かめはめ波を撃とうとしたら、新世界を作ってしまった 作:おこめ大統領
「あ、愛上くん! 久しぶり!」
「お、大山君じゃん! バカセロリ~」
「久しぶりって言いたいの? りしか合ってないよ」
1人でふらりと食道に来たら、たまたま入り口で愛上君に遭遇した。
日向君やゆりっぺからはたまに話を聞くからあまり久しぶり感はないし、実際半月くらい間が空いただけだから、そこまで実際に久しぶりでもないんだろうけど、一回一回のインパクトが凄いので余計に懐かしさを感じてしまう。
「大山君、ちゃんと授業でないとだめだよ。先生気にしてたよ。やばい生徒だけ残してさぼりやがってって」
「それは君のせいじゃないかな? 早く自分のクラスで受けなよ」
もしかして、クラスメイトに思われてるから僕だけ『先輩』って呼ばれないのかな? 野田君にさえ先輩呼びしているのに。
「いいじゃん。『人の迷惑はありがた迷惑』ってことわざもあるくらいだし」
「ありがた迷惑って迷惑なんじゃないかな? 多分そんなことわざもないし」
「言われてみればそうだな。勉強になるな~」
そういって懐から石板と彫刻刀を取り出し、ゴリゴリとメモを取っていく。
時代錯誤を1000年単位で行わないでほしいな。
「恥ずかしいからやめてよ、愛上君。昼休みで生徒も集まってるんだし」
「それもそうだな。すまんすまん、気遣いが足りてなかった」
石板を膝で二つに折り、窓から投げ捨てた。
何のためにメモを取ってたんだろう。
その後二人して食券を買い、品物を受け取ると、トレーを持ってうろうろしている野田君と日向君を見つけた。
「おー、お二人さん。席取ってたりしない? いいとこが空いてなくてさ」
日向君もこちらに気が付いたようで、そんなことを言いながら近づいてきた。
確かに、今は昼休みも中盤に差し掛かったあたりだ。一番席が埋まっている時間帯だろう。
しまったな~、先に席を取っておけばよかったと後悔していると、愛上君から提案があった。
「それなら、俺が取ってる席に行こうか。こんなこともあろうかと、4人席を取っておいてよかったわ」
「お、準備いいね。じゃあ、お言葉に甘えようかな」
「ふん。俺はまだお前を認めたわけじゃないからな」
「じゃあお前だけその辺で立って食ってろよ」
「く…っ!」
「野田君、さすがに今のは予想できたでしょ? なんでそんな悔しそうな顔ができるの?」
野田君も渋々ついてくる形で席に向かう。
一歩足を進めるたびに、なんだか嫌な予感がしてきた。ちらりと横を見ると、日向君も僕と同じ表情を浮かべていた。
愛上君の案内に従い席に到着した。確かに4人席は確保されていた。けど、
「なんでだるまがおいてあるの?」
黄色と紫のストライプのだるまが5個、机の上においてあった。
なんというか、怖い話とかとは違った恐怖を感じた。警戒色だし。
「なんでって、席取りするためには荷物置かないといけないでしょ? 置いておけそうなものがおれの手持ちにだるましかなかったんだ」
「ダルマなんて普通持ち歩かないよ。しかも、一体なんか刺さってない?」
「ああ、俺のドクターフィッシュだ」
「なんで?!」
「このだるまがイケすかねー面をしてたからだろうが! あぁん!!」
「キレてることより沸点が奇妙なとこにあるのが怖いよ!」
謎の逆切れを無視しつつも、他に席もないのでここに座って食べることにした。愛上君は頭にだるま5体を縦に乗せながらラーメンを食べていたので、こっちはいろんな意味で気が気じゃなく、味なんて分からなかった。
みんなが食べ終わって雑談していた頃、この気色の悪い席に一人の客が訪ねてきた。
「探したぞ、師匠」
意外や意外、椎名さんだった。
師匠ってことは、愛上君に用事があるのかな? ゆりっぺから聞いた話だと、愛上君は椎名さんのドラムの師匠らしい。
「おー、椎名っち、珍しいねー。愛上に用か?」
「し、椎名…」
「え、俺に用事? どうした、椎名先輩」
野田君が椎名さんにビビってる。いつまでビビり続けるんだろうな、野田君は。
確かにかつては地下のダンジョンでひどい目にあわされたのだろうけど、日向君も負けず劣らず結構な目にあわされてるのに普通に接してるし、もう一生野田君はこのままな気がするよ。
まぁ僕らの一生はもう終わってるんだけどね。
「……すこし、手合わせを願いたい」
「今から? 別にいいよ。じゃあみんな、そういうわけで行ってくるわ」
「椎名っち、ちょっとタンマ。俺たちもその勝負見ていっていいか?」
そう言って愛上君は普通に立ち上がり、僕たちに手を振ったあたりで、日向君がそう提案した。
確かに、僕も気になる。二人が戦ったら一体どっちが勝つのか。どんな勝負になるのか。
「私は構わない。師匠は?」
「俺も別にいいよ。巻き込まれても知らないからな」
「ありがとさん。お前らも行くだろ」
「うん! ぜひご一緒させてもらうよ!」
「お、おおおおお、俺も行くぞ!」
こうして、愛上君vs椎名さんの注目バトルが幕を変えることとなった。
え、ゆりっぺ?
ん~、まぁ言わなくて大丈夫でしょ。
きっとどこかで見てるよ。
僕たちは森の方へ移動していた。
天使にばれて止められても面倒なので、なるべく学校から離れたところでやろうということになったのだ。さすがに学食でバトるわけにもいかないしね。
「ちなみに、一応理由だけ聞いてもいい? なんで俺と戦おうと思ったのか」
歩きながら愛上君が聞いた。だるまは未だ頭に乗っけたままだ。
「対天使用の戦闘訓練だ。お前には天使から授かった力がある。それに慣れておきたい」
「天使と同じ力はあるけど、使い方はかなり違うぞ?」
「それでいい。知見は広げておきたい。それに、純粋に体がなまらない様にするためでもある」
「責任重大だな。俺、ほとんど戦闘したことないから、その辺は目をつぶってね」
「了解した」
スタイルが違いすぎて、愛上くんとの戦闘が天使対策につながるとは考えにくいと思っていたけど、よく考えたら同じ力なんだよね。つまり、彼にできることは天使にもできるってことだ。
ありえないとは思うけど、確かに天使が急に眼からビームをだす攻撃とか地面から生えた巨大しゃもじで押しつぶす攻撃とかをするかもしれない。本来なら初見殺しな技だけど、彼ならそれを普通の攻撃手段として用いる可能性がある。
そういう意味では不意の攻撃対策にはなるかもしれないね。
椎名さん、意外と考えているんだ。
ごめんね、正直ちょっとアホなのかと思ってたよ。
しばらく歩くと、開けた川辺に出た。どうやらここで戦うことにしたらしい。
2人は示し合わせたかのように戦闘準備に入る。椎名さんは二本の小刀を構え、愛上くんは片手に豆腐、片手に浅黒い肌の人間を乗せている。二人の距離は10m程度だろうか。
「俺がこのインド人を右に投げる。それが着地した瞬間に戦闘開始でどうだ?」
「いいだろう」
「ワカリマシタ」
インド人の了承も得られたところで、両者気合が入る。そして、愛上君がインド人を右に投げた。
緩やかに、そして確実に地面に近づいていく。そして、
どしゃ
戦闘開始だ。
あ、椎名さんがもういな…って、いつの間にか愛上君に切りかかっ、あ避けられた。
愛上君の蹴りもなんかでっかい金属音と共に防がれてた……ぽい。多分椎名さんが小刀を使ったんだと思う。でもなんで蹴りで金属音?
お、いつの間にかあんなところまでいってる。なんか両者の制服に切り傷や血の跡が付き始めたぞ。いつそんな攻撃してたの? 豆腐も少し刃こぼれ(?)しているし。
え、愛上君が水の上に立った。忍者っぽい。椎名さんがクナイを投げて対応するも、愛上君の頭に乗ってただるまがジェット噴射と共に飛んで、それを防いだ。今は5つのだるまが愛上君の周りに浮いている状態だ。
愛上君がちかづい…、あ、豆腐で攻撃したけど椎名さんに変わり身の術をされた! 忍者っぽい!
その隙に後ろから愛上君を刺した! けど、変わり身だった! …? あれ、変わり身でだした木が無傷で、代わりに愛上君に小刀が刺さってる。全然回避できてないじゃん!
でも愛上君はなぜかドヤ顔だった。
その後も、二人は一進一退の攻防を繰り返した。
愛上君は、豆腐が手りゅう弾みたいに爆発させたり、凧にしがみついて飛んだり、椎名さんが投げた手裏剣を口で咥えて防いだりと色々とやりたい放題やっていた。裏を返せば椎名さんの動きにある程度ついていけているということだ。
僕と日向君、野田君には二人の動きが要所要所でしかわからず、ほとんど線のように見えていた。ほんとはちゃんと実況とかしたかったんだけどな~。
その後も色々あって、最終的には、腕を片方失った愛上君がだるま5体の口からバズーカやマシンガンなどで攻撃するもそれを躱しきった椎名さんが愛上君の首元に刃物を押し当てて試合終了だ。椎名さんの勝ちで幕を閉じた。
愛上くんは試合終了後にだるまを空中で爆発させて花火のようにしていた。なぜそれを試合中に椎名さんに向けて使わなかったのかを聞いたら、
「爆発で椎名さんが裸になっちゃったらどうするんだ!」
って言ってた。ほんとかウソか分かんなかったけど、とりあえず、僕たちはボロボロの状態で学校の方に戻っていった。
そう、僕たち観客三人もボロボロになっていた。
なんか流れ弾とか爆発の余波とかきていたので、普通に傷だらけなんだけど。
もっと遠くで見ていれば良かったな。
ちなみに森を出た瞬間に天使が現れて、愛上君だけ捕まった。曰く、花火で気が付いたらしい。
ほんとこの人は、何がしたいんだろうな。
椎名さんは椎名さんで、僕たちが愛上君に「忍者っぽい」って言ってたことを気にしていた。忍者の極意を改めて学ぶとか言ってたけど、椎名さんまでドクターフィッシュの刺さったキモい色のだるまとかを飛ばしださないか不安だ。
この後、僕は思考を放棄してめちゃくちゃうどんを食べた。
事典の回の愛上がキモすぎたので少し修正しました。この話もちょっとキモいからどうしようかと思ったけど、とりあえずはこのままで。
関係ないのですが、去年くらいから中華系スマホの価格破壊っぷりがやばいですね。カタログスペックだけで見たらりんごの会社と同じくらいのものが5万切っていたりしますし。
めぞん一刻の時代は作中で5年くらい経ってもずっとアパート共用の固定電話使ってたのに、今は5年経てばスマホもこんなに普及・進化して感動します。へへ、うんこもらしちまったよ。