ゴルドフェニックスが天へと舞い上がり、黄金色を超えてもはや白色に輝き出した。まさに神のようだった。俺は先程の攻撃の衝撃を受けていた故に、その神々しさにもう見惚れてしまっていた。
そして息つく暇もなく攻撃が飛んできた。
黄金の炎が俺に向かってくる。死ぬのか。あんなの食らったら俺はまあ死ぬだろう。
死ぬまであと数秒。本当に死ぬのか。死んだら・・・。
頭の中が死ぬことでいっぱいになっているその数秒で運命は変わった。
炎がぶつかる衝撃音が轟く。しかと俺の耳に入ってきた。俺は眼前を両手で覆っていたため、目の前で何が起こったか気づいていなかった。
火柱が上がっていた。熱い。燃え盛っている。その火柱の元となっていたのは・・・・。
「清岡…さん」
「馬鹿。せめて避ける努力しろよ」
ゾルダは振り向きざまに捨て台詞を吐くと、その場で倒れこんだ。俺を庇ってまた人が死んだ。
これで二人目だった。
「やったなこの野郎」
隣でナイトサバイブがカードを切った。
『ソードベント』
再び剣と剣がぶつかり合う。
俺は悔しさで握り拳を自分の太腿に叩きつけた。立て。立て…。動けよ。動いてくれよ。
「うおおおおおお」
俺は右足から片足ずつ立ち上がった。
花枝、俺に力を貸してくれ。祈りこめてカードを1枚引いた。
『ブラストベント』
ドラグセイントが炎を吐き、更に両翼から風を巻き起こして炎の嵐がオーディンを襲った。凄まじい風力はオーディンの双剣を吹き飛ばした。
隙を見て、ナイトサバイブが剣撃を連続で決めていく。一閃。一閃。その間に俺も飛び込んでドラグセイバーで切りかかった。怒涛の攻撃を受けたオーディンは吹っ飛び、その場で倒れこんだ。
今がその時だ。ふと横を見た。瑠維もこっちを見ていた。息を合わせて頷いた。相手はタイムベントもファイナルベントも使いきった。清岡の犠牲は無駄ではない。数的有利の俺たちが、見事に勝利を勝ち取った。
カードを引く。
『ファイナルベント』
俺は両手を龍の顎のように構えてから天空へ、ドラグセイントとともに飛び上がった。普段通り炎の息を脚に纏うと共に翼の動きで吹いた追い風がキックのスピードを上げる。そしてオーディンに向かってドラゴンライダーキックを放った。
ナイトサバイブも空へ舞い上がり、ダークレイダーと一体化する。マントと翼を合体、変形させて漆黒のドリルと化す。通常よりも回転数を増し、風の力を纏った疾風断がオーディンの体を先ず貫いた。
立て続けに俺の一撃がオーディンを吹っ飛ばした。
俺たち二人はすっかり息が上がり、肩で息をしていた。この疲労が、激戦を物語っていた。オーディンは手を空へと伸ばしながら、砂のように消えていった。
「あいつ。結局誰だったんだ」
「櫻井恭弥。昔の子役」
消えたオーディンに向かって、その名前を呟いた。俺の声色は落ち着いていた。
「そう。また芸能関係ってわけ」
「まあ。そういうこった」
まるでどうでもいいことのように、瑠維は関心がなさそうだった。もう帰ろうとして、背を向けていた。その姿を見ていると、櫻井のことは可哀そうで仕方ないと思う。半面、俺たちはちっぽけなものを目指いしていたなと、反省の象徴にも思えた。
戦いは終わった。
ここを出れば、俺たちはどうなるのだろうか。
予定調和では全くなくなった。ライダーバトルの勝者を決めるはずが、決める必要もなく俺たちは終焉を迎えることになった。
俺たちは鏡の世界を抜け出した。
改めて、仮面を外した自分たちの顔を見合わせた。
俺たちは傷だらけの顔をしていたが、人通りが多いところまでいくとそこは何の変哲もない日常が広がっていた。本当に俺たちはちっぽけだったなと、この光景を見て思う。
終わった。
本当に終わったのだろうか。
「いいや。まだだ」
頭に声が鳴り響いてくる。
声の主は俺で、俺が目の前にいた。