『タイムベント』
しまった...。
俺の体はいうことを効かなくなった。更に意識が朦朧としていく。
完全に意識が途絶えたかと思えば、俺はウイングシールドを失っていた。正確には、バイザーにカードが装填される前の状態になっていた。時間が元に戻ったのだ。
なんの気無しに俺は再びウイングシールドを装備した。
こいつがタイムベントを使うということは前々からわかってはいたが、思ってよりも時間は巻き戻ることはなかった。
オーディンはどうやら焦っているように感じた。俺と同様に思ったより時間が巻き戻らないことに計画が狂っているように見えた。こうしてプランを切り替えたオーディンは、あるカードを使った。
『スチールベント』
すると、俺の手元にあった盾は消滅した。そしてそれはオーディンの手に渡った。
武器を失われた俺はオーディンの攻撃を立て続けにくらった。羽の幻惑攻撃と黄金の剣による攻撃が俺の体力を奪っていった。
ぼろぼろになった俺は勢いよく吹っ飛んでしまった。
地に這いつくばった俺に、オーディンは剣先を向けた。やられることを覚悟した。
『シュートベント』
あらぬ方向から弾丸が飛んできてオーディンを襲った。弾丸が飛んできた方には、二門の大砲を肩に背負ったゾルダとナイトがいた。
「水臭いぜ。開斗さん」
「瑠維...」
俺は感動のあまり、思わず最初の仲間の名前を呟いたのだった。
手を差し伸べられてなんとか立ち上がった。
「どうして一人で」
とゾルダこと清岡は問うた。
「俺は花枝を生き返らせようとしていた。あのタイムベントを使って」
「ああ。なんだ。お前も俺と同じだったのか」
同じ。確かに清岡はそう呟いた。
「俺は永遠に生きようとしていた」
「俺も死んだ父親と話そうとしてた」
瑠維はそう言った。
「前に言ったでしょ。自分の父親の話。でも、なんか違う気がしてきた。意味なく死んでいった人は、いない筈なんだ」
「...そうだな。生き返らせることが俺の役割じゃない。俺は記者だ。俺はこのミラーワールドの真実と世界を終わらせたい。それが俺の役割だ」
1枚のカードを引いた。磁石のイラストのカード。
『ユナイトベント』
ドラグレッダーとブランウイングが飛来し、ドラグセイントへと融合進化を遂げた。
ゾルダもマグナタウラスを召喚する。
ナイトは金色の翼のカードを引いた。
『サバイブ』
突風が吹き荒れ、ナイトの身体を包んだ。ナイトの紺色のボディーは青い鎧へと姿を変え、ナイトサバイブに進化を遂げた。
そしてダークウイングが進化した姿のダークレイダーも側に飛来する。
『アドベント』
オーディンはゴルドフェニックスを召喚した。ゴルドフェニックスはオーディンの背中に合体し、空へと舞い上がった。
追うように俺とナイトもモンスターに搭乗して空へと舞い上がった。
上空を飛ぶオーディンを、ゾルダが地上から狙撃する。オーディンはそれを避けて黄金の双剣を払った。
『ストライクベント』
俺がドラグレッダーの頭部を手に装備する。
『シュートベント』
ナイトのウイングバイザーツヴァイがシュートモードになり、矢を掃射する。
「お前は何者なんだ」
「高見沢瑠維!お前だけは許さないぞ」
「どうして俺の名前を」
黄金の光と蒼き光がぶつかり合う。俺が入る隙がない。
「俺は櫻井恭弥。お前に生きがいを奪われた男だ!」
オーディンは叫びながら剣を振るった。ついに刃がナイトサバイブの身体を捉えて切り裂いた。思わず俺は瑠維の名前を叫んだ。
櫻井...恭弥....。どこかで聞いたことが。
様々な事象が俺の脳内を支配した結果、俺は隙を見せた。
オーディンは一瞬のチャンスを見逃さなかった。
戦場を飛び回る機動性を活かして、刹那のうちに俺の眼前に現れた。そうして剣を振るった。
もろに攻撃を食らった俺はドラグセイントの背中から落ちてしまった。
地面に激突する。衝撃で体がすぐには動かない。
「まずはお前からだ」
「...櫻井、恭弥...!」
俺はこいつが誰かを思い出せた。というよりは、記者という仕事の都合上名前を知っているだけであったが。
だがその名前を読んだときにはもう遅かった。
オーディンは1枚の金色のカードを引いた。
「砕け散れ」
『ファイナルベント』
オーディンが放つ黄金の光に思わず俺は見惚れた。