東方神喰者   作:wing

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皆さん、おはこんばちは。wingです。
キェアアアアアアアシャベッt(殴)

弟「それではどうぞ」



Mission 27 オークワード・フェイト

~魔法の森~

 

 

レイジ達は現在、魔法の森の中を歩いている。あのキノコを食べたおかげで、前とはどこか違う感じがしている。前回は白玉楼へ向かう時にこの森を歩いていたが、今の方が、なんというか気分的にすっきりしている感じだ。あの時は僅かに居心地が悪いような感覚がしていたが(体調に影響はなかったので記憶が曖昧)、今回はそれの微塵もない。普通に森林浴をしている気分である。ただ、今レイジ達がいる場所付近はキノコが多く生えているようで、木の根元に異様に大きなキノコが生えていたり、一部のキノコや植物から瘴気と思しき煙が漂っていたりしなければ皆素直に景色を満喫出来ていただろう。白玉楼へ向かう時はこんなものは見なかったのだが・・・。こんな場所にいるとフランの体調が気になってしまう。大丈夫だとは思うが念のため訊いておく。

 

 

フラン「ん?全然平気だよ?それよりレイジの方が心配なんだけど。大丈夫なの?」

 

レイジ「・・・(コク)」

 

 

やはり無用な心配だった。肉体的に強靭な吸血鬼には瘴気の毒が効かないようだ。

 

 

 

 

サワ・・・サワサワ・・・

 

 

 

 

森の環境音しか聞こえない静寂が続く。フランは相変わらず光に満ちた目で景色を眺めている。レイジはユーバーセンスを使い、以前さとり達が見送ってくれた場所を確認しながら足を進めている。まだ時刻は朝、木々の間から差し込む木漏れ日が眩しい。

 

 

アーティ「ん~朝からこんないい景色が見られるとはね~。なんか元気をもらえそうだわ」

 

レン「元の世界では荒れた土地が延々と続いてるだけですからね、ここだと心が落ち着く・・・って最近僕達こんな感じのことばっかり言ってますね」

 

アーティ「そうね、でも実際綺麗なんだから仕方ないじゃない。元の世界の皆に見せたらどんな反応するかな・・・」

 

 

確かに見事な風景だが、今は状況的にそうボヤボヤしていられない。フランには悪いが早足で行っている。歩幅の差については妥協するしかない。

 

 

フラン「あっ待って~」

 

アーティ「・・・急ぎたい気持ちはわかるけど、大事なとこでチョンボるのだけはやめてよ」

 

 

とはいえ、霊夢を助けた後どうやってリンドウを探し出せばいいのか思いつかない。ユーバーセンスは視界にいないものも見抜けるが範囲に限界はある。霊夢を捜索するに当たっては、「地底を調べに行った」という情報があるので捜索範囲を絞ることが出来るが、リンドウの場合白玉楼で会ったきり行方がわかっていない。探そうと思っても彼がいつまでも1つの場所に留まっているはずはないだろうし、そこまで広くないと言われる幻想郷でも、しらみつぶしに探すとなると一気に途方もなく感じられる。今出来る事は、取り返しが付かなくなる事態にならないことを祈ること、なるべく早く事を済ませることくらいだ。

 

 

 

~1時間後~

 

 

アーティ「お、やっと着いた。いやぁ結構歩いたわね」

 

レン「確かここ、さとりさん達が見送ってくれた場所でしたっけ」

 

フラン「一番奥が見えない・・・ここが地底への入り口なの?」

 

 

1時間歩き続け、開けた場所に出た。正面には切り立った崖と、以前さとりとこいしが見送ってくれた洞窟の入り口。早速中へ入ろうとすると・・・

 

 

バチッ!

 

 

レイジ「ッ!」

 

フラン「えっ」

 

レン「わっ!?」

 

アーティ「えっ今何が・・・!?」

 

 

 

レイジが洞窟へ入ろうとした時、弾けるような音がしたと同時に彼は吹き飛ばされた。何かがこちらの進入を阻んでいるようだ。

 

 

フラン「大丈夫?」

 

レイジ「・・・(コク)」

 

フラン「何もないように見えるけど・・・?なら入れるh(バチィッ)あうっ!・・・う~何なの~?」

 

アーティ「なんか・・・バリアのようなものがあるみたいね」

 

レン「近くに発生装置か何かがあるかもしれませんね」

 

フラン「・・・ん?ねーレイジ、あれ何だろ?」

 

 

フランが何かを見つけたらしくレイジに声を掛ける。顔を向けると、フランが見つけたものに向かって指を指している。その方向を見てみると、洞窟のすぐ横に何かが貼られているのがわかる。近づいてもう一度よく見てみると、札が貼られていた。恐らくこれが原因だろう。よくやったとフランの頭を撫でる。

 

 

フラン「えへへ・・・」

 

アーティ「お札か・・・霊夢が貼ってったのかしら」

 

レン「多分そうでしょうね、巫女をやっている霊夢さんなら持っていてもおかしくありませんし」

 

 

霊夢には悪いが早速剥がさせてもらうことにする。札に触れた時またバチッとなるかどうか少し不安があったが特に何もなく、あっさりと剥がせた。

 

 

フラン「よっしこれで通れr(バチッ)あわぁっ」

 

アーティ「うーん、簡単には入れさせてくれないか・・・」

 

レン「・・・あ、反対側にも1枚ありました」

 

レイジ「・・・」

 

 

ペリッ

 

 

フラン「・・・もう大丈夫だよね?」

 

レイジ「(スタスタ)・・・(コク)」

 

フラン「よっし、じゃ行こっ!」

 

 

反対側にあったもう1枚も剥がすとようやく通れるようになった。だが剥がしたままなのもアレなので洞窟に入ってから札を貼り直す。すると音が鳴った後にバリアが再び張られた。

 

 

バチッ

 

 

アーティ「・・・何してんの?」

 

レン「万が一アラガミが入ってきたらいけないから、とかじゃないですか?」

 

レイジ「(コク)」

 

フラン「早く行こうよー」

 

 

札を貼り直した後、洞窟の中を進んでいく。やはりユーバーセンスがなければ絶対に迷うほど複雑に入り組んでいる。簡単に余所者が入ってこれないようにするためだろうか。

 

 

フラン「ここ、明かりがないのに暗くないんだね。不思議~」

 

レイジ「・・・(ピタ)」

 

 

レイジは急に歩みを止め、後ろを振り返る。何かを見つめているようだがアーティ達にはわからなかった。

 

 

アーティ「・・・?どした?」

 

レン「・・・どうかしましたか?」

 

レイジ「・・・」

 

 

実は先程からレイジの脳内マップで、自分達の背後に反応が1つある。何者かがいる証拠だ。振り返っても視界には何もない。こんなことが出来るのは――――レイジは腕を前に伸ばしながら「誰か」がいる方向へ歩いていき、目の前に来たところで何かを掴み上げる動きをした。何をしているのか不思議に思う一行だが、レイジが掴み上げるような動きをした後の彼の手を見て驚愕した。

 

 

レン「帽子・・・?」

 

アーティ「・・・それって、まさか」

 

?「あちゃー、バレちゃったかぁ」

 

フラン「・・・だれ?」

 

 

レイジのいる場所付近から声がした後、声の主は姿を現した。

 

 

こいし「やぁ、久しぶり!」

 

レイジ「・・・」

 

こいし「アラガミだと思ってしまっただって?アラガミってあの怪物達のことだよね?ひどいなぁ、私はちょっと脅かそうとしただけなのに」

 

アーティ「・・・なんだ、こいしか・・・」

 

レン「少し警戒してしまいました・・・」

 

こいし「ねぇねぇレイジ、今私を見つけたのって、あの時のようになんか能力とか使ったの?」

 

レイジ「(コク)」

 

こいし「それってどんなの?」

 

 

今はあまり時間に余裕がない。ここに来る目的が「遊びに行く」とかの単純な理由だったら立ち話もいいが、悪戯心を少し含ませながらに秘密だと答えないことにし、帽子を返して再び歩き始めた。

 

 

こいし「えー、いいじゃーん」

 

フラン「あなたは・・・だれ?」

 

こいし「ん?・・・あ、私はこいし、古明地こいし。地底に住んでるけど趣味は地上でお散歩!」

 

フラン「へぇ・・・私はフランドール、フランドール・スカーレット。フランでいいよ」

 

こいし「スカーレット・・・紅・・・あ、もしかしてあの赤いお屋敷に住んでる?」

 

フラン「うん。・・・あれ、知ってるの?」

 

こいし「うん、よく地上でお散歩してるから、たまに近くを通ることがあるの」

 

フラン「あなたは・・・人間?」

 

こいし「違うよw、私は妖怪だよ、そして無意識を操れるよ」

 

フラン「無意識?・・・あれ、いない?」

 

こいし「フラ~ン、私がどこにいるのか当ててごら~ん♪あ、レイジ、居場所を教えないでね」

 

フラン「え~姿が見えなきゃ探せないじゃ~ん、レイジ~教えてよ~」

 

 

そう言いながらフランがレイジの右腕を揺すってくる。こいしはそれだとかくれんぼにならないとレイジの左腕を掴んだ。

 

 

こいし「ダーメ!教えないでよぜ~ったい!」

 

アーティ「オイ今コイツ普通に姿晒してんじゃないの」

 

フラン「う~早く教えt・・・あっみっけ!」

 

こいし「え・・・あぁっしまった!」

 

レン「これも無意識・・・だったら笑ってしまいそうですね」

 

レイジ「・・・」

 

 

その後フランとこいしはかなりのスピードで仲良くなっていき、洞窟の迷路を抜ける頃にはもう親友同然の関係になっていた。仲良くなるきっかけはほんの些細なことであることが多いが、ここまでのスピードはそうない気がする。ちなみにこの地下街は旧都と呼ばれているそうで、ここ地底は今は使われていない旧地獄と呼ばれているそうだ。旧都という名前はともかく、始めて地底を訪れた時ここが旧地獄であることをヤマメ達は教えてくれなかったが・・・。弾幕ごっこで負かしたから教えてもそう驚かないと思って教えなかったのだろうか。「旧」だから教えてもそう大した意味はない、とも考えられる。

 

 

 

~地霊殿~

 

 

現在レイジ達は地霊殿の玄関の前。今からノックして入ろうとしているとこr

 

 

アーティ「(バァン)たのもーっ」

 

レン「扉は足で開けるものじゃありませんよ・・・」

 

アーティ「久々にやりたくなった、後悔はしていない」

 

こいし「お姉ちゃーんただいまー!」

 

フラン「お邪魔しまーす!」

 

レイジ「・・・」

 

 

ノックしかけたところでアーティが扉を蹴破り、こいしとフランが元気よく中へ入っていく。

 

 

レン「まぁでも、ここなら霊夢さんがいる可能性は高いですね」

 

さとり「おかえりこいs・・・・あら、レイジさん?」

 

 

地霊殿のエントランスは非常に広い。紅魔館のといい勝負だ。だがここが地底であるためか明かりはあるもののどこか薄暗い。その薄暗い闇の中からさとりが現れた。

 

 

さとり「お久しぶりですね。またここにいらしてくれるとは、あなたも物好k・・・ん、こいし、その子は?」

 

こいし「あぁ、この子はフランドールっていうの!さっきお友達になったんだよ!フラン、私のお姉ちゃん、さとりって名前だよ!」

 

フラン「よろしくー!」

 

さとり「え、ええ、よろしくね(こいし・・・いつになくテンション高いわね・・・)」

 

こいし「さ、ついて来て!広い部屋行こ!」

 

フラン「うん!」

 

 

早く遊びたいのかさっさと奥へ走って行くこいしとフラン。あまり遊んでいる時間はないが、邪魔するのもなんだか罪悪感が湧きそうだ。保護者というのは大変だ。

 

 

さとり「まったくです。まぁ今回は家の中で遊ぶようですから幾分かは探しやすいですが」

 

レイジ「・・・」

 

アーティ・レン「?」

 

さとり「・・・さて、久々の再会を喜びたいところですがお急ぎのようですし、どこか落ち着ける場所でお話を伺いましょう。付いてきてください」

 

アーティ「話が早くて助かるわ、心が読めるっていいわね」

 

さとり「メリットよりも、デメリットの方が大きいですよ・・・」

 

レイジ「・・・」

 

 

レイジ達は3階のバルコニーに案内され、柵の近くに置かれた丸テーブルと椅子に座る。

 

 

さとり「どうぞ」

 

レン「あ、わざわざ紅茶まで・・・ありがとうございます」

 

レイジ「(ずずっ)っ・・・」←熱かった

 

アーティ「おもてなしのための紅茶ってのはすぐに飲み干すもんじゃないわよ」

 

さとり「さて、今回地底(ここ)を訪れたのは、霊夢さんの捜索のため・・・ですね?」

 

アーティ「話が早すぎて大助かりだわ・・・」

 

レイジ「(コク)」

 

さとり「あなた方の(おっしゃ)った通り、彼女は3日程前からここへ訪れています。ここ地霊殿にも来ましたよ」

 

レン「何か・・・えっと、教えて欲しいことがある、とか言っていませんでした?」

 

さとり「そうですね、「前に何か変わったことはなかったか」とか「怪しいヤツが出入りしなかったか」とか、よくある質問はされましたね。あの事件の予兆となるようなことは何もなかったので私は特になかったと答えましたが」

 

アーティ「まぁ知ってるワケないよねぇ。・・・ところで、さ」

 

さとり「・・・はい」

 

 

 

フラン「それえっ禁忌「レーヴァテイン」!」

 

こいし「そんな大振りじゃ当たらないよ、本能「イドの開放」!」

 

 

バババババッバシューン!ドシューン!

 

 

フラン「えぇぇりゃ!」

 

こいし「動きが違うんだよ」

 

フラン「うッ・・・!私を、私をよくも!」

 

こいし「ッ!指先の感覚が・・・」

 

フラン「逃げるな!」

 

こいし「生の感情をむき出しで戦うようでは、俗人に勝つことは出来ても、私には通じないな!」

 

フラン「何を!」

 

 

ズババババッビシューン!

 

 

アーティ「・・・この(スッ)デンジャラスなお茶会(サッ)、どうにかならないの?(ガタッ)」

 

 

いつのまにか静かな空間から弾幕が飛び交うお茶会のようになってしまっている。全員首を傾けたり重心を後ろに椅子ごと傾けて避けたりカップに当たらないよう腕を動かしたり、上手いこと避けている。

 

 

レイジ「・・・(スッスッカタッ)」

 

レン「・・・レイジさんの方に(サッ)やたら弾が飛んできてますね・・・」

 

さとり「こいし、悪いけど弾幕ごっこをするなら場所を移してくれない?」

 

こいし「あ、お姉ちゃん達いたんだー?ごめんねー」

 

フラン「だからあそこの方がいいって言ったのに」

 

 

さとりの一言ですささーんとその場を後にする妹達。そして再び遠くで街の喧騒が聞こえる静寂が訪れた。

 

 

さとり「すみませんね、妹が迷惑を掛けてしまって」

 

レイジ「・・・」

 

さとり「「意外と面白かったから気にしていない」・・・?ぷふふっ、面白い方ですね」

 

アーティ「あんたどうかしてるよ・・・」

 

レン「話を戻しましょう。霊夢さんが地霊殿に訪れた後の行方は知っていますか?」

 

さとり「えぇ、知っていますよ。ただ・・・」

 

 

 

嫌な予感がする3人。

 

 

さとり「あの後旧都の方へ調査に出掛けたそうなのですが、そこでものすごくお酒を飲んだらしく・・・2日前にまた地霊殿(ここ)へ訪れてからずっと、私の部屋で寝ています。ひどく酔っているようでした・・・」

 

アーティ「・・・あー・・・まぁとりあえず、何かあったワケじゃぁないと」

 

さとり「はい・・・」

 

レン「・・・つまり、霊夢さんが連絡もなしに帰ってこないと思ってしまったのは・・・」

 

さとり「2日酔い・・・てところですね」

 

 

何はともあれ、事件に巻き込まれているワケではないことがわかった。無事だというだけでも安心だ。

 

 

さとり「霊夢さんの所へ案内してあげますよ」

 

アーティ「ええ、お願い(ぐびっ)」

 

レン「(カタン)丁度紅茶も飲み終えましたし、お願いします」

 

レイジ「(ごくごく)ッぐふぐふッぐふ」←むせた

 

 

 

~地霊殿2F・さとりの部屋~

 

 

さとり「こちらです」

 

 

地霊殿の2階へ下り、さとりに案内されて部屋へ招き入れる。中に入って右手には書斎のような大きな机やいくつかの本棚が並んでおり、左手にはソファーや暖炉、隅にはベッドが見える。ここは以前レイジがさとりに介抱された部屋だ。霊夢がいるとすればベッドで寝ているのだろうが、そこには彼女の姿はない。

 

 

さとり「霊夢さんはこちらです。・・・ベッドに寝かせようとしたのですが「ベッドは好きじゃない」だそうで・・・」

 

 

ベッドを見ていたレイジにさとりが声を掛ける。どうやらソファーで寝ているようだ。

 

 

霊夢「zzz・・・うふ、うふふ、うふふふふ」

 

アーティ「・・・くっそ、ムカつく程にいい笑顔で眠ってやがるわ・・・」

 

レン「顔が赤い・・・まだアルコールが抜けきっていませんね」

 

さとり「ええ、恐らく相当の量のお酒を飲まれたのでしょう・・・2日前からずっとこんな状態です」

 

アーティ「今からこいつ叩き起こしてもいい?」

 

さとり「構いませんが、あまり乱暴にしないように・・・」

 

霊夢「宇宙の真理ッッ!」

 

 

アーティが叩き起こそうとした直前、霊夢が急に叫びながら目を覚ました。

 

 

アーティ「うおっ」

 

さとり「・・・霊夢さん、目が覚めましたか」

 

霊夢「・・・ん、あれ?・・・なんだ夢か・・・」

 

さとり「・・・。実に、あなたらしい・・・」

 

レイジ「・・・?」

 

霊夢「あ、レイジ、なんであんたがここに?・・・私がいつまでも帰ってこないから心配で安否を確かめに?あ~、はははは、大丈夫よこの通り」

 

さとり「・・・霊夢さん、あなたがここで寝付いてから2日以上経過しましたよ」

 

霊夢「へー。まぁあんだけ飲んだらそれくらいは眠ってしまうわよねぇ・・・。え、あの時「次の日には帰る」と言ったんじゃなかったのかって?・・・え?私そんなこと言ってないわよ?」

 

レイジ「・・・?」

 

アーティ「あ?どういうこと?」

 

霊夢「私はあん時「今日はあっちで夜を過ごす」とは言ったけどさ、「次の日に帰る」とは言ってないわよ」

 

アーティ「なんてわかりにくい・・・始めからそのつもりなら「何日か掛かる」とでも言えっつーの」

 

霊夢「・・・なんか勘違いさせちゃったみたいね。えっとね、当初は1晩を地底(ここ)で過ごしてから帰ろうと思ってたのよ。調査してても特に何もなかったし。でもね、なーんか安心した気持ちになれなかったのよね。で、しばらくここに滞在しようかなと思いながら街の方で夜ご飯食ってたの。そこであの1本角の鬼と会って・・・」

 

さとり「宴会に誘われて食べ物とお酒を浴びるように飲んで食べた・・・そして、その後の記憶はない。ということですね?」

 

霊夢「補足ありがと」

 

レン「・・・そして、連絡出来る状態ではなくなるくらい泥酔して2日以上も寝過ごした・・・ということですね」

 

さとり「まぁ、そんなところでしょう」

 

霊夢「悪いわね、わざわざ様子見に来てもらっちゃって」

 

 

霊夢はまだ成人していないように見える。まさかこの幻想郷には酒の年齢制限が存在しないのかとレイジは不思議に思う。そういえば前回地底を訪れた時、アラガミ襲撃後の宴会でさとりやこいし達も酒と思しき飲み物を平然と飲んでいたような気がする。彼女らも見た目はまだ年端もいかない少女のはずだが―――

 

 

さとり「・・・ふふ、私はこう見えてあなた方よりも遥かに年上ですよ。軽くあなた方の10倍以上は生きています」

 

アーティ「・・・マジで!?」

 

レイジ「・・・!?」

 

レン「そんな・・・見た目はどうみても・・・」

 

霊夢「・・・?あぁその話?何を驚いてんの、妖怪ってのは大体そんなモンよ」

 

さとり「それに、何故いちいち年齢を気にしてお酒を飲まなければならないのです?」

 

レン「えっ」

 

 

何故かと言われると途端に困る3人。レイジ達も詳しくは知らないが、「成熟し切っていない体で酒を飲むと、肝臓がやられやすくなったり、ヤクみたいな依存性があったりと害になることだらけである」というようなことを教えられ、それが当たり前だと思っている。しかしここは幻想郷。余所の常識などここには存在しないことを再三痛感させられる。

 

 

霊夢「レイジ・・・さとりがいるからって全部表情だけで喋るのはどうかと思うわよ・・・。私だけ話に付いていけないじゃない」

 

アーティ「こいつは普段から顔で喋ってるわよ」

 

さとり「彼が()うには「体が大人になるまでにお酒を飲んだら、体のあちこちに害が出る恐れがある」だそうですよ」

 

霊夢「は?何それ?wwwなら私らを見てごらんなさいよ、この通りピンピンしてるでしょ?wもしレイジが言うことが本当ならさw私なんてとっくに死んでるっつーの!www」

 

レイジ「・・・( _ )」

 

レン「・・・(;^ ^)」

 

アーティ「・・・(¬ー¬)=3」

 

 

もうこの話は終えることにし、早速通信機を取り出してサヤカと通信する。場所が地底であるため繋がるかどうか不安だったが、その心配はいらなかった。

 

 

「こちらサヤカ。どうでした?霊夢さんは見つけられましたか?」

 

 

呆れる程に元気であることを伝える。理由も告げると少しの間が空いた。

 

 

「・・・な、なるほど・・・とにかくご無事で何よりです」

 

 

サヤカの向こう側で何やら騒がしい声が聞こえてくる。サヤカの通信機に興味を持ったチルノやレミリア、魔理沙の声だ。

 

 

「・・・それ・・・?・・・・・・話して・・・?」

「・・・・・・話せる・・・・・・レイジに・・・」

「私によこ・・・!・・・言いたい・・・あんだよ!」

「奪い・・・!まだ・・・なんです!」

 

 

霊夢「・・・面白い道具ね。似たようなことなら私の陰陽玉でも出来なくはないけど」

 

 

「アッー!アッー!」←チルノが大音量で

 

レイジ「(キィンッ)っ・・・」

 

 

「ちょっと!・・・もちゃじゃな・・・!」

 

 

レン「・・・緊張感が・・・」

 

アーティ「・・・一体何やってんのかしら」

 

霊夢「・・・まぁ、さ。レイジ、私はもうしばらく地底(ここ)にいるつもりだから心配しないでと伝えといて。あんたは早く戻ったげた方がいいかもね」

 

 

「(パシッ)・・・えー、レイジさん、聞こえます?すいません、いきなり話が途切れてしまいましたね。・・・え、霊夢さんが何ですか?・・・・・・そうですか、わかりました。そちらはもう心配はいらない、ということでs(プツン)」

 

 

いきなり通信が途切れた。バッテリー切れだろうか。確認してみるがまだまだ十分に使える。となると、サヤカの通信機のバッテリーが切れた可能性がある。非情にタイミングが悪い。

 

 

レイジ「・・・」

 

レン「・・・」

 

アーティ「・・・」

 

霊夢「・・・用は済んだ?」

 

レイジ「・・・(コク)」

 

アーティ「・・・まるでゲームの主人公みたい。わざわざ遠くまで来たのに大した収穫はなし・・・なんて」

 

レン「・・・霊夢さんの無事がわかっただけでも万々歳だと思いますよ。リンドウさんの件については帰って作戦を練ったり出来ますし」

 

さとり「お帰りですか?ならばお見送りしますよ」

 

 

外へ出ようかと動き出したところにさとりが話し掛ける。うなずいて礼を返し、フランを探すべく部屋を出る。霊夢はまだ酔いが抜け切っていないらしく部屋に残るようだ。

耳を澄ますと、下から微かに騒がしい音が聞こえる。恐らくそこでフランとこいしは弾幕ごっこで遊んでいるだろう。ユーバーセンスを使って位置を把握し、1階へ下りる。

 

 

 

~地霊殿1F・エントランス~

 

 

弾幕ごっこはエントランスで行われていた。しかし今は決着が付いたようでフランがうつ伏せに倒れており、こいしが少し離れた場所に立っている。フランが負けているという光景にレイジは内心驚く。

 

 

こいし「完璧な作戦だった(ドヤァ…)」

 

フラン「う・・・な、なんで・・・!?」

 

こいし「ふふーん、ちょっとは頭を使ったら?相手に向けてただ弾幕を張ってれば勝てるとでも思ったの?」

 

フラン「だって・・・そうじゃないと勝てないんじゃ」

 

こいし「ううん、力だけじゃダメなんだよ。力だけじゃ」

 

フラン「そう・・・なのかな」

 

こいし「うん。フランは動きが単純すぎ。それがなくなればもっといい勝負できるよ」

 

フラン「・・・ありがと。次は負けないからね」

 

 

こいしはフランの手を取り、起き上がるのを手伝う。まるで少年漫画のような光景がそこにあった。それにしても2人ともいい笑顔だ。

 

 

さとり「こいし、レイジさんがお帰りになられるわ。悪いけど弾幕ごっこはお終いにして頂戴ね」

 

こいし「えー・・・まぁいいか丁度キリのいいとこだったし」

 

フラン「仕方ないね。また今度ねっ」

 

 

 

 

 

 

~サヤカside~

 

 

レイジ達が紅魔館を出て1時間20分後、談話室にて―――

 

サヤカ「・・・やっぱり私、このままただ待ってるだけなんて出来ません」

 

魔理沙「んなこたァ私だって同じだし皆もそう思ってるだろうよ。私は今でも思うぜ、もっとマシな作戦があったはずだって。・・・誰かいい案浮かんだか?」

 

 

「・・・」

 

 

魔理沙「だよなー・・・くそっ、なんでこんな時に頭働かないんだッ・・・」

 

レミリア「・・・いい案というワケじゃないけれど、いいかしら」

 

魔理沙「?」

 

 

レイジとフランを見送って戻ってきた頃から一言も喋らずにずっと考え込むような様子だったレミリアが口を開く。全員の視線が彼女に集中する。

 

 

レミリア「・・・1時間くらい前、レイジとフランを見送った時にね、レイジから妙な感覚がしたの。まるで死地に赴くかのような・・・覚悟を決めた後のような感じがしてね、最初は気のせいかなと思っていたんだけど、この部屋に戻ってからチラチラと気になる運命が見えるのよ」

 

魔理沙「へぇ、何が見えたんだ?」

 

レミリア「それがね、1人で戦っているの。レイジが、アラガミ化した人間と」

 

魔理沙「は!?」

 

サヤカ「1人で・・・!?」

 

パチュリー「アラガミを倒す専門家とはいえ、1人というのは危ないわね。その運命を変えることは出来ないの?」

 

レミリア「出来たらとっくに変えてる」

 

魔理沙「バカな、運命を操れるお前に変えられないなんて、どんだけなんだよ・・・!どうにかならないのかよ!?」

 

レミリア「どうにかしたいけれど、出来ない。まるで、何かが邪魔しているかのような感じなの・・・」

 

パチュリー「え・・・!?」

 

 

今でもレミリアはレイジが無茶なことをしないよう運命を変えようとしている。しかし変えても変えても何かがそれを許さず、改変前の状態に戻してしまう。何故こうなるのか理解出来ない。先程までは他人の話を聞きながらだったため、何が運命の改変を邪魔しているのかわからなかったが、今度は集中してみることにした。レミリアは目を閉じ、頭の中にあるビジョンへ潜り込む。

 

そこでは、1本の運命と言う名の線が引かれている。その線はどこまでも続いており、果てが見えない。このままの運命通りだとレイジの身に危険を及ぼす運命に向かうだろう。レミリアはそうならないように安全な方向へと線を引いていくが、何者かが突如現れ、通り抜けざまに一瞬で線を消してしまう。

 

 

「誰なの!ここは私しかいない場所のはずよ!出て来なさい!」

 

 

しかし誰も現れない。待っても意味はないとまた別の線を引こうとすると、させまいと今度は右手首を掴まれた。レミリアはその時驚愕した。掴んでいる手は、右手。手首にある特徴的な赤い腕輪のようなもの。「その腕輪のようなものは何なの?」とずっと訊こうとして忘れていた彼の腕輪。そう、レミリアの手を掴んでいたのはなんと――――レイジだった。

 

 

「れ・・・レイジ!?」

 

「・・・」

 

「なんで・・・なんであなたがここに!?ここは私しかいない、私しか行けない場所のはず!」

 

 

彼は何も反応しない。ただレミリアの手首を掴んでいる。ただ無機質な表情のままで。

 

 

「放しなさい!このままだとあなた、危ない目に遭ってしまうのよ!?」

 

「・・・」

 

「黙りこくって・・・!理解に苦しむわ!何故あなたがここまで来て私の邪魔をするn・・・ッ!?」

 

 

気が付くと、レイジの右腕が異形のものと化していた。恐らく、このまま運命改変をしなかった場合の彼の未来の姿だろう。レミリアは唖然とし、彼の右腕を見つめる。

 

 

「な・・・何よ、これ・・・!?」

 

「・・・」

 

「・・・どうなってるの・・・!?」

 

 

レイジの右腕はもちろん、何よりもわからないのは、自身の腕が異形のものとなっているにも関わらず、「大丈夫」と伝えるかのような、無表情だが優しい顔をしていたことだ。

 

 

「い・・・嫌よ、あなたがアラガミになるなんて!」

 

「・・・」

 

「嫌よ!そんなの・・・!」

 

 

レミリアにはたまらなく嫌だった。自分のお気に入りが異形の怪物になってしまうのが。アラガミになってしまえば、殺さなければならなくなるかもしれない。それがたまらなく嫌だった。彼女は無意識の内に、彼を強く抱き締めていた。いつの間にか目頭が熱くなっていたのを見せたくなかったからだ。

 

 

「そうまでして・・・!私の運命改変を拒んでまで、何故あなたは1人で行こうとするの!?」

 

「・・・誰も巻き込みたくない。お前を、フランを、サヤカを、皆を。・・・俺が全部終わらせる」

 

「ふざけないでッ!」

 

「・・・今のどこがふざけていたんだ」

 

レミリア「1人で行った結果がそれ(アラガミ化)でしょう!?下手をしたらあなたを殺さなければならなくなるかもしれない!そうなったら皆悲しむわよ!?あの子(フラン)は特に!」

 

「・・・誰も死にに行くとは言っていない」

 

「ならあなたの上司を救う秘密の作戦でもあるの!?私達にも言わないような!」

 

「ない」

 

「・・・簡単に言ってくれるわね・・・腹が立つわ」

 

「・・・」

 

「・・・!あなたは一体何がしたいの!?何の策もなしに1人でアラガミ化した上司を救いに行くだなんてどうかしてるわ!(バカ)みたい!」

 

「・・・そうだ。俺は(バカ)だ」

 

「・・・え?」

 

「要領も悪い。物覚えもよくない。・・・だが」

 

「・・・?」

 

「俺は死なない」

 

 

その時、レイジの右腕が元の状態に戻っていた。

 

 

「・・・!?」

 

「・・・だから、誰の助けも必要ない」

 

「・・・あっ!待って!」

 

 

レイジは自分を抱き締めるレミリアの腕をどかし、背を向けて歩いていく。レミリアは引き止めようとするが、レイジは「来るな」と言うかのように神機を彼女の目の前に突き刺さるように投げつけ、それと同時に彼は砂のようにサラサラと消えていき、遅れて神機も消滅する。砂はどこまでも伸びる運命の線の一点の中へ・・・

 

 

「・・・この運命は俺のものだ。勝手には変えさせない」

 

「待って・・・待ちなさいよ・・・!」

 

 

完全に消えてからは、声が響くように聞こえてきた。レミリアは膝を突き、レイジが消えていった一点を見つめる。そこは今からほんの少し先の未来。ならば今ここにいたレイジは、地底にいるはずのレイジとは違う存在なのだろうか。

 

 

「俺は死なない。死にそうになったら逃げる。・・・だが最終的には必ずあの人を助け出す」

 

 

その後は、いつもの光景。自分と運命の線以外何もない空間。

 

 

「・・・(誰も巻き込みたくないがために1人で・・・何の考えもなしに救いだそうだなんて、とんだ大(バカ)だわ・・・)」

 

 

客観的に見て、もし誰も巻き込まずに終わらせたいなら何か策を考えておくのが普通だろう。それもなしに行こうとするなんてことは考えられない。いや、もしかしたらもう策を終えていたのかもしれない。現在、いつ紅魔館もしくは地底で騒ぎが起こるかわからない状況。そんな中レイジはフランだけを連れ出しその他全員を残した。待機組は何か出来ることはないか模索するも一触即発となりえないこの状況下で自分達はろくに動けない状態になってしまっている。

 

 

「・・・!」

 

 

はっとしたように、「やられた」と彼女は思った。自分達は紅魔館から迂闊に出れない状態。いや、閉じ込められているのだ。レイジによって。今の状況を利用してレイジは自分達を紅魔館から迂闊に出られないようにしたのだ。ならば何故フランを連れ出したのか?それには恐らく大した意味はない。外の世界をもっと知ろうとするフランの邪魔をするつもりはないから、それだけだろう。しかし運命上では後に彼1人になっているため、適当に理由を付けてフランも紅魔館へ戻すつもりなのだろうか。「危ない目に遭わせたくない」という気持ちはわかるが、1人だけで行くような勝手は許さない、許したくない。レイジの真意を知ったレミリアはすぐに運命を変えようと線を引いていくが、描いた線が末端から消えていってしまう。もう、呆れるしかなかった。レイジが取った行動はただフランを連れて外に出ただけなのに、こんな大変なことをしでかすとは思いもしなかったから。レミリアは複雑に渦巻く感情の中、ただ一言皮肉るように呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・流石、私のお気に入りね・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――!」

 

 

レミリア「(・・・?)」

 

 

魔理沙「―――い!おいレミリア!」

 

レミリア「はっ・・・ごめんなさい、何だったかしら」

 

魔理沙「急にソファーの上でしゃがみガードなんかして、どうしたんだよ?何かあったのか?」

 

 

集中しすぎて話を聞いていなかったらしい。何もなかったと言えば、嘘になる。

 

 

レミリア「・・・やられたわ」

 

魔理沙「あ?」

 

レミリア「してやられたわ。レイジは迂闊に外に出られないこの状況を利用して、私達をここに閉じ込めたみたい」

 

魔理沙「閉じ込めただって?何を言ってんだよ?」

 

パチュリー「レミィ、まさか何か見えたの?」

 

レミリア「・・・運命を操ろうとしたらね、邪魔をしてきたの。・・・レイジが」

 

魔理沙「何だって・・・!」

 

サヤカ「え・・・!?」

 

パチュリー「嘘・・・!?彼は・・・いや、そんなはずは・・・!」

 

大チル「???」

 

レミリア「・・・もうね、驚きを通り越して呆れてるわ、私。「邪魔をするな。1人で全部終わらせる」ですって」

 

サヤカ「そんな!無茶ですよそんなの!」

 

レミリア「変な感覚だったわ・・・私しか存在しないはずの場所にいきなり現れるんだもの」

 

魔理沙「で、結局運命は弄れたのか?」

 

レミリア「彼がいなくなってからも試してみたんだけどね、やっぱりダメだった。もうあれは運命じゃない・・・宿命ね」

 

サヤカ「宿命・・・!?」

 

魔理沙「あんのバカッ・・・!1人で勝手にカッコつけやがっt」

 

 

 

ピピピッピピピッ

 

 

 

突然魔理沙の言葉を遮るようにサヤカの通信機が鳴り響く。全員が一瞬硬直し、サヤカは通信機を取り出す。恐らく何かがあったのだろう。

 

 

サヤカ「・・・こちらサヤカ。・・・どうでした?霊夢さんは見つけられましたか?・・・え・・・あぁ・・・なるほど、とにかく御無事で何よりです」

 

魔理沙「どうした?」

 

サヤカ「・・・えぇと、霊夢さん、2日酔いでダウンしてたせいで連絡が取れなかったようです・・・」

 

 

ずっだーん!

 

 

サヤカと、話にあまりついていけていない大妖精、チルノ以外は全員ずっこけた。

 

 

大チル「???」

 

 

魔理沙「霊夢・・・あいつもあいつで何やってんだよ・・・」

 

チルノ「ねーねーそれ何ー?誰と話してんの?(パシッ)」

 

サヤカ「あっ!」

 

 

サヤカの通信機に興味を持ったのか、先程まで半ばボーっとしながらソファーに座っていたチルノがそれを掠め取る。

 

 

レミリア「そういえばそれ、遠くにいる相手と話せるのよね。氷精、ちょっと貸して。レイジに言いたいことがある」

 

魔理沙「私によこせ!私にだって言いたいことがいくつかあんだよッ!」

 

サヤカ「奪い合わないでくださいよ!まだ話してる途中なんです!」

 

パチュリー「ちょっと、落ち着きなさい!」

 

チルノ「順番は守りなさいよー!すぐ貸したげるからー!アッー!アッー!」

 

サヤカ「ちょっと!それはおもちゃじゃないんですよ!返してください!」

 

レミリア「そうよ、だから勝手に持ってっちゃダメ(パシッ)・・・えーとどう使えばいいのかしら」

 

チルノ「あっまだあたい使ってない~!」

 

サヤカ「もう!後で使わせてあげますから一旦返してください!(パシッ)・・・えー、レイジさん、聞こえます?すいません、いきなり話が途切れてしまいましたね。・・・え、霊夢さんが何ですか?・・・・・・そうですか、わかりました。そちらはもう心配はいらない、ということですね。では、レイジさん達は地底を出た後・・・あれ?」

 

魔理沙「どした?」

 

サヤカ「バッテリーが切れちゃいました・・・」

 

魔理沙「おいおいマジかよ・・・それじゃレイジがこれからやろうとする無茶を止めにくくなるじゃねーか!おいレミリア!お前が見た運命の中でのあいつ(レイジ)は他に何か言ってなかったか!?」

 

レミリア「・・・作戦はまだ考えていないが、死ぬつもりはない、とは言っていたわね。それにレイジの右腕がとんでもないことになっていたわ」

 

魔理沙「くっそ、あいつホント何考えてんだ!助けに行くはずがアラガミ化したら本末転倒だろうが・・・!サヤカ!もうなりふり構っていられねえ!レイジを探しに行くぞ!」

 

サヤカ「ええ、策もなしに1人でなんて、無謀ですよ・・・!」

 

 

我慢の限界に達した魔理沙とサヤカは部屋を飛び出した。たった1人で無謀なことをしようとしていることを知れば当然だろう。

 

 

パチュリー「なんだかますますまずいことになったわね・・・どうしたものかしら」

 

レミリア「まるで、運命がレイジの味方をしているみたい・・・」

 

 

 

 

~レイジside~

 

 

地底を出た後、レイジは早めにリンドウの位置を把握しようとフランに自分を抱えて飛行してもらいながらユーバーセンスを使っていた。空から幻想郷の至る所を回ってみたが、どうしても見つからない。ユーバーセンスをここまで使い込むのは初めてな気がする。そしてかなり集中していたせいか段々息が上がってきてしまい、可視範囲が狭くなっていた。ちなみにレンとアーティは先に紅魔館に帰らせている。

 

 

レイジ「・・・(息切れ)」

 

フラン「・・・ねぇ、一旦お屋敷へ帰ろうよ?そんなに疲れてるのに休まなかったら、見つけたって何もできないよ・・・?」

 

レイジ「・・・(首振り)」

 

フラン「・・・レイジ、休もう?あなたが苦しんでるのを見るの、嫌だよ・・・」

 

 

レイジはまだ帰りたくはなかった。せめて休むのはリンドウを見つけてから――――そう思った直後、突如彼の意識は薄れ、気絶してしまった。フランにとっては人1人くらい重く感じないが、彼の体から力が抜けたことで僅かながら重みが増すのを感じた。

 

 

フラン「ん、どうしt・・・レイジ!?」

 

 

声を掛けても返事がない。あまりの疲労で気を失ったことを悟る。フランは急いで紅魔館へ戻ることにした。

 




~名無しのコーナー「The Nameless」~


大妖精「・・・」

小悪魔「・・・」

大妖精「出番、ありませんでしたね・・・」

小悪魔「そちらはまだ「???」というセリフがあったじゃないですか・・・私なんかそれすらもなくて、存在する意味ないみたいな扱いですよ・・・」

大妖精「それは可哀想に・・・」

小悪魔「私、もう図書館に戻って仕事の続き始めてもいいですかね・・・」
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