東方神喰者   作:wing

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皆さん、おはこんばちは。wingです。大学生活を送る時に一番厄介なのは宿題ですね。小レポートとかいちいちめんどくさいものばかりだもん・・・。まあ仕方ないか。それでは本編どうぞ。



Mission 20 鳴かない蛍

~サヤカside~

 

 

あれから天狗達がこちらに干渉しなくなっていた。何故かはよくわからないが、文が他の天狗達に説明したのだろう。現在はにとりの工房の中のダイニングで昼食(胡瓜のオンパレード)を食べ終わる頃だ。

 

 

サヤカ「あの人、何がしたかったんでしょう・・・」

 

にとり「さあね。あいつはなんか掴みどこがないってゆーか、・・・よくわかんないヤツだよ」

 

魔理沙「今から思い返すと、やっぱり囮とかやるんじゃなかったぜ。こっちは人間一人。相手は妖怪の中では強力な天狗。力量差的にも人数的にもどう考えても無理があったな」

 

サヤカ「ごめんなさい・・・」

 

魔理沙「お前のせいじゃない。・・・まぁ文の言う通り確かに慣れないことはするもんじゃねーな」

 

にとり「魔理沙もアリスとかパチュリーみたいに魔法使いになっちゃえばいいのに。そしたらある程度いけたかもよ?」

 

サヤカ「?それはどういう・・・?」

 

魔理沙「・・・あー何て言うのかな、同じ魔法使いでも種族そのものが「魔法使い」ってヤツがいるんだ。パチュリーはそれだな。アリスってのは私の友人でそいつも魔法使いだぜ」

 

サヤカ「じゃあ、魔理沙さんは魔法使いなんd」

 

魔理沙「いや違う。私は人間だ」

 

サヤカ「えっ、でも自分で空を飛んだりしてるのに」

 

魔理沙「あー・・・、アレだ、元々の種族に愛着があるのさ。サヤカ、例えばの話だが、お前は人間から別の種族になりたいと思ったことあるか?妖怪とか」

 

サヤカ「・・・ないですね」

 

魔理沙「私が言いたいのはそういうこった」

 

サヤカ「なるほど」

 

にとり「でも魔法使いより魔力が枯渇しやすいのは気になるでしょ?」

 

魔理沙「まあな。だがそれは大した問題じゃないぜ」

 

 

そんな雑談をしている内に、昼食(笑)を食べ終えた。

 

 

にとり「ふう、ごちそうさま・・・おっとまだ一本残ってた」

 

サヤカ「胡瓜は好きな方ですけど、ここまで胡瓜尽くしとは・・・」

 

魔理沙「ん、にとり、なんだよそれ。胡瓜に何かけてんだ?」

 

にとり「ん、失恋フレーバー」

 

魔理沙「・・・さっきの初恋ジュースとかいうヤツといい、お前の食事には一生ついていけそうにないぜ・・・」

 

サヤカ「絶対ブルーな気持ちになりますよねコレ・・・。おかしいですよにとりさん・・・」

 

にとり「そお?普通に美味いんだけどなー」

 

魔理沙「ワケがわからないぜ」

 

 

 

~にとりの工房・作業場~

 

 

 

さっさと用事を済ませようということで、昼食後後片付けをした後、作業場へやってきた。作業場というだけあってそれらしい構造になっており、作りかけの機械などもあった。

 

 

にとり「じゃ、始めよう・・・と言いたいけど、まずは君のそれを見せてもらうよ。構造がわからなきゃどうしようもないからね」

 

サヤカ「あッ!」

 

 

そう言いながらサヤカの持つ神機に手を伸ばす。サヤカは慌ててにとりの手から神機を遠ざけた。

 

 

サヤカ「触っちゃダメです!」

 

にとり「・・・?なんでだい?」

 

サヤカ「これは私以外の人が素手で触ったら危険なんです!」

 

魔理沙「・・・だからなんでだ?パチュリーのヤツも神機を勝手に調べて手を加えてたらしいけどケガとかしてなかったぜ?」

 

サヤカ「これは触れるのが扱う人以外だと痛みが走りオラクル細胞に侵喰されてしまうんです。恐らくパチュリーさんは魔法を使えますから手で触れることはなかったと思います。ちなみにこれは私以外の人が触ると危険です」

 

魔理沙「おいおい、使い手以外のヤツが触ったらオラクル細胞が蝕むだなんてどんだけワガママな武器なんだよ」

 

サヤカ「私達の世界でもこれは問題視されてるんです・・・」

 

にとり「なるほど。これは興味深いなぁ」

 

 

と言いつつ、注意したのに神機に触れようとする。

 

 

サヤカ「だから触らないでって言ってるじゃないですか!」

 

にとり「ああごめんごめん。いっぺんどんな感じなのかなって思ってさ」

 

魔理沙「大した度胸だぜ・・・」

 

にとり「それより、これについてもっと詳しく教えてくれないかな。不思議な部分が多すぎる」

 

サヤカ「わかりました」

 

 

サヤカは神機の大まかな構造、特徴をにとりに教えていく。サヤカは神機の構造について専門的な知識はあまりないが、変形させてみたり、各形態を見せるなどしていった。

 

 

 

~20分後~

 

 

にとり「うん、大体わかったよ。それにしてもまさかの生体武器とはね。これを扱うのは初めてだ」

 

魔理沙「サヤカ、弾も見せなきゃいけないんじゃないか?」

 

サヤカ「あ、そうでしたね。ふう、今日は忙しくなりそう・・・」

 

 

サヤカは魔理沙から貸してもらった袋からバレットを取り出す。

 

 

にとり「おお、結構たくさんあるんだね」

 

サヤカ「ええ、もう一人の方の分もありますので」

 

魔理沙「そいつもサヤカと同じ武器を使うんだぜ、名前はレイジってんだ」

 

にとり「へえ、一度会ってみたいなぁ。まあとりあえずその弾みたいなものも調べるとするかな」

 

 

 

~少女調査中・始~

「ちょっと撃ってみますね」「じゃ的当てだぜ、この失恋フレーb」「ああッらめえ!それはらめ!らめだっt」「こんなものが存在して何になる!撃て!狙い撃つんだ!」「それを撃てばいいんですか?」「だかららめだってサヤカ!自分が今、何を撃とうとしているのか、お前本当にわかってるのか!」「にとり!動くと撃つ!(サヤカが)」「なんか趣旨変わってるような気が・・・」「ゾンナコドヤッテミロ!ワタスィァクサムヲムッコロス!」「お前変なとこで滑舌悪くなるな」「にとりさん、バレットについて知ってもらうためなので・・・ごめんなさい!」「頼むからモウヤメルンダッ!!」「狙い撃つぜえええええええええええええええ!!!!!」「らめええええええええええええええええ!!!!!!!!」

 

 

バシューン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女調査中・終

 

 

 

 

にとりは好物をダメにされてしまったことに大泣きし、サヤカと魔理沙は後悔の念が湧き始めていた。

 

 

にとり「うわ~~~ん」

 

サヤカ「ああ・・・やっぱり悪ノリなんてするんじゃなった・・・」

 

魔理沙「さて、問題はどうやってこいつをなだめるかだ」

 

にとり「わ~~~アレが家にある最後の残りだったのに~~~」

 

魔理沙「ああ悪かった悪かったって。で、アレは人里で売ってんのか?」

 

にとり「知らないよ~~」

 

サヤカ「うわ、やってしまいましたね・・・」

 

魔理沙「しゃーないな、この様子じゃアレ持ってこないと落ち着きそうにねえ。ついでに胡瓜も買ってくるか。人里へ行くぞ、サヤカ」

 

サヤカ「人里・・・ですか。そこにはさすがに妖怪とかいませんよね?」

 

魔理沙「お前は何を想像してんだ?流石にそれはないぜ?」

 

サヤカ「あ・・・そうですよね。にとりさん、ちょっと人里へ行って失恋・・・なんたらを探してきます。胡瓜も買っておきますね」

 

にとり「ぐすん・・・アレないと元気出ないよ」

 

魔理沙「(あんな名前からして明らかにテンション下がりそうなモンをか・・・?)」

 

サヤカ「神機・・・どうしようかな。抜き身で人里を歩くワケにはいかないし」

 

魔理沙「レイジのあの鞘みたいなのはないのか?」

 

サヤカ「ありませんね。私はアレを作れる程器用じゃありませんから・・・」

 

にとり「布がそこにあるから巻いていきなよ・・・うう」

 

 

にとりは体育座りをしながら指を指す。その方向には、テーブルの上に長い布があった。サヤカは礼を言いつつ神機に布を巻いた。

 

 

魔理沙「・・・変なモンだな。人に対しては危ないのに、物に触れるのは大丈夫なんだな。「侵喰」ってよくわからないぜ」

 

サヤカ「元の世界でも未だに謎が多いものですからね。あ、にとりさんバレットは置いてきますね。まだ詳しく見せていないので・・・」

 

にとり「・・・さっきので大体はわかったよ」

 

魔理沙「じゃバビューンと行ってくるぜ」

 

 

サヤカと魔理沙は足早に工房を後にした。にとりは未だ体育座りで顔を伏せていたが、二人がいなくなると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

にとり「ふ・・・ふふふ・・・」

 

 

うずくまりながらのため声が籠る。その後ガバッと立ち上がり、

 

 

にとり「ふはははは!フレーバーを失ったのは予想外だったけど、魔理沙達が探してくれるみたいだからよしとするか!胡瓜も買ってくれるみたいだし!あいつにしては珍しいよね、自ら奢ってくれるなんてさ!」

 

 

にとりは意気揚々とサヤカの置いていったバレットに目を通しながら呟く。

 

 

にとり「・・・まあ、概ね・・・計画通り(ニヤリ)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、誰もいないはずなのにどこからか声が聞こえてきた。

 

 

魔理沙「聞こえてんぞ~」

 

にとり「ひゅいッ!?その声は魔理沙!?」

 

 

声のした方へ振り返ると、そこには魔理沙とサヤカの姿が。

 

 

にとり「ええッ!?は、早すぎでしょ!」

 

魔理沙「諦めろ、ここは幻想郷だぜ?」

 

サヤカ「魔理沙さんスピード出し過ぎですよ・・・。腕千切れるかと思ったじゃないですか・・・」

 

にとり「・・・(゚д゚;)で、手に入ったのかい・・・?」

 

魔理沙「ああ、なぜか人里で売ってたぜ。新商品ってでかでかと宣伝してたからな」

 

 

魔理沙は紙袋の中から失恋フレーバーを取り出してにとりに見せる。

 

 

にとり「へえ・・・(゚д゚;)まあ・・いいか、ありがとう」

 

サヤカ「胡瓜も十本ほど買いました」

 

にとり「おおありがとう、どれどれ、・・・うほっ、いい胡瓜・・・」

 

魔理沙「お前今すんごい変な顔してたぞ」

 

にとり「!?ああごめんごめん。今日のはいい形してるなあと思ってね」

 

魔理沙「ふーんそうかい。とりあえずサヤカの武器と弾の改造済ませようぜ」

 

にとり「魔理沙、気が早すぎるよ。まだサヤカの・・・何て名前だっけアレ」

 

サヤカ「神機でs」

 

にとり「そうそうそう。さっきサヤカが神機の大体の構造を見せてくれたけど、まだまだ気になるところも、調べなきゃいけないところも沢山あるんだ。いくら私でも、すぐになんとか出来るワケじゃないんだよ。ましてや生体武器となるとね」

 

魔理沙「・・・そうか。でも急ぎめで頼むぜ、いつアラガミが山に攻めてくるかわからない、下手したらここをピンポイントで狙ってくるかもしれないしな。天狗を怒らせたら面倒だ」

 

サヤカ「・・・にとりさん、出来ますか?」

 

にとり「な~に任せときなって!最近ヒマで仕方なかったからさ!こいつは腕が鳴るね!」

 

 

 

 

~少女作業中~

「サヤカも付き添ってもらうよ」「ええ、もちろんそのつもりです」「その間ヒマになるな」「じゃ掃除お願い」「・・・ま、ヒマ潰しにはなるか・・・」「さて、神機の変形機構のあたりは大体わかったんだけど、~~~・・・」「ええ、それはこうでこうなってて、私はそこまで詳しいってワケじゃないんですけど、~~~・・・」「・・・」「~~~・・・」「~~~、~~~・・・」「・・・・・・」「~~~~なのかー」「~~~、~~~~」「・・・やっぱヒマだな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~一時間後・ダイニング~

 

 

 

魔理沙「・・・あまりにもヒマだから念入りにやりすぎたぜ・・・。我ながら恐ろしい程に部屋が輝いてるな・・・」

 

にとり「ただいま~ってひゅいッ!?」

 

サヤカ「ここ、どこですか・・・?」

 

 

サヤカ達がダイニングに戻ると、見違えるほどに綺麗な部屋になっていることに驚愕する。所々が日光に当たって輝いており、鏡のように物が映る部分も。

 

 

魔理沙「おまえは何を言っているんだ、にとりの家だぜ」

 

にとり「ま、魔理沙・・・これを、君一人で?」

 

魔理沙「ああ、つってもあんまりヒマだったもんだからいつも以上にやっちまったが」

 

サヤカ「魔理沙さんって、もうちょっと大雑把な人だと思ってました・・・(これまでの行動からも、口調からしても)」

 

魔理沙「失礼なヤツだな。私だって女なんだ。こういう繊細さが必要なことはしっかりするぜ。魔法だって同じだ」

 

にとり「何はともあれ、ありがとう。こっちもとりあえず改良の目処が立ったよ」

 

魔理沙「おお、それはよかったな。あとは実行に移すだけか」

 

サヤカ「ええ、ようやく一息つけそうです」

 

 

ひとまず休憩を取ることにし、にとりは冷蔵庫にサヤカ達でも興味を持ちそうなものがないか探し始める。サヤカと魔理沙はリビングに移動しソファーに座ってくつろいでいる。

 

 

サヤカ「なんだかここ、とても親近感が湧いてきます」

 

魔理沙「私にとっちゃ変わったモンだらけにしか見えないがな。だが便利といえば便利だな」

 

サヤカ「ふう・・・」

 

魔理沙「・・・あーなんか疲れたぜ、掃除念入りにやったから無駄に体力使っちまった」

 

サヤカ「・・・」

 

 

サヤカは顔を天井に向け完全に脱力した体勢になる。幻想郷に迷い込んでから、ここまで落ち着ける時間はあっただろうか。今までの出来事を振り返ると、目まぐるしく思えてくる。恐らくこの束の間の休息もすぐまた目まぐるしい日々に埋もれるのだろう。そう思うと、少し気分が滅入る気がした。

 

 

魔理沙「・・・なんか完璧な脱力を見た気がするぜ・・。そんなに疲れてんのか?」

 

サヤカ「ここに迷い込んだ時といい、紅魔館の時でも永遠亭の時でも、たとえ一瞬でも、ここまで心置きなく落ち着ける時間ってあったかなぁ・・・て思いまして」

 

魔理沙「・・・まあアラガミが幻想郷(ここ)に来てなければ、こうも忙しくならなかっただろうな」

 

サヤカ「・・・」

 

魔理沙「なあ、突然だけどお前、何か悩んでないか?」

 

サヤカ「え・・・?」

 

魔理沙「紅魔館の図書館で、私がお前に今後の話をしようと話しかけた時があったろ?あん時お前様子が変だったから、気になってさ」

 

サヤカ「・・・・・・大した問題じゃないでs」

 

魔理沙「私でよければ相談に乗るぜ」

 

サヤカ「・・・ここで話す意味、ないと思います。元の世界でのことなので」

 

 

紅魔館の図書館でのことを思い返し、サヤカの表情が少し険しくなる。あれはあくまでも推測の域を出ないが、ありえない話でもないように思えたため恐怖を感じたのだ。神機使いもそうでない人間も、やがてアラガミによって滅ぼされる未来。アラガミを地球から排除出来ても、アラガミに依存しきった社会が適応しきれずに後の人類に破滅をもたらす未来。ならば今自分がしていることに意味があるのか。サヤカは心の片隅で心配し続けているのだ。出来ることなら話したい。しかしこれは元の世界での問題であって幻想郷の住人には関係のないこと。だから言っても意味はないだろうと、サヤカは黙秘を続ける。そんな中、にとりがお盆と少し小さめのやかんを持って部屋に入ってきた。

 

 

にとり「いや~、こないだ霊夢から貰った緑茶があるのをすっかり忘れてたよ」

 

魔理沙「おお、それがあるなら最初から出してくれよまったく~」

 

にとり「はいどうぞ」

 

 

にとりはサヤカと魔理沙の前に湯呑みを置き、彼女もソファーに座った後持っていたやかんと湯呑みをテーブルの上に置く。

 

 

サヤカ「・・・ありがとうございます」

 

魔理沙「ようやく口直しが出来るな」

 

 

緑茶を飲んでほっとする3人。一気に飲み干した後、にとりがサヤカに話しかけた。

 

 

にとり「ねえサヤカ、ちょっと気になったことがあるんだけどさ」

 

サヤカ「はい」

 

にとり「君がここに来てアラガミについて話してくれた時と、さっき君と神機の改良について話し合ってた時に思ったことがあるんだ」

 

サヤカ「・・・?」

 

 

にとり「・・・もしアラガミがいなくなったらさ、君らはどうするの?」

 

 

サヤカ「・・・!」

 

 

あまり考えたくないことを聞かれてしまった。サヤカはピクと反応する。

 

 

にとり「さっき、君の右手首につけてる腕輪、取れないって言ってたよね。それのおかげで自分の体がアラガミ化しないようにしてくれてるって」

 

魔理沙「へえ、お前のその腕輪、そういう役目があったのか」

 

サヤカ「・・・ええ」

 

にとり「定期的に偏喰因子を注射してオラクル細胞の暴走を防いでるって聞いて思ったんだけどさ、なんかおかしくない?」

 

サヤカ「・・・」

 

魔理沙「・・・?どういうことなんだ?」

 

にとり「サヤカ達神機使いはさ、アラガミを倒すために存在するワケでしょ?なのになんでアラガミの細胞を体に取り込まなきゃいけないのさ?」

 

サヤカ「・・・私も疑問に思ったことはあります」

 

にとり「腕輪で体をオラクル細胞に喰われないように制御して、定期的に注射して。・・・なんか、変なんだよね。・・・まるでアラガミを倒さなければならないはずが、アラガミなしじゃ生きてられないような体にしてるっていうか・・・そんな気がするんだよね」

 

 

サヤカ「・・・」

 

 

あまり考えたくない。なんでこうなったかなんて、自分だってわからない。サヤカは段々変な気持ちになっていく。

 

 

魔理沙「なるほど、確かにそりゃ変だな。てことはアラガミがいなくなったら、サヤカ達の世界の人間は・・・」

 

サヤカ「・・・誰も、生き残れない」

 

にとり・魔理沙「・・・!」

 

 

もうここまできたら話すしかないだろう。先程魔理沙が悩みを聞こうとしていたことからも。サヤカは魔理沙の方へ顔を向けながら口を開く。

 

 

サヤカ「魔理沙さん、さっき悩みがあったら話してくれって言いましたよね・・・今から言うのが私の悩みです」

 

 

考えたくない、嫌だという気持ちを胸の中でで押さえつけ、笑顔を作る。しかし殆ど隠せていない。悲しげに笑っている、そんな表情だ。

 

 

魔理沙「・・・何だ?」

 

サヤカ「紅魔館の図書館で話をした時、思ったんです。そういえば、ここまでアラガミを根絶しようと考えたのは初めてだなって」

 

魔理沙「・・・」

 

サヤカ「今から思い返すと、不思議に思ったんです。元の世界で私達はアラガミを討伐して、報酬を貰って・・・そんな生活にいつの間にか満足している自分がいることに気づいた時、人類はなんで本気でアラガミを根絶しようとしないのかなって」

 

にとり「・・・」

 

サヤカ「アラガミは倒しても霧散して別の場所で新たな固体になるって私言いましたっけ」

 

魔理沙「ああ」

 

にとり「うん」

 

サヤカ「神機を作れる技術があるなら、霧散したオラクル細胞をなんとかすることだって不可能じゃないと思うんです。でも大人達が言うには、地球上からオラクル細胞を排除することは不可能だと言うんですよ」

 

にとり「・・・」

 

サヤカ「そこで私、考えてみたんです。もし地球上からアラガミがいなくなったらどうなるかって」

 

魔理沙「ほう」

 

サヤカ「私達の住む世界には、自然が殆どありません。幻想郷(ここ)で例えるなら、今の3割弱と考えてくれればいいかと」

 

魔理沙「ええッ!?3割もないのかよ!?おいおい、それじゃ酸素が足りなくなって皆死んじまうぜ!?」

 

サヤカ「ええ、でも私達の住む地球の大気は保たれているんです。何故だかわかりますか・・・?」

 

にとり「・・・アラガミ、だね」

 

サヤカ「・・・その通りです。アラガミは捕喰したものの性質を受け継ぎます。そして植物を捕喰したアラガミが光合成してくれているおかげで大気が保たれてるワケなんです。・・・皮肉ですよね」

 

にとり「ふうん、だとするとそれがアラガミを根絶出来ない大きな理由っぽいね」

 

サヤカ「恐らく。それともう一つ、私達神機使いにも問題があります」

 

魔理沙「?」

 

サヤカ「仮にアラガミがいなくなったら、神機使いの命を繋ぐ偏喰因子の製造が出来なくなります」

 

魔理沙「・・・えっと、確か神機使いは偏喰因子ってのをを定期的に注射しないといけないんだったな?・・・はッ」

 

 

魔理沙は言葉を続けようとした時、ふとその先がわかったような気がして、はっと口の動きが止まる。

 

 

サヤカ「・・・もしそれが出来なくなったら、私を含め神機使いは皆、アラガミになってしまいます」

 

魔理沙「そんな・・・」

 

にとり「君が最後に注射したのはいつだい?」

 

サヤカ「幻想郷に迷い込む前日ですね。なので当分は大丈夫かと」

 

サヤカ「長々とした説明になってしまいましたが、私が今悩んでるのは、さっき言った2つの理由でアラガミの根絶が出来ないことから私達に未来があるのかってことなんです」

 

魔理沙「・・・?ちょっと意味がよくわからないぜ」

 

サヤカ「仮にアラガミを根絶出来ても、光合成するアラガミまでいなくなるから酸素が欠乏して生物が死滅してしまうこと、根絶することで偏食因子が作れなくなって神機使いがアラガミ化してしまうこと・・・。かといって放っておけば確実に人類は滅亡の一途を辿ってしまう。どの道アラガミが地球上に残って、私達は滅んでいく・・・そう思うと、今私がしようとしてることに意味があるのかなって・・・」

 

魔理沙「・・・」

 

サヤカ「私・・・怖いんです」

 

 

サヤカの表情はより悲しみの色が強くなり、腕を抱え込む。魔理沙は励ましの言葉をかけようとするが、言葉が見つからず黙り込んでしまう。するとにとりは少し考え込んだ後、口を開いた。

 

 

にとり「いいやサヤカ、決して無駄なんかじゃないよ。君は間違ってない」

 

サヤカ「え・・・?」

 

 

サヤカは顔を上げ、にとりの方へ顔を向ける。にとりは立ち上がって力強くサヤカを見つめている。

 

 

にとり「少なくとも君が今やっていることは幻想郷では無駄にはならない。まだここは君のいた世界と違って自然豊かだ。今ならアラガミをやっつけることに躊躇しなくたっていいんじゃないのかい?」

 

サヤカ「あ・・・」

 

にとり「それに、ない技術はこれから作ればいいじゃないか。必要なら、私も手伝ってあげるよ」

 

サヤカ「そんなことしてくれて、いいんですか・・・?」

 

にとり「君は私の盟友なんだ!君が幻想郷(ここ)の住人じゃなくても私は・・・・いや、私達は、君達に不幸になってほしくないんだ」

 

サヤカ「にとりさん・・・」

 

魔理沙「お前が帰った後でも私達は「元の世界に帰ったからその後のことなんて知ーらない」なんて思わないぜ」

 

サヤカ「でも・・・」

 

魔理沙「「なんでそんなに優しくしてくれるのか」ってか?」

 

 

魔理沙はサヤカの目の前に移動し、目線に合わせてしゃがみ、優しく語りかける。

 

 

 

サヤカ「一人でくよくよ考え込むなんてつまんないことは諦めろ。ここは幻想郷だぜ?」

 

 

 

サヤカ「・・・」

 

 

聞き慣れた言葉のはずなのに、何故か目頭が熱くなる。サヤカは溢れ出る感情を必死に押さえていた。しかしそれも魔理沙にはお見通しだったようだ。サヤカの頭に手を置き、くしゃくしゃと動かす。

 

 

魔理沙「くどいようだが、幻想郷(ここ)は全てを受け入れる場所。お前が今我慢している気持ちだって、ありのままに出しちまったっていいんだ」

 

サヤカ「・・・う」

 

にとり「それに、今回の異変は君だけの問題じゃない。私達も全力で解決に向けて努力するつもりだし、君の手助けだってするよ」

 

 

サヤカは遂に押さえていた感情が漏れ出し、小さく泣き声を上げ始めるサヤカ。魔理沙はサヤカの頭を撫で続ける。

 

 

魔理沙「私達はいつだってお前の味方だぜ」

 

サヤカ「・・・はい」

 

にとり「・・・涙が枯れた後でもいい、気持ちが落ち着いたら改良を始めようか。じゃ、私は先に作業場に戻ってもう少し君の神機を詳しく調べてみるよ。あとあの弾もね」

 

 

にとりはそう言い残して部屋を後にした。サヤカは涙を拭い、魔理沙へ向きなおす。

 

 

サヤカ「・・・ごめんなさい、ネガティブになってしまって。今は泣いてる場合じゃありませんよね」

 

 

あまりにも泣き止むのが早いため、魔理沙はまだ無理をしているのかと心配する。

 

 

魔理沙「確かにその通りだが、・・・もう大丈夫なのか?心のケアだって時には必要だぜ」

 

サヤカ「もう大丈夫ですよ。幻想郷(ここ)に迷い込む前も、苦しくて泣いたことは沢山あったのでもう慣れっこです」

 

魔理沙「・・・じゃあ最後にもう一杯だけ飲んでいくか」

 

 

魔理沙はテーブルに置いてあるやかんを持ち、サヤカの湯呑みに緑茶を注ぐ。心遣いに感謝しながらサヤカはネガティブな考えを振り払うように一気に飲み干した。

 

 

サヤカ「ふう、では行きましょう」

 

魔理沙「おう」

 

 

どんな辛い未来が想定される事態にあっても、決してやる前から諦めない。サヤカはこの時心に決めた。自分が想像した未来とは違う、皆が笑って暮らせる世界を守ってやるんだと堅く、堅く決心した。

 




弟「なあクソ兄貴」

作「?」

弟「サヤカが能力持ちになるのはいつだ?」

作「もうすぐかな、まだ詳しくは考えてない」

弟「レイジがもう2つも持ってるからさ、そろそろヤツにも能力覚醒とかあってもいいんじゃねーかと思ってな」

作「キラキラバシューン!」

弟「おいやめろ、俺は種死アンチなんだ」
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