逃げ足だけが取り柄なんだが、いつの間にか胡蝶様に捕まってた。 作:サヴァン
久しぶりに文を書いたので拙い部分もあるかと思いますがよろしくお願いします。
最終選別を無事通過し、早ひと月。
鬼も4体討伐し、中々の好スタートを切っていた。階級も上がって順風満帆、お給金も上がって生活も豊かになっていた。
…はずなのになぁ?
「ほら、呼吸が乱れていますよ」
隣に座る元花柱様こと胡蝶様とその妹様に挟まれて動けません。
あ、ちょっと、まって…あぁ!
────
逃げ足が早いチキンなアイツこと、榊原隆景が俺の名前である。
炎の呼吸の派生である翼の呼吸を修めている。
胡蝶様と知り合ったのは上弦ノ弐・童磨との戦闘で負傷したところだった。
見回りで街を歩いている所に鴉から
-花柱、上弦ノ弐ト交戦中!!直チニ現場二急行セヨ!!!-
との伝令を受け、移動。正直、まだ死にたくなかったしすごく行きたくなかった。
だって柱が戦うような鬼だぜ???しかも上弦とか、入隊してひと月の俺には無理すぎて吐いちゃう。
現場に移動すると、花柱様は上弦ノ弐との交戦で体の至る所に傷があった。
「(ええええ、やっぱ無理じゃん!柱でも傷おってるのに俺なんか余裕で死ぬじゃん!!!!)」
内心の焦りを隠すように深呼吸をする。
上弦ノ弐に気付かれないように建物の上に登る。…せいぜい俺に出来るのは隙を作るくらいしかない。
童磨の後方に位置し、奇襲できるように構える。注意はしていたが、恐らくこちらには気づいて居ないだろう。
丁度月を雲が隠し、あたりは暗くなる。
「(今が好機かな)」
踏み込んだ足が建物の屋根を抉る。
その姿は獲物を捕える隼の様に速かった。
童磨の頸めがけて納刀していた刀を抜く。
────壱ノ型・飛鳥
童磨はぐるりとこちらを見て、一閃を避ける。
奇襲は失敗し、首元の服が少し切れただけであった。
「危ないなぁ。もう少しで俺が怪我しちゃうところだったよ」
頸を擦りながらこちらを見る。
「はは、君は速いねぇ
でも、俺はその子を救わないと行けないから退いてくれないかな」
後ろで満身創痍な花柱様を見る。
「嫌ですね」
地面を蹴って童磨を突く姿勢をとる。
────弐ノ型・千鳥
15連撃の高速突きが童磨に見舞われる。
しかし童磨の扇にて全てを払われた。
「全く。時間が無いからその子を食べて終わりにしようと思ったのに────血鬼術・凍て雲」
咄嗟に花柱を抱え、跳躍する。
今までいた場所は氷によって覆われている。
「あんた、とんでもねぇな」
「君は偉いね、ちゃんと反応できてるよ」
俺が皮肉を込めて笑うと、童磨はにんまりと褒めるように笑う。
そのまま、こちらに歩んで来る様子だったので抱えたままだった花柱様を背中に背負い直し、走る。
「おや?鬼ごっこかい?俺は鬼だから鬼役をしよう」
なんでェ?
鬼ごっこ(鬼畜)が始まった。
軽く絶望した。
このまま街で鬼ごっこをしても被害が出るだけなので、山の方に移動する。
山には背の高い木が多く、木々を移動することに慣れていた自分には絶好の場所だ。
「やっぱり、君、今まで見た人の中でもかなり早いね」
「褒めてんのか?汗ひとつかかずによく言うわ」
付かず離れずの距離を保たれたまま山の中へ入る。木に飛び移り、走る姿はまさに俺の理想の忍者だ。(自画自賛)
「忍者だ、君は忍者だったんだね!俺、初めて忍者を見たよ」
さっきまで落ち着いてた童磨が急にキラキラした目でこちらを見る。
お前思考を読んだか?こっわ。
あと、お前元々目が極彩色なんだからさらに眩しくさせるんじゃねぇ。
「俺、ずっと座ってたからあんまり木登り得意じゃないんだよねぇ」
そう言って、走ってた足を止め、跳躍する。
さすがに高さの有利性を失うのは痛い。
まさか、と思って童磨を見る。
木の枝に足をかけて立ったと思ったら、足を滑らせて落ちていった。
本当にまさかの展開で独り言が漏れる。
「…大丈夫かよ」
「え、俺の事心配してくれてるの?え、嬉しいなぁ!俺、人に心配されたことないから嬉しくて驚いちゃった!」
パァァァァ!と擬音が出そうなほど頬を緩ませる。
「俺と友達になってよ!」
童磨から衝撃の提案をされた。
ん????おかしくない?
さっきまでお前に剣突きつけてたんだが?
「い・や・だ」
「じゃあ捕まえたら友達になってね」
はい、返答間違えましたねこれ。
嘘ォ!!!無理無理無理無理!!!!カタツムリ!
人1人背負ってる状態で十二鬼月と鬼ごっこ(死)なんてできるわけないだるぉぉお?!
「無理」
「無理じゃないよ。俺頑張るからね!」
そうじゃなぁい!!
→数刻後
「ゼェ…、ゼェ…もう無理ぃ…」
鬼ごっこ(鬼畜)が少しばかりの時間稼ぎとなったのか、雲は流れ、白み始めた空が見える。
「あーあ、あと少しだったのに夜が明けちゃうね」
童磨が追いかけていた脚を止める。
「もっと遊んでいたかったんだけどな…仕方ないから、忍者くんを鬼にするのと、その子を救うのはまた今度にしとくね!」
そういうと、童磨は笑って微かに残る闇に溶けるように去っていった。
緊張が解ける。
童磨と刃を混じえた結果、明らかに力を加減し遊ばれていたことが嫌という程わかった。
鬼ごっこの最中でさえ、鬼ごっこという体であったからかただ追いかけるのみだったのに、俺は満身創痍、童磨は笑っていた。
格の違いがひしひしと伝わる。
…とりあえず、怪我の治療を受けに花柱様を蝶屋敷に運ばなければ。
花柱様を背中に背負い直し、地面を蹴る。
その後…??
蝶屋敷にてめちゃくちゃ感謝された。
────
ということがあり、現在に至るわけだ。
ちなみに花柱様は童磨の血鬼術にて肺胞が壊死してしまい、全集中の呼吸を常中できないとして解任された。
とりあえず、''全集中・常中''ってなんですかと声に出してしまったあの時の自分を呪いたい。
その時から元花柱様が稽古をつけてくれるとのことで、蝶屋敷にて修行の日々が始まった。
これがまた思ったよりハードでしてね。
背の半分は優にある瓢箪を息を吹き込んで割れってか?そんなんできたら人外だよ。
目の前でお割られになりました。え、妹さんも????
ふと、「ゴリラじゃん…」と呟いてしまい、ぼこぼこにされたので泣いてきます。
女性にゴリラって言うのはやめようね!
ともあれ、最初は肺を大きくするために走り込みや水中での息止め訓練、呼吸による身体能力の上昇を有効に使うための柔軟性の鍛錬が始まりました。
鍛錬してると思うのは、まじで胡蝶様って身体能力が元々高いのもあるけど、技術が凄いんだよね。
やっぱ柱ってすごいよ。
でもさ、胡蝶様に指導を受けてる時、距離が近すぎて妹さんに殺されるような目で見られてるんですよ。そろそろ、ほんとに殺られる。
やめて、短気は損気よ?
「私は短気じゃありません!」
それを短気っていうのでは?ちょ、ま、刀しまって!さすがに死んじゃうよ!?
誰か助けてェ!
は…書くの難しいよ…。
小説書いている人って強すぎんね。
久しぶりに書こうとしても頭の中を整理するのは難しいですね。