ミラーワールドへ到着すると、俺の目の前にはライダーが一人いた。
仮面の中で相手を自動的にシステムが認識した。Knight。蝙蝠を象った暗い紺色の戦士は、腰に下げている剣―ダークバイザー―を抜き、俺に襲い掛かってきた。
咄嗟に両腕を交差させて剣を受け止める。カードを抜く暇がない、しまった。
その隙にナイトはカードを抜き、バイザーに装填しかけていた。不味いと判断した俺は、反射的に蹴りを入れた。それを分かっていたかのようにナイトは避けながら、カードを使った。
『ソードベント』
瞬間、空から巨大な黒の西洋槍が降ってきた。俺のソードベントとはまた違う。あんな巨大な一撃を食らうわけにはいかない。防御に回るため、俺は直ぐにカードを引いた。
『ガードベント』
俺はドラグレッダーの胴を切り取った盾を二つ、肩に装備した。取り外し可能らしく、両手に構えた。
直ぐにまたナイトは俺に向かって攻撃を仕掛けてくる。リーチの長い分、今度はこちらも反撃の余地がない。
「そんなもんか。やっぱり初心者なんだな」
止めを刺そうと、ナイトはカードを再び装填した。
『トリックベント』
その効果でナイトの身体が二つに分身する。
「ふ、双子かあ?」
そう言っている隙に、二人のナイトが俺に牙を向ける。防御するので必死だった。隙を見たところで、俺は片方のナイトに盾で殴り、衝撃を与えた。すると、さらにナイトは分身した。もう絶望的だった。
だがその時思い出したのが、真司の言葉だった。―あんた、センスあるな。
そうだ。俺にはセンスがある。こんな年下に負けているわけにはいかない。
いくら分身態と言えど、限界があるはずだ。
とりあえず今のままでは両手が塞がっていてカードを使えない。この状況を打破するには・・・。
三人目のナイトが切りかかってきたところで俺は装備している盾をぶん投げた。盾による攻撃を浴びたナイトの分身は、盾と共に消滅する。どうやら耐久力はないらしい。
「くっそ」
怒りの声をあげながら、残った二人のナイトが槍を振ってくる。
漸くカードを使うことができる。俺はドラグレッダーを召喚した。
『アドベント』
ドラグレッダーが飛来し、巨体をナイトにたたきつける。これにて分身は全て消滅した。
地に倒れたナイトにゆっくりと近づく。ソードベントで剣を呼び出し、ナイトに向けながら歩いていく。
しかし、今から人を殺すのかと思うと俺は直ぐに躊躇ってしまった。
ナイトはそれを察して、槍で俺を突き放し、距離を取った。
「甘いな。・・・あんた、舐めすぎだよ」
ナイトは再びカードを引いた。どうやら「ナイト」のデッキはカードの枚数が多いらしい。デッキによって強い弱いがあるのか・・・。
今度こそナイトが止めを刺そうとした時、強い衝撃が俺たちを襲った。
軽々と吹っ飛ばされた俺たち。見ると、巨大なエイのモンスターが俺たちの目の前に現れた。
かなり大きい。あのモンスターの名は、Exodiver(エクソダイバー)というらしい。システムがそう言っている。エクソダイバーのサイズはかなり大きく、ドラグレッダーと同じ程度のサイズに見える。
「おい、なんか出たぞ」
俺はナイトに叫んだ。
「今はあいつを倒すしかない。力を貸せ!」
年下が偉そうに、と思った。その時、俺はナイトが一枚の新たなカードを持っているのが見えた。カードには俺―龍騎―とナイトが映っている。なんだあのカードは・・・。
どうしてあいつのカードデッキに俺のデザインが。思考を張り巡らせている間にナイトはカードを装填した。
『タッグベント』