誰かが死にます。
読後、よければお気に入りの登録・感想等お待ちしております。励みになります
清岡はめんどくさそうにカードを一枚、マグナバイザーに装填した。
『ファイナルベント』
「こういうごちゃごちゃしたのは好きじゃない」
ゾルダの契約モンスター、マグナタウラスが光り輝き、変形する。四足歩行の鋼の牛は、大砲を5門構えた巨大な戦機と化した。ゾルダが背部にマグナバイザーをセットし、引き金を引いた。
刹那、核爆弾が落ちたような衝撃が戦場に走る。
エンドオブワールドが繰り出され、目の前にいた大量のモンスターが一掃された。倒されたモンスターが経験値の光となって、マグナタウラス-ファイナルモード-に吸収される。
「おっと、これは稼いだな。一気にレベル19まで行ったぜ」
ゲーム感覚で喜ぶ清岡。この殺人ゲームをこういう捉え方で進めるのは俺は嫌だったが、モンスター相手ならまあいいか、となった。
というか、人を襲うモンスターは倒さねばならないと、謎の使命感を抱いていた。特別な力を手に入れたと言えば聞こえはいい。悪く言えば、この力に酔っている自分がいた。
ナイトがトリックベントを使用して分身する。そしてウイングランサーを装備したナイトの分身が次々とモンスターを撃破していく。そんなに強くないみたいだ。
俺も少しテンションが上がってきた。まだファイナルベントは取っておきたいと感じ、取り合えずストライクベントを使った。
ドラグクローが火を噴く。強烈な火炎放射が大軍を薙ぎ払い、俺のレベルも一気に2上がった。これで14。経験値のメーターがMaxに近くなっているため、ほぼ15に近い。戦っているうちに16くらいまでなら駆け上がることができそうだ。
「おいあれ見ろ!」
ある程度モンスターを倒し、道が開けたところに何かが見えた。ナイトが指をさした先には…。俺は目を見張った。徐々に体が震えだしたのが分かった。俺は恐怖を感じていた。
ファムだ。
あの時、俺を圧倒した白い女性ライダー。隣にも見たことないライダーがいる。オレンジ色のライダーだ。バイザーには「ビート」と表示されている。
「おいあれ、前にお前が戦っていた奴じゃないか?」と清岡が言う。
「あいつが幻術を使ってくる奴だ。気をつけろ…。瑠維!」
「わかってるよ」
ナイトがタッグベントをドローした。これで俺もナイトのカードを使える。
3対2。両陣営が睨みあう中、突如一筋の光が現れた。
鳥だ。金色の鳥だ。ただ右の翼だけ、青色の珠が埋め込まれている。聞いていた話に近い。もしやあれが…。
「サバイブ…あれが」
俺たち5人のライダーはその鳥の神々しさに見惚れてしまっていた。恐らくあのモンスターを倒せばサバイブが手に入るに違いない。
鳥は羽ばたいて浮上し、俺たちが簡単に手の届かない位置にまで行った。簡単には取らせてくれないよな。改めて、これがゲームなのだということを思い出した。瑠維ならいけるか?
同じことを考えていたようで、既にナイトが背中にダークウイングを合体させ、飛翔の構えを取っていた。
そして黒の騎士が飛び上がった。ウイングランサーを突き立て、金色の鳥を貫かんとしていた。だが、結局は簡単に行かない。外的要因が割り込んできた。
刹那、ナイトは衝撃を浴びて落下した。紫色の何かが現れた。
「ここか?祭りの場所は」
「黒井!」
俺は思わず王蛇の正体を叫んでしまった。
それを知らなかったファムたちは、一斉に王蛇を凝視した。不味い、と思ったが俺が不味いと思った点はライダーバトルとは正直あまり関係がない。
「おいおい、個人情報漏らすなよ。これだから記者はよお」
黒井は同じことを考えていた。お怒りのようだ。それもそうか…。
王蛇はカードを1枚使用する。
『ユナイトベント』
あの強力なモンスター、ウロボロスが降臨した。
ちょっと待って。記者?
あたしは思い当る節があった。記者?何度もその言葉が脳裏を過る。
この前、あたしはあの赤いライダーの腹部にダメージを与えた。
開斗は…。
すべてを悟った私は、思考が停止した。