気が付くと、レイジは崖の下にあった大穴の底に倒れていた。ゆっくりと起き上がると、
レン「レイジさん!無事でよかった」
アーティ「ん、ようやく起きたのね」
レイジは驚愕した。二人はミッションに参加していないはずだ。なぜここにいるのだろう?ふと上を向くと、大きな穴の下から橙に染まる空が見える。かなりの高さだ。よく生きていたものだとレイジは思った。次に周囲を見渡してみた。するとあることに気付く。…サヤカがいない。彼女と一緒に落ちて来たはずなのに、どこにも見当たらない。ありえない。これは夢なのか?レイジはだんだん混乱していく。するとレンが彼を落ち着かせるように、
レン「レイジさん、僕達だって困惑しています。僕は医務室を出ようとしたらいきなりこんな所に…」
アーティ「あたしなんか便所に入ろうとしたらここに来ちゃったのよ。まったく、早く用を足したいのに」
レン「とにかく、ここを出る方法を探しましょう」
レイジはとりあえず通信機器を取り出しサヤカと繋がるか試してみる。しかし地下深くにいるためか、ノイズ音しか聞こえない。次に通信機にある非常時用ボタンを押した。このボタンを押せば極東支部に無線を繋ぐことができる。だが聞こえたのはノイズ音のみ。
これで通信手段は断たれてしまった。残る方法は、この壁を登り地上に出るか、さらに地底の奥に続く洞窟から地上を目指すか。前者はほぼ無理だろうという理由で却下。地底の奥への道を進むことにした。
レン「それにしてもここ、地底で灯りも何も無いのに、明るいですね。壁が光ってるのかな…?」
アーティ「それよりもレイジ、あんたユーバーセンス使えるんでしょ?それでこの道がどこに続くか見て頂戴」
レイジはユーバーセンスのスキルを持っている。これは、補足した対象の位置や目標とするものの位置、地形も離れたところから見通すことが出来る。レイジはこれを発動する際、左目が紫色に変化し、目の中央はレーザーポインターで当てられたかのような赤い点が発光する。
アーティに言われるがまま、ユーバーセンスを発動させる。今三人がいる場所も含めて、ここの地形が手に取るようにわかる。だが地上に出る道へはかなり距離があるようだ。その上ここの地形はかなり複雑に入り組んでおり、ユーバーセンスを解除したらすぐに迷ってしまうだろう。なので今はこの状態を維持、レイジが先頭に立って進み、三人の現在地から一番近い比較的広く開けた場所に向かうことにした。
そして歩くこと五分ほど。ひとまずの目標地点に着いた。しかし…
アーティ「うわっなによここ、蜘蛛の巣でいっぱいじゃない」
レン「うーん、広い場所なら誰かいてもおかしくはないと思ったんですけど…違ったみたいですね」
するとレイジは何かを見つけたのか急に立ち止まり、顔を上に向けている。
レイジ「…」
何を見ているのかと尋ねようとするレン。その時、
?「おや、見つかっちゃったようだね」
突然天井から声が響いた。
レン・アーティ「!」
レイジ「…」
神機を構え天井からの声の主に警戒するレン。レイジとアーティは警戒の体勢をとらずそのまま声の主を見続けている。なんと声の主は少女だ。しかも天井に張り付いている。
?「こんな所に来るなんて物好きな人間だねぇ。待てよ、もしかしてここが私達妖怪が住む地底だということを知らずに来たのかい?」
妖怪という言葉に疑問を抱いたが、レイジは素直にうなずく。少女は何か細い糸のようなものでゆっくりと降りてくる。
?「私は黒谷ヤマメ、土蜘蛛の妖怪さ。あんた、ここ等辺では見ない格好だね。外来人かい?」
少女の言っていることが理解出来ず首を傾げる三人。
ヤマメ「~、なんか説明めんどくさいや、キスメ、代わりに説明しといておくれ」
すると、キスメという人物(?)がヤマメの背後からひょっこりと姿を現した。大きな桶に少女が中に入っているような容姿だ。
キスメ「もう、そのくらい自分で言えばいいのに…。初めまして。私は釣瓶落としの妖怪、キスメです。今あなた達と私たちがいる所、どういう場所かご存知ですか?」
レイジ「…(首振り)」
キスメ「…本当に何も知らないんですね、今のあなたの反応で外来人だと確信しました。ここは幻想郷といって、あなた達のいた元の世界とは隔離された場所にあるんです。そして外来人とは、あなた達のようにひょんなことからこの幻想郷に迷い込んだ人達を指します」
三人は完璧には理解できなかったが、異世界に迷い込んだことは理解した。
ヤマメ「そういうこと。…さて、ここからが本題だ」
ヤマメは真剣な表情でレイジを見つめ、言い放つ。
ヤマメ「外来人だろうが誰だろうが、ここはただの人間が来る所じゃない。ここから先はたくさんの妖怪がうろうろしてるから人間には危険だ。遊び半分でここに来たのなら、即刻来た道を戻るんだね」
レン「…困りましたね。今から戻っても何もないですし…レイジさん、どうします?」
レンの言葉を気にも留めず、レイジは全く動じずにヤマメを見続けている。
しばらくの沈黙が続いた後、引き返す気がないと悟ったヤマメは、
ヤマメ「引き返す気はないようだね。…わかった。それなら、ここを通っても大丈夫な人間かどうか、私達と弾幕ごっこで決めるよ!」
そう言い終わらないうちに、ヤマメとキスメは弾幕をレイジに向かって展開してきた。密度が高くヤマメ達の姿が見えない。
レン「レイジさん、危n (ガシッ)アーティさん!?」
アーティ「大丈夫よ。見ててなさい」
レン「えっ…?」
ふとレイジの方を見る。するとレイジは、二人を相手にして、あれだけの弾幕を全て綺麗に避けている。その上余裕の表情を見せている。しかしレンはレイジの動きに気になることがあった。
レン「すごい…あれだけの弾幕を避けきってる…でもなぜ反撃しないんですか?」
アーティ「あんたは知らない人をいきなり斬ったりするの?」
レン「するワケないじゃないですか。・・・あ、なるほど」
アーティ「そゆこと」
一方で、キスメは遠くからの攻撃は当たらないと思い、釣瓶落としの名の如く真上から落下して攻撃しようと考えた。弾幕で姿をくらましながらレイジの真上に飛ぶ。そしてレイジが自分に注意が行っていないことを確認し、彼の頭に目掛け真っ直ぐに落下した。
キスメ「(ごめんなさい…!)」
渾身の体当たりはレイジに直撃―――――――
するはずだったが、すでにレイジは攻撃を察知しており、当たる直前にかわした。
キスメ「…あれ?(ヒュッ)ひゃっ!?」
外れたと思った時には、キスメの眼前に正拳を突き付けられていた。キスメは驚いて動きが固まる。
キスメ「ま…参りました…」
ヤマメ「あんた…やるね」
妖怪に勝てる人間はそうそういない。ヤマメは遠くから比較的低密度の弾幕でレイジの実力を測っていたが、キスメを呆気なく降参させたため、本気でいこうと考えた。
ヤマメ「これで一対一か。じゃそろそろ本気を出させてもらうよ!」
するとヤマメは1枚のカードほどの大きさの紙を取り出し、頭上に掲げ高らかに宣言する。
ヤマメ「瘴気「原因不明の熱病」!」
アーティ「なにそれこわっ」
その恐ろしい名前の通り、今までよりも圧倒的な密度の弾幕が張られる。
ヤマメ「こいつはスペルカードといってね、今まで私たちが放った弾幕よりも強力だよ!」
多数の弾が一斉に襲い掛かる。流石に密度が高いため、数回服をかすりはしたものの、レイジは全て避けきった。
ヤマメ「まだまだ!」
何度も何度も繰り返し弾幕を展開する。だがレイジは一向に回避を続けるだけで反撃の動きを見せない。いつまでも攻撃を仕掛けようとしないため、ヤマメはナメられていると思ったのかだんだん苛立ち始める。ついには痺れを切らしてレイジに突進してきた。
ヤマメ「このぉおおお!なんで攻撃しないのさ!あんた私をナメてんの!?」
キスメ「ああっ!?ヤマメちゃん、ただの小手調べなのに直接攻撃はダメですぅ!」
爪を立てたヤマメの手が襲い掛かる。まともに妖怪の攻撃を受ければきっとタダでは済まない。しかしそこでもレイジは冷静だった。ヤマメの腕を受け流しつつ掴み上げ、足を引っ掛けてうつ伏せに転倒させる。そして起き上がられないよう片膝で背中を抑えながら掴んだ腕を締め上げる。ヤマメはたまらず悲鳴を上げる。
ヤマメ「痛い痛い痛い痛い痛い!!ま、参った!参ったからやめておくれえええ!」
キスメ「今後はすぐに怒っちゃダメですよ?」
ヤマメ「わかった!わかったから!ひぎいいいいいいい!」
アーティ「ね、あたしの言う通りだったでしょ」
レンはただただ言葉を失うのみだった。
作「(移転作業中…)」
弟「(exvsプレイ中…)」
作「…」
弟「あ、墜ちた」
作「m9っ(^Д^)」
弟は大変な極限の絶望をくれていきました