虹ヶ咲ヤンデレ小説 〜憎しみに染まる虹彩〜   作:てらりうむ

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果林さんってエロいですよね。
絶対。


9話 重圧

せつ菜が渚斗に接触を試みた日の放課後。

桜坂しずくは1人、自教室で物思いにふけっていた。

 

「桜坂さん?大丈夫?難しい顔してるけど…」

 

「いえ、ちょっとお芝居の事で考えていることがあるだけですから。気にしないでください」

 

「そっか。じゃ、最後鍵よろしくね〜」

 

返答に納得したクラスメイトは、口笛を吹きながら教室を後にした。

 

しずくはクラスメイトの後ろ姿が見えなくなる最後まで教室の窓側列で表面上平静を装いつつも、心の中ではずっと頭を抱えていた。

 

もちろん、それはさっきクラスメイトに言った芝居の演技についてではない。

 

渚斗との距離感についての問題である。

 

おかしくなった歩夢と比べれば、彼に対する感情のパーセンテージは低いかもしれないが、しずくとて渚斗の事が一先輩としても、異性としても好きであるという点では同じだ。

できることなら、ずっと一緒にいたいと思っている。

 

しかし、いつもの優しくて控えめな歩夢ならともかく、今は彼女が何を考えているか分からない。

渚斗と2人でいる状況で彼女と出くわせば、嫉妬心を抱くだけには収まらずに殺意に近い感情を、湧き上がらせてしまうだろう。

 

そういうわけで今後、渚斗と行動を共にする事は、返って事態を悪化させる可能性が高い。

なので携帯でしっかりと連絡を取り合いながら、別行動で動いた方が安全ではあるのだが、かと言ってしずくには、1人で狂気に満ちた歩夢に立ち向かう勇気は無かった。

渚斗から今の歩夢のありのままの姿を聞かされていたからだ。

 

"しずくちゃん。歩夢に出会ったら逃げるようにしてくれ。今のあいつは俺たちの知ってる上原歩夢じゃない"

 

不安にさせまいと笑顔で言ったつもりだったのだろうが、隠し切れずに漏れ出た悲しい声音が、しずくの頭からはこびりついたように離れなかった。

 

彼方さんに加えて、1人…いやもう2人…協力してくれる人がいたのなら…渚斗さんの力なれるのに…

 

どうしようもなく、やり場の無い気持ちを落ち着かせるために、深くため息をついたその時。

 

教室のドアが音を立ててゆっくりと開いた。

 

ドアから覗いた視線と、しずくの視線が重なる。

先に次の行動を起こしたのはドアを開けた生徒の方だった。

 

「待って!!」

 

しずくは乱暴に机から立ち上がり、自身のカバンから教科書やノートが床に落ちるのも厭わずに廊下へと飛び出す。

 

逃げ出した生徒は、一直線に校舎の玄関口へと続く通路を駆けていく。

だが途中で足を取られ ベチンッ!! と派手な音を立てて冷たい廊下に倒れ込む。

立ち上がってから再び逃げ出すほどの時間は無く、生徒はそのまま諦めたようにその場にしゃがみ込んで、俯いた。

 

「…璃奈さん」

 

ものの数秒、遅れて追いついたしずくが、何日かぶりに慣れ親しんだその生徒の名を呼んだ。

 

「…しずくちゃん」

 

「怪我はありませんか?」

 

「…うん。大丈夫」

 

しずくの差し出した手を素直に掴みはするが、璃奈はバツが悪そうな顔をしながら起き上がる。

この時の彼女の心中に沸いたさまざまな感情の中でそのほとんどを占めていたのは、"後悔"だった。

今日の授業の中には自教室から移動しなければならない授業があり、璃奈はたまたま忘れ物をしてそれを取りに来た所、意にそぐわない形で顔を合わせづらい人物と鉢合わせてしまったからだ。

 

「どうして国際交流科のクラスに?」

 

「今日…移動教室の時に忘れ物しちゃったから…」

 

喜怒哀楽さまざまな表情を描いたボードは、何も描かれていない真っ白のページを見せていた。

それは、この状況に対して璃奈がかなり動揺しているという事をしずくに理解させる。

 

「璃奈さん、ちょっとお話ししませんか?このままお互いを避け合っているようじゃいけないと思うんです」

 

「………」

 

真剣な面持ちで問いかけたしずく。

それを聞いて璃奈の視線は彷徨うように揺れて、最後には苦虫を噛み潰したような顔をする。

 

両者の間を長い沈黙が支配した。

 

「璃奈さんも薄々気づいてますよね?…何かが狂い始めているって」

 

「っ!」

 

 

 

瞬間、璃奈の脳内に今朝見てしまった衝撃の光景がフラッシュバックする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「なに渚斗くんに変なこと吹き込もうとしてるのかな…殺されたいの?」

 

 

 「喋れないようにしてあげるから楽しみにしておきなさい。歩夢♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歩夢も、果林も普段のような優しい顔ではなく見たことがない表情をしていた。

得体の知れない重圧に璃奈の足は情けないほどに震えて、止まらなくなる。

同時に全身から吹き出す冷や汗は、あの悪夢のような光景がまごうことなき現実であったことを証明している。

 

 

もし、私があんな風になってしまったらーー

 

もし、みんながあんな風になって私だけが取り残されたらーー

 

もし、狂った仲間達と相対する事になった時、私はーー

 

 

 

死ぬ?

 

 

 

 

争いようのないその認識とともに、脳裏に去来するのは、つい数日前までの楽しかった日々の面影。

 

そして愛しい日々達の回想の次には、歩夢の冷徹な顔が、果林の嘲る声が、未だ感じたことのない痛みになって璃奈の心を締め付ける。

 

 

 

 

 

「私は…私は!知らない!!!!」

 

 

 

 

 

「璃奈さん待って…キャッ!?」

 

再び駆け出した璃奈を追いかけようと角を曲がった所で、しずくは誰かと衝突した。

勢いよく尻餅をついて、しずくはお尻をさする。

 

「…ってしずく!?」

 

「…あ、愛さん!?」

 

→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「璃奈さんはずっとあんな調子なんですか?」

 

「うん…アタシも話しかけようとはしてるんだけど…避けられちゃっててさ…」

 

しずくと愛の2人は虹ヶ咲学園の近くにある静かな喫茶店の席についていた。

 

このお店は同好会にとって、今ではなじみ深い場所になりつつある。

というのも同好会内で喧嘩が起こったりした時は、決まって渚斗がここにみんなを連れてきていたからだ。

 

"ここに来て、コーヒー飲んで落ち着いてれば嫌な気持ちも湯気と一緒に消えるから"

 

マスターの受け売りだと渚斗は、はにかみながらみんなにそう言った。

 

深層意識の中にそんな思い出があったからなのか、お互い飲み物があった方が幾分話しやすいだろうと思ったのだろう。

 

気づけば2人の足は自然とこの場所に向いていた。

 

「コーヒーでいいですか?」

 

「うん、大丈夫」

 

「……」

 

「……」

 

コーヒーが出来上がるまでの時間がまた沈黙の時間だった。

仕方がないといえば仕方がないだろう。

話しにくいからこそ、この話題については考えないようにお互いを避けていたのだから。

 

しずくは俯き、木製のテーブルの木目を指でなぞる。

愛は窓の向こうの名前も知らない人々の姿を、ジッと見つめていた。

 

程なくして芳醇な香りが、鼻をくすぐる。

そして2人は同時に、ゆっくりと口元でコーヒーカップを傾けた。

 

コクリ……ふぅ…

 

そんな吐息が仲良くハモった所で、しずくが覚悟を決めたように口火を切った。

 

「…本来であれば、私からではなく彼方さんから話していただくべきでしたが…結論から言うと、彼方さんが襲われた…というのは嘘だったんです」

 

「ゴホッ!?う、嘘?」

 

むせながら危うくこぼしかけたコーヒーカップを、慌てて机に置き直す。

 

「彼方さんは渚斗さんを、自分だけのモノにするために私達に嘘をついたんです」

 

「待って、じゃあ今朝のアレも…」

 

「今朝何か見たんですか?」

 

「うん…カリンと歩夢が…信じたくないけどさ、その…お互い"殺す"とか"喋れなくしてあげる"…とか」

 

「!!…やっぱり果林さんも既に…。愛さん、話すと少し長くなりますが実は4日前のあの日……」

 

しずくは表情を曇らせながら、ここ数日の間に起こった全てを語り出す。

 

 

→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→

 

 

 

 

 

 

 

しずくと愛が今まさに話し合っている喫茶店の窓から見える道には、仕事終わりの会社員、買い物に出て来た主婦など沢山の人々が行き交っている。

 

道路を挟んだ向かい側のアスファルト。

そこに佇む2人の少女は喫茶店を見つめながらポツリと呟く。

 

「ーー先輩。私達はどうしましょうか」

 

「あのねーーちゃん。私、今とーっても不思議な気持ちなの」

 

「は?」

 

「今まで抑えてたのがバカみたい。もっともーっと素直になって…すぐに消しちゃえば良かったんだね。惜しいことしたなぁ」

 

「うわ〜怖〜い」

 

 

 

 

 

→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝のせつ菜との一件は1日分の授業内容を微塵も思い出させなくするほど、どうしようもなく俺の許容を超えていた。

 

スクールアイドルを愛してやまないせつ菜までもがおかしくなっていて、部活にはさらさら興味がないという反応を見せたのだ。

彼方さんの時も歩夢さんの時もそうだったが、何度経験していてもそのショックは尋常ではない。

 

ついこの前の部活動中は、ボケとツッコミをし合って楽しく話していたというのに…せつ菜はあの時から心のうちに闇を秘めていたのだろうか。

 

今朝一緒にいた果林さんも既におかしくなってしまっているのだろうか。

あの日から会えずにいる他のみんなは?

 

浮かんでは消えていく泡のような不安が止まる事を知らずに、焦る気持ちを掻き立てる。

 

一体…一体何が間違っていた?どこから間違っていた?

 

ヴーヴーヴー

 

抜け出せなくなりそうな感覚を、着信音が断ち切った。

携帯の電源を入れて相手を確認するーーせつ菜からだった。

 

出ないわけには…いかないか。

何を言われるのだろうか…そう考えながら覚悟を決めて通話のボタンをタップする。

 

「…もしもし」

 

「あぁ!渚斗さんやっと出てくれたんですね!」

 

 

やっと…?

一旦通話画面を閉じて、着信履歴を開くと帯ただしい量の着信履歴がズラりと並んでいた。

 

15:30 優木せつ菜

15:31 優木せつ菜

15:32 優木せつ菜

15:33 優木せつ菜

15:34 優木せつ菜

15:35 優木せつ菜

15:36 優木せつ菜

15:37 優木せつ菜

15:38 優木せつ菜

15:39 優木せつ菜

15:40 優木せつ菜

15:41 優木せつ菜

15:42 優木せつ菜

15:43 優木せつ菜

15:44 優木せつ菜

……………………

…………………

……………

 

携帯の故障を疑うほどの表示に、鳥肌が立つ。

 

「何の用だ…朝の続きとか言わないだろうな」

 

「それもいいですけど…ムードが大事ですからね。とりあえず窓を見てください♪」

 

楽しそうな口調に軽い苛立ちめいたものを感じつつ、窓の向こうーー校門の辺りに視線を飛ばす。

 

「見えましたか?」

 

校門の柱に寄りかかりながら、満面の笑みで手を振る生徒がいた。

 

「ああ」

 

「じゃあ、早く荷物をまとめてこっちに来てください」

 

「来なければ…ってか」

 

勝手に帰れと送ってやりたがったが、今の俺はせつ菜に完全にマウントを取られてしまっている状態なわけで。

 

同好会を潰されないためにも、従わないわけにはいかない。

 

「……」

 

今の俺の顔を何も知らない奴が見たら、きっと怒り出すだろう。

側から見れば、待ち合わせをして帰る約束してるカップルなんだからな。

普通だったら嬉しそうな顔をしていなきゃいけないが、そんな表情は到底できない。

 

憂鬱な気分で校門へ向かうと、こちらに気づいたせつ菜がズンズンと飼い主を見つけた子犬のように近づいてきた。

 

「良かった〜♪ちゃんと来てくれたんですね」

 

「来なかったら同好会を潰すんだろ?」

 

「むーっ、そうですけどー。こういう時は笑顔で"ごめん、待った?"とか言うものですよ!彼氏なら!」

 

彼氏だと…?

いつから俺は彼氏になったんだよ。

ふざけやがって。

 

彼氏というワードに反応したのだろうか、近くにいた女生徒達の何人かがこそこそと耳打ちで会話を始めるのが視界の端で見える。

 

これ以上ここに止まっているとロクなことにならない気がして、俺はせつ菜の手を引いて歩き出す。

 

「で、どこ連れ回す気だ?」

 

「わ!もしかして乗り気になってくれたんですか??心配しなくても大丈夫ですよ。たくさん行きたい場所がありますからね」

 

せつ菜には俺の表情がはにかんだ笑顔にでも見えてるんだろうか。

まったく噛み合わない雰囲気の中やりとりがそのまま進んでいく。

 

「さっ!それじゃ時間もそんなにないですし、早く行きましょう!」

 

「っ!おい、引っ張るな!」

 

道ゆく生徒達を追い越して、せつ菜に連れられるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お久しぶりです。てらりうむです!
スランプに陥った事に加え、さらには長い自宅待機の状態で失意のどん底にいました…
作者から皆さんにお願いです…マジで評価してくれたらモチベーション倍増して執筆も捗るので早く読みたいよ!って方は評価お願いします!
ぶっちゃけちゃえば評価ないと書けません!!!

正常:愛 しずく 璃奈 エマ 彼方
正常(?):かすみ 
異常:果林 
末期:歩夢 せつ菜

あなたの好きなヤンデレシチュは?

  • 監禁
  • 一緒に死のう?
  • 周りの女の子皆殺し
  • 主人公殺害
  • トイレのお世話される
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