていた。
しかしこの緊張感があって良かった。俺は窓ガラスに光る何かを見た。針だ。しかもかなり大きい。最早槍に見えるサイズだ。
俺は咄嗟に冬沢さんに覆い被さって飛んできた槍を避けた。床に銀色の巨大な針が突き刺さる。窓の方をチラリと見た。蜂のような黄色いモンスターの姿が一瞬映っては消えた。
まるで暗殺だ。
「継巳君!?」
この色っぽい大胆なシチュエーションに酔っているようだ。俺からすれば溜まったもんじゃない。今のは明らかにモンスターだった。
スマホを見ると、案の定ライダーの通知が入っていた。鏡に向けてデッキに変身させる。Vバックルが腰に装着される。
冬沢さんも徐々に目が覚めてきた。そういえば、ライダーの話をしていたが変身を見るのは初めてか。
「変身!」
気にしている余裕もない俺はミラーワールドに飛び込んだ。
ホテルの部屋のミラーワールドに入った。恐る恐る部屋を出た。
廊下に怪しい気配はない。
怪しいとすれば...。
俺は蜂山の部屋を見た。
保険としてカードを一枚バイザーに装填すると、俺は蜂山の部屋のミラーワールドに飛び込んだ。
そこには驚きの光景が。
「まさかパパラッチがライダーとはね」
金色の女王蜂をモチーフにしたライダーがいた。また女性のようだ。蜂山なのは間違いない。華奢なフォルムがスーツに反映されている。
バイザーには「VENUS」と出ていた。隣にはバズスティンガーと呼ばれるモンスターもいる。
「まさかターゲットがライダーとはね」
言葉を返した。