毛玉さん今日もふわふわと   作:あぱ

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毛玉は放浪するもの

「やい!現れたわね毛玉」

「私たち三人がお前!」

「成敗する!」

「………誰?」

 

聞いてアロエリ○ナ、ちょっと言いにくいんだけどー。

聞いてアロエリー○、三色の妖精がつるんできたんだけどー。

「……ごめん誰」

「な……わざわざ森からやってきたっていうのに、私たちのことを知らないって!?」

「チルノの馬鹿が言うからどんな奴かと思ったけど、私たちのことも知らないなんて…」

「大したことなさそうね、頭以外は。私たちのことも知らないなんて」

「うるさいね君たち」

「私がサニーミルク」

「私がルナチャイルド」

「私がスターサファイア」

「どちら様でしょうか」

 

仲良く名乗られたけど全く記憶にございません、本当に誰ですか。

なんか赤っぽいのと白っぽいのと青っぽいの………あ、まってなんか思い出しそう。

オランダ……いやロシアかな。

 

「いや違う違う、えーっと………あ、あれか、チルノとたまーに遊んでる奴か」

「記憶力はチルノ以下なのかしら」

「きっとチルノよりも馬鹿なのね」

「すごいのは頭だけのようね」

「はいお前らセリフ多くて長いんだよだまらっしゃい」

 

参ったな………毎回一気に三人分のセリフが飛んでくるのか。

誰に反応したら良いのかわからんし、そもそも聞き取れるかどうかも怪しい、というかうるさい。

やだ、変なのに絡まれた。

 

「えーと、さにーみるく?何の用ですか」

「貴方が毛玉のくせに調子乗ってるっていうから、私たち妖精の上下関係を教えてあげにきたのよ」

 

………あ、よかった、指名したらその子だけ喋ってくれるわ。

サニーミルク、ルナチャイルド、スターサファイア………うん覚えた、多分。

で、さっきなんて言われたんだっけ。

えーと、私が毬藻でゴミでカスの癖して、調子にのってるから最強の自分たちがしばきにきたぞ、かな?

ふーん?爆発したいのかなー?いいよ、跡形も残らず三人一緒に消してあげるよ。

まぁ冗談はさておき、よく私が毛玉ってわかるね?毛玉要素ほとんどないのに、宙に浮いてるのと髪以外の毛玉要素ないのに。

というか、チルノはなんて面倒くさいことしてくれたんだ………

 

「でさー、なんで私上に座られてんの?」

「上下関係を教えてあげるって言ったじゃない」

 

あ、そうくる?物理的な上下関係でくる?いいの?私このまま空高くまで浮くよ?天空のお城の高さくらいまで昇っていくよ?

人が考え事してる間に下敷きにするなんて、流石いたずらが好きな妖精、やることが違うね。

あーめんどくさいよー、こんな、こんなよくわからん三色に絡まれるとかめんどくさいよー。

誰か助けてー。

 

「やいお前ら、それはあたいのいすだぞ」

「うん、突っ込みたいけど我慢するわ」

 

突然現れたチルノ、私と上に乗ってる三人を見下ろして、堂々と私を椅子宣言してきた。

 

「早い者勝ちよ」

「早い勝ちもなんもないわ、人の上に乗るなよ」

「それはあたいのいすだ」

「椅子じゃねーし、なんとかしてくれよチルノー」

「無駄よ、私たちは」

「ここを絶対に」

「のかない」

 

なんだこのガキども………めんどくさいよー、あーもう、めんどくさいよー。

もうめんどくさすぎて……あーめんどくさ。

寝よ。

 

「なら氷をおみまいしてやる!」

「ちょ、下に人がいるのよ!?」

「ふん!」

「あぶな!」

「ぐほああああああ………ガハッ」

「あ、ごめん」

 

せ、背中に……背中に突然でかい氷がぁ。

あ、ヤバい、骨ヤバい、背骨ヤバい、体動かん。

 

「ぐはぁ……何してんの君たち、ねぇ」

「あやまったじゃん」

「謝って済むならサツはいらねえんだよ……この時代にサツはいねえけどなぁ………」

 

もう……こんな変なことで妖力消費したくないんだけど……

 

「えっと……そこの君、白いの」

「え、私?」

「そうだよ君だよ。えーっと、るな……ルナ…ルナチャイルド」

 

体を浮かして立ち上がると、なんか落ち着いた雰囲気のルナ……あーもう知らん、白いのを呼ぶ。

困惑した様子の白いの、こちらへ来るように言うと、恐る恐るやってくる。

 

「あのね、世の中にはやっていいことと駄目なことがあるの、わかりますか?人を下にして上に乗るって、乗られてるひと凄い不愉快でしょ?ね?そーゆーことしちゃダメだよ?」

「なんで私だけ…」

「だってあの二人に言っても聞きそうにないから」

「ちょっと!私たちのこと馬鹿にしたわね!」

「馬鹿みたいな頭のくせに」

 

私がバカじゃないと言うつもりはないけど、少なくとも妖精で頭が悪くないの少ないでしょ。

大体チルノとかそーゆー感じのだからね、大ちゃんみたいなのとかそうそういないけどね。

 

「いーぞー、もっと言ってやれー」

「チィルノくーん、君もさー、そうやって考えなしに氷飛ばすのやめなさいよー」

「なんだよ、あやまったからいいじゃん」

「それさっき聞いた。あのさぁ、私は別に謝罪を求めてるんじゃないんだよ、どうせあれでしょ?明日になったらまた同じようなことするんでしょ?学習能力ないから」

 

あーもう疲れたよパトラッ○ュ、この妖精たちの頭にかぶりついてよパトラッ○ュ。

ん?なんか嫌な気配が……

 

「いてっ。なんだよマジでさー…」

 

突然頭に小石が落ちてきた、痛い。

 

「いてっ、いてっ。もうなんだよ!」

 

何個も何個も落ちてくる。

上を向いても何もない、ただ顔面に小石が当たるだけ。

見えない小石が、落ちてくるときだけ見えるような感じだ、とりあえず腕で防いでおく。

 

「………?」

 

目の前の怪奇現象に頭がフリーズする。

あっれれえ?なにこれえ、おかしくなーい?

とりあえず屋内に避難しよう、家の中に入って扉を閉める。

 

「ぬぅ………えーと……んー?」

 

これはあれか、透明人間ってやつか。

毛玉が擬人化する世界だしね、いてもおかしくないよね。

そういやさっき、あのサニーうんたらってのだけいなかったなぁ……

アホみたいに酒飲んで具合悪くなる白狼天狗が千里眼持ってるくらいだからね、妖精が姿隠す能力持っててもおかしくないよね

なんにせよ、このまま閉じこもってるわけにもいかない、小石ごときを警戒して引きこもりとかいやだよ私。

てわけで意を決して外へ出る!

 

「おらかかってこいよ!………なんで誰もいないん?」

 

ぼっちなん?ぼっちなの私。

小石が痛くて家に入っただけなのになんで放置されるん?

……もういいやふて寝しよ。

家の中に帰る。

 

「あー、もう散々だうぇー?」

 

家の中がなんかめっちゃ荒らされとるんですけど!?なにこれ酷くない!?空き巣!?

いやまて、落ち着け、これはきっとさっきの妖精たちがやったことなんだ。

きっとあのサニーうんたらは自分以外の姿も消すことができるんだ、そうに違いない。

でも、私が外に出た一瞬でここまで荒らせるか?

となると外に出る前から荒らされてた、でも家の中に入った時は荒らされてなかった。

そもそも、こんなに荒らされたら大きな音くらいは出るはずだ。

そうなると………音を消すやつがいるのか?三人組ならそんな感じの能力のやつがいてもおかしくないだろうし……あーあ、家がなかったら全方位に氷放つのになー。

 

「音はしなくて姿は見えない……おっほ、めんどくさすぎ」

 

先生ギブ!自分無理っす!

音も鳴らないのならどこかで暴れられてもわかんないな………

うーん、どうしたらいいんだよこれ、うーん………頭痛くなってきたんですけど。

あれ、詰んでない?私詰んでない?だってどうしようもないじゃんこの状況、姿見えなくて音もしないって。

気配を感じ取ろうとしても、音も姿も見えないんじゃ私にはそんなもの感じ取れないし………オワタ。

だーけーどーなー……あの妖精たちにいいようにやられるのもなぁ……てかチルノどこいったんだろう。

帰ったか、帰ったことにしておこう。

 

 

「うーむ………あ」

 

良いかはわかんないけど策は思いついた。

冷気を手から出して、小さな氷の粒を作り出して宙に浮かせる。

いっぱい浮かせる、とにかく浮かせる。

姿を消せるとしても、さすがにこの家中に浮く全て氷の粒までは消せないだろう。

浮かせるために霊力をほんの少しだけ入れているから、そんなすぐに溶ける心配もない。

動けば氷の粒が動き、あいつらのいる場所だけ氷の粒がなくなるはずだ。

うむ、我ながらなんて安直な策、まぁ私みたいなちっさな脳みそじゃこれが限界なんでね。

氷の粒をばら撒き仲間は家中を回っていく。

もう既に出て行ってたとしても、被害状況を把握したいし、外から覗かれてで圧力はかけられるからね。

 

もう家の仲が氷の粒で満たされそうなくらいになったから、ばら撒くのはやめたけど、一向にあの三色の姿が見えないなり。いや、姿は見えないだろうけど。

おっかしーなぁ……私ちっとも物音も出してないはずだから、そのうち遭遇してもいいはずなのに……やっぱりもう外にいるのかなぁ?

でもなぁ……被害がどんどん大きくなって行ってんだよね…全ての部屋が荒らされたといっても過言じゃない、というか全部やられた。

貴方達を器物損壊罪で訴えます、理由はもちろんお分かりですね。貴方達が無駄にすごいステルスで私の家を荒らしまくったからです。

法廷で会おう。

 

 

うーむ………家を外から見てみたけど……

 

「えーらいこっちゃ」

 

外から見たらまだマシだけどなぁ……中がなぁ……

いったい私が何をしたっていうんだ、存在が罪なんですか、誕生罪ですか、生まれてきたことが罪なんですか。

あーあ…萎えすぎて苗になりそう。

 

うしっ、吹っ切れた。

大事なものは引っ張り出してきたし、どうせ修復作業とかマジ面倒くさいしぃ………爆破するか。

 

手に妖力を集めて圧縮して妖力弾作り、マイホームに向かって勢いよく投げた。

 

「イオ○ズンッ!!」

 

 

 

 

「いたたっ………急になんなのよ。ほら、ルナ、スター起きて」

「う、うーん……いったい何が」

「おぉはよおごおざいまあああす」

 

妖力を垂れ流して圧力をかけて、精一杯の怖そうな顔をして睨みつける。

ビビったのか、急に三人の姿が消えて何処かへ行ってしまった。

これで悪は去ったっと………

 

「うーん、芸術は爆発と言いますけれど……単に悲惨なことになっただけだね」

 

ま、スッキリはしたんですけど。

とりあえず私のできる精一杯で脅かしたから、しばらく私に近寄ってくることはないだろう。

ないよね?さすがにバカじゃないもんね。

記憶に残っている私の家と、変わり果ててしまった私の家の跡地を思い浮かべる。

 

「………」

 

ま、まぁね、もともと使いづらかったからね、いつかリフォームしなきゃなって思ってたし。

後悔はしてないし、ちょっとやりすぎたかなーなんて思ってないし。

むしろね、爆発さしてちょうどよかったよね、いいきっかけになったよね。

決して、決して一時のテンションに身を任せたわけじゃないよ、めんどくさくなって思考放棄したわけじゃないよ。

 

「そろそろ変わり時って奴なのかなぁ………」

 

まぁ変わり時って言っても、なにか変わらないといけないことがあるってわけじゃないんだけどさ。

なんかこう、ね。

私はあまりにもこの幻想郷のこと知らないし。

行ったことあるのなんてあれですよ、湖と山と地底と人里くらいですよ。

これだけ聞いたらなかなかいろんなとこ行ってる気がするけど、竹林とか森とかもあるみたいだしさ。

放浪の旅的な……自分探しみたいな……

なんで言えばいいんだろうね?一回仕切り直したいっていうかなぁ。

どうしても、ここにずっといると、縛りつけられてる気がする。

ここの場所に愛着湧きすぎたっていうのかな、出会いも別れも経験したし、ここが私の帰る場所ってなってる。

帰る場所があるのはいいことだし、友達って言える人もできてる。

ただ、このままじゃいけないんだ、いつまでも死んだ人を気にしているようじゃ。

 

「はぁ…」

 

変わる気はないけど変わりたい、変わりたくないけど、変わらないといけないと分かっている。

なんなんだろうなぁ………辛いのかなぁ私。

こんな顔してちゃどーせ心配かけるだけだろうし…別の場所で新たな出会いとか求めちゃったり……しよーかな。

 

よし決めた、どっかいこ。

 

そう言えばこの洞穴って、確か私が初めて裸族になったところじゃん。

いいねいいね、なんか再スタートって気がするね。

さーて、そうと決めたらチルノや大ちゃんに何かしら言っておかないとなー、何言おうかなー。

 

むぅ………雨が降ってるせいで外に出られないし、良い言葉思いつかないし……ふて寝しよ。

 

横になって、あの人の形見の鞘に収まっている刀を見つめる。

 

なんだかんだ言って、やっぱり私はあんたに後ろ髪引かれてたんだねえ、りんさん。

いつかあの人の声や顔も忘れる時が来るのだろう。

そういうものだし、悲しいけど諦めはつく。

 

これも置いていこう、てか誰かに預けておこう。

どうせ忘れてしまうなら、さっさと忘れてしまった方が楽だ。

 

 

ま、絶対に忘れてやんないけどね。

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