9-1 リュウガ
黒い龍騎がカードを引いた。
そのカードを見て俺は目を見開いた。それがサバイブだったからだ。
『サバイブ』
進化した黒いドラグバイザーツヴァイにカードが装填される。黒い炎を鎧として纏い、黒い龍騎サバイブが誕生した。
「嘘だろ」
「ふっ、面白くなってきた。好きにするがいい」
オーディンは不敵に笑うと姿を消した。やっぱりラスボスなだけある。どうしても最後に戦うライダーなのだという威厳を残していった。
黒い龍騎がサバイブになった時、バイザーの中の表示が変わった。黒い龍騎の名前は???となっていたが、RYUGAと表記が変更された。漸く正体が判明してきた。幻だったものが実体化された瞬間だった。
「面白えじゃねえか!」
王蛇は壁となっていたナイトとゾルダを突き飛ばし、一人興奮しながらリュウガに立ち向かっていった。
「消えろ」
『アドベント』
呼び出された漆黒のドラグランザーことブラックドラグランザーが飛来し、王蛇に体当たりする。
吹っ飛ばされた王蛇目掛けてドラグブラッカーは炎を吐いた。
漆黒の火焔は王蛇を包み、苦しみの声も上げさせずに石化させたのだった。紫のボディは、石像となり灰色に変わってしまった。
『ファイナルベント』
リュウガの身体が浮遊し始め、ブラックドラグランザーが吐き出した黒い炎に包まれる。
そして漆黒の落雷が王蛇の身体を粉々に砕いたのだった。
俺たちを散々苦しめていた悪鬼の最後はあっけなかった。しかも俺の幻影が止めを刺したかと思うと複雑な気持ちだった。
呆然と立ち尽くしていた俺の視界に、ナイトとゾルダがやってきて手を引いた。
「逃げるぞ。何やってんだ」
「開斗さんしっかりしてくれよ」
こうして引っ張られるように、現実世界へと逃げ出したのだった。
こうして残りのライダーは4人となってしまった。
とりあえず逃げ込むように鏡のない廃ビルに3人で入った。俺も足は動くようになったが、まるで口は動きそうにない。
「なんなんだあの黒いライダーは。無茶苦茶強かったぞ」
と清岡は肩で息を切らしながら言った。
挙句の果てにサバイブを奪われた。鬼に金棒といったところか。
「俺が倒す」
瑠維はそう宣言すると一枚のカードを見せつけた。それは金色の翼が描かれたカード。
サバイブ疾風だった。リュウガに奪われたのとは違い、真ん中のシンボルが青い。
「いつの間に」
「王蛇がやられたとき、咄嗟につかみとった。どうやらサバイブが特殊なカードなのはわかっていたからさ」
瑠維は自信があるというよりは、嬉しそうだった。彼は力を求めていたんだろう。対照的に力を失った俺からすれば眩しい存在だった。
今俺はサバイブを失った。手元にあるのは龍騎のカードとファムのカードだけだ。一体何ができるっていうんだ。
虚しさの中、拳を握りしめた。