前回も言った通り今話は少なめです。
原作に沿っているので、内容的にも既出が多く少々物足りない一話になっているかもしれませんが、なんとしても今日投稿したかった。
枢木スザク生誕祭。おめでとう!
『こちら河口湖のコンベンションセンターホテル前です。ホテルジャック犯は日本解放戦線を名乗っており、ジェームス議長を中心とするサクラダイト配分会議のメンバーと居合わせた観光客、及び数人の従業員を人質に取っています。これが犯人から送られてきた映像です。ジェームス議長の他、学生の姿も見受けられます。犯行グループのリーダーは草壁中佐と名乗る旧日本軍人です』
それはルルーシュとスザクと共に今後について話していた時の事。組織を結成し既に一週間ちょっと。最低限の教育も終わり、正義の味方と印象付ける活動を視野に入れて動き出そうと検討していた二人は、そのニュースに目を見張った。
「会長……? シャーリーに、ニーナも……」
「知り合いかい? ルルーシュ」
「あ、ああ。俺が所属する生徒会の仲間だ。旅行に行くとは言っていたが、まさかこんな……」
予想外の事態に目に見えて狼狽するルルーシュ。
彼がここまでの動揺を露わにする事など滅多にない。
それだけにスザクは画面の中の人物がどれだけルルーシュにとって近しい人間なのかを理解した。
「とりあえず組織のみんなを集めよう。何をするにしても、すぐに動けた方がいい」
「……その通りだな。対処を考える前に、まずは連絡か」
動揺が収まらないルルーシュはスザクの言葉で緩慢に携帯を取り出して、先日仲間になったばかりの者達へ連絡を取る。
その間もずっとルルーシュの顔は青ざめたままだった。
「大丈夫かい? ルルーシュ」
「……ああ。すまないな、取り乱した」
「それはいいけど……」
平静を装ってはいるが、スザクにはそれが無理をしているだけだという事は一目瞭然だった。
「助けに行くんだよね?」
「そのつもりだが、おそらく意味はないだろう」
「どういう事?」
不思議そうに首をかしげるスザクにルルーシュはいつも通り説明する。
「いまはまだ軍も準備をしている段階だろうが、既にニュースになっている事も考えればそれも間もなく終わるはずだ。おそらくは一時間もしないうちにコーネリアは突入作戦に移る」
「そんな! 人質がいるのに!」
「ブリタニアがテロリストとの交渉に応じる事はない。総督がコーネリアとなれば猶更だ。人質に犠牲が出たとしても全てをテロリストの責任にして救出よりも殲滅を優先するだろう」
「だとしたら、君の知り合いは……」
「……」
最悪の未来を想像して青ざめるスザクと、悔しそうに歯噛みするルルーシュ。
もしルルーシュとスザクが仲間を連れずにすぐに河口湖へ向かったとしても、おそらくは間に合わない。もし奇跡的に間に合ったとしても、ホテルの周りを囲むのはコーネリアの軍隊だ。それを突破してホテルに乗り込むなどできるはずもない。さらには突破しても侵入者対策をしている日本解放戦線からたった二人で人質を救出し、再びブリタニア軍の包囲を突破して逃げ帰らなければならないのだ。
一体どれだけの奇跡を起こせばそんな事が可能なのか考えるのもバカらしい。
「とにかくいざという時に備えて準備だけは必要だ。河口湖へ向かうとしても、確実に人手は必要になる」
「そうだね。介入するとしたら、軍と敵対するのは避けられないだろうし……」
言葉尻を濁すスザクの懸念を汲み取り、ルルーシュも眉間に皺を寄せながら頷く。
「お前の言いたい事は分かっている。まだ軍と戦えるような戦力は俺達にはない。正面からやり合うのは愚策だ」
忌々しいとばかりに舌打ちをするルルーシュ。
「認めたくはないが、いま打てる手は何もない。彼女達の無事を祈るくらいしか、できる事はない」
「ルルーシュ……」
「お前はいつでも出撃できるように準備だけは整えておけ。俺はなんとかして軍を突破できないか考えてみる」
それだけ言うと、ルルーシュは指を組んで口元を隠す。
沈痛な表情で考え込む姿にスザクは掛ける言葉を見つけられず、言われた通りに準備のためランスロットの元へ向かう。
そのまま何もできず一時間もの時が過ぎた。
ニュースでは人質の親がテロリストへの怒りを叫んでいる。
ルルーシュの携帯にも仲間が全員集まったとの連絡は届いていたが、肝心の軍の包囲を突破する作戦は思いつかず、動きたくとも動けない状態が続いていた。せめて作戦が考えついた時にすぐ行動に移せるようアジトに向かうべきなのかもしれないが、悩んでいる姿を仲間に見せるわけにはいかない。ただでさえ素顔を隠し怪しまれているのに、リーダーが優柔不断な姿など見せれば組織ができて間もないいま、簡単に人は離れていくだろう。
「ルルーシュ」
名前を呼ばれると共に、湯飲みが目の前に置かれる。
「ずっと難しい顔してるよ。気持ちは分かるけど、お茶でも飲まない?」
「ああ……ありがとう。スザク」
気遣ってくれる友に礼を言い、出されたお茶に口をつけるルルーシュ。
「やっぱり難しそう? 人質を助けるの」
「日本解放戦線と軍、障害が二つあるのが厄介だな。片方だけならやりようはあるが、二つ揃うとこちらの手札ではどうしても一手足りない」
例えば相手が日本解放戦線だけであれば話は簡単だ。スザクの素顔を晒し、交渉を提案すればいい。日本最後の首相の息子がナイトメアを持ってやって来たとあれば、無視などできるはずもない。必ず交渉に応じるだろう。だがそんなものをこの状況で軍が許すはずもない。逆に障害が軍だけなら、スザクの力を前面に押し出しての一点突破も不可能ではない。日本解放戦線へ意識が向いているところに奇襲を掛け、包囲の一角を崩す事は可能だろう。それは前回の埼玉の一件でも実証済みだ。しかし強行突破してホテルに向かえば、日本解放戦線の目には軍が突入作戦を仕掛けてきたようにしか見えない。正体を明かす方法も軍に隠れて通信する方法もない現状では、こちらが軍と戦っているところを日本解放戦線が見ていたとしても、正体不明のブリタニア機が近付いてきているようにしか映らないだろう。その目的が交渉などと考えてくれるはずもなく、人質の中に身内がいる軍関係者の独断と判断されかねない。そうなれば人質の身に危険が及ぶ事は確実であり、それでは包囲を突破できたとしても意味がない。せめて日本解放戦線と連絡が取れれば策の打ちようもあるのだが、ないものねだりをしたところで何も現状は変わらない。
「軍も苦戦してるみたいだね。まだ突入作戦が行われていないのが、救いといえば救いだけど……」
「確かにな。コーネリアにしては対処が遅い。奴の性格であればとっくに事件が片付いていてもおかしくは……」
「ルルーシュ?」
話している途中で突然ルルーシュは目を見開き言葉を切る。
そして数秒黙ったかと思うと突然笑い出した。
「ククク、フハハハハハハハ。俺もとんだ間抜けだな。こんな事にも気付かず悩み込んでいたとは」
「どうしたのルルーシュ? 大丈夫?」
「問題ない。自分の愚かさに呆れていただけだ」
いっそ邪悪と形容していい笑みを見せるルルーシュ。
その表情にはさっきまでの焦燥感は微塵も見られない。
「何か思いついたんだね?」
「ああ。思いついたと言うより、気付いたと言う方が正しいがな」
「えっと……何に?」
「事態が硬直している理由にだよ。なぁスザク。おかしいとは思わないか? 軍はテロリストの交渉に応じるつもりがないのに、未だに何も動きを見せない。サクラダイトの分配会議の参加者がいるとはいえ、替えが効かない要人というわけではない。ならばいたずらに時間を消費する理由はないはずだ」
「確かにそうかもしれないけど、人質を無事に救出できるならそれに越した事はないはずだし、その方法を考えてるだけなんじゃ……」
「違うな。事件が発生してこれだけの時間が経てば、既に考え得る策は出尽くし人質の無傷救出は難しいという結論が出ているはずだ。そうなれば武人であるコーネリアの事、下手な希望は捨てテロリストの殲滅を優先するのは間違いない」
「でも実際は突入作戦なんて行われてないよ」
「その通りだ。つまりコーネリアは突入作戦を実行したくてもできない状態にあるという事だ。ならなぜできないのか。いくつか理由は考えられるが、おそらくは人質が傷付けられる事を恐れているのさ」
「……なんだか言ってる事が矛盾してない? さっきコーネリア総督なら人質なんて無視するって言ってたよね」
「ただの人質なら、コーネリアは間違いなくそうするだろう。だからいるんだよ。人質の中にコーネリアが二の足を踏むほどの人物が。おそらくは、彼女の最も愛する妹が」
「妹?」
「ユーフェミア・リ・ブリタニア。コーネリアの唯一の同母妹。もし彼女がサクラダイトの分配会議に立ち会う予定だったなら、人質として囚われていてもおかしくはない」
半ば確信しながらルルーシュはその名前を口にする。
自分達兄妹とも仲が良かった異母妹の姿を思い出しながら。
「コーネリアは妹であるユーフェミアを溺愛していた。もし人質に彼女がいるのであれば、俺と奴の立場は同じ。条件はクリアしたも同然だ」
その言葉にスザク表情が目に見えて明るくなる。
「それって人質を助けられるって事?」
「確実ではないが、大いに可能性はあるだろう。少なくとも、手の打ちようはある」
「ならすぐに行こう!」
勢い良く立ち上がるスザクに促され、ルルーシュも湯飲みの中を空にして腰を上げる。
「そうだな。ピンチだと思っていたが、考えてみればこれほどのチャンスもない。俺達のデビューにはお誂え向きの舞台じゃないか」
さっきまでは深刻な顔で悩み込んでいたとは思えない清々しさでルルーシュは機嫌よく喋る。
「全てが揃った最高のステージだ。失敗は許されないぞ。スザク」
「さっきまであんなに深刻な顔をしてたのに……ルルーシュらしいね」
「手札が潤えば余裕も生まれる。ユーフェミアには感謝だな。そういえばあの子は、いつも俺の予想を裏切ってくれた」
「それって、いま言ってたコーネリア総督の妹?」
「ああ。本国にいた頃はナナリーと一緒に良く遊んだものだ。歳が近い事もあって、仲が良かったからな」
「そうなんだ。もしかしたら初めてじゃない? 君が皇子だった頃の事を話してくれるのなんて」
「そうだったか? まぁ所詮は過去。終わった事だ」
「僕は聞きたいけどな。君の思い出話」
「暇があったらな。ほら行くぞ。無駄話はこの件が済んだ後だ」
荷物を手に取り、ルルーシュは最後にテレビを消すため、リモコンを手に取る。
画面に映る総督の顔を見て、消す寸前に口元を歪めニヤリと笑う。
「舞踏会はお好きかな。姉上」
精々俺の掌の上で踊ってもらいましょうか。
脳内で目まぐるしく作戦を考えながら、ルルーシュは友達を助けるために家を出た。
つまらないニュースを担当させられ、Hi-TVのプロデューサーであるディートハルト・リートは仕事を部下に放り投げて河口湖で釣りをしていた。
誰が撮ったとしても変わらない、ただのテロ。軍が制圧して終わりが見えているだけに、なんの食指も動かない。
この場に来てから数時間も経つが、未だ殆ど動きも見られない。唯一の動きと言えば、先程日本解放戦線が人質を一人屋上から落としたくらいだろう。見せしめのための面白みもない予定調和の行動に、欠伸すら出そうになる。
軍もさっさと突入して制圧してしまえばいいものの、人質がいるせいか思い切った行動ができずにいるのも退屈に拍車をかける。
音に聞こえたコーネリアならテロなどに屈さず早々に事件を片付けるだろうと思っていただけに、優柔不断にも見えるこの態度には失望すら憶えた。
「ったく、くだらない事件だ」
ぼやきながら釣り竿の先を眺めるが、ヒットはしない。別に暇潰しでやっているだけなので構わないが。
「ディートハルトさん!」
名前を呼ばれた方に振り向くと、局の部下が大慌てでこちらに走ってきていた。
「なんだ慌てて? 進展でもあったか?」
大方軍が突入作戦でも決行したかと思い問い掛けるが、返ってきたのはディートハルトを驚愕させる答えだった。
「それどころじゃないですよ! 三号車が盗まれたんです!」
「なにぃ! ギブソンは何をやってたんだ!」
「縛られて転がされてました。他の職員も同じです」
「こんな時に車体泥棒だと……犯人は分かっているのか?」
「それがギブソンが言うには、あの枢木スザクみたいなんです!」
「枢木スザク!? あの脱走兵か?」
「はい。局の人間全員を一瞬で殴り飛ばして制圧したらしいです」
「なんてデタラメな……それで、三号車はどこに行った? 車を奪った理由は分かっているのか?」
「理由は分かりませんが、三号車は軍のど真ん中へ……」
「……はぁ?」
ディートハルトが素っ頓狂な声を上げている頃、軍は面妖な事態に直面していた。
つい先ほどオープンチャンネルで軍に通信が入ったのだ。
相手は枢木スザクと名乗り、いまからそちらへ向かうので攻撃を控えてほしい、などと一方的に通告してきた。
当然イタズラだと思われたが、その後すぐに一台の車両とナイトメアがこちらに向かっているとの報告がコーネリアの元へ届いた。そのナイトメアの外見はランスロットと酷似しているらしい。
大慌てで包囲と狙撃の準備を整え、軍は車両とナイトメアを待った。
そして宣言通りそれは来た。
だがその姿はコーネリアや軍の者が想像していたのとは少し違う。
車両は問題ない。外装からしてテレビ局のものを盗んできたのだろう。問題はその後ろからついてくるナイトメア――ランスロットだ。
ランスロットは埼玉で対峙した時とは異なる威容をしていた。それは動かなくなったはずの左腕を取り換えていたとか、そんな話ではない。白銀の騎士のような美しい佇まいをしていた前回と異なり、いまのランスロットは暗黒の戦士という表現が的確だろうか。明るく光り輝いていた白銀のフォルムは全て黒く塗り替えられていた。関節部の元々黒かった部分は逆に白銀へと染められている。もはやお前らの騎士はいないとばかりに、ランスロットはその姿を漆黒へと塗り潰されていた。
どこかのトレーラーで「ぼ、僕のランスロットが~!!」という絶叫が伯爵の科学者から発せられたが、それは現場までは当然届かない。
車両とナイトメアは河口湖のコンベンションセンターホテルへ続く橋の前で、軍のナイトメアに囲まれて絶体絶命の状況に陥っている。
正面に布陣するコーネリアはコックピットから顔を覗かせ、鮮烈な視線を目の前の漆黒のナイトメアへと向ける。
「ようやく会えたな、枢木スザク。お前は日本解放戦線のメンバーだったのか? それとも協力するつもりか? いずれにしても、こちらの都合を優先する。埼玉での借り、この場で返させてもらう!」
コーネリアが叫びと共に銃剣を向ける。
するとランスロットのコックピットが開き、枢木スザクが姿を現した。
枢木スザクは片手を胸に当てると、慇懃に口を開く。
「お初にお目にかかりますコーネリア総督。しかしこの場では、僕はあなたと話すには相応しくない」
「なに? どういう意味だ」
「このような場で言葉を交わすのは、組織の最高指揮官であるべきだ」
すると車両の後ろ扉が開き、ランスロットの腕を足場に何者かが車体の上へと飛び乗る。
その人物は仮面とマントで顔と姿を隠した、異様ないで立ちをしていた。
「こうして顔を合わせるのは初めてですね、コーネリア総督。私はゼロ。埼玉では碌にご挨拶もできず申し訳ございませんでした」
「埼玉だと、貴様まさか……」
「あなたの弟君にも新宿では満足に挨拶する事もできず、大変心苦しく思っておりました。よろしければ、本国にお帰りになった際にはよろしくお伝えください」
コーネリアの言葉を無視してゼロは一方的に語る。
それによってコーネリアは、正体不明だった謎の策略家の正体を完全に確信する。
「なるほど。ゼロといったか。貴様のその仮面の下に興味がわいた。貴様の身体が物言わなくなった時には、仮面を剥ぎ取りその素顔を見せてもらうとしよう」
「では残念ながら、あなたが私の仮面の下を見る機会は今生ではなさそうだ」
「この状況で逃げ失せる事ができるとでも思っているのか?」
周りを完全に囲まれ銃口を向けられている状況を示して告げるコーネリア。
しかしゼロはまるで動揺する事なく答えを返す。
「逃げる? 私はホテルに捕らわれた人質を助けに来た。この場から逃げる理由はどこにもない」
「そのような戯言が……」
「もちろん。あなたの妹君も救って見せよう」
「!」
この時初めて、コーネリアの表情に罅が入った。
自信に満ちたその目はわずかに見開かれるが、さすがは歴戦の将。すぐさま取り繕いそれ以上の動揺は現さない。
「何を言っているのか分からないな、ゼロよ」
「先の埼玉の件で私達のプロファイリングは済んでいるのではないかな?」
とぼけるコーネリアに間髪入れずに答えるゼロ。
右手を横に振るってマントをはためかせ、自らの主張を堂々と告げる。
「我々は理不尽な暴力を振るうものを許さない。常に虐げられる弱者のために戦う」
「テロリスト風情が……ならば真っ先に粛清されるべきは貴様だ。ゼロ」
「いまこの場で議論を戦わせるつもりはない」
ゼロの主張を真っ向から否定するコーネリアだったが、ゼロはすぐさまその話を打ち切った。
そしてただ宣言する。これから行う己の道を。
「人質は我々が全員救出する。一人の例外もなく」
「その言葉を信じる理由がどこにある」
「自分達のプロファイリングは信用に値しないか?」
「ッ……!」
先程コーネリアはゼロの発言を否定しなかった。その主張自体を認めるかどうかは別として、どういう目的で埼玉の事件に介入したかは軍内部でも話し合っていたはずだ。もちろんそれは、そういった可能性がある程度の確度の低いものだろう。たった一度、新宿の時も含めれば二度だが、その程度の介入から詳細なプロファイリングなどできるわけもない。ましてやゼロが公に姿を現し自らの理念を主張するのはこれが初めてだ。その言葉の真偽を測る事などどんな人間にも不可能だろう。
だがいまはそれで充分。現状を打開する手立てのないコーネリアに、わずかにでもユーフェミアを救出するチャンスを逃せる心理的余裕はない。
「感謝します。コーネリア総督」
結果、ゼロを運ぶ車両とランスロットは軍を素通りしてホテルへと進む。
コックピットから出た事でスザクの顔を日本解放戦線は視認しているはずであり、軍からも連絡が入ったはずなので止められる心配はないだろう。籠城し援軍が喉から手が出るほど欲しいであろう日本解放戦線に、ナイトメアに乗る元日本国首相の息子を拒めるはずもないからだ。
全てが自らが想像した通りに進む。そんな展開にルルーシュは笑い出したい気持ちを仮面の下で堪えた。
忌々しく表情を歪め、コーネリアはゼロの後ろ姿を見送る。
そしてコーネリアは知らない。この一連のやり取りの一部始終が、テレビに流れていた事を。
前々回にルルーシュが話していた塗装用のペンキで生まれ変わった漆黒のランスロット。
原作のランスロットが好きな方は好みではないかもしれませんが、黒の騎士団のエース機に真逆の白はどうしても無理があると思い、スザク君が上から塗装しました。
早いと思われるかもしれませんが、次回で河口湖は終わります。
次回:反逆の旗
原作では別場面で使われた台詞をあえて持ってきて流用するのは楽しいですね。上手くはまってるといいのですが……。