ベノスネーカーがヴィーナスに襲いかかる。バズスティンガー3匹が衛兵のように牽制する。
『ソードベント』
ヴィーナスはその隙に双剣を装備し、王蛇に斬りかかる。いくらヴィーナスがサバイブを持っていようとも、中身の人間のスペックで差がつくこともあるようだ。
王蛇が細長い刀身を素手で掴み取る。あまりの力に、ヴィーナスの手が動かなかった。もう一本の剣を振るうが、それはベノバイザーで受け止められてしまった。
ヴィーナスは両手が塞がってしまったため、蹴りを入れて距離を取ろうとした。だがそう上手くは行かなかった。
突如、凄まじい衝撃が背中に走る。
全く気配がしなかった。それもその筈、透明になっていたベノヴァイパーが白い巨体を現した。
「知らなかっただろ?こいつデフォルトで透明になれるんだよ。サバイブだか何だか知らねえが、落ち着いて対処すりゃあ、問題ないな」
煽り散らかしてきた王蛇に対し、歯軋りが止まらない。
王蛇は勝ち誇るように2枚のカードを引いた。それはベノスネーカーのファイナルベントとベノヴァイパーのファイナルベントだった。
「2枚あるぜ。好きな方で殺してやるよ」
「馬鹿にするなあ!」
気合いで立ち上がるとヴィーナスはサバイブ疾風をドローした。
『サバイブ』
エコー音と共は蒼い風が吹き、ヴィーナスサバイブが降臨した。
何も言わない相手に対して、王蛇は静かにベノスネーカーの方ーを装填した。
『ファイナルベント』
王蛇が飛び上がり、ベノスネーカーの牙に収まる。足に毒を充填しているのだ。
『ガードベント』
散りになったアリスタイオスがヴィーナスの周りで絶対的防御壁を築く。
そしてベノクラッシュが放たれた。黄金色の毒が王蛇の脚を包む。凄まじい衝撃と轟音が走った。爆風が晴れた先、毒のせいで体が溶けかけているアリスタイオスとヴィーナスがいた。
無茶な状態のままカードを切った。
『ファイナルベント』
蜂山は焦っていた。サバイブを得ておきながら負ける屈辱を味わうことに。芸能界でも、敗北を味わってこなかったプライドが許さないのだ。失敗は許されない、失敗は許されない。
昔母親に調教されるように言われ続けたことを思い出す。その苦渋を飲んだ経験が今彼女の闘争心を掻き立てたのだ。
アリスタイオスが再び分離する。巨大な羽と針に分離し、ヴィーナスサバイブの背中と右足に合体する。
舞い上がったヴィーナスは、針を装備した右足を突き出しながら必殺技-ディバインデストロイ-を放った。アリスタイオスに装備されていたガトリングは右足についたまま、火を噴いた。
王蛇は思わず煙幕に見舞われる。しかし、仮面の中の黒井はニヤついていた。
「2枚あるって言ったろ」
その声は相手には聞こえなかった。王蛇はそのままキックを浴びてしまった。
ヴィーナスのキックは確かに相手を捉えた感触があった。しかし、煙が晴れた先に王蛇はまたいなかった。ファイナルベントを無効化するカードなどあるのか?不思議で仕方なかった。
「ファイナルベントにはファイナルベントってな」
『ファイナルベント』
風変わりなファイナルベントで、カードが発動した後に音声が鳴った。いつの間にか王蛇は背後に立っていた。
「な、どういうこと」
「ベノヴァイパーのファイナルベントでお前は幻覚を見たわけだ。あの煙の中に俺はいない。ずっと的外れな方向を狙っていたから、腹筋がどうにかなりそうだったぜ。ははは!」
と王蛇は相変わらず煽り口調だ。ヴィーナスは悔しがり、怒り狂った。しかし、カードデッキに手を伸ばすももうカードはなかった。
「そんな...」
「言ったろ。デッキは使いようだよ。これだからライダーは面白い。マネジメントと似てる...」
『ユナイトベント』
殺し文句を放つと、ユナイトベントを使い、ウロボロスを召喚した。ヴィーナスは恐怖で腰を抜かしている。
『ファイナルベント』
続け様にカードを装填する。ウロボロスのマークが描かれた3枚目のファイナルベントだ。
ウロボロスがヴィーナスの背後に一瞬で移動し、宙に円を書くように回転した。そこに風穴が空き、ブラックホールが形成された。
凄まじい引力が働き、アリスタイオスは分離してバズスティンガーに戻ってしまった。5匹のうち2匹がブラックホールに吸い込まれる。吸い込まれていったバズスティンガーを恋しそうに目で追うヴィーナス。
だが本当はそんなことをしている暇はなかった。
「喰らえ!」
王蛇のドロップキックが打ち込まれ、ヴィーナスサバイブはブラックホールに吸い込まれていった。
それより前に残りのバズスティンガーが吸い込まれたせいで、ヴィーナスサバイブは凄まじい衝撃を浴びただけで終わった。しかし、サバイブは解除されてしまう。
宙に浮いたサバイブ疾風を王蛇が掴み取った。あとはとどめを刺すだけだった。
「ああ?」
黒井が思わず声を上げた。
目の前には龍騎が現れたからだ。