毛玉さん今日もふわふわと   作:あぱ

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無理やり行く毛玉

 

「今度はどこ行く気ですか!!」

「ただ紅魔館に行くだけだってっ、友達と会うだけだからっ!」

「そんなこと言って帰ってきたら左腕ぶっ壊れてたんだぞ!」

「ごめんね!!」

 

大ちゃんとチルノに両腕を掴まれて、出かけるのを阻止され続ける。

 

「毛糸さん目を離したらすぐ怪我したり落ち込んだりするんですもん!」

「ほんとごめんね!!」

 

いや本当に心配かけて申し訳ない……それはそうと行かせて…

 

「いつも勝手に落ち込んだり怪我したりして勝手に立ち直ってるし、ばかは目を離したらだめだ!」

「お前に言われたかねえんだよバカチルノ!でもごめんね!!」

 

申し訳ない気持ちがどんどん込み上げてきて、なんかもう辛い。

 

「あっほころん!」

 

近くを通った誇芦を呼ぶ。

 

「助けて!この二人説得して!私のこと離してくれないの!!」

「………へっ」

「へっ!?」

 

お前それなんの笑い……ちょおま、どこ行くねーん!!

役立たずが……

 

「意地でも離さない気かっ」

「離しませんっ!」

「それなら……強硬手段!」

 

両腕を掴んでいる二人に霊力を少しだけ流して浮かせる。

 

「テメェら連れて行きゃいい話だーっ!!」

「なああああっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「という経緯がありまして」

「すぅ……すぅ………」

「うん、寝てるね」

 

二人をそのまま無理やり連れてきたはいいけれど、普通に美鈴さんが寝てた。

 

「こいつなんだ?」

「門番」

「門番って寝るの?」

「寝ない……いや寝るとは思うよ?生物だし」

 

ここへ来て寝てる時は、肩を叩きながら、起きるまで段階的に力を上げていって痛いって起きるまでやってるけれど……

 

「すごい気持ちよさそうに寝てますけど……」

「なあチルノよ」

「なに」

「お前が寝てる奴にする悪戯と言ったら?」

「氷漬け」

「よし行け」

「よっしゃー!」

「えぇ……」

 

チルノが足元からゆっくりと凍らせていく。

私も何度かやられたことある、大体すぐ起きるけど。

だからまあ、凍り切る前に起きるとは思うんだけど……

 

「………」

「………」

「……起きませんね」

「寒くないの…?」

「ばかなんだろ」

 

せめて寒がれよ、なんで顔色ひとつ変えねえんだよ、なんなんだよこの人。

これで門番やってるってマジですか?

 

「あぁ……体のほとんど氷に埋もれちゃった」

「あたいが凍らすのうまいってことだな!」

「多分この人が鈍感すぎるだけだよチルノちゃん」

 

ここまで起きないんだったら、もう無視して通りたくなっちゃうんだが……

そういうわけないかないかぁ。

 

「しゃーない、起こすわ」

「どうするんです?」

「こうやってちょっと妖力を腕に込めてだな」

 

氷が砕ける程度の力を込めて、拳を氷に向けて振り抜く。

 

「そおい」

「ほわああぁあぁああっ!?」

「あ、起きた」

「すごい驚いてますよ」

「なななんですか一体……てかさむうっ!?つめたぁ!?」

 

全身の氷砕けてから温度実感してるよこの人。

 

「おはようございます」

「え?あ、おはようございます……なんか私めちゃくちゃ体冷えてるんですけど」

「寝てたんで悪戯してた」

「普通に起こしてくれれば……ん?後ろの二人は?」

 

私の後ろに控えていた二人の姿を美鈴さんが見つける。

 

「友達、一緒に中入っていいかな」

「見た感じ妖精ですかね?まあ……妖精なら問題ないと思いますよ。毛糸さんの友人ならなおさらです」

「そっか、どうも。えーと……青い方がチルノで、緑の方が大妖精っての」

「初めまして、大妖精さん、チルノさん。紅魔館門番の紅美鈴も申します」

「は、初めまして…」

「うむ、くるしゅうない」

 

このバカは自分をなんだと思ってるんだ。

 

「それはそうと美鈴さん、寝てばっかで大丈夫?全然気づかなかったし」

「悪意もって近寄られるとなんとなく分かるんですけどね……毛糸さんは顔見知りなのと普通に良い人ですし。妖精は純粋でなかなか……」

「咲夜に怒られない?」

「めっちゃ怒られます……」

 

でも寝るのをやめないと……

恐ろしいほどの眠りへの執着、私最近不眠気味だから見習った方がいいのかもしれない。

 

「まあ私なんかと話しててもなんですし、中はどうぞ。お嬢様もきっとお喜びになります」

「どうだか」

 

あれ以来くるのは初めてか。

そんなに時も経ってないとは思うんだけど……

 

「門番って寝るのが仕事なの?」

 

門を通ってすぐにチルノがそう聞いてくる。

 

「普通は違うけどあれは美鈴さんがダメダメなだけ」

「聞こえてますよー」

「聞こえるように言ってるからねー」

「えー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「赤い」

「赤いですね」

「赤いよなあ」

 

スカーレットって名乗ってるだけはあるけれど……あれか?血の色を誤魔化せるとかそういう理由でこの色チョイスしてないよな?

別に見た目が赤いってわけでもないしなレミリアとフラン……目は赤いけれども。

 

「なんか流れに任せてきちゃいましたけど、本当によかったんですか?」

「あ」

「ど、どうしたんです?」

「そういやここ妖精メイドとかいたんだったわ……」

「妖精の?」

 

わらわらいるけれど、なんか怖がられるし存在感もそんなにないしで、ほとんど記憶に残ってなかった。

 

「あ、どうせなら二人も雇ってもらう?」

「嫌です、絶対嫌です」

「あたいは生まれながらに自由だ、何にも縛られないんだ」

 

なんかチルノが変な言葉を覚えてるんだが、これって誰のせい?

私か。

 

「青い方はともかく、緑の方は賢そうなので大歓迎なのですが」

「あ、咲夜。ごめんね急に来て、人も多いし」

 

また、いつものように咲夜が急に目の前に現れる。

 

「いつものことですしお気になさらず。妖精も、この館にも何人もいますし」

 

この館、明らかに見た目以上に広いからなあ……そんなに広くてなんに使うんだよってくらいには。

その分大量に妖精メイドもいるわけで……それをまとめ上げてる咲夜は本当に優秀だと思う。

時間操れるし。

 

「お嬢様でしたら、今は大図書館にてパチュリー様と何かを話されているみたいですが……」

「んー……迷惑かもしれないけど、他に用もないし案内してくれる?」

「かしこまりました、ではこちらへ」

 

ちなみに私はまだ一人だと余裕でこの館で迷える。

だって広いんだもん、何度壁ごとぶち抜いてやろうと思ったことか。

 

「お二人はどういう用で?友人だと言うのはわかりますが」

「親分だ!」

「お前は黙ってなさい。んまあ……この前の出来事話したら、心配でここに来るの止められてさ、なんやかんやで連れてきたちゃったんだけど……まずかったりする?」

 

私はともかくとして、関係ない二人を連れてきたのは完全にその場のノリだったから……

昔から考えなしなのは変わらないか。

 

「別に構いませんよ。特に、暴れたり、しなければ」

「お、やんのか?」

「チルノちゃんなんで喧嘩腰なの」

「人様の家で暴れるような奴じゃない、はず……うん………」

 

チルノに分ってんだろうな?という視線を送る。

気づかれなかった。

 

流石に暴れたりはしないはずだけど………うん、私の家でいつも暴れてるからなあ……

私の家はあいつの城らしいが。

 

「あの……一応いいですか?」

 

咲夜が心配そうに尋ねてくる。

 

「以前のようなことは起こさないでくださいね…」

「……私じゃなくて、レミリアに言った方がいいんじゃないかな」

「それは…まあ……」

 

おいレミリア、お前の従者否定しないぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しろまりさん誰それ何それ!新しいメイド!?」

「友達」

「よろしくね!」

 

大図書館に入ってすぐにフランが私の姿を見つけ、次に二人の姿を見つけて飛んで寄ってくる。

 

というか、フランもいたんだね。

 

「それでは私はこれで。何か用の時は呼びつけてくださればすぐに参ります」

「うん、ありがとね」

 

……呼びつければくるって、咲夜いつもどこにいるんだろうか。

確かにレミリアが呼んだらすぐに駆け付けてるような印象だけど……

 

「どこに住んでるの?しろまりさんとはどういう関係?というかその羽もっと見ていい?」

「お、おぉ……おおおぉお…」

 

あのチルノがフランに気圧されている……いやまあ、力の差を考えれば当然ではあるか。

普段のあいつが生意気すぎるだけで。

 

「名前は?あそうだ私の翼見る?」

「あ、あのぉ……」

「………ん?」

 

大ちゃんが助けを求める様子でこちらを見てくる。

初めて見る相手だからフランもうっきうきって感じで質問が止まらない。

チルノも大ちゃんもたじたじといった様子だ。だからこそ、フランと顔見知りである私の助けを求めたのだろうが……

 

「がんば」

 

そうとだけ伝えておいた。

なんか首を横にぶんぶん振られていた気がするが、ありゃきっと幻覚だな、うん。

 

「さ、て、と」

 

レミリアとパッチェさんはどこにいるんだ?この大図書館の大きさもよっぽどだからな……

 

「……ん?」

「え?」

 

あー……赤い髪の……小悪魔の……

 

「……こあだっけ?」

「あ、覚えててくれてたんですね」

「正直ほとんど忘れてた」

 

悪魔って名前にある割には普通にいい人そうなんだよなぁ。

実は凄い怖い本性を隠し持ってるとかかもしれないけれど……

 

「大図書館にきたってことはパチュリー様に会いに?でも今は…」

「あー、どちらかといえばレミリアかな」

「なら、二人のいるところまで案内しますね」

「ありがとう助かる…私本当に方向音痴だからさ……」

 

住み慣れてないと本当にどこがどこかわからない……まあ、外なら飛べるから、上から見下ろせば大体どの位置かわかるのが救いか。

 

「それにしても本多いよなぁ……」

「コレクションって面もあるみたいですよ」

「パッチェさん凄いよなぁ」

「わかります……」

 

アリスさんもそうだけれど、魔法使いは底が知れない。

そもそも魔法に詳しくないってのもあるけれど、基本賢いし、色んなことに長けてるから万能感がある。

最初に出会ったのがチルノと幽香さんじゃなくて、アリスさんだったら、もしや魔法毛玉に…?

 

ないか。

 

「………」

「どうかしました?」

「いや、なんでもないよ」

 

………英語の本ある。

そうだよな……こいつら海の外からダイレクト転移してきたわけだから、そりゃ英語圏だよな……

 

でも喋ってるの日本語だし……勉強してきた?

いやいや、吸血鬼異変で見かけた奴ら全員日本語だったし、流石にそれはない……

なんだ?外の世界言語統一でもされたんか?

 

……幻想郷内では言語が日本語に統一されるとか?

なくはない……のか?

 

いやいやそれ以前にこの世界やたらと女の方が多いのなん——

 

「あ、いましたよ」

「え?」

 

小悪魔が声をかけてくる。

視線の先には、確かに机を挟んで、何かについて話しているレミリアとパッチェさんの姿があった。

 

「それでは」

「あ、うん、ありがとう」

 

………なんかもやもやするけど、まあいいか。

 

「やっほ」

 

少し離れたところから短く声をかける。

二人の視線が私に向いた。

 

「あら、あの時ぶりね」

「げっ……何しにきたのよ」

 

レミリアに拒否反応を示される。

ちょっと傷ついた。

 

「何って……暇だったから」

「ならフランの相手でもしときなさいよ」

「じゃあこの前の義手の修理代請求しに来た」

「じゃあって何よ」

「あれめっちゃ怒られたんだからな、壊したの私じゃないのに」

「知らないわよ」

 

知れよ、損害賠償請求するぞ。

 

「わざわざここに来たってことは、レミィに話があったんでしょう?」

「まあ、大したことじゃないんだけどさ……話っていうか、顔合わせに来ただけっていうか」

「じゃあもう顔合わせたわね、帰っていいわよ」

「ちょ待てよ、せめてもう少しいさせろよ」

「人の屋敷に無許可で入り込んできてもう少しいさせろ……はぁーっ、図々しいにも程があるわね」

 

やれやれって感じでそう言われるレミリア、それを睨みつける私、そのやりとりを冷ややかな目で見つめているパッチェさん。

 

「幻想郷に無許可で入り込んできたやつに言われたくない」

「仕方がないじゃない、放っておいたら消滅しちゃうんだから」

「じゃあなんで吸血鬼ども攻めてきたんだよ!」

「目障りな同族を勝手に殺してくれるんだったら、ありがたく活用するだけよ」

 

お前の方が図々しいだろ絶対。

 

「そんなにいがみ合うほど仲良くなってたなんてね」

「いがみ合うって仲良いんですかパッチェさん」

「あら、少し前までは会話もあまりなかったように思えるけれど」

 

それはレミリアがさ……

 

「ねえパチェ、思いっきり話が脱線してるのだけれど」

「えぇそうね、まあ息抜きとでも思えばいいんじゃない?」

「ん、やっぱなんか話してた?」

 

邪魔してたのなら大人しく退散しようと思うのだけれど。

 

「そうよ、部外者はさっさとどっか行きなさい。しっしっ」

「うわぁムカつく」

「毛糸にも話してみたら?」

「ハァ!!?」

 

レミリア顔凄い大声を出して驚く。

 

「なんでこんな私の足元にも及ばない低俗で愚かな毛の集合体ごときに」

「なんでそんなにわざわざ悪口言うんだよ喧嘩売ってんのか」

「無関係ってわけでもないでしょう」

「………はぁ、わかったわよ」

 

どうなら私にも教えてくれるらしい。

なんだろうか、こんなの紅魔館の在り方とかそんなんだろうか。

 

 

「異変を起こすのよ」

「あ、うん……え?」

 

 

……また?

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