毛玉さん今日もふわふわと   作:あぱ

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恐怖を振り撒いてしまう毛玉

「いやーまさか顔見知りだったとは……すっかり忘れてた、ごめんよ」

「いや、まあ、別に構わないけど、さ……」

 

どんどん再生していく私の体をチラチラ見てくるてゐ。

 

「いやお前自分がとんでもないことになってるの自覚しろ」

 

魔理沙が呆れたようにそう言ってくる。

 

「え?私これが平常運転だよ?ねえアリスさん」

「あ、うん、そうね」

「ほら」

「めちゃくちゃ適当に返してたが」

 

いやでも不死身の人とかいるらしいし……それに比べたら私はちゃんと死ぬからマトモな方だよ、死んだことないけど。

 

「で、道案内してくれるんだよね。黒幕?のとこまで」

「も、もちろん、死にたくないし……」

「……?私なんかした?」

「い、いや別に……」

 

えぇ…顔見知りだからそんなに警戒しなくていいのに……傷つく。

 

「お前逃げねえだろうな」

「逃げないって、ちゃんと案内するから……」

 

まあ逃げようとしたらまた捕まえればいいしね。

 

「……あの、一つ質問なんだけど」

「ん?」

 

恐る恐る、と言った感じで私に尋ねてくるてゐ。

 

「もし…もし逃げたらどうなる?」

「うん?追いかけるだけだけど」

「そ、そうなんだ………」

 

そこまで怯えられるとなんか申し訳ない気持ちになるんだが……

 

「……あの、食べたりは…?」

「え?食べないけど?」

「よかったぁ……」

「不味そうだし」

「………」

 

……ん?なんで固まった?

 

「不味そう………」

「…?おーい?聞こえてるー?」

 

あ?なんか二人にも変な目を向けられてるんだけど。

 

「いやだって、食べるなら普通のウサギ食べるでしょ、こんなの食べても気分良くないし絶対美味しくないって」

「こんなの……」

 

え?え?何で傷ついてんの?わかんないんだけど。

 

「はぁ……茶番は置いといて、早く行くわよ。その様子じゃ逃げ出しはしないでしょ」

「おう、そうだな、茶番もいいとこだな」

「え?あ、いや、なんかゴメン!」

「ははっ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妹紅さんの時と同じように、迷いなく竹林の中を進んでいくてゐ。

 

「顔見知りっぽかったけど、二人はどういう関係なんだ?」

 

魔理沙がそう聞いてくる。

 

「どうって……本当に一回顔合わせただけだよ、本当に。ねえ?」

「あ、うん……」

「………」

 

なんだろう、すごく距離を感じる。

そりゃまあ罠ガン無視で暴れ回ったんだから引かれるか……

 

「なあ、お前ってずっとこう……グロテスクな感じだったのか?」

「いや、そんなことは……あるかなぁ」

「あるのか……」

「最近はなかったけど、ついこの前右半身ぶっ飛んだんだよね」

「何したらそうなんだよ」

「………組み手?」

「どんな組み手!?」

 

だってそれ以外に言葉が見当たらないし……

 

「お前って結構頭おかしかったんだな…」

 

やだ心の距離が離れていくのを感じる……

 

「私は前から知ってたけどね」

 

アリスさん…!

 

「その…着いたよ?」

 

 

しょうもない会話をしていると、てゐが短くそう伝えてきた。

 

「あ、ほんとだ見覚えあるぅ」

「じ、じゃあ私もういいかな……」

「え?あ、いいよ全然、案内ありがとね」

「はは…どういたしまして……それじゃっ!!」

 

そう言うとてゐは逃げるように竹林の奥へと逃げ込んでいった。

 

まさにそう…脱兎の如く、ってね。

 

「うおっ!?なんで自分叩いた今!?」

「いや、つまらんこと考えてたから」

「は、はあ?」

 

いやでもまあ、思わぬ出会いもあるものだ。

なんか心の距離がめちゃくちゃ空いたっぽいのは辛いけれど、ここまでなんとか辿り着けただけでもよしとしよう。

 

「お前がそんなふざけた性格で良かったって、今心の底から思ってるよ」

「確かに」

「え?なんの話?悪口?」

「どっちかってーと褒めてる」

「…ありがとう?」

 

ふざけた性格って言葉って褒め言葉になるのかなぁ……

 

「もしお前が血も涙もない冷酷無情なやつだったらって考えると……」

「考えただけでもゾッとするわね」

「……?」

 

な、なんで急にそんな話に?

 

「さっきから何を……」

「そのままのあなたでいいってことよ」

「さ、早く行こうぜ。あの危なっかしい霊夢のこと追っかけねえと」

「はあ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んー……なんだここ」

「来たことあるんじゃなかったか?」

「引くほど構造変わってる」

「まあそうでしょうね」

 

この中で好きに戦闘してくださいね、と言わんばかりの広さに改造されている。前来た時こんなに廊下広くなかったじゃん……多分……

 

「でもこの中多分あの二人は通って行ったんだろ?」

「多分ねえ……もしかしたら他のやつも先行ってるかもしれないし、後続で誰か来るかもね」

「誰かって?」

「吸血鬼とか?」

「あぁ、なるほど」

 

というわけで私たちも向かわなきゃならないわけだが……相変わらず道がさっぱりわかんないな。

ここも見た目より広いタイプの屋敷か?方向音痴には辛いからやめていただきたい、切に。

 

 

 

とりあえず廊下を進んでいく。

似たような景色が続いていて、悪趣味な真っ赤な屋敷が思い出されるが……まあこの二人と逸れない限りは大丈夫だろう。

 

こんな場所で分断でもされようものなら悲しいことになる。

そう、知らない場所で一人きり。

 

迷子センターの出番である、そんなものはないけど。

 

「なあ、お前ここに前来たことあるんだろ?」

「ん、それが?」

「こんなとこに何しに来たんだ?」

「診察」

「は?」

 

は?と言われましてもそれが事実なもんで……

 

「私って左腕義手でしょ?昔左腕が動かなくなって、それがどうなってるかなってここに診てもらいに来きたのよ。義手つけたのはそのあとね」

「はあ……」

「じゃあどうやってこの場所を知ったの?」

「それは………ん?」

 

 

 

 

アリスさんの疑問に答えようとすると、前方に人影が見えた。

うん、ウサギの耳みたいなのあるね。

 

「あ?誰だお前」

「またウサギ?」

「……それ制服?」

 

各々それぞれの感想を漏らす。

 

「……白いもじゃもじゃ」

「んー??なんで私にだけリアクションするのかなぁ?」

「よかったわね、目立ってるわよ」

「よかないわい」

 

綺麗な赤い目に長い薄紫色の髪、そして大きなウサギの耳。

さっきのてゐとはちょっと違うような……?

 

「まずはあなたね」

「へ?私———

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

——おおっとお?」

 

なんか目が赤く光ったと思ったら周りの風景が変わってたでござるよ……

 

『やっと気づいたか』

「お前は……誰だ!!」

『君だよふざけてる場合?』

 

だって今どういう状況かわからんし……

 

 

改めて周囲を見渡してみると、よく見れば見慣れた景色の霧の湖だった。

そして目の前にはもう一人の私……なんで具現化してんのお前?

 

『ここが精神世界だから』

「はいぃ?私たちのアレってもっとこう、一面真っ白じゃなかったっけ?」

『君の調子がおかしいから風景も乱れてるんだよ、ほらまた変わった』

 

今度は妖怪の山だ。

これはもしかして……

 

「あ、すげえ思うように変えられる」

 

地底でしょ?魔法の森でしょ?人里でしょ?冥界でしょ?

 

「おもしろっ」

『あのさあ……遊んでる場合?』

「いやだから今どんな状況かわからないんだって」

『君は今解読不能な言語を吐き散らかしながら屋敷を縦横無尽に荒らして暴れ回ってる』

「なんで??」

 

そんな身に覚えは……

 

『もう二人とははぐれてるよ』

「マジでか……もう出れねえじゃん」

『帰りの心配より今からの心配しなよ』

「いやどうしろっての」

『はあ……分かってるんでしょ、いちいち言わせないで』

 

そんなガチでため息つくなよ、自分にやられるとめっちゃ腹立つ。

 

『今から君を殴って正気に戻す』

「あら〜唐突ぅ〜」

『じゃあ行くよ』

「え、ちょま、優しくし———」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お師匠様に言われた通り、他の二人に比べて力の強そうな白いもじゃもじゃの妖怪を全力で狂気に突き落とした。

 

妖力を放出しながら壁を破壊してどこかへ行ってしまったそいつに呆気に取られてる二人をすかさず能力にかけて、多少弾幕で錯乱させて分断させてからいまだに暴れ回ってるあの妖怪のことを見に来た。

 

 

本気で能力を使ったと言うのに、発狂することもなく、虚な表情で何かをぶつくさと呟きながら妖力弾を放出して暴れ回っている。

 

いや、そこまでなら個人差とか、耐性とかで説明はつくけれど……何より不思議で気味が悪いのは———

 

「なんであいつ……ん?」

 

動きが止まった。

さっきまで狂気で乱舞していたというのに、突然動きがピタリとやんでしまった。まだ能力にかかってるけど、一体何が……

 

 

「———ってえ!!いや痛くねえけど痛え!!」

「嘘っ!!?」

 

自力で抜け出した!?

突然正気を取り戻した…誰かの手を借りたならともかく、一人で私の能力から抜け出すだなんて、そんなこと……

 

「思いっきりやりやがって……あ」

「あっ」

 

目が合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい待てって!話しようよ!」

「するわけないでしょ来ないで!!」

「初対面だよね!?なんでそんなに嫌われてんの私!?」

 

うわ弾幕飛んできたあっぶね。

 

思いっきりもう一人の私に殴られた後、見覚えのない場所でさっき見たウサギの制服着た子がいたので追っかけてる。

 

なんで私の体が血みどろになってたのかはわからんが……

いや、自分の手が真っ赤になってたの考えたら答えは明白だな。

どうやら思いっきり自傷行為してたらしい。

 

「服穴だらけだし真っ赤っかだよもう」

 

こんなことになるなら着替えでも持ってくればよかったか……

アリスさんいたら魔法の不思議パワーで色は戻してくれるんだけどな〜

 

「っとと」

 

結構的確に弾幕飛ばしてくるなぁ……まるで近寄れない。

 

「ちょ、君、一旦、落ち着い——」

 

あらぁ〜また目が赤くなってるねぇ。

見なきゃいいタイプかもだけど思いっきり見ちゃったねぇ〜

 

『ほい』

「あんびゃあ!?」

「はぁ!?」

 

と、突然目の前に現れた私にビンタされた……

 

「なんで能力効かなくなってるのよ…!」

 

なるほど、多分精神とかその辺に干渉するタイプのアレなんだろう。

で、私はもう一人私がいるからビンタで強制的に元に戻せるってわけ。

 

『もう2回目だからね、さっきはいきなりで対応できなかったけど』

 

はぁ…都合のいい二重人格だ。

二重人格じゃないと否定してくる自分の声を無視しながら、目に見えて狼狽しているウサギの子を追いかけ続ける。

 

「ん」

 

無言でスペカ発動されたな。

…ってめっちゃスカスカなんだけど?

 

大切な何かが欠けてるかのような弾幕。

 

『能力ありきの弾幕なんじゃない?』

 

私の頭を叩き続けるもう一人の私がそう言う。

なるほど、要するに今こうやって能力がキャンセルされまくってるから弾幕がスカスカになってるのか。

多分幻覚とかなのかなあ……

 

一応見えてない可能性も考慮して、こっちも軽く弾幕を自分の周りに飛ばして相殺しながら距離を詰めていく。

 

「どうすればいいのよっ!!」

「なんかごめんね?」

 

そんなつもりはなかったのにこうもメタれちゃうと……申し訳ない、全然フェアじゃないよね。

 

「いやでも足速いんだよなぁ……」

 

結局この銃弾のような弾は早いし……てか能力使えないから、その分普通の弾幕に力入れられまくってる気がしてくる。

 

どちらにせよこのまま追いつける気はしない。

 

「どのくらい幻覚見てたかわからんし、いい加減二人が心配……ん?」

 

 

 

 

 

彼女の周りを突然現れた大量のナイフが囲む。

 

 

「はあっ!?ちょっ」

 

なんの前触れもなく現れた見覚えのあるナイフ……ありゃ咲夜だな、来てたんだね。

 

そうやってぼーっと見ていると…

 

「なんであんたそんなにボロボロなのよ」

「うわ出た」

「はあ?」

 

後ろから声がすると思ったら、隣にメイドを連れた吸血鬼さんが私を見下ろしていた。

 

「なんでお前ここに……」

「それはこっちのセリフ……いえ、今それはいいわ。行くわよ咲夜」

「承知しました」

 

やだ頼もしい……

 

「新しい侵入者……次から次へと……!」

 

ウサギの子がそう言った途端、弾幕勝負が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…あんな風になってたのか」

 

二人に完全に任せて私は観戦に回った。

追いかける必要は無くなったので自分に叩かれる必要はなくなり、普通に能力の影響を受けながら見ているとなかなかに激しい弾幕だった。

 

「……息ぴったりだな」

 

魔理沙もアリスさんそれと……霊夢と紫さん。

どうやら今回の異変はコンビを組むのがトレンドらしい、私は一人だけど。

 

それにしてもあのウサギの子、結構良いね。

目が赤く光るのカッコいいし、スペルカードの名前もなんというか、こう……振り切っててイイね。

嫌いじゃない、むしろ好き。

 

「私の目も光んないかなあ」

 

真っ黒だからなあ…この目。

 

 

 

座り込んで弾幕を眺めながらそんなくだらないことを考えていると、どうやら決着がついたらしい。

 

レミリアと咲夜は中々に苦戦していたように見えたけど、終わってみれば圧倒していたようにも思える。

 

「さて、と」

 

レミリアが私の目の前に降りてくる。

 

「どういう状況か、教えてもらえる?」

 

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