かめはめ波を撃とうとしたら、新世界を作ってしまった 作:おこめ大統領
A, 思ったことはだいたい何でもできます。Angel Playerはゲームエンジン的なものだと思ってるので、ゲームでできるようなことに限りますが。
おはようございます。大山です。
色々あって、最近ルームメイトの日向君と怖い女子生徒のゆりっぺ達と共に『死んだ世界戦線』というグループを作りました。たまたま居合わせたから入っただけだから、偉そうなことは言えないんだけどね。
ちなみに今は全校集会の真っ最中です。
人の良さそうな校長先生がゆるゆると取り留めのない話をしているので、まだ朝の8時半ということもあり生徒たちは立ちながら寝ているような状態です。
僕もぼけーっとしながら、死んだ世界戦線のことに思いを馳せていると周りの拍手でふと我に返った。どうやら校長先生の話は終わったみたいだ。
「続きまして表彰に移ります」
表彰? どこかの部活が県大会にでも行ったのかな?
実際にはこの死後の世界にそんな大会はないと思うからそういう設定なだけなんだろうけど、そこまでリアリティを追及する必要はないんじゃないかな。
「今日の表彰は一つだけではありません。私もこの学校の教頭として鼻が高いです」
司会の教頭がそんなことを言った。確かにこの学校は生徒数も2000人くらいいるし、強い設定の部活が何個もあってもおかしくないか。
「まずは、全国光るどろだんご大会優勝 1-A 愛上君」
「はい!」
何その大会! 何をどう競うの? 受賞者もとても知ってる人なんだけど!
ていうか、愛上君、3年ですらなかったんだ。ほんとうちのクラスで何してたんだろう。
愛上君がステージに上り、校長から賞状を受け取っていた。教頭曰く、作品は校長室前に飾っているらしい。ちょっと興味あるけど、見に行くのはなんか悔しいな。
それにしても、どうやって校長らに表彰させてるんだろう。そんな大会、この世界で絶対行われていないだろうに。
愛上君が舞台から降りたのを確認すると、教頭が次へと進めた。
「えー、続いても愛上君ですね。また全国グランプリです。非常に素晴らしい」
まだ、何かあるのか。僕は嫌な予感と共に唾をごくりと飲み込んだ。
「老人破壊川柳最優秀賞です。再度壇上へお願いします」
いや、これは絶対ないでしょ!
先生方も少しざわついているじゃん!
生徒会長も止めに行くべきか迷ってキョロキョロしてるし!
すると、斜め後ろから「くそ!」という声が聞こえた。恐る恐る振り返ると、悔しそうな顔で膝に手をついている生徒がいた。手には「老人破壊川柳 11位」と書かれた紙を持っていた。
少なくとも競技人口は11人以上いるらしい。
再び賞状を愛上君が受け取ると、司会の教頭から提案が入った。
「せっかくですし、愛上君。最優秀賞をとったという君の句をきかせてくれないだろうか」
「もちろんです、サー」
ごほんと咳ばらいをする愛上君。
「鯖折りで 骨も残さぬ 孫心」
生徒の間からもちらほら『おー』という声が上がる。
わからない!僕にはわからないよ、その句の良さが!
みんなは一体何に感心したの? 死後の世界故の共感でもしてるっていうのかい?!
怖いよNPCのみんな! 僕はもう一緒に授業を受けられる気がしない!
「非常に理知的で情緒あふれる一句でしたね、私にはさっぱりわかりませんでしたが」
愛上君が舞台から降りた後に教頭が感想を漏らす。教頭はこっち側の感性なんだね! それはそれで嫌だけど!
「次も愛上君です。いやー、さすがですね。彼のように色々なことへの挑戦心というものはみなさんも忘れてはいけません。若いうちは失敗してもいい。色々なことに興味をもってとりあえず進んでみるべきです。そして、困ったときには大人に頼ってみなさい。そうすれば、君たちの道も開けるでしょう」
何かいいことを言っているが、老人破壊川柳の後にそんなこと言われても、いまいち感動しづらい。名言にヘタとかあるんだね。
「老人破壊俳句準グランプリ! 愛上君、壇上へお願いします」
同じじゃん!
老人破壊川柳とほぼ一緒じゃん! 季語があるかないかだけでしょ⁈
さっき「彼みたくいろいろなことに挑戦する姿勢をみならえ」とか言ってたけど、挑戦の幅が狭すぎるよ!
一応、斜め後ろを振り返ってみると、先ほどの彼が項垂れていた。手には「老人破壊俳句 101位」と書いた紙を持っていた。競技人口が101人以上いることが確定した瞬間だった。
慣れた手つきで賞状を受け取る愛上君。
てか、3回連続で受賞するなら、毎回壇上から降りなくていいのに。
「さて、愛上君。また、お願いしてもいいかな」
「ええ、もちろんです。一句読ませていただきます」
小さく咳ばらいをする愛上君。
「故郷にて サマーソルトで 髄散らす」
再び生徒たちの間から起こる感心の声。
今度はちらほらと拍手が起きている。
どういうこと? 故郷で老人にサマーソルトキックをくらわして延髄を破壊しているってこと? というか、季語がなくない……あ、サマーソルトが夏の季語なのか! なるほど、これはすっきりだよ! あっはっはっは! もうどーにでもなぁれ!
「えー次が最後ですね。なんと老人破壊俳句グランプリもこの学校の生徒のようですね。生徒会長の立華さん、壇上へお越しください。皆さんも拍手をお願いします」
ぱちぱちとまばらな拍手が体育館に響く中、生徒会長がそろそろと挙動不審気味に壇上にあがった。
絶対関係ないパターンだ。本人も賞状の受け取りを拒否してるみたいだし。
壇上での小さなもめごとを見ていると、ガラガラと、体育館入り口のドアが開く音が響き渡った。多くの生徒たちと共にそちらへ振り向くと、全身に縄が絡まり、ソフトモヒカンにセットされた校長と教頭が息を切らして立っていた。
「はぁはぁ、その、その校長と教頭は偽物だ! 今すぐ捕まえろ!」
その声と共に生徒会長が驚きの速さで壇上の校長、司会の教頭、そしてついでに愛上君の襟首を捕まえ、ずるずると引きづって体育館から去っていった。
体育館をでる直前に「あなたにハーモニクスを教えたのは間違いだったわ」というセリフが聞こえたような気がしたけど、僕にはよくわからなかった。
ちなみに、すぐ後に、先ほどまで項垂れていた斜め後ろの彼も連れていかれた。「俺の変装を見破るとはさすがだぜ」といっていたから、多分アレも愛上君だったんだろう。
僕の脳の処理能力が格段に上がってるね。こんなものを理解できてしまえるなんて。
「なぁ、大山。朝のあれ、いったい何だったんだ?」
「朝のアレ、っていうと、全校集会のこと? 日向君も出てたんだね。なんか意外」
「いや、たまたまそん時体育館裏にいてさ、声が漏れて聞こえてきたんだよ」
「なるほどね。さすが日向君、イメージ通りだよ」
「小ばかにしてねぇか?」
「ちょっと、二人だけで話を進めないでよ。何があったのよ」
僕は放課後に食堂で日向君とゆりっぺとだべっていた。
授業や学校行事にでないことでお馴染みの彼らに今日の集会であったことを説明する。
しかし、話せば話すほど彼らは眉を顰め、僕への信用度が下がっていくことが目に見えてわかる。いや、まあ僕も逆の立場だったら信じてないけど
「大山君、あなた冗談とか言ったりするのね」
「冗談じゃないよ! ほんとにあったんだって! あと僕ってそんなイメージだったんだね!」
やっぱり信用を無くしかけていた!
「まぁまぁ落ち着けって大山。んで、そいつは人間なのか?」
「どうだろう? ここが死んだ後の世界だってことは認識しているっぽいよ。前世の未練がどうとか成仏がどうとか言ってたし」
「おぉ、いいじゃん! ゆりっぺ、そいつ仲間にしようぜ。面白そうだしよ」
「でも、ひよこをバトルタワーに仕分けをしたらそれがジャイアンみたいな神龍になって願いをかなえようとしてたし、普通の人間じゃないっぽいよ」
「お前、何言ってんの?」
ついに日向君からも見捨てられた!
もう僕にはチャーしか頼れる人がいないじゃないか!
僕が悲しみに暮れていると、ゆりっぺから提案があった。
「もしかしたら、彼も神の関係者かも。どのみち、話を聞いてみる必要がありそうね。明日、彼と接触してみましょう」
「うん、わかったよ」「そうだな」
「じゃあ、明日1時間目が始まる前に大山君のクラスに集合ね」
そうして僕たちは食堂を後にして、寮に戻った。
しかし、次の日も、そのまた次の日も、愛上君は教室に現れなかった。
ひかるどろだんとの全国大会はほんとにあります。今年も地方大会から盛り上がってました。
老人破壊川柳とはか知りません。もしあったらコロナウイルスを殺します。
次話は明日の18時頃にあげます。
それ以降はしばらく毎日18時にあげます。