逃げ足だけが取り柄なんだが、いつの間にか胡蝶様に捕まってた。   作:サヴァン

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爆速で書いてしまったの。
視点がコロコロ変わっちゃうので見にくいなと思ったらまた、修正が入るかもです。すみません。


呼び方

昼、起きたら枕元に日輪刀を持った妹さんが立っていた。(恐怖)

 

胡蝶様に渡したつげの櫛について問い詰められたが、世話になってる礼でただの贈り物だと言うと、気の抜けたような顔をした。

 

「あなたって紛らわしいですよね」

 

いきなり馬鹿にされた感が否めないが、否定をするとまたボコボコにされそうなので黙っておく。

口は災いの元なり。

 

そういえば、手鏡は受け取ったのだろうか?

その旨を聞くと、まだ受けとっていないという。

寝起きすぐでここに来たらしい。

苦笑すると、胡蝶様に渡してあるから受け取っておいで、と言う。

 

羞恥故か、少し顔を赤らめたが、特に何も言わずに部屋から出ていった。

 

ん?俺がどんなものを渡したのかって?

 

胡蝶様には桜と鶯が描かれたつげの櫛だ。

綺麗な長い髪なので、そのまま艶やかな髪でいて欲しいからである。

妹さんには手鏡を。これは妹さんが手鏡を割ってしまったと聞いたのもあったが、花札の絵柄である蝶と牡丹が漆塗りの手鏡に装飾されていて、妹さんの雰囲気にあっていたからだ。

 

我ながらいい買い物をしたと思う。

 

妹さんには手鏡を受け取ったあと、控えめながらお礼を言われ、とても心がポカポカした。

美人の照れてる顔っていいなぁ…(変態)

みてたら目潰しを食らった。

 

ああああああああぁぁぁ!

 

────

「そういえば、隆景君は翼の呼吸を使っているのよね?どの流派から派生したの?やっぱり風の呼吸?」

 

胡蝶様達は、私、気になります!と言わんばかりにこちらを見てきた。

 

「俺の呼吸は炎の呼吸の派生です」

 

たしかに、胡蝶様の言う通り風の呼吸からの派生と言われた方が納得もしやすい。

だって、鳥だよ?めっちゃ風じゃん。

 

「俺の呼吸の型は、今、捌ノ型まであるんですけど、漆ノ型と捌ノ型を見て頂ければ、炎の呼吸の派生であるとわかりやすいんですよ」

 

話して見た反応からすると、2人とも興味津々という感じだ。

たしかに個人で派生させた呼吸でも少しばかり型が多いのだと思う。

 

「それってやって頂いてもいいですか?」

 

妹さんの方が気になるみたいだ。

別に見せて困るものもないので、了承する。

 

3人で庭に移動する。

 

2人は縁側に座ってもらい、自分は離れて庭の中心に立つ。

 

────

 

隆景君が庭の中心に移動した。

刀を納め、柄に手を添える。

 

────漆ノ型・炎帝朱雀

 

急に周りの温度が高くなった気がした。

次の瞬間、超高速の刀が横を薙ぐように振るわれる。

剣圧なのだろうか、凄まじい勢いで熱の刃が首にかけられた。

思わず、私としのぶは日輪刀を抜き、構えてしまった。私たちに向けられた訳では無いのにだ。広範囲殲滅型の技なのだろう、その威力は身をもって体感した。

 

続いて技を放つ準備をする。

 

────捌ノ型・鳳凰

 

上段の構えから、ただ愚直に振り下ろす。

それだけのはずが、鳳凰が走っていったように見えた。

その後は、地面が抉れ、全てを無に帰したようであった。

 

「すごい…」

 

ふと隣から声が聞こえる。しのぶは殊更力に憧れる子だ。自分には無いものだから。

 

でも確かに凄かった。

この威力ならそこら辺にいる鬼から十二鬼月まで屠ることが出来るだろう。

 

────

 

やっべぇ、めっちゃ威力上がってる…。

とりあえず、こちらを見ていた2人に声をかける。

 

「どうでしたか?」

 

そう聞くと、妹さんはただ一言、凄いです、と言って黙った。

 

ただ胡蝶様に

「何故、この技を上弦ノ弐に使わなかったの?」

と言われた。

 

「それはあの時ではここまでの力は出なかったからですね。今、ここまで威力が上がったのは呼吸を鍛えたからです。

なおかつ、あの時は街での戦闘で大っぴらに使いすぎると、街全体の修復が難しくなると考えたからです」

 

そういうと、ふむふむ、と頷かれる。

 

「確かにそうかもね。…はぁ、なんだか悔しいなぁ」

 

それは自分の持っていた力を思い出して、もう隊士として刀を振るうことが叶わないからなのだろうか。

そうなっていない俺には彼女の気持ちを推し量ることはできない。

 

────

 

庭から座敷に戻り、今日の予定を立てる。

 

もともと見回りの日の翌日は非番だ。

たまたま、俺と妹さんの勤務日が被っていたので今日は3人して休みだ。

 

「街にでも出かけようか?」

 

そう聞くと、胡蝶様の耳がぴくっと反応した。

「それ、私も一緒に行っていい?」

 

まさかの発言に少し戸惑いを隠せなかったが、俺としても胡蝶様の提案を下げる理由もない。

了承すると、今度は妹さんが大声を上げた。

 

「ね、姉さん?何言ってるの?

 

…そんなの、私も行く!!」

 

素直!

今までで一番素直な妹さんを見た気がする。

 

「じゃあ、みんなで行きましょ」

 

朗らかな笑みで決定する胡蝶様。

決まったのなら、用意をするとしよう。

 

もともと服は着替えていたので財布と手ぬぐいを持って玄関に向かった。

 

…女の準備には時間がかかるというのはほんとうだった。着替えてるし。

 

────

 

街に出ると、なかなか人の賑わいで豊かだった。

2人は化粧品を見たり、簪や髪飾り、着物を見たりしている。

やはり、2人は姉妹なんだなぁと後ろ姿がそっくりで微笑ましくなる。

 

しかし、笑っていると妹さんから

「何一人で笑ってるんですか?気持ち悪いですよ」

と言われる。

 

ほんとに辛辣だなぁ!この子!さっきの素直な妹さんはどこに行ったよ!!

 

一通り見て満足したのか店から出てくる。

ちゃんと風呂敷を持ってるあたりいいものを見つけたようだ。

 

いい感じに小腹がすいてきたので、茶屋に入らないかと提案する。

 

2人とも快い返事だった。

 

────

 

隆景さんが茶屋に入ろうと提案したので、別段断ることも無く了承する。

 

「妹さんは何にする?」

 

妹さん…、この前はそれでも呼ばれるのは嫌だったのに、今はその呼び方を変えて欲しいとも思う。

多分、私の中で彼への評価が良くなったんだろう。名前で呼ぶことも呼ばせることも躊躇いはなかった。

 

「しのぶ。いつまでも妹さんは長いでしょ」

 

私はこれ、とあんみつを指さしながらそう言う。

ぽけっとした顔をしてたが意味を理解すると、嬉しそうに名前を呼ばれた。

 

「そうか、しのぶはあんみつだな!」

 

案外悪くないわね。

…姉さんからの視線が地味に刺さってるんだけど気にしたら負け。

 

そしたら姉さんも

「じゃあ、私も胡蝶様じゃなくてカナエって呼んで欲しいな〜」

と便乗する。

 

「あ、じゃあ、か、カナエさんは何にしますか?」

 

私の時とは違ったように緊張する隆景さんを見てちょっと悔しい。

 

「いって!」

 

…机の下の足を蹴ってしまったのは足が滑ってしまったからだ。別にそれ以外何も無い。

 

姉さんは結局桜餅とよもぎ餅を頼んでいた。

相変わらずよく食べるわよね。

 

「しのぶって、甘い物食べてる時は眉間のしわ無くなるよな」

 

三色団子を食べながら、隆景さんは急にそう言って笑った。

あんまり意識してなかったんだけど、普段そんなにしかめっ面をしていたっけ?

 

…違う。私が隆景さんのことを一方的に敵視してたからしかめっ面だったんだ。

 

自分の勢いのいい手のひら返しに苦笑する。

 

「まあ、女の子は得てして甘いものが好きなんですよ。私も頬を緩めちゃうくらいですから」

 

そう言って誤魔化しながら、あんみつを口に運ぶ。うん、やっぱり甘いものは美味しい。

 

茶屋を後にして蝶屋敷に帰る時、私は隆景さんと姉さんに挟まれて歩いていた。

 

前も思ったけど、なんだか家族みたいだ。

もし、兄さんがいたらこんな感じなんだと思う。

 

『兄さん』

 

意外と悪くない響きかも。

思わず笑っちゃって、両隣にいる2人に訝しげに見られてしまったけど、今は全然気にしない。

 

こんな日が続けばいいなぁ。

 

 




しのぶちゃんデレる。
早くカナエさんも書かなきゃ(使命感)

感想とかあればよろしくお願いします( ˆ̑‵̮ˆ̑ )
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