毛玉さん今日もふわふわと   作:あぱ

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妖精と毛玉

「おっすおっすー」

「毛糸さん来たんですね、じゃあ私たちの分まで頼みます」

「え」

「頼んだー」

「え」

 

なんでこいつら早々に私の後ろに隠れてんの。

 

「おいおいおかしいだろオイ」

「おかしくないですよ、私たちは手負いの身ですよ?毛糸さんは無事なんですから私たちの分まで頑張ってくださいね」

「いやあの……柊木さん?」

「頑張れ」

「クソが!」

 

そうこうしてるうちに前から敵がやってきた。

 

「ああもう来たよ、お前ら関係ないやつに他人任せにしていいんか!」

「安心してください、気休め程度の援護ならします」

「大いに期待するから頑張って働いてくれ」

「なんなんこいつら……」

 

とりあえず正面に向かって氷柱を飛ばして、前から突っ込んでくる奴らを蹴散らしておく。

 

「もっと派手にやってくれていいんですよ」

「いや、なんかやだ」

「私たちはあいつに復讐したいだけなので。当の本人奥の方に引きこもってますけど」

「私たちって、勝手に俺のこと巻き込むな」

 

椛完璧にスイッチ入ってるよなこれ……でも椛って種族的にも、個人としても技術がすごいだけで身体能力や妖力とかが飛び抜けてすごいわけじゃない。

なんか本人やる気満々だけどいけるのだろうか…まあ心配してたってしゃーないか。

 

「よっこいせ」

 

氷飛ばしてるだけじゃ多くの敵はやれないので、妖力弾を投げてみた。めっちゃ大爆発した。

 

「………やりすぎちゃった」

「いいぞもっとやれ」

「そのままあいつを引き摺り出してください」

「なんでお前らそんなノリノリなんだよおい」

 

ってか逃げてってるし向こう…そりゃそうだ、急に大爆発とか氷とか飛んできたりしたら私だって逃げる。

 

「あ、帰ってきた」

「なんかとんでもない顔つきになってるんだがあいつら」

「……ふむ、多分向こうの力の強い者に逃げたら殺すって脅されたんじゃないですかね」

 

わぁ恐怖政治だ怖いなあ。明らかに敵の形相変わってるし。

 

「あ、向こうのほう突破されかけてるので毛糸さん向かってください」

「あっち?わかった」

 

椛の指のさした方に向かう。

2人も傷は負ってるけれどらこの程度の敵に苦戦するような奴らじゃないってことは私も十分理解している、特に椛。

 

椛に言われたところを見てみると確かに押され気味だったので、妖力弾適当にポンポン投げておいて様子を見る。

 

「……よし!」

 

何度でも言うが幽香さんやべーわ。

私のせいで敵が爆発四散してるのはあまり気分良くないけれど、既に死体ゴロゴロ転がってるので大して変わらないと言い聞かせる。

 

「ただいまー」

 

氷の剣を作って振り回しながら椛と柊木さんの元に戻る。

 

「さっきの地響きなんだよ」

「えーなんだろなー、私わかんなーい」

「そんなことより気づいてますか二人とも」

「…あぁ、まあな」

「え、なに、柊木さんの足臭いってこと?いでっ」

「その通りです」

「お前ら本当に余裕だな…」

 

まあ、見間違いかなーとか思ってただけで、私も気づいてるっちゃ気づいてる。

 

「向こう、所々に自我のない奴が紛れ込んでるって話でしょ?」

「はい、傷があるのに無理矢理体を動かしてるのがほとんどですね。恐らく向こうの術者か何かに操られて傀儡にされているんでしょう」

「使い潰す気満々だなおい」

 

まあ腕もげたりしてるのに無表情でこっち向かってきてるからなあ……意識ある奴らも逃げられないように操られてるのかも知れないし。

 

「どうする?なかなか数減らないけど」

「まあ足を斬り落とすか完全に息の根を止めるかするしかないんじゃないか」

「後者で行きましょう」

「そうだな」

「そだね」

 

妖力を溜めて一気にぶっ放す準備を始める。

 

「それもう息の根止めると言うか、跡形もなく消しにいってないか」

「その方が楽だ…し…?」

 

何か黒い玉のようなものが一斉に投げられた。

 

あれ、これ手榴弾じゃね。

あれ、これピン抜けてるくね。

あれ、これ爆発するくね。

 

「ちょま——」

 

急いで障壁を張ろうとしたが間に合わず私と後ろの二人まとめて後ろに吹き飛ばされてしまった。

 

「つぅぅぅ…私もろ!もろにくらった!」

「いい肉壁具合だよくやった!」

「潰すぞ足臭ァ!」

「来ますよ続き!」

 

氷の剣を蛇腹剣にして、吹き飛んでない方の右腕でがむしゃらに振り回す。妖力を纏ったそれは敵の肉をめちゃくちゃに引き裂い…あ、右腕も取れた。

 

「何やってんですか早く生やして!」

「ちょ待って頭痛いのちょ待って。にしてもなんで急にあんなのが」

「ある程度こっちの兵器が流出してることは考えられたが、急に投げられたな」

 

多分向こうのほうの天狗も爆発に巻き込まれて怪我負ってるだろうし…

 

「あ、二人とも伏せてください」

「え?」

「いいから早く」

「いでっ」

 

椛に頭を掴まれて地面に押し付けられた。

そのあとすぐに頭の上を数え切れないほどの銃弾が飛んでいった。

 

「……いやでもこれ」

 

確かに敵蜂の巣なったけど…動けるレベルの傷なら操られていくらでも突き進んでくる。

 

「あんまり意味ないねえ!」

「三人とも撤退しますよ!私に捕まっ……あれ」

 

突然飛んでやってきた文と同じタイミングで、三人とも驚いたような声を上げた。

 

「あれ敵…凍ってね」

「毛糸さんなんかしました?」

「いや私は……でも」

 

こんな風に凍らせられることができるのは私の知ってる限りは二人しかいない。あとこんなのに首突っ込みそうなのは一人しかいない。

 

「なんで来てんの…チルノ」

 

なんとなくチルノの存在といる場所がわかる、私の霊力はもともとはチルノのものだからだろうか。

 

「あたい最強!」

「うんバカ!敵めっちゃチルノの方群がってるってちょっ!文!文捕まえてきてあいつあのバカはよはやく!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局また後ろに戻ってきてしまった…とりあえずにとりんたちの所に避難している。

 

「……んで、なんで大ちゃんまでいんの?」

「いや…その……チルノちゃんを追いかけてたら……」

「はぁ…」

 

どうやらチルノがこの山に行くとか急に言い出して、大ちゃんも止めようとしたけどダメだったらしくそのままついてきてしまったらしい。

 

「おいバカァ!」

「誰がばかだ!」

「オメーだよバカ、なんでわざわざこんないつも血飛沫が飛んでるようなところに来たんだよお前」

「そ、それはあたいが最強であることを示すために…」

「………」

「………」

 

これでも長い付き合いだ、お互いのことは結構わかってるつもりである。

 

「目線が逸れてますけど?いいから本当のこと言いなって」

「………」

「チルノちゃん、毛糸さんのことが心配だったんです」

「わぁちょっと大ちゃん!」

「あ、ふーん………」

「うっ……」

 

大ちゃんの言葉に慌てるチルノ、も私はずっとチルノから目を逸らさない。

 

「………毛糸が」

「ん?」

「毛糸があんな声で話すから……」

 

下を向きながら、小さな声でそう呟いたチルノ。

……そっか。

 

「大ちゃん、私そんなにすごい声してた?」

「え?あ、そう、ですね。それはもうすごい怒ってましたよ」

「そっかぁ」

 

ってとは…ま、心配させた私のせいでもあるか……

 

「心配してくれてありがとね、でもほら、私全然平気だからさ。心配しないで」

「むぅ…」

 

あれ、怒ってる?これ怒ってる?

 

「あたい帰らないから」

「えぇ……なんでさ」

「なんでも」

「えぇ……んー」

 

本人がここまで言うってことは意地でも帰らないつもりなんだろうな……とはいえ…むぅ……

 

「毛糸さん!向こうで椛さんたち押され始めてま…ってあれ、なんでチルノちゃんがいるんですか?」

「るり……わかった今行く。チルノ、行くぞ」

「え?」

「え?じゃねーよ。最強だってんなら子分の手助けくらいお安い御用でしょ?」

「…あ、当たり前だし!」

「大ちゃんはここで待っててね」

「あ、はい」

 

…ちょっとは元気出たかなぁ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

足から妖力を出して地面を凍らせ、さらにそこから氷塊を地面から生やして敵を打ち上げる。

 

「チルノ、あんまり私から離れるなよ。……聞いてないな?」

 

わあすっごい笑顔で楽しそうに氷飛ばして敵を凍らしてる……とりあえずこっちに近づいてくる奴は私も戦って、チルノには近づけないようにする。

 

にしても…チルノがこうやって戦ってるとこは初めて見たけど………強いねこの子!

いやほんと、向かってくる有象無象の妖怪なんか全然敵じゃない。片っ端から凍らせて氷をぶつけて撃破している。いつも自分のことを最強最強って嘯いてるだけあるわ。

 

「あ、お帰りくださいー」

 

なんかゴツイ妖怪の集団が自信満々そうな表情でこっちに向かってきていたが、妖力弾を一発適当に仲間で纏めて爆破しておいた。

 

「あたい最強!」

「あんま調子乗るなよー…」

「……なんかすごいな、いろいろと」

 

柊木さんがこっちに近づいてきた。おい、戦えよ。

 

「俺たちは剣持って相手を斬りつける泥臭い戦い方しかしないからな。こうも氷やら妖力やらで派手にやられると、俺たちが今までやってきたことはなんなのかって感じるよ」

 

どうでもいいわ、戦えや。

 

「その泥臭い戦いってのもわたしは大事だと思うよ。私とチルノがやってるのは対集団のやり方だから。相手が一人でこっちも一人とかなら、こんな派手なやり方よりも椛みたいな、ああいう洗練されてるやつの方がいいよ」

「だろうな。どっちにしろ俺にはそういうのできないから関係ないが」

 

よし話終わったんなら戦え。

 

「………で、本当にやるつもりなの?」

「…まあなぁ、あいつがめっちゃくちゃやる気だし、一人でやらせるわけにはいかないだろ。俺は付き合ってやるさ」

「そっか」

 

椛の強さ…というか異常さは私もよく知ってるけど、それでもアレに勝てるのかと言われれば絶対に勝てると言うことはできない。例え柊木さんがいたとしてもだ。

それならやっぱり私が……でもなあ。

 

「俺たちには俺たちなりのけりの付け方ってのがある、やれるとこまでは自分たちでやってみるさ」

「…そっかぁ」

 

やっぱり柊木さんも白狼天狗なんだなぁ……私天狗のことよく知らんけど。てか私毛玉かすらも怪しいし、同族がいるって羨ましいなあ。

 

「………というか、お前こんな雑談しながらよく敵を倒せるな」

「位置見たら氷飛ばしたり妖力弾飛ばしたりするだけだしね。これなら数百年前の他の山から侵略してきた勢力の方がよっぽと強かった」

 

いや、思い出補正かかってるかもしれないけど。

あの頃はまだ私も転生したばっかりだったし、あの……変なおっさんが馬鹿みたいに強かったし、結局ルーミアさんが倒してたし。

あの頃とは色々変わったなぁ………

 

あれ。

 

「…なんか敵の勢い増してない?」

「……確かに」

「椛は?」

「あっちの方で一人で暴れてる」

「そっかぁ………」

 

なんか氷をガリガリ削って進んできてるんだけど……なに、ゴリラでもいんのか向こうは。

 

「多分これ、意識奪われて傀儡になると同時に何かによって強化されてるよなぁ」

「だとしたら相当面倒だなこれ」

 

うわぁ…なんで今更そんなことすんの…めんどくせぇー。

とか思ってたらその辺の茂みから敵が飛び出してきた。

 

「んひぃ!?」

「危なっ」

 

柊木が咄嗟に守ってくれて、そのまま首を切った。

 

「ちょ、そこまで迫ってきてるって!うおおおおお!」

 

妖力を手に凝縮して一気に放ち、レーザーみたいにして敵を一気に薙ぎ払った。

 

「うわぁ…えげつな…」

「私もそう思う」

 

でも…勢い止まんねえな……

 

 

 

 

 

 

「んぐぐぐ…きっつい!」

 

敵の数減ってるんだろうけど、一人一人が意識奪われて強化されてるせいで労力がさらにかかる。

 

「毛糸さん!大変です!」

「あぁんなに!?今忙しいのわかる!?」

「奴ら、地底へ続く縦穴に入っていってます!!」

「は?………あぁでもこのっ……くそっ」

 

今すぐ行きたいけど…今この山を私が離れたら………でも地底へ今すぐに向かいたいし……あぁもう!さとりん達が心配だ!

 

「行ってきてください」

 

突然椛もやってきた。

 

「椛……でも」

「どうせ自分がいなきゃ、とか考えてるんでしょう」

「え?」

 

敵を斬り伏せて私に向き直る椛。

 

「あんまり侮らないでください、私たちは別に、あなたがいなくたってなんの問題もないんです」

「そうです、もとよりいないものだと思って作戦立ててたんですから。ここは私たちのことを信用して行ってください」

 

椛と文に立て続けにそう言われる。

 

「これは向こうが俺たち妖怪の山にふっかけてきた喧嘩だ。自分たちのことくらい自分たちでなんとかしてみせるさ、行ってこい」

「柊木さん……ごめんみんな」

「謝ってないでさっさと行ってください。大切な友達、なんでしょう?」

「…なんかその言い方腹立つ!」

 

文にそう言われ、縦穴のある方向へ向き直る。

 

「チルノ、お前はるり達のとこで大ちゃんと一緒にいてくれ」

「なんで!あたいはまだ……」

「頼むよ」

「…わかった」

 

その返答を聞いた瞬間に体を浮かせて縦穴の方へと全力で向かう。

 

 

 

 

 

 

「どけや雑魚どもおお!!」

 

叫びながら妖力弾を発射していくつも大爆発を起こし敵を蹴散らして、敵の中を突き進む。

確かに、縦穴に向かっていくにつれて敵の数がだんだん減っているような気がする。

 

「楽しめそうなやつがいるじゃねえか!」

「どけって言ってんだろうが!!」

「どかしてみろもじゃもじゃああ!」

 

正面を大きな体の妖怪に塞がれるが、構わずにそのまま突撃する。

 

「こい!」

 

妖怪と私の妖力のこもった右腕がぶつかる。その瞬間に周囲に衝撃波と私の体に大きな振動がやってきた。

 

「どっちかがぶっ倒れるまでやり合おうぜ!」

「無理」

 

腰に刺さっている黒い刀身の刀に手を伸ばした。

その直後、妖怪の右腕が宙を舞っていた。

 

「どいてろ」

 

その妖怪の顔面を思いっきり殴ってぶっ飛ばした。

トドメ刺してる時間ない、私ははそのまま縦穴へと入って行った。

 

「無事でいてくれよ……頼むから」

 

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