毛玉さん今日もふわふわと   作:あぱ

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毛玉と春雪異変

 

「………今日も同じように寒い、と」

「……冬ってこんなに長かったっけ」

「……まあ、例年なら春の時期ではあると思うよ、桜とか咲いてる」

 

真顔で誇芦と顔を見合わせる。

 

「………長くね」

「長い」

「おかしくね」

「おかしい」

「異変かな」

「わかんない」

「どうする?」

「寝る」

「そっかぁ…」

 

あーあ、こたつの中入っていっちゃった。

いやまあ……寒いけどさ。

めちゃくちゃ寒いけどさ、どちゃくそに寒いけどさ。

 

「外出るなら相当着込まなきゃだよなぁ、これ……」

「冬眠するから春になったら起こして」

「やだ」

「…すぅ…」

 

寝やがった……しかしまあ。

外は相変わらず雪降ってるし、てか最近ずっと降ってるし、春は来ないし、チルノとレティさんは人生の春って勢いではしゃいでるし。いや、冬なんだけども。

 

「異変だとしても、どこがやってんのか検討もなぁ…」

「オラァァアアカチコミじゃああ!!」

「あぁ?潰すぞ」

「あれ、思ったより驚かないな」

 

魔理沙が勢いよく扉を開けてきた。

カチコミとかどこで覚えたのよ!あ、私か。

 

「冬をさっさと終わらせてもらうぜ!白珠毛糸!」

「私じゃないです」

「あ、やっぱり?」

 

当てずっぽうかよ。

 

「……というか、やっぱり異変?これ」

「おうさ、異変に決まってるだろこんな異常気象」

「それもそうか」

 

とりあえず寒いので部屋の中に誘導する。

 

「あ、こたつには誇芦が……ぁ」

 

イノシシの姿に戻ってやがる……まあその姿の方があったかそうではあるけども。

 

「……まあ、とりあえず入ってほら」

「おっ、それじゃ失礼して…ふぅ」

「みかんいる?」

「もらうぜ」

 

相当寒かったらしくかなりこたつの中に埋もれている魔理沙。

 

「いやもう本当、寒くて敵わないぜ。冬も嫌いってわけじゃあないんだが、こうも長引かれるとな……」

「そうなんだよねぇ……ってか、なんでここ分かったの?教えてないのに」

「冷気撒き散らすバカ氷精しばいて吐かせた」

「いいぞもっとやれ」

「かわいそうって言ってやれよ」

 

うんざりしてるし……夏に縛って天日干ししてやろうかな。

いやまあこのままだと夏すら来なさそうなんだけど。

 

「それで、目星は?」

「まだだ、というかなんの手がかりもないからなぁ……一応あのバカしばくついでに雪女っぽいのもしばいたんだが、違かったみたいだし」

 

もしレティさんかチルノだったなら私が真っ先にしばき倒してぼっこぼこにして懺悔させてるところだ。

相手がレティさんでも容赦はしない、全力でビンタしに行く。

 

「で、行く当てなくなったから、バカ妖精に聞いておいたお前の家を最終目標にしてきたってわけだ」

「でも私は無実だったと」

「まあやるようなやつじゃないってのは分かってたしなぁ。もしかしたら何か知ってるかもとか、期待してたんだが……」

 

何も知らない、てな感じの仕草をとると、魔理沙はやっぱりなあ、という感じでため息をついた。

 

「なんかわけわからん桜の花びらなら拾うんだが……」

「なにそれ」

「ほら」

 

魔理沙が出したのは……なんか桜の花びらっぽい何か。

うむ、ほんのりと温かい。

 

「これに何かありそうだなとは思うんだが、その先がなぁ……なんかわかるか?」

「わからん」

「だよな、知ってた」

 

確かにそんな感じのやつ見たような覚えがあるような、ないような……

 

「……ってか、霊夢は?」

「当てもないのにむやみやたらに探し回っても時間の無駄だってよ。あれ絶対寒くて動きたくないだけだぜ、私にゃ分かる」

「それでいいのか博麗の巫女」

「で、仕方なしにこの魔理沙様が異変解決に向けて動いてるってわけよ。何も進展してないけどな!」

 

うぅむ……私、妖怪としてはまだまだだからなあ。

こう、古株的な人たちの勘?知恵?みたいなのが全然ないから……いや、少しくらいはあると思いたいけど。

 

「それなら、私も寒いのは嫌だしこっちから動いてみるよ」

「…いいのか?その……」

「霊夢のことならいいよ、そのうち思い出すだろうし……会うの怖がって引きこもり続けてるわけにもいかないしさ」

「……そうだな」

 

誇芦は冬眠に入ったから特に気にする必要もないだろうし、このまま寝ててもらおう。

……これ本当に冬眠するつもりなのかな、今更冬眠って感じするけど。

 

「でも、どこか当てはあるのか?」

「とりあえず紅魔館行こうかなって。なんか知ってるかもでしょ?」

「あー……じゃあ私はもうちょっと何かないか飛び回って見る。何もなかったら、その時は……」

「……その時は?」

「……アリスでも頼るとするか」

 

すっげえ不本意そうに言うなあ、お前。

 

「じゃあ、私も支度するよ。魔理沙はどうする?」

「このみかん食べたら行く」

「あ、そう」

 

季節を好き勝手弄るなんて許してはおかぬ。

必ずかの邪智暴虐の黒幕を討たんと私は立ち上がるのであった。

 

妖怪が異変解決していいのかって?

………まあへーきへーき、手がかり探すだけだし、いざとなったら魔理沙に全部放り投げて帰るし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………あ、どうも」

「どうも……美鈴さん寒くないの?」

「鍛えてますから」

「かっけぇ…」

 

私も言いたいな……鍛えてますから。

 

「それで、本日は何の御用件で?」

「冬が終わらないじゃん」

「終わりませんね」

「何か知らないかなーって」

「なるほど」

 

そういうとすんなり通してくれた。

あの、私一応この館の主と思いっきり殺りあった仲なんですけど、いいんですかそれで。

今更だけどさ、すごい今更なんだけどさ。

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど……魔理沙も動いてるのね」

「霊夢も流石にそろそろ動き始めるとは思う……思いたい」

 

図書館に来たらいつもどおりパッチェさんがいた。

 

「……で、そのレミリアはなに」

「咲夜がいなくて暇だからってここでぐったりしてるのよ」

「あ゛〜ざぐや゛ぁ゛〜」

 

威厳もへったくれもない姿になったなあおい。

 

「って、咲夜いないって?」

「レミィが送り出したのよ、異変解決に」

「そうなん?」

「妖精メイドつっかえない……咲夜早く帰ってきてぇ…」

「ダメだこりゃ」

 

まあ確かに、咲夜1人いないだけでこの館回らなくなりそうではあるけど。

 

「う〜……あ?なんであんたここにいんのよ」

「今?さっきから居ましたけど?気づいたの今?」

「影薄いのね、かわいそうに」

「殴るぞお前」

「やってみなさいよ」

 

直前まで咲夜咲夜って連呼してたくせに、私を認識した途端にこれである。

 

「仲がいいのは結構だけど」

「良くないわよ」

「レミィはさっきからうるさい、少しは静かにしてて」

「何よ、そんなに言わなくなっていいじゃない…」

 

あ、しょげてる。

 

「で、毛糸」

「へい」

「これは何かわかる?」

「………あ」

 

パッチェさんがそう言って出したのは、魔理沙が持っていたあの桜の花びらみたいなよくわからん奴。

 

「……わかんない、なんそれ」

「春よ」

「ごめん何て?」

「春」

「春って花弁だったんだぁ…」

 

訳わかんなくて首を傾げていると、レミリアがフッ、と笑った。

 

「これだから程度の低い毬藻妖怪は…」

「あ?んだとこの……カリちゅま野郎」

「はー!言ったわね!?あんたそれ言ったわね!?」

「やんのかこら」

「やってやろうじゃないの」

「………あのねぇ」

 

パッチェさんが呆れた目で見てくる。

 

「これは……便宜上春度と呼ぶわね」

「春度?」

「春そのものと言って差し支えないわ」

「私には差し支えあるからちゃんと説明してほしい」

「………」

 

何だよその顔。

 

「……要は、これがあると春が訪れるの」

「なにそれ知らん」

「そうね、今は集めるために具現化されているようなものだから、普段は見えないわ」

「集めてる……ってことは、やっぱり誰かが春遠ざけてんのか」

「そうね」

 

その春度ってやつを私に渡したパッチェさん。

 

「それが集まれば春が来る。この長い冬を起こしている犯人は冬をどうこうしてるんじゃなくって、この春度を本来の流れから逸らして集めてる。それがどこからかはわからないけどね」

「これをどうしろと?」

「持ってた方がいいんじゃない?私は行く気ないから知らないだけで、それ持ってたら集められてる方向がわかるかもしれないし」

「なるほど」

 

咲夜は仕事早いからさっさと辿り着いてるかもしれないし、霊夢も勘がいいからなぁ……

 

「パチェ〜暇〜」

「知らないわよあっち行ってなさい、しっしっ」

 

扱いひっで。

 

「全く……こんなことなら私が異変解決に赴くんだったわ」

「あなたは妖怪でしょう」

「でもこの毬藻も妖怪じゃない」

「あぁん?」

「この毬藻は変だからいいのよ」

「はあぁん?」

 

この館の中を外と同じように一面雪景色にしてやってもいいんだぞ。

やらんけど。

 

「私、次の異変は出ようかしら…」

「次が起こる前提なのが怖い」

「あなたが起こせばいいのよ」

「何がいいのか全くわからん」

「毛玉異変」

「安直すぎる」

「幻想郷を毛玉で埋め尽くそうと画策した白珠毛糸が紅魔館の主であるこの私、レミリア・スカーレットに阻止されて服従を誓うのよ」

「お前に都合のいい筋書きすぎる」

 

というか、幻想郷を毛玉でって。

私そんなわけのわからん技能持ってない。

……いや、案外やってみたら毛玉を使役できたりするのかな?

 

「……あなた、こんなところで油売ってていいの?」

「ん?まあ別に急いでないし」

 

パチュリーさんにレミリアとのやりとりを白い目で見られながらそう指摘される。

なんか案外あっさりわかっちゃったし……魔理沙どこいるかわかんないし、私が動いてなくても普通に解決はするだろうし。

 

「外寒いしなぁ……さっきも言ってたけど、妖怪の私が出しゃばることでもないしね」

「まあ、確かにあなたが本気で動いたら大抵のことは解決するでしょうけど」

「私でもいけるわよ」

「対抗心燃やしてるんじゃないわよ」

「私の方が強いしぃ?」

「決着つけたろか、こら」

「やってやろうじゃないのよ」

「やんなくていいわよ………そのやりとり絶対にしないと気が済まないの?あなたたちは」

 

気づいたらやっちゃってるんだよね……不思議だわ。

 

「はぁ……あ、そういやレミリア」

「何よ」

「運命視れるんならさ、次どんな異変が起こるとかわかんないの?」

「運命をなんだと思ってるの」

「未来予知」

「堂々と言い切ったわねあんた」

 

そも運命ってなんだよ、命を運んでくると書いて運命か?

 

「分からないこともないけれど、常に鮮明に見れるものでもないし。何よりそんなの見ても面白くないじゃない」

「結局は面白いかどうかかよ」

「視たい時にしか視ないわよ」

 

まあそう都合のいいもんじゃないんだろうなとは分かってたけど……従者が時間止めてるんだしそのくらいできそうじゃん。

 

「あ、わかった。お前が未熟だから視れねえんだ」

「そんなにお望みならぐちゃぐちゃにして壺の中に入れて発酵させてやるわ」

「どんな処刑方法だよ」

 

なんで発酵させんだよ、なんでそんなにグロテスクにぶっ殺しておいて壺ん中で放置すんだよ。

 

「未熟って何よ!あんたとそう歳変わんないでしょうが!」

「お前が雑魚ってこと」

「あぁ?」

「おぉ?」

「いい加減にしなさい、もし本当にここでやるなら私が相手になるわよ」

「………」

「………」

 

パッチェさん……

名のある大妖怪ってわけでもないのになんとなく威圧感あるんだよなぁ……

 

レミリアよりよっぽど……

 

「……何よ」

「別に?」

 

まあ私が一番そういうのからは遠いか。

 

「そういやあなた、弾幕勝負できるの?」

 

パッチェさんが思い出したようにそう聞いてくる。

 

「フッ……舐めんなよ」

「あ、ダメなのね」

「知ってた」

「あっれれぇ?」

 

全くもって期待されてない…?

めちゃくちゃ出来そうな感じ醸し出したのに、出来ないのが当然として取り扱われてる…!?

 

「いやまあできないんだけどさ……一応スペルカードは作ったんだよ?作ったんだけどさぁ……」

「見せなさいよ」

「やだ」

「なんで」

「絶対にバカにしてくるから」

「チッ」

 

舌打ちまでしやがってこの野郎。

 

「じゃああなた、黒幕見つけたとしてどうするのよ」

「お話する」

「なるほど拳ね、よくわかった」

「知ってた」

「あっれれぇ?」

 

なんでぶん殴る前提なのかなぁ?

ちゃんと私話し合うって意味で言ったんだけどぉ?

 

「……まあ、戦うときは適当に戦うよ。大体そういうのは人間連中に丸投げする気でいるし」

「じゃあなんで行くのよ暇なの?」

「おうそうだよ暇だよ知ってるだろ黙っとけ」

 

いちいちいらん口はさみよってからにほんま……

 

「まあ雑談すんのもこのくらいにしとくよ、これ以上ここにいたらそいつをぶん殴りそうになる」

「おう来なさいよ、やってみなさいよ」

「やんねぇよバァカ!」

 

さて、魔理沙と合流したいところだけど……アリスさんのとこ行けば会えるかなぁ?

 

「……ん?」

 

レミリアから静かな目線を感じる。

私に目線が向いているようで、私のことは見ていないような、そんな目。

 

「……どうした?」

「あなた………」

 

………?

 

「随分楽しそうにしてるじゃない」

「………はぁ?」

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