ふわふわサバイバル
あ〜ふわふわするんじゃ〜
ここは夢の中ですか?やたらと視界がふわふわとしているのですよ〜
うん、現実逃避やめ
テンパるの開始
ふぁっ!?なんでなんで私浮いてんの!?あれ、これ手足の感覚無くねと思ったらふわふわ浮いてるんですけど!?ドユコトどゆこと!?あ、風に揺らされて視界がぐるっと一回転うっぷ………なんなの!?私人間だった気がするんだけど!?あれ!?記憶無くね!?なんなの!?記憶喪失!?もしかして死んじゃった!?死んで魂だけになっちゃった!?私今どんな見た目してる!?もしかして頭だけ!?頭だけ浮いちゃってる!?もしかして転生的なあれ!?私今生首かなんかなんですか!?頭だけ宙にあって浮かんでる生き物なんですか!?なんなんですかそれは新手の転生ですか!?転生したら生首だった件とかシャレになんないっすよ!?転生するならもうちょっとマシな始まり方ってもんがあるんじゃないですかねぇ!?
はぁ、はぁ、ふー・・・
よし、落ちつかないけど落ち着け私。
じょーきょーかくにん………
うむ、気がついたら森の中にいた。
そしてさらに自分がふわふわ浮いていることに気がついた。
そしてそのあと手足の感覚がないことに気がつき、風で揺らされたのか、視界がぐるっと一回転したところで、頭だけしかないような状態なのが分かった。。
おーうケイオスケイオス
とりあえず記憶がないです。私だーれ、ここどーこ。
ちょっと考えてみた。
どこかで死んじゃって、魂だけの状態なのかと思ったのだけれど、風も感じれるし、何より木にぶつかった。
魂なら木にぶつかんないよね?魂なんて存在信じてないけどさ。今の状況のが方が信じられないわけだけど。
・・・・・・
うむ、声が出ない。
ついでに表情筋がないっぽい。
声が出ないのは口がないから?そもそも、顔という物の認識ができない。
目はあるっぽいんだけど、瞬きすらしない。
目はある耳はある、口はない。鼻は…呼吸してないねぇ…
あっれれぇ?これもしかしなくても、人の形してないよねぇ…
あとは触覚……よくわかんないけどなんかこう、細い毛?みたいなもんが生えてる感覚はある。
うん、人間じゃない。
人間じゃないことが発覚したところで、動けるか試してみよう。
なんでこんな状態になったかなんてね、10秒考えたらやめたよね。
さっきからふわふわと浮かんでいて……木にぶつかるとそのまま跳ね返ってその方向へずっと進んでいく。
なんだろう……物理のシミュレーションゲームで摩擦をゼロにしたみたいな感じがするね。と言うか無重力。
さて、動くと言ってもどう動くかね。
手と足はないから論外。
なんか口で息を拭いてその勢いで動くことを考えたけど、うん無理だ。
口ないもん馬鹿だもん。
となると……なんやかんやで残された道は一つ。
念じるッ!!
動け動け動け動け動け動け動け動け動かなーいはいやめー。
え?もうちょっと粘れって?精神安定剤くれたら頑張るわ。
このまま動けないとどうなる?
おそらく私は今宙に浮かぶ謎の毛むくじゃらの物体。
言っちゃえばUMA、捕獲されてバッドエンドを迎えてもおかしくない。
もしくは何処かで軌道が逸れて遥か上空へと飛んでいき、宇宙空間で鉱物と生物の中間の生命体となり永遠に宇宙を彷徨ったり………
致命的じゃん。
と言っても念じるしかないんだなこれが………念じるとゆーか、祈るとゆーか………
ふわふわ日記、二日目
謎の物体になってから夜を超え二日目。
不思議と眠くならないこの体。
眠くならないのはいいんだけど、ただひたすらにやることがない。
ずっとふわふわ動いて移動しているから、周りの景色が変わらないと言うことはないんだけども………いつ方向が変わって天に昇っちゃうかを考えていると怖くて怖くて仕方がない。
まぁ丸一日ふわふわし続けてわかったこともある。
この場所の近くには、恐らく都市とか街とか、そう言ったものは無い。
なんてったって夜空が綺麗なんですもの。
近くにあるとしても、田舎の農村とかその辺だろう。
あと水面に移った自分の姿を見た。
うん、毛玉だったね、もろ毛玉。
あと顔が(°Д°)こんな感じだった。
口あるじゃんと思ったよね?残念喋れませーーん。…なんでだろーね。
あとあれからも割と念じてる、念じまくってるけどウゴケナイ。
そうして私は思考放棄をして二日目を終えた。
ふわふわ日記三日目
今日も一日ふわふわ
今日は初めて動物に会いました。狼でございます。
野生の狼とか珍しいなあとか思ってたら飛びかかられてびっくりしました。
飛びかかってきたら突然風が吹いて奇跡的な回避、勢いよく岩にぶつかって気絶した狼くんを見て可哀想だなと思いました。
終わり
ふわふわ日記四日目
今日も今日とてふわふわ
いつになったら動けるようになるんだろうふわふわ
なんかもう思考がふわふわ
ふわがふわしてふわふわってふわふわる
フ○ちゃんがふわふわしてふわふわと去っていく
ふわり
ふわふわ日記七日目
ふわふわがっふわってふわふわふわふわそのうちわふわふわふわふわふわふ
「ん?なんだこれ」
ふわふわがふわしてふわふわと思考がふわふわ
「んー?見て大ちゃん、毛の塊がふわふわして飛んできたよ」
ふわふわと急にふわりして
「うわっ、なにそれ………毛玉?なんか汚れてるし」
「よくわかんないけどとりあえず凍らしておいとこっかなー」
そもそもふわふわってなんだろう誰がそんな言葉作ったんだろうふわふわってなんだよなにを見てふわふわと思ったんだろ日本語って難しいふわ
「やめといたほうがいいよ、得体の知れない物体は」
「むぅ………あれ、よく見たらこれ顔ついてない?」
「あ、本当だ」
「やい!反応しろこの薄汚い毛玉!おらおらおらおら!」
ふわふわふわふ…………
ちょ、誰だよさっきからうるさい奴は!?人がふわふわしてる時は邪魔してはいけませんって親に習いませんでしたかァ!?え、なに!?そもそも人はふわふわしないしお前は人じゃないって!?そーですね!!つかさっきからツンツンツンツンツンツンツンツン鬱陶しいわ!!離せコンニャローがっ!!
「うおっ動いた」
「動くの!?ただの毛の塊じゃないんだね」
えっ動いたの!?私ってば動いちゃったの!?つか誰よこいつら!
「やーい毛玉ーお前の名前はなーんだ」
おぉん!?まずは己から名乗れや!!
よし、落ち着いてじょーきょーかくにん。
周りには女の子が二人。
一人が青い髪にリボンをつけてドレスを着ている。
もう一人が緑の髪でこれまたドレスを着ていると………最近の子供はどーゆー教育されてんのかね。
金髪とかならまだしも、青とか緑とか、んな派手な色にしたらイジメの格好のマトじゃないですかー。
「おいおーい、喋らないと氷漬けにしちゃうぞー」
「もしかしたら喋れないんじゃない?」
「口あるのに?」
やだこの子、本気で自分が氷を操れるとか思っちゃってるのかしら。
マァ可哀想!!早く現実を知ればいいのに!!
ってあれ?よく見たらこの子たちの背中になんかある気が………
青い髪の子は結晶のようなものがついてて、緑の髪の子は虫の羽?みたいなのがついてる………気がするぜっ!!
多分気のせいだなうん。
とりあえず動けるようになったらしいので逃げる。
「あ、逃げた」
「逃げたら本当に氷漬けにするぞー」
うひっ羽みたいなの使って飛んで追いかけてきとる!!なに怖い怖い何者!?妖精なの!?ふぇありー!?フェアリーとかその類ですか!?つかもろフェアリーだよね!!
ぐはっ掴まれた。
「よしっ捕まえた。もう逃げられないぞー」
「やめてあげなよチルノちゃん、可哀想だよ。離してあげて?」
「えー………大ちゃんがそう言うなら」
ありがとう大ちゃんっ!!こっち見んなチルノ!!
てなことがあった後、他の背中に羽を生やした女の子たちが集まってきて、私のことを放って置いて追いかけっこをし始めた。
なんだこの幼女パラダイスはァ………そーいや私毛玉なわけだけど、性別あるの?毛の塊に?
そのまま、他の女の子達と遊んでったチルノって子と大ちゃんと呼ばれてた子。
私の予想が正しければあの女の子達、というより幼女達は妖精………大丈夫?ここ私の知ってる世界じゃない系?異世界転生しちゃった?
まぁ考えるのはやめておいて、とりあえずあの妖精達を観察しておこう。
さっきの二人を含め、六人くらいの妖精がいるが、やっぱり目立っているのがあの二人だ。
チルノ、全体的に青い子。
あたいさいきょーを連呼している、多分あほの子。
でも実際氷をどこからともなく出して他の妖精に投げつけたりしている。何を言ってるかわからねぇと思うが、私も何が起こってるのかわからねぇ。
妖精がどの程度の力を持っているのかは知らないけど、多分その中でも強いほうなんじゃないかな?多分。
大ちゃん、全体的に緑の子。
会話の中で一度だけ名前を聞いたが、フルネームは大妖精らしい。
あれ?大妖精?あの可愛らしい優しい子が?
私の知ってる大妖精って、うっふーんとかあっはーんとか言いまくって勇者くんを誘惑してくるサキュバス的なアレなんだけども………
妖精の中でも一番違う雰囲気を出してきて、なんというか、とても大人な感じがする。
私を救ってくれた優しい子、好き。
しっかしこの世界どうなってんだろ。フツーの人間はいないのかね?今のところ狼とか妖精とか毛玉にしか会ってないよ。
妖精なんてもんがわんさかいる時点で多分人外魔境だな。
まぁ自分の意思で動けるようになったのは良かった。
一週間風に流され続けてそろそろ精神崩壊しかけてたところだったから、そういう意味ではあの二人に会えてよかったかも知れない。
「何考えてるの?」
ん?あ、大ちゃんが気づいたら隣にいた。顔近いよ顔の造形綺麗だね。
「あれ、毛玉ちゃん霊力あったんだね、気づかなかった」
毛玉ちゃん………?いやそこはいい。
れいりょくってなんだ?ファンタジー?やっぱり異世界転生しちゃってた?
あぁもう、口がないのが厄介すぎるぅ………
「何か色々と考え事してるの?」
あれ?なんでわかるんだ?
「私霊力に敏感だから、感情とか、その人の心境とか、ちょっとだけわかるんだ」
はえー、それは凄いねぇ。会話ができないのは残念だけど、感情わかるってだけでも嬉しいものがある。
「よく考え事するんだね?私たち妖精はそんなに物事考えたりしないのに」
いや、多分私口ないからその分心の中でうるさくしてるだけだと思うな。
あと君は絶対色々考えてるでしょ、口に出さないけど心の中ですんごい思考してる系だと思うんだけど。
「何考えてるかは分からないけど………チルノちゃんのことは嫌いにならないであげてね」
いやまぁ………嫌いではないですけれども。いきなり凍らそうとしてきたところが怖いと言いますか。
「怖い………まぁそうかもね。私も最初彼女を見た時怖かったよ。ちょっと他の子達より強いから、すぐ調子乗ったりするけど……いい子だから」
ふむ………大ちゃんがそう言うのならまぁ………
「おーい大ちゃーん!こっちきて遊ぼうよー!」
「ごめん今行くー!じゃあね毛玉ちゃん」
あーいっちゃったー。
いい子だったな、大ちゃん。
さて、動けるようになったのはいいけど、今度はどこへ行こうかな。
行く当てもないわけですが…………
日が暮れて世界が橙色に染まる時間。
妖精達は、また明日、と約束を交わし合い帰っていった。
「で、なんでこいつは付いてきてるの?」
現在チルノと大ちゃんをストーキングしています。
ちゃんと理由はある、私はある仮説を立てた。
それは、二人から何かしらの力をもらったのではないかと。
二人に会った時私は自分で動けるようになった、これと言った兆しもなくだ。
そして私に霊力があるのに気づかなかった大ちゃん。
多分それは、私はもともと霊力も何も持たない状態で、二人に会った時に、二人から発せられた霊力を吸収し、自分のものにしたから、だと思う。100%仮説だけど。
その霊力を使って、私は空中を動けるようになった、だからその後に大ちゃんは私に霊力があるのに気づいたと。
そう考えるのがしっくりくる、いやまぁ仮説だけども。
霊力ってのが具体的に何かってのも知らないし。
というわけで、もうちょっと良いことないかなーと思って二人についてきているのである。
決して寂しいからとか、そんな理由ではない。
「いっしょに来たいんじゃないかな?」
「本当にー?」
本当本当。
「じゃあ決定!お前は今からあたいの子分だ!」
「チルノちゃんいきなりそれはどうかと……え?いいの?いいらしいよチルノちゃん」
「そいつの考えなんてあたいには関係ない!あたいが子分と決めたらそいつは子分だ!」
うん、生意気。
まぁいっしょに居れるならそれでいいかな。アホだから子分にしたのもそのうち忘れてるでしょ、うんうん。
あと下手に動き回るのもそれはそれで怖い。
文字通り手も足も出ない毛玉、襲われたらその時点でバッドエンド。
東も西もわからないこの状況で、力を貸してくれそうな人物と離れるのは良くないと判断した所存でございます。
決して寂しかったとかそーゆーのじゃない。