吸い込まれた俺は、謎の異次元空間へ飛ばされた。宙を舞いながら、ゴールの見えない空間を前に進んでいっている。そこへ、ドラグレッダーが現れた。
ドラグレッダーが現れたことが合図となり、俺の前にRe.contactの文字が現れた。
俺の身体が赤と黒のスーツに覆われていく。これがライダー。これが、龍騎。最後に顔と頭部を覆う仮面を纏い、俺は龍騎に変身した。龍の力を宿す深紅の戦士だ。
まだ付近を飛んでいるドラグレッダーは、俺に乗れと言わんばかりに一瞥した。
遠慮なくその巨体に搭乗すると、ドラグレッダーは光が見えない異次元空間の闇の向こうを高速で進んでいった。思わず視界を腕で覆う。
闇が晴れた先。俺が飛び出た場所は先ほどまで真司と話していたところだった。だが、あたりを見回すと建物の文字などが鏡文字となっていて反転している。
なるほど、だからミラーワールドなのか。俺は直ぐにこの世界の仕様を理解した。
戦闘の初心者と言わんばかり、刹那俺は殴られたような衝撃を体に覚えた。一気に体が吹っ飛ばされる。
地面に激突してから、衝撃を浴びた方を見た。
そこには巨大な蜘蛛の形をしたモンスター―ディスパイダー―が立ちはだかっていた。
本能的に手がカードデッキに伸びた。殴って勝てる相手じゃない。俺は冷静になって状況を分析した。欲しいのはあの剣のカードだ。
「こい!」
俺が引いたカードは見事に剣のカードだった。って、自動で欲しいカードが引けるんじゃないか―。
カードを左手に装備しているドラグバイザーに装填する。
『ソードベント』
バイザーから音声が発生された瞬間、空からドラグレッダーの尾を模した剣が俺の手元に飛来した。
剣を手にした俺はディスパイダーに果敢に立ち向かった。
先ずは一太刀。振りかざした刃先が相手の足を捉えて切り落とした。
更に上段袈裟斬りに反対の足を切り上げる。そこで相手は体勢を崩した。
ーいまだ!
俺は切り札を引き抜き、バイザーに差し込む。
『ファイナルベント』
音声と同時にドラグレッダーが俺の元にやってきた。俺は地を蹴り上げ、上空に飛び上がる。
ドラグレッダーが吐き出す炎と共に必殺のキック、ドラゴンライダーキックを放った。
凄まじい一撃が相手の急所を捉え、ディスパイダーは爆散した。
火花が上がる方を見ると、光の球体が浮かび上がる。ドラグレッダーが餌の如くそれを捕食したのだった。
モンスターを倒したら経験値が手に入るみたいなものか。まるでRPGのようだと感じた。
戦闘を終えた俺は、入ってきた鏡から元の場所に戻った。というよりは戻ることができたと言った方が正しいか。
鏡から出てきた所、真司がすぐに駆け寄ってきた。
「怪我とかは無いか?あんた、センスあるな」
元龍騎に褒められるなんて。恥ずかしいというか気まずいというか。何にせよ素直に嬉しいという感情は浮かばなかった。
「俺は、戦わなければいけないんですか?」
「ああ。ライダーは13人いる。その中でただ1人の勝者を決める」
その表情には重みがあった。年齢のせいもあってか、甘い考えなどは感じられなかった。
「俺も出来る限りサポートするからさ、だからなんかあったら、連絡してくれよな」
まだ動揺を隠し切れていない俺からしたらとても安心感のある一言だった。
俺たちは連絡先を交換してから別れた。
あと12人。これから出会っていくのだろう。俺は期待と不安に挟まれた。
ふと気になって、スマホの中に吸い込まれたカードデッキのアプリを再びタップした。実質ログインをしたようなものなのだから、今度こそアプリを起動できる気がした。
俺の予想通りアプリは起動した。そこには龍騎のスーツとドラグレッダーが映っていた。ドラグレッダーの側には何やら数字が書かれている。
『ドラグレッダー LV2 AP5000』
おいおい、レベルなんて。本格的にゲームみたいだ。
俺はこのデスゲームに唐突に巻き込まれてしまった。
何のために戦えばいいのだろう。本当の敵は何なんだ。このゲームの運営の目的は一体。
そうこうしているとアプリから通知が鳴った。
『近くにライダーがいます』
その一文に俺は目を見張った。