@moriseonovel
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「取引ってどういうことだ?」
力山はまっすぐな眼差しで俺に問うた。
「俺が持ってる情報を教える。だからあんたは、このタイムベントってやつについて教えてくれればいい」
そういって俺は花枝のメモを見せた。タイムベントという単語を聞いて、明らかに力山は動揺していた。
「...わかった。もう隠しても仕方がないな」
馬鹿というわけではないが、彼は素直なんだなと思った。取材がてら力山の会見に行ったことはあったが、その時と印象はなんら変わりなかった。
俺はゾルダが清岡、王蛇が黒井、ヴィーナスは蜂山だと伝えた。力山は彼が腕の傷をタイムベントにより完治してもらったことを教えてくれた。外面の時間だけを巻き戻すようで、肉眼で見ることができないものは戻らないらしい。
「にしても妙だな」
力山は右手を顎に当てて言った。何が?と瑠維が横から口を挟む。
「俺も言ってみれば芸能人だ。ここまで偶然にも有名な人ばかりライダーになるものなのか?」
前々からそうは思っていた。自分や身近な瑠維が有名人ではない故気になってはいなかったが、立場や視点を変えてみれば簡単な話だった。
「あんたは記者だからまだ芸能界に関わりはありそうだが、君は普通の大学生だろ?」
力山は瑠維と視線を合わせた。すると瑠維は急に気まずそうな顔になった。明らかに目を細めている。
後頭部を掻きながら、「俺」と勿体ぶる。
「なんだよ、言えよ」
俺はこの時驚くべき真実が飛んでくるとは予想していなかった。
「昔子役やってたわ」
「何?」
「え?知らないよ俺。いつの話だよ」
「15年くらい前...。小学生の時」
「なんて名前だったんだ」と力山。
「高見沢瑠維。昔の本名だけど。うちの母、再婚してんだよね」
「そうだったのか。...ちょっと待て、花枝も昔読者モデルやってたって言ってたな。高校生の頃、地元のCMに一本だけ出てたことがあるって言ってたな」
パズルが組み合わさっていく。何か裏がある。同時に今の自分の職業に感謝した。このゲームを作ったやつは何を考えているんだ。
「決まりだろ。開発者は芸能界に恨みでも持ってるのかな」
瑠維は珍しく、有力なアイデアを出した。
「そうと決まれば話は早いな。あんたをライダーにした人物がそうだってことだろ?」
力山はそうに違いないと答えてくれた。だが顔が見えなかったのが中々に面倒だ。
作戦を考えようとした矢先だった。俺が力山に関わってしまったのが、何かのスイッチを作動させたようだ。
「お前たちは知りすぎた」
謎の声に振り向いた。
視線の先にいたのは、フードを被った長身の人物だ。顔が見えないほどの大きなフードのため、性別の判断がつかない。
「お前は!?」
ここでは力山の経験と記憶のみが頼りだった。とりあえずこの反応を見るに、力山をライダーにした者だとはわかった。
「計画が狂った。仕方ない、変身」
というと、金色のライダーへと変身した。Vバックルの色が普通とは違い、金色だ。異色のオーラを放っているのがわかる。
『タイムベント』
ライダーが一枚のカードを装填した。
物語の歯車が、せっかく組み合わさった歯車がバラバラに解け、元に戻っていく。