アラガミを殲滅した後、レイジ以外のメンバーで朝食を取りに食堂に向かった。
レミリア「じゃ、しっかり直しておきなさい」
フラン「終わったらまた遊ぼ!」
魔理沙「悪ィな、先に飯食ってるぜ」
美鈴「今日は朝食は何でしょうかね~」
サヤカ「あの、私にも手伝えることがあったら言ってくださいね」
レイジは玄関の修理を任され一人ぽつんと佇む。
レイジ「・・・( _ )」
アーティ「あたしの出番勝手に横取りするからバチが当たったのよ」
レン「あ、工具箱が置いてありますよ。これで後は材料だけですね」
誰が置いてくれたのだろうか。玄関の近くに工具箱があった。
アーティ「中途半端な心遣いね」
レン「まあまあ、まずは倉庫を探しましょう。木材を探さないと」
妖精メイドに訊き、道のりを教えてもらう。周りを見るとメイド達はアラガミに荒らされた部屋を綺麗にすることで忙しそうだ。三人は倉庫に向かい材料になりそうなものを探す。
レン「わぁ、ここもなかなか広い」
アーティ「お、これよさそう」
レン「意外にたくさんありますね、ありがたく使わせてもらいましょう」
神機使い物色中・・・
アーティ「とりあえずこれぐらいありゃ大丈夫でしょ。じゃあんたらはその木材、あたしはドアに付ける器具とか定規とか、道具系を持ってくわ」
レン「うっ、中々重い・・・レイジさん意外に力強いんですね・・・表情が歪んでいない・・・」
レイジ「・・・」
アーティ「伊達にバスター使ってるワケじゃないのよレイジは。あんたも見習いなさい」
レン「・・・はい」
レイジ達は玄関まで重い材料を運び、一息つく。レイジはすぐに製作に入る。理由は他でもない、朝食と呼べる時間までには食べておきたいからだ。
レン「すごく慣れた手つきですね・・・。以前作ったことがあるんですか?」
レイジ「・・・(コク)」
アーティ「こいつ手先は器用だからね、それに昔ドアの修理の手伝いをしたことがあるそうよ」
レン「へえ~、これなら早めに終わりそうですね」
30分経過、本来ならば朝食を終えているはずの時間。レイジは一人で骨組みを完成させ、残るは内側を埋める木材をはめ込むだけ。その頃には朝食を食べ終えたフランがドアの修理をじっと見ていた。サヤカも来ており、レイジの慣れた手つきに驚いている。
サヤカ「すごいです・・・まだ朝食を終えたばかりの時間でこれだけの大きさのものなのに、もうここまで進んでるなんて」
フラン「レイジー、まだ終わらないの?」
レイジ「・・・(コク)」
フラン「はーやーくー」
かがんで作業をするレイジの背中にフランは飛びつく。背中が重たくなるだけで腕の動きが制限されることはなかった。ドアが完成、後は蝶番などの器具を取り付け、玄関に取り付けるのみ。ドアを持ち、立てようと立ち上がる。フランは退屈なのか、羽根をぱたぱたと動かしていた。
フラン「まーだー?」
もうすぐ完成目前、確実に作業をこなすことに専念する。すると足に妙な感覚がした。歩こうとしてもその場から進まない。下を見ると、足が床から少し浮いていた。恐らくフランが羽根を動かしているからだろう。レイジは微笑でやれやれと思いつつ、フランに降ろすように言う。
フラン「玄関は結構高さがあるから私があなたを抱えながら飛ぶよ。そうしながら作業した方が楽だと思うよ?」
確かにドアの大きさを改めて見ると結構な大きさだ。これでは蝶番を付ける時に手が届かなくなるが脚立でも持って来れば大丈夫だと考えていた。しかしそれが近くにない。よってフランの提案に乗ることにした。すると脚立を使うよりもかなり楽で思ったより早くドアの取り付けが終わった。
アーティ「乙」
フラン「わぁ、なんか壊れる前より綺麗な気がする!」
サヤカ「いいコンビネーションでしたね、レイジさん!」
完成して喜んでいるレイジ達を影からこっそりレミリアが覗いていた。
レミリア「(・・・あいつの背負い投げの仕返しに玄関の修理押し付けたのに、なんでフランが楽しそうに手伝ってんのよ!どおりで朝食の時いつもより明るい顔してたわけね・・・なんか妹を取られた気分だわ・・・)」
咲夜「お嬢様がコンプレックスをお持ちになるとは珍しいですn」
レミリア「違う!って、あなたいつの間にいたの!?なんで考えてることが分かったの!?」
咲夜「顔に全て出ておりましたわ」
レミリア「う~・・・」
咲夜「では彼の分の朝食の用意をしますので、失礼致します」
そう言うと咲夜は一瞬で姿を消した。
レイジは存分に朝食を楽しみ、息抜きに紅魔館内を探検しようと思い、図書館へ行ってみることにした。道中、フランにばったり会う。
フラン「あ、レイジぃ探してたんだよ?ねえねえ、かくれんぼしよ!」
たまには何も考えず遊ぶのもいいだろう。レイジはうなずき、フランの誘いに乗る。
フラン「じゃあレイジが隠れて!私鬼やるから!30秒数えるからその間に隠れてよ!」
レミリア「・・・・・・」
紅魔館内でかくれんぼだと、探す側としてはかなり大変になりそうだ。レイジはひとまず図書館に向かい複雑に並ぶ本棚に隠れることにした。
パチュリー「・・・あまり暴れ回らないでよ」
魔理沙「あいつはそんなことしねーだろ」
パチュリー「「彼からは」、ね」
魔理沙「・・・どういう意味だ?」
パチュリー「・・・すぐに解るわ」
まるでこちらのやっていることを理解しているかのように本を読みながら注意を呼びかけるパチュリー。確かにここの本棚は異様に高さがある。倒したらドミノ倒しになって大参事になりそうだ。そういうワケで足音を立てずに動こうと考えた。図書館の中では静かにしているべきだし、こうすればフランにも気付かれにくくなるだろう。しばらくそのまま本棚で身を隠しつつフランが近づいていないか耳を澄ませる。意外にも中々やって来る気配がない。少し暇になってきて、近くにあった本を読んでみることにした。しかし内容が難しく興味も湧かなかったためすぐ棚に戻してしまった。中々見つからないなと思いながら振り返ると、なんとフランが背を向けて本を読んでいる姿が。
レイジ「・・・!」
レイジの後ろでずっと本を読んでいたようだ。レイジは一瞬驚くが、まだこちらに気付いていないようなのでこっそりとその場を離れる。図書館は広く隠れる所が多いので少し離れれば大丈夫だろう。しかし行く先々でフランの姿が。どうやら禁忌「フォー・オブ・アカインド」を使っているようだ。しかしそうだとしてもおかしい。レイジが行こうとする場所にフランがいるのだ。もしかしたら・・・
既に見つかって、遊ばれている・・・?
気付いた時にはもう遅かった。四人のフランはすでに彼を囲むような位置で逃げ道を塞いでおり、不敵な笑みを浮かべてこちらを向く。
フラン「ここ、広いから隠れやすいと思ってたでしょ・・・?でも残念。隠れる側の人って大体は隠れやすそうな場所に行くからね。早く見つけられてよかったよ」
本棚に隠れた頃から既にバレていたらしい。囲まれているため、引き付けてすり抜けるように脱出するしかない。フラン達はじりじりと近寄り、一斉にレイジを捕らえようと飛び込む。レイジはフランの下をくぐり抜け全力で走る。
フラン「まてまてー!」
図書館を抜け、階段を利用したり曲がり角を利用するなどなるべく見通しの良い場所を避けて通る。フランも人数の差を利用し回り込んでレイジを追い詰めようとする。静寂なかくれんぼから一転して白熱した鬼ごっこ。それを見ていた皆も温かい目で見守る。一人を除いて。
廊下
サヤカ「あ、楽しそう・・・私も混ざろうかな」
図書館
パチュリー「ゲホゲホ、喘息が・・・こあ、吸入器頂戴」
小悪魔「どうぞ」
魔理沙「隙があったらどっちかに訊いて混ぜてもらおうかな」
紅魔館の門
美鈴「あ、妹様じゃないでsうわっ!?」
フラン「ねえ、レイジ見なかった?」
美鈴「鬼ごっこですか?私は見ていませんよ」
フラン「ありがと、じゃ!」
美鈴「・・・これでいいんですか?」
レイジ「・・・Σb( _ )」
洗濯室
咲夜「あら、妹様。どうなさいましたか?」
フラン「洗濯中にごめんね、レイジどこか知らない?」
咲夜「いえ、私は見ておりませんが」
フラン「わかった、ありがと!」
咲夜「・・・あんなに明るい顔をされた妹様は初めて見るわね・・・。まあ、いいことに変わりないけど」
エントランス
アーティ「さっきから何してんのかね、あいつそこらじゅう駆け回って。家ン中で暴れ回っちゃいけないって教わらなかったのかしら」
レン「いいじゃないですか。二人とも楽しそうですし、許してあげましょうよ」
アーティ「・・・。まあ、こういう時間も必要よね」
レン「見ているだけでも、平和な気持ちになれますね・・・ん」
アーティは暗い表情をしている。気になって声をかけようとすると、アーティは小声でつぶやく。
アーティ「・・・追い掛け回されるのは・・・嫌ね」
レン「・・・?」
アーティ「・・・何でもない」
レン「???」
するとレミリアがレン達の近くで誰かを待っているように立っているのが見えた。
レミリア「・・・」
レン「ん・・・?どうしたんでしょうか」
アーティ「あ?・・・レミリアのヤツ、なんか難しい顔してるわね」
一方レイジはフランをなんとか振り切り、息を整えながら歩いていた。曲がり角を曲がり、レン達がいた場所に着く。
レミリア「・・・!」
レイジは前後を確認しながらレミリアの横を通り過ぎようとすると突然、レミリアがレイジの手を掴んだ。
レミリア「待って」
レイジ「?」
レミリア「来なさい」
レイジ「???」
アーティ「・・・なんか変な予感がするわ」
レン「後を追ってみますか?」
無理矢理レミリアに手を引かれ、階段を上り三階の広い部屋に連れられる。中は何だか厳かな雰囲気を放つ部屋だ。部屋の中に階段があり、その先に玉座らしき椅子がある。絵に描いたような「主の間」という感じだ。レミリアは椅子に座る。レイジは息を整えようと深呼吸をし、フランが来ないかドアを注視。レイジはレミリアが安全地帯へ連れてってくれたと思っている。しかしレミリアが意図していたのはそれではない。後から遅れてレンとアーティが部屋に入って来た。
レミリア「フランの遊び相手をしてくれたようね。お疲れ様。あなた、夜になるまでやってたのよ?気付いてた?」
レイジは窓の外を見る。確かに夜になっていた。今日は満月のようだ。
レミリア「さて、突然だけど、もうフランとのかくれんぼはもうおしまい。今度は私と遊んでもらうわよ」
レイジ「・・・?」
レミリア「何故かって?あの子にあまり親しくなり過ぎるとあなた、・・・いつか突然壊れるかもしれないからよ」
レイジは意味が理解出来なかった。確かに初めて会った時のフランは少し気が触れているところがあり危険だった。しかし今は自分を気に入り、普通に遊ぼうとしている。壊すつもりなど微塵もないはずだ。仲がいい者ならば特に。
レミリア「あの子の能力、もう見たでしょ?あなたには実感がないかもしれないけど、あの子は壊すつもりがなくても間違って壊してしまう時があるの。つまり能力を完全に制御出来ていない。もし壊れたのが大切な人であるほど・・・あの子は心を痛めると思うわ」
レイジ「・・・」
レミリア「そんなことにならないように、私はずっとあの子を地下に閉じ込めていた。自分でも最低なことだと思ってるわ・・・。でも大事な人を失う悲しみであの子の心が壊れないようにするには、こうするしかなかったのよ」
レイジ「・・・」
レミリア「なんとかしなければと思っていた・・・いつまでも地下に閉じ込めておくままにはいかない。あのままでは遅かれ早かれ、別の苦しみでフランの心は壊れてしまうとね・・・。そこにあなたが現れ、フランを解放してくれた。・・・あの子は嬉しかっただろうし、私としても嬉しかったわ。壊れずに傍にいてくれて・・・薄暗い地下から与えられる苦痛からあの子を救ってくれて・・・礼を言うわ」
レイジ「・・・」
レミリア「あなたはフランにとって、光のような存在でしょうね。・・・でもあの子のためにも、あなたのためにも、これ以上絆を深められては困るワケ。あなたを失った時の悲しみが大きくなってしまうから。あの子にはこれ以上、大切な人を失う悲しみを味わわせたくないの」
レイジ「・・・?」
レミリア「親しければ親しいほど失った時の悲しみは大きくなる。ならばいっそ親しくしない方が、あなたは壊れないしあの子も傷つかないわ」
レイジ「・・・」
レミリア「さて、話題を変えて私との遊びについてだけど・・・。私は屈辱を忘れない女。あの時は昼だったから背負い投げ一回だけで降参してしまったけど、だからと言って失態を晒したままでは私のプライドが許さないの」
レイジ「・・・」
アーティ「・・・何も今じゃなくたってねえ」
レミリア「レイジ、私ともう1度勝負してもらうわよ。私のカリスマを取り戻す意味でも、あれで終わりってワケにはいかないから」
アーティ「わーめんどくせェタイプ」
レイジは渋々レミリアの申し出に乗ることにした。断る余地がなさそうだからだ。しかし申し出ののタイミング的に、単にフランと遊んでいるのを羨ましがっているようにも思えた。
レミリア「勘違いしないでよね。別にあなたとフランが遊んでるのを見て羨ましいと思ったワケじゃないんだから!」
アーティ「本音が出たわね」
レン「本音が出ましたね」
レイジ「・・・」
姉妹揃って不器用なところがあるようだ。レミリアがスペルカードを手にしたその時、
フラン「レイジ、ここかっ!?」
レミリア「フラン!?」
フランが突然ドアを開け、中に入って来た。レミリアとしては最悪のタイミングといえる。
フラン「ウフフ、もう逃がさないよレイj・・・あれ、お姉さま?」
レミリア「何?今私はレイジと遊んでるんだけど。邪魔しないでくれる?」
レイジ「・・・」
フラン「あ~!横取りなんてずる~い!レイジもレイジで勝手に誘いに乗っちゃダメだよ!」
レミリア「フラン、今は勝負中なの。邪魔しないで」
アーティ「おまえは何を言っているんだ」
フラン「やだね!レイジは私のお気に入りなの!お姉さまになんて渡さないもんね!」
フランはレイジの腕に抱きつき、ベーッと舌を出す。レミリアは段々冷静さを失っていく。
レミリア「・・・う~・・・ちょっと!レイジはあなたと出会う前から私のお気に入りだったのよ!そっちこそ横取りしないで!」
レミリアとフランの間で口論が始まった。しかしどう見ても子どものケンカにしか見えない。
レン「すごく・・・可愛いです・・・」
アーティ「姉の方もなんだかんだ言ってお子ちゃまね。カリスマもへったくれもないわ」
レミリアとフランは腕で押し合いをしている。レイジはやれやれと溜息をする。そして二人を呼び止め、彼は一つ提案を持ちかけた。
レミリア・フラン「・・・え?」
その提案はなんと、レミリアと戦いながらフランとの鬼ごっこも同時にやる、というものだった。吸血鬼姉妹二人は目が点になっている。
フラン「え・・・、お姉さまと戦いながら私と鬼ごっこ?」
レイジ「・・・(コク)」
レミリアはレイジの言った意味を理解すると、高笑いをし出した。カリスマというもののためだろうか。
レミリア「ふ、ふふふ・・・あっはははははは!何それ?最早勝負どころじゃないじゃない!あははははは・・・!気に入ったわ。流石は私のお気に入りの人間ね」
フラン「うー、レイジは私のお気に入りなの!でも、面白そうだね」
レン「二人を同時にって・・・大丈夫なんですか!?レイジさん!」
レミリアは空中に浮かび上がり、フランはレイジに今にも飛び掛かろうとしている。
レミリア「忘れていない?夜は私達吸血鬼の時間よ。この時点であなたの勝つ確率は低くなっている・・・」
フラン「そ。それでも「「「私達は手加減なんてしないよ?」」」」
ふと横を見ると、三人のフランの分身が部屋に入って来ており、口を揃えていた。
レミリア「あなたにとって限りなく無謀といえる提案にわざわざ乗ってあげたのよ?精々楽しませて頂戴」
フラン「ウフフ、私達に勝ったら、コインいっこ!」
レイジ「・・・」
レミリア「・・・今日はいい十五夜ね。本気で遊ぶわよ」
レミリア
「こんなにも月が紅いから」
フラン
レミリア
「楽しい夜になりそうね」
フラン
レイジはスッと身構え、彼女達と対峙した。
作「スカーレット姉妹と遊べるとは・・・羨ましい!」
弟「俺らただの人間じゃすぐに壊れちまうぞ」
作「主人公補正がほしい・・・」