~レイジside~
白玉楼での騒ぎは一段落し、アラガミの処分、庭の整備を始めるレイジ達。ここの庭は枯山水となっている。遥か昔、かつて日本と呼ばれた極東地域にこういった形式の庭が存在していたらしいが、今ではもう見られない。なんでも庭そのものが芸術のひとつとなっているそうだが、先の戦いの後なので思い切り荒らされている。この庭はそれなりの広さを持つため元通りにするのに時間が掛かりそうだ。ひとまず
フラン「そういえばさレイジー、アラガミも血みたいなの吹き出すみたいだけど、これって本当に血なのかな?・・・え、似てるけど違う?・・・やっぱそうなんだ・・・最近あんまり血吸ってないなぁ」
レイジ「・・・」
フラン「・・・」
レイジ「・・・?」
フラン「・・・うー!(ガブッ)」
レイジ「!?」
最近血を吸っていないことに飢えでも感じていたのだろうか。突如レイジの手に噛みついてくるフラン。端から見たら犬に手を噛まれているようにも見えるかもしれない。だがフランはすぐに怯んだように口から手を放す。
フラン「げえっぺへっぺっ!う~舌痛い・・・やっぱりダメかぁ・・・」
レイジ「・・・(溜息)」
カリギュラを始末した後、階段に向かうことにした。あそこでアラガミの群れの死骸がまだ残っているかもしれない。
フラン「ねーレイジ、こんなとこに来て何するの?ん、ここの掃除?」
やはり何体かは既に霧散してしまっているようだ。白玉楼に来る前に処理しておくべきだったと後悔する。
~5分後・白玉楼の縁側~
レン「あ、おかえりなさいレイジさん」
レイジ「・・・」
レン「アーティさんのケガは思ったよりも大したことはありませんでした。今は居間の方で休んd」
アーティ「あたしがどうかした?」
レン「あっ・・・!?手当てしたばかりなのにあまり動いたr」
アーティ「あたしは頑丈な方だから大丈夫だって。それよりレイジ、悪かったわね、足引っ張っちゃって」
レイジ「(首振り)」
レン「何も悪かったことはありませんよ。あんな状況で大事に至らなかっただけでもラッキーなことです」
アーティ「・・・まぁ今考えたら、あたしら初見かつほぼ無策でよく倒せたなぁ」
レン「そう言えば、紅魔館の時もそうでしたね、・・・なんであんなにうまくいったんだろう・・・」
アーティ「ここが幻想郷だからじゃない?」
レン「・・・あぁなるほど、・・・ってそんな理由でいいんですか・・・」
アーティ「レイジ、フランどうした?一緒にいたんじゃなかったの・・・あ?またトイレ?」
レイジ「(コク)」
アーティ「ふうん・・・じゃあいつがトイレから戻ったらどうする?あまりここに長居するのもアレじゃない?」
レン「そうですね・・・でもただぶらぶらするワケにもいかないし・・・」
アーティ「とりあえず黒いハンニバルがどこ行ったか探す?放っとくとまずいわよアレ」
レン「あ、そういえばそうでしたね、それでいってみましょう」
確かに黒いハンニバルの行方は気になる。もし人里にでも行ってしまったら大変だ。次の目的が決まった直後、フランの声が聞こえてきた。
フラン「レイジー!どこー!あっいた!」
縁側の曲がり角から明るい笑顔で走ってくる。その元気さはコウタと似ている。
フラン「これからどうする?もうここでやることなくなっちゃったけど・・・え、あの黒いのを探すって?いいね、面白そう!」
アーティ「こいつは孤独以外に怖いものはないのか・・・」
~白玉楼、居間~
幽々子「あら、もう行っちゃうの?」
レイジ「(コク)」
幽々子「もう少しゆっくりしていってもいいのよ?・・・ん?さっき逃げた怪物を追う?あ~そういえば1体逃げたのがいたわね。確かに放っておくままというのはまずいかも。私も何かお手伝いしたいところだけど・・・」
フラン「大丈夫だよ、私とレイジ、2人ならどんなヤツも楽勝だよ!」
レイジ「・・・」
幽々子「・・・そう。じゃああの黒いのは任せてもらってもいい?」
フラン「うん、任せといて!」
妖夢「幽々子様、最近の新聞の記事で見たのですが、永遠亭に行ってみるというのはどうでしょう?最近幻想郷中で今回のような事件が起こっているそうですよ」
豊姫「ここ以外にも・・・?」
幽々子「ふむ・・・考えておこうかしらね」
フラン「そろそろ行っていいかな?」
幽々子「あらごめんなさい、早く見つけないといけないんだったわね。気を付けていってらっしゃ~い」
フラン「うん!それじゃあねー!」
レイジ「(ペコリ)」
アーティ「うわ、こんな長かったんだここの階段・・・」
レン「一番下まで見えませんね・・・」
フラン「なんか歩いて降りるの面倒だなぁ・・・そうだ」
何を思いついたのか、フランはレイジの背後へ周り込む。レイジは気になり振り向くが、
フラン「前向いてて。レイジ抱えて飛んでいけば早いかなって」
アーティ「その発想はなかった」
あまり気が進まないが反論する意味もないのでフランの言う通りにしておく。するとフランはぐいとレイジの胴を抱えて飛び上がり、一気に飛び出した。吹き抜ける風が心地よく、意外にも爽快な気分だ。しかし自分の方が身長も体重も上のはず。
フラン「ん?ああ全然平気だよ。確かにレイジの方が背高いし重いだろうけど、私にはどうってことないね!」
アーティ「随分と楽しそうなこって」
レン「・・・とりあえず、急がないと置いていかれますね・・・」
ヴィーナス「・・・ふぅ、ようやく出番回ってきたか。かれこれ10話以上出番なかったなぁ・・・」
オウガテイル「メメタァ・・・」
ヴィーナス「・・・あ?なんであたしが幻想郷(ここ)にここにいるってバラしてんのかって?ああ、作者の野郎が番外編で力尽きたっていってたからあたしが「もうバラそうか」っつったら喜んで賛成しやがってさ。ったくアイツ伏線の使い方もうちょいなんとかならないかなぁ・・・あんな表現じゃ読者の皆もあの「?」があたしだって簡単に気付くっつーの」
オウガテイル「メメタァ・・・」
ヴィーナス「・・・おや、あんたいつの間にそんな鳴き真似覚えたんだい?」
オウガテイル「ガウ」
ヴィーナス「・・・大将がメタいこと言うからツッコもうとしたら出来てしまったって?・・・いや普通出来ないと思うんだけど・・・」
オウガテイル「・・・」
ヴィーナス「さぁてあの坊やは今何してんのかなぁ・・・。最近ここの住人があたしらを警戒する動きが出てきたし無闇に見張りを送れないんだよなぁ・・でもあのリンドウがアラガミ化して幻想郷に迷い込んでるって話らしいしこっち側に引き込んどきたいんだけどなぁ・・・」
オウガテイル「(ジェスチャー中)」
ヴィーナス「ん?・・・あたし?・・・の目・・・?が、・・・あの坊やの目・・・?何言ってんだい、そんなこと知ってr」
オウガテイル「(ジェスチャー中)」
ヴィーナス「あ?まだあんの?・・・あいつの?・・・視野?・・・でいいの?・・・ああそうかそうか。で?・・・あたしが、・・・あいつの視野で・・・物を、見えないか・・・?」
オウガテイル「(コク)」
ヴィーナス「・・・あ~なるほどねわかったわかった言いたいことわかったよ。つまりあの坊やの目は元々あたしのだからあいつの視点でものが見えないかってことだね?」
オウガテイル「(コク)」
ヴィーナス「いいアイディアじゃんそれ!じゃ早速・・・つってもどうやればいいか・・・目ェ凝らせばいいかな?・・・おお?・・・・・・見える、見えるぞ!あたしにも敵が見える!」
ヴァジュラテイル「ガウアー(言いたいだけッスよねそれ)」
ヴィーナス「やかましい、作者はガンダム好き(自称)だから仕方ないだろ、文句なら作者に言え」
オウガテイル「メメタァ・・・」
妖精「あ!見つけた!最近あちこちで暴れ回ってる怪物!」
妖精「私達の自然を壊すなー!」
妖精「妖精は自然そのもの!妖精の怒りは自然の怒り!」
妖精「私達の仲間を喰らうバケモノめ!」
妖精「青き清浄なる世界のために!」
妖精「お前を殺す」
ヴィーナス「わあぉ団体さんのお越しだぁ!お前達、おやつの時間といこうかね!」
数十秒後――――
ヴィーナス「ごちそーさん。妖精ってのは大したことないんだねぇ、ま、こっちの方が数が多かったってのもあるけど」
妖精「・・・う」
「ガアアアアア!(うほッまだ生きてるの見っけ!いただきー!)」
「ガアアアアア!(アホか俺のものだー!)
「~・・・(あそこに行きたい・・・けど行けない)」
ヴィーナス「ほい取ったどー」
「グゥウ!(あっ大将ずるい!)」
妖精「いやああ!喰われたくない!いや!いっう、あ、あっあああああああああああ!!」
ヴィーナス「・・・きゅっぷい。これで全部か」
「orz」
「orz」
「(´・ω・`)」
「orz」
ヴィーナス「はっはっは、次があるさ・・・ん、あれは・・・洞窟?・・・下に向かってるってことは地下か?・・・先がよく見えんなぁ、まいいや、しばらくはここを拠点にしてみるか」
~レイジside~
フラン「地面が見えてきたね。・・・はい到着!」
階段を飛行で下りるという初めての体験だったが、悪い気分ではない。ここから少し先の辺りで出口があるだろう。ユーバーセンスで出口を確認、今レイジとフランが立っている場所は階段を下りてすぐ、舗装された道路に立っている。出口は道なりに真っ直ぐ進めば見つけられそうだ。位置を確認し終え、アーティとレンが追いついてきているかどうか振り返る。思ったより追ってくるスピードが速く、あまり間もなくして追いついたようだ。アーティは階段の端をまるでレールの上を滑走するかのように下りており、レンは数段飛ばしで急いで下りてきていた。
アーティ「いきなり置いてくんじゃないわよまったく。下りてくのめっちゃ大変だったんだから!」
レン「はぁっはぁ・・・何回か転びそうになりました・・・」
フラン「ねぇ、ここからちょっと進んだ辺りが、私達がここに飛ばされた場所だったよね?」
レイジ「(コク)」
フラン「なら早く行こ!あの黒いのほっといたらまずいでしょ?」
そう言いながら前を走って行くフラン。後を追うようにレイジも駆け出す。しばらく走っていると、景色が歪んで見える場所を発見した。森の中で見たのと似ている。フランは立ち止まることなく歪みに飛び込んでいき、消えていく。
アーティ「そういやここってさ、冥界なんでしょ?こんな簡単に出入りできるようにしていいワケ?」
レン「確かに気になりますけど、今それを考えるのはやめておきましょう・・・」
確かに今それについて考えても意味はない。アーティはあまり納得いかない様子だったが深く考えないことにしたようだ。フランを待たせるわけにはいかないのでさっさと歪みに飛び込む。そして次の瞬間、視界一杯に森の景色が広がっていく。
フラン「来るの遅いよ、早く行こう・・・ってどこへ行けばいいのかな」
アーティ「ほらレイジ、ユーバーセンス」
レイジ「・・・・・・」
アーティ「・・・・・・。(・・・遅いわね。まさか、見つからない?)」
フラン「・・・・・・。まだー?・・・え、自分の見える範囲にはもういない?」
アーティ「チッ、遅かったか・・・・・・ん、ねぇ、あの結晶は反応しないの?パチュリーからもらったヤツ」
早速結晶を取り出すレイジ。だが結晶はまるで真実を隠すかのように透き通っている。
アーティ「・・・完全に見失ったみたいね」
フラン「う~んどこ行こう・・・」
アーティ「一応人里へ行ってみる?念のためだけどさ」
レン「そうですね、何もしないよりは・・・」
フラン「どこ行くの?・・・人里?わかったー・・・あ!」
レイジ「?」
フラン「日傘忘れて来ちゃった・・・ちょっとあの歪んでるとこ行ってくる!」
~人里~
フラン「危ない危ない、日傘忘れてたことに気付けてよかったよ」
アーティ「レイジ、これ、フランに」
レイジ「?」
どこで拾ったのだろうか、アーティから大きな茶色い布を渡される。マントのように纏うことが出来そうだ。
アーティ「道中で見つけたヤツなの。落し物かしらね」
レン「・・・?何故それを使う必要が?」
アーティ「今からあたしらは人里に入るのよ?そこに妖怪とかが入って来てみなさいよ、パニックになりかねないわ。羽根だけでも隠しとかないと」
レン「ああ、なるほど・・・」
フラン「ん、レイジどうしたの?・・・これを纏うの?・・・まいいか、日光を防げるし」
フランに茶色い布を纏わせ、人里に入る。木造の建物が多く活気に満ちており、日本の江戸時代の街並みを想起させる。だが里の人々を見ていると、和服に洋物の靴を履いていたり、頭髪が「ちょんまげ」と呼ばれるスタイルでないことから幻想郷は明治時代の頃の世界なのかもしれない。フランは見たことのない景色に感嘆の声を漏らし続けている。
レン「見たところここは襲撃を受けてはいないようですね」
アーティ「来るだけ無駄だったようね・・・まレイジのユーバーセンスで見つけられなかったんなら当然か」
周囲を見る限り襲われた様子はなく、いつもの状態という雰囲気を醸し出していた。だが自分達の存在はやはり目立つようで通り過ぎる人々の視線が集まる。しかし警戒してはいないようだ。
アーティ「どうする?見たところ異常無さそうだしどっかで飯食っとく?今日あたしらしっかりとした食事をとってないでしょ?」
レン「そう言えばそうでしたね。もうとっくにお昼ですし」
そういえば今日はしっかりと食事をとっていない。周囲を見渡して飲食店でもないか探す。すると意外にも近くにあることに気付いた。傍に立てられた看板に店の名前が書いてあるのだが、非常にシンプルな名前だ。
アーティ「「飯や!」・・・」
レン「シンプルでいい名前じゃないですか」
フラン「ごはんごはん♪早く行こうよ♪」
入口で垂れ下がる暖簾をくぐり店内へ。中は客で賑わっており空いている席が少ない。空いている席を探し出して座る。1つ1つの席が横に広くあと2,3人は座れるかもしれない。レイジは席の隅に置いてあったおしながきを取って机上に広げる。
店員「いらっしゃい!お、あんた達、見かけない顔だな、外来人か?」
アーティ「ちょ1発で当てた!?」
レイジ「(コク)」
フラン「私は違うけどね」
店員「はっは、驚いたか?あんたは最近新聞で話題になってんだぜ?突然現れた怪物どもを倒して回ってるってさ!」
レイジ「・・・」
店員「・・・ん、そっちのお嬢ちゃんは新聞でも見ないな。お連れさんかい?」
フラン「そうだよー」
店員2「あんた!お喋りもいいけど仕事しなさいよ!」
店員「おおっとそうだった、何か注文はあるかい?」
神機使い注文中・・・
店員「確認させてもらうぞ、海老天うどん3つと中華そば1つ、だな?」
レイジ「(コク)」
店員「おし、そんじゃちょいと待っててくれよ!」
フラン「外ではこんな風にしてご飯食べるんだね、なんか新鮮だなぁ」
レン「古き良き時代・・・て感じがしますね」
アーティ「・・・いいわね・・・本当に」
「昔・・・アラガミが出てくる前はさ、すげえ平和だったみたいだよ?」「きっとみんな、ニコニコしながら平和に暮らしてたんだろーなー」「ウチに帰ったらさ、家族が笑顔でお出迎えでさ」「笑いながらご飯食べて、夜更かししてゲームで遊んじゃったりして」「寝る時は、明日何しようかなーって、楽しいことだけ考えて」「そんでまた、当たり前のように次の日が来るんだよ」「・・・こんな悲惨な未来なんて、想像もつかなくてさ・・・」
レイジ「・・・」
?「すまない、ここに座らせてもらってもいいかな?」
フラン「いいともー」
レイジ「・・・?」
ふと近くで女性の声が聞こえてきた。レイジが顔を向ける前にフランが返事を返し、女性は礼を言いつつ席に座る。
レン
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アーティ フラン レイジ
上のような位置に座っていたので、1人くらい入れても問題はなかった。
?「おや、君は最近新聞で話題の少年じゃないか。戌亥レイジ、といったか。まさかこんなところで会えるとはな」
フラン「へー、有名人だねレイジ」
慧音「私は上白沢慧音。寺子屋で教師をしている者だ、よろしく頼む」
フラン「・・・なんか、普通の人間とは違う匂い」
慧音「ふ、やはりわかってしまうか、フランドール・スカーレット」
フラン「え、私を知ってるの?」
慧音「ああ、私は歴史を喰らい、そして創る程度の能力の持ち主だ。だから君のことも私の知る歴史の内に入っているよ」
フラン「へー・・・なんだか、不思議な感じ。人間にしか見えないはずなのに」
慧音「私は半人半獣だからな。わかる者にはわかってしまうか」
フラン「はん・・・じゅう?けもの?」
慧音「そうだ。ここの大人達は皆知っている。寺子屋の生徒たちには内緒にしているがな」
店員「おお慧音さんじゃないか!今日は何にするんだい?」
慧音「そうだな・・・いつもので頼むよ」
店員「わかったぜ、ちょいとまってな!」
フラン「なんで大人しか知っていないの?」
慧音「あー・・・例えばの話だが、もし君が親しくしていた友がいたとして、そいつが実はとんでもない怪物だと知ったらどう思う?」
フラン「それはびっくりしちゃうなぁ。私は気にしないけど」
慧音「まぁそういう人もいるだろう。だが中には恐れて距離を置く人もいる。教育者という立場上、自分の正体を易々と明かすわけにはいかないんだ」
フラン「なんだか難しいね」
慧音「まぁな」
店員「ほ~いおまたせー!天ぷらうどん3つ、中華そば2つだ」
フラン「あれ、2つ頼んだっけ」
慧音「おや、君と同じ料理だったらしい。偶然だな」
フラン「そうなんだ、それじゃいただきまーす♪」
店員「いいなぁあんたら、慧音さんと一緒に飯が食えてよぉ?・・・とそうだお嬢ちゃん、あんたはどっから来たんだい?外の人間にしちゃあ変わってるよな」
フラン「私は外の人じゃないよ、紅魔k (パシッ)んぐッ」
話している途中でレイジが素早く手でフランの口を塞いだ。
アーティ「ずずーっ・・・(レイジGJ)」
店員「ん?悪いもっかい言ってくれ」
慧音「あー・・・この子は例の怪物に襲われたことがあってな、この少年が助けてくれたんだ。帰るところがないそうだから一緒に連れているそうだ」
店員「うわ、それは可哀想にな・・・。少年、しっかり守ってやれよ」
レイジ「(コク)」
店員2「あんた!サボってないでこっち手伝いな!」
店員「ああ、わかったよ、今行く!」
フラン「・・・別に隠さなくたっていいのに」
口を塞がれたことに不服そうなフランに慧音は顔を近づけて小さめの声で話しはじめた。
慧音「何を言っている、ここには君と私を除いて人間しかいない。しかもこんなに大勢の人がいる中で吸血鬼が紛れ込んでいると周りに知られてみろ、一瞬でパニックに陥るぞ」
フラン「なんでパニックになるの?ワケがわからないよ」
慧音「ならば君は、ここにいる全ての人間から罵りの声を浴びたいのか?」
フラン「え・・・そ、それは・・・」
慧音は顔を少し俯かせた後、話を続ける。
慧音「・・・私は幼い頃、君がしようとしていたことをしてしまった。あの時の私も何故それがいけないのか理解出来なかった。私が半獣であると知った者達は途端に、罵り、蔑み、苛めだした」
フラン「え・・・」
慧音「これは私に限った話ではない。似たような境遇にあった妖怪は他にもいる」
レイジ「・・・」
慧音は顔を近づけて前屈みだった姿勢を元に戻す。顔が俯いたままの彼女からは悲壮感を漂わせていた。
慧音「もう絶対に繰り返してはいけないんだ・・・!あんな・・・」
フラン「・・・」
「レミリアよりもヤバいわねこいつは」「まったくだ、あいつはここまでイカれてはいないぜ」「うわっと!くッ・・・!気味が悪いわねあんたの笑い声は!」「下手すりゃマジで壊されるな!」「あんたの言う「遊び」なんかやってらんないわよ、こっちの身が持たないわ」「とんでもないヤツがいたもんだなぁ。・・・んじゃとっとと帰るとするか。ふぅ~・・・生きた心地がしなかったぜ」
慧音「・・・っと、少し長く話し過ぎたな。切り替えるとしようか」
フラン「あ、うん」
慧音「君達はここに何か用があって来たのか?」
神機使い説明中・・・
慧音「ふむ、それは厄介だな・・・君の言う通り、今のところここで異常は起きていない」
フラン「どうしよう・・・なんか詰んだ気がするよ」
慧音「手掛かりも何もなしか、これでは探しようがない・・・」
アーティ「あ・・・なんか流れ読めた気がする」
レン「え?」
アーティ「そろそろここ、襲われるかも」
レン「そ、そんな!?なんでそう言えるんです!?」
アーティ「思い返してみたらさ、あたしら行く先々でアラガミに出くわしてんのよね。今までのパターン通りなら・・・」
その時、レイジのズボンに付いたポーチから光が溢れ出した。赤い光だ。取り出すと無数の線が様々な方向に向いている。
アーティ「ほら来た。レイジ、先行ってくる」
レン「レイジさん、僕もお先に行かせてもらいます!」
慧音「ん、それは?」
フラン「赤い光・・・これって、もう人里にアラガミがいるってこと?」
慧音「アラガミ・・・?まさか、そr」
慧音が言葉を続けようとした時、店の外から叫び声が聞こえてきた。
「ば、バケモノだーーー!」
「いつの間に入って来たんだ!?」
「た、助けてくれーーーー!」
只事とは思えない様子に店内の客がどよめき始める。
慧音「この声は!?レイジ、まさか、奴らなのか!?」
レイジ「(コク)」
慧音「くっ、まさかこんなところにまで来るとは!レイジ、フランドール、私は皆を安全な場所に避難させる!すまないが皆を守ってくれないか!」
フラン「おっけ!行こうレイジ!」
レイジ「(コク)」
店員「慧音さん!一体何が起こってるんだ!?」
慧音「どうやら例の怪物が里に侵入したらしい!全員慌てず、私の指示通りに動いてくれ!」
店員2「あ、あんた・・・」
店員「大丈夫だ、あの少年達がなんとかしてくれるさ・・・!」
~人里・北大通り~
アーティは北へ伸びる大通りを走っていた。
アーティ「防衛班の真似事はこれっきりにしたいわね・・・」
里の人々がアーティの進行方向と逆に走っていることから方角は合っているだろう。人が少なくなってくると、多数のアラガミがこちらに向かっているのが見えた。大型から小型まで様々だ。アラガミ達はアーティを発見すると周囲を囲みだした。
アーティ「・・・まったく。いい加減飽きたけど付き合ってやるか」
~人里・南西大通り~
レン「アーティさんどこ行ったんだろう・・・見失ってしまったなぁ・・・」
「うわあああああ!」
レン「!」
子どもの悲鳴が響く。振り向くとザイゴートが追い掛け回していた。レンはすぐに銃撃して撃ち落とす。
レン「この大通りは里の中央に向かって道が伸びているからアラガミが侵攻しやすいな・・・っと、やっぱりこの道を通ってきた!」
通りの奥から逃げ惑う人々が見える。早くしなければ犠牲者が出てしまう。
レン「・・・勝手なことはさせないぞ、アラガミ!」
~人里・南東大通り~
レイジ「・・・」
ズバン!
「グァアッ!」
ザンッ!
「ゴオオッ!」
神機使い奔走中・・・
アマテラス「ウォオオオオン・・・・!」
レイジ「・・・!」
~人里・中央広場~
フラン「日傘よーし。さて、どこから来るのかな・・・」
人里の中心部は見晴らしの良い広場となっている。ふと目を見やると、慧音が逃げ惑う里の人々に安全な場所へ避難させようと大声で呼びかけ、誘導しているのが見える。
慧音「皆落ち着いて、慌てずにこちらへ避難するんだ!」
たった1人だけなのに、人々が驚くほど慧音の指示通りに動いている。流石に困惑した様子ではあるが、彼女をとても信頼しているのだろう。そんな中、アラガミが突如広場に現れた。ボルグ・カムランと、火と雷を操る堕天種の2体の合計3体だ。
「うわあああ!何だあれは!」
「もうこんなところまで来やがったのか!?」
「殺される!うわああああああ!」
慧音「あっ待て!慌てるな!バラバラになるんじゃない!」
アラガミが目の前に現れたことで人々はパニックに陥り、バラバラに逃げ出してしまった。このままでは犠牲者が出てしまう。
フラン「・・・もう、自分の正体を隠すどころじゃないかな・・・」
フランは羽根を隠していた茶色い布を脱ぎ捨てた。里の人々の中には1人だけ佇んでいるフランを見てさらに驚きの声を上げる。
「お、おいこの子背中に羽根があるぞ・・・!?」
「ま、まさかこいつも!?」
「に、逃げろ!」
「うわああああああ!!」
「もう何が何だかわからねええええええ!」
フラン「・・・」
店内での慧音の言葉でなんとなく予想はしていた。しかし自分を恐れ逃げていくのを見て嫌な気持ちにならないワケがない。胸を針で貫かれるような感じだ。だが今は悲しみに暮れている場合ではない。まずはアラガミを倒すのが先決だ。
フラン「慧音・・・せんせ、あなたの気持ち、よくわかるよ・・・」
―――もう絶対に繰り返してはいけないんだ・・・!あんな―――
フラン「はは・・・本当に怖いのって、何なんだろうね・・・」
「きゃああああああああ!」
「こっちに来るなあああああ!」
「死にたくなあああああい!」
フラン「今は、やるべきことをやらなきゃ・・・皆を守らなきゃ!もう、繰り返させない!」
この世で最も恐ろしい存在って何だろう、って考えたことはありませんか?
僕個人としては「ヒト」と「病気」だと思います