ではスタート!
「此処は…?」
見渡す限りの闇。だけど、ひっそりと闇の中にのどかの姿が見えた
「のどか!」
声を掛けてのどかの元へ行こうとすると
「っ!?」
のどかの体を剣が貫いた。
のどかだけじゃない。ちゆやひなた、紅牙も斬り刻まれる
「何がどうなって…!!」
後ろ姿だが、白く伸びた髪の毛が特徴の人物。犯人と思われる人物を見つけた
「皆んなをよくも!!」
蓮花は碧の賢帝を喚び出して斬り掛かる
「ウオォォ!!」
だが容易く蓮花の碧の賢帝を弾き飛ばした
そしてその人物の顔を見た。それは見間違える事は絶対にあり得ない。
何故なら
「な、何で…!?」
「よう、俺」
蒼咲蓮花、己の自身なのだから
「ドッペルゲンガー…そんな訳ないか。それなら夢なのか?」
「当たりだ。只の夢だが……夢では無い」
「また…。何が言いたい」
偽蓮花は蓮花に向けて碧の賢帝を向ける
「今見てる風景は未来のお前の姿だ」
「未来の…俺?」
偽蓮花の背後から何者かが襲い掛かる
「のどか!」
プリキュアに変身したのどかが偽蓮花に攻撃したのだ
偽蓮花は難無く
「夢だからな。殺しても現れるってか」
「やめろ!」
グレースに振りかざす碧の賢帝を、蓮花の持つ碧の賢帝で防御する
「夢だろうと誰も…死なせない!」
「いいや死ぬ。それが定めであり運命だ!!」
偽蓮花の持つ碧の賢帝が蓮花の体を貫いた。いや、正しくはすり抜けたと言うべきか
「そんな…」
すり抜けた碧の賢帝は、後ろに居たグレースの腹を突き刺さる
「グレース!!」
急いでグレースの腹を抑える。だが止め処なく血は流れ出る。止まらない、止められない。何をしてももう遅い
「──ッ!!!」
蓮花の持つ碧の賢帝が大きく光る。碧の賢帝は蓮花の体と同期し、蝕む
「コロ、ス…!」
一瞬で偽蓮花の体をバラバラにした。血飛沫が舞い、蓮花の服を、体を赤く染める
「ハァ…ハァ…」
「今の太刀筋、何の躊躇も無かった。化け物の誕生だなぁ」
目の前にはバラバラにした筈の偽蓮花が居た
「周りをよく見ろよ」
言う通り見渡せば、蓮花は血の池に立っていた。そしてその池には、のどかやちゆ、ひなたと紅牙が倒れていた
「お前は化け物なんだよ。この魔剣を手にした時から。化け物!悪魔!」
「違う!」
「孤独に生き、朽ち果てるんだな」
「違う違う違う!違う!!」
「前を見ろ…逃げるな!!」
偽蓮花は蓮花の襟袖を掴みあげ、トドメの言葉を言い放つ
「皆んなを殺し、地獄に堕ち、お前はこうなるんだ!!!」
「──ッ!!」
蓮花はベッドから起き上がった。夢から覚めたのだ
「最悪だ…」
////////
蓮花は海沿いの浜辺を1人で歩く
『── 皆んなを殺し、地獄に堕ち、お前はこうなるんだ!!!』
悪夢を思い出してしまう。夢なんて時間が経てば、忘れるだろうと思っていたが甘かった
「はぁ…」
そんな蓮花の姿を1人、遠くから見ていた者が居た
「蓮花さ〜ん!」
「のどか…」
純粋な笑顔で蓮花に話し掛ける
「蓮花さん何をしてるんですか?」
「海を見に」
「そうですか。あ、さっき紅牙さんと会いました!皆んなも呼んでいますから、もう少しで来ますよ」
「そうか…」
何度話し掛けても空返事ばかり。それに疑問を思ったのか、首を傾げて心配する
「体調でも悪いのですか?」
「全然だよ。心配してくれてありがとう」
「あ、蓮花!皆んなが来たラビ!」
ラビリンの言う通り、こちらに向かってちゆ達が歩いて来る
のどかとラビリンと一緒に歩き出すと
「そろそろいいかな?」
「のどか!ラビリン!」
蓮花が2人を覆い被さる様に伏せる
伏せる瞬間、浜の砂が大きく舞い散った
その正体はもう知っている
「紫苑!」
「フフッ!」
「蓮兄!」
「丁度良かった。のどかをお願い」
のどかをひなたに任せ、入れ替わりで紅牙が
「この野郎!いきなりかましてくれるなぁ!」
「何度でもかますよ。貴方達が…蓮花が真の力に目覚めるまでは!」
抜剣者3人の魔剣が火花を散らす
「アタシ達も行くよ!」
「待ってひなた!わたし達では力不足よ…」
「でも!」
助けに入るかどうか揉めてる時、蓮花がのどか達の所へ吹き飛ばされる
「蓮花!クソッ!」
「ハァッ!」
「なっ!?」
とうとう紅牙が魔剣を手放してしまった
(殺される!)
死を覚悟した
だが
「…どうゆう事だ?」
紫苑は紅牙を手にかける事はせず、代わりに布に覆われた骨の剣を差し出す
「持ちなさい」
「ふざけてるのか?」
「どうしたの?剣よ。私を殺すには武器が必要よね?」
「…いいだろう。その挑発に乗ってやる」
紅牙は紫苑を殺せるならと、背に腹は変えられずその剣を手に取る
「…あぁ、どうやら紅牙では無いようね」
「何を…がはっ!?」
剣を渡したと思ったら、紅牙を蹴り倒し奪い返した
「次は蓮花よ」
「賢帝解放!」
奪った隙を突いて碧の賢帝の波動を放つ
「無駄よ!」
碧の賢帝の波動を、紫紺の蛇刀切っ先で防御しその力を吸収する
「まだだ!」
今度は碧の賢帝の刀身に波動を纏わせ走る
「賢帝解放・応用編!」
「本気で相手してあげる!」
紫紺の蛇刀の刀身からも、紫の波動が纏い始める。そしてだんだんと剣が変形する
「何あれ!?」
「剣がうねってる?」
「これが紫紺の蛇刀の覚醒剣!」
「蛇刀覚醒!」
波動のエネルギーによって生み出された幾つもの蛇。その蛇が、碧の賢帝に巻き付き力を吸収する
「グッ!」
しかも力も強い。振り解こうにも、巻き付ける力が強過ぎて碧の賢帝を振れない
「だけど、応用編の真骨頂はここから!」
振れないなら伸ばせばいい。力を吸収されながらも、刀身を伸ばして紫苑へと届かせる
「──ッ!」
紫苑は上体を後ろへと逸らして、碧の賢帝の攻撃から避ける
そしてそこからの切り替えが早かった。蛇の様に柔らかい体をうねらして、碧の賢帝を掻い潜り目の前まで接近する
「はい」
紫苑は、さっきの剣を今度は蓮花に押し付けた
「これは…?」
「それは原始の魔剣。魔剣の始まりと言えば分かるかな?」
何も力を感じ無い只の骨。だけど、蓮花はその魔剣の魅力に取り憑かれていた
原始の魔剣を掴むと、頭の中から声が聞こえて来た
『繋がった…。ようやく、完全な形で繋がった…』
その声は以前にも聞いた声だ
『断たれた回路を繋ぐ為の部品を、見つけ出すまでの時は…。同じカタチ、同じ輝きの魂。これぞ正に「適格者」なり!』
(頭に流れ込んで来る…!)
『全てを「継承」し、完全なる力の解放をもたらす、封印を解き放つ鍵よ!我を解放せよォォッ!!』
「ア──」
「蓮花…さん?」
蓮花の様子がおかしい事に、のどかが一番早く気付いた
「あ、アア、ガァ…グ、ギィイ…!」
蓮花が苦しむのに連動する様に、碧の賢帝の輝きが増していく
「アアアああOA1G1アァァAAぁあ11ァあ!?」
言葉でない言葉を発しながら、蓮花は発狂し始めた
「フフフッ…アハハ!ハハハハハッッ!!!」
紫苑も、蓮花のその様子を見て歓喜の声を上げる
「鬼麿さん、一体何が起きてるのですか!?」
「知るか!だが、急いであの原始の魔剣を引き剥がさないとマズい気がする!」
「ちゆちゃん!わたし達も変身しよう!じゃないと蓮花さんが!!」
「分かったわ…」
「「「スタート!」」」
「「「プリキュア ・オペレーション!」」」
「「重なる二つの花!」」
「キュアグレース!」
「ラビ!」
「「交わる二つの流れ!」」
「キュアフォンテーヌ!」
「ペエ!」
「「溶け合う二つの光!」」
「キュアスパークル!」
「ニャ!」
「「「地球をお手当!」」」
「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」
「雷のエレメント!」
変身してすぐにスパークルはエレメントボトルを使う
雷を帯びた攻撃が蓮花を襲うが
「邪魔よ!」
紫苑がそれを阻止する
「私の目的を阻む者は容赦無く消すよ」
「実りのエレメント!」
「氷のエレメント!」
今度はグレースとフォンテーヌで蓮花を止めようとする
『オー、ト…ッ。ディフェン、さ、さ作動…』
2人のエレメントの力を掛け合わせた攻撃も、碧の賢帝が作る結界で防御された。
更にそのまま、結界は蓮花を中心にドーム状に包み込んで近付けさせないようにする
「エレメントさんの力が通用しないペエ!?」
「それにこれじゃ近付けないラビ!」
「3人で力を合わせるニャ!」
「「「うん!」」」
「「「トリプルハートチャージ!」」」
「届け!」
「癒しの!」
「パワー!」
「「「プリキュア !ヒーリングオアシス!」」」
「それ…無駄よ」
3人の渾身の浄化技も蓮花には届かなかった
『照合確認終了…。継承行程、読み込みから、書き込みへと移行中……』
「もう…ダメなの…?」
スパークルはその場で崩れ落ち涙を流す
ヒーリングオアシスでも結界を突破出来なかったんだ。自分達が持てる手札は全て使い切った
「蒼咲さん…」
フォンテーヌもスパークルも心が折れ掛けだ
救う手段はもう無い
「それでも…それでもわたしは諦めたくない!!」
「「グレース!?」」
ヒーリングステッキを紅牙に投げ渡して、グレース1人で蓮花へと特攻する
「蓮花さん!」
グレースは、結界をこじ開けるように両手で破ろうとする
「戻って来て下さい!」
「無理よ!運命には逆らえない!」
「そんなの…間違ってます!」
グレースの力が更に強くなり、結界にひびが入り出す
「結界にひびが!?そんな事って!」
「地球だけじゃない!その人の心も、わたしは……お手当てしたい!だから!!」
結界が破れた。だが、結界内から膨大なエネルギーが放出し、グレースを痛め付ける
「これ以上はやめろ!お前の体が保たないぞ!」
「グゥゥ……!蓮花さん!!!」
グレースの手が原始の魔剣を手に届いた
「蓮花さんを…返して!!」
遂に蓮花を原始の魔剣から引き剥がした
『回線、遮断…ッ!?ば、バカ、な…ッ!?』
「キャッ!?」
グレースは尻餅をつき、原始の魔剣は浜辺に放り投げられた
『シ、システム…ッだ、だダウン…ッ!?あ、アアぁあァァ…ッ!?』
「魔剣の機能が…」
蓮花から引き剥がした事により、原始の魔剣は機能停止し只の骨の剣と戻った
「蓮花さん!」
「ありがとう。…下がってて」
ひと息つけるかと思ったが、紫苑がそうはさせなかった
「…駄目じゃないの」
「蓮花来るぞ!」
「あ、あぁ」
満身創痍の蓮花を強引に立たせて2人は魔剣を構える
「逆らっては駄目じゃない!!」
一瞬で2人を地面へと叩き付けて、首を押さえ込む。今までと比べて尋常じゃない速さで、2人は反応すら出来なかった
「役目を果たすのよ。定めを受け入れなさい。運命によって決められた役を最後まで演じ切るのよ!!」
抜剣してるとはいえ、女の子の力とはかけ離れた怪力で2人を持ち上げて投げ飛ばす
「次はこう上手くはいかないわ。目的は必ず果たす」
紫苑は原始の魔剣を回収して立ち去ろうとするが足を止める
「これは警告。蓮花、着々と化け物になり始めてるわよ。最後に忠告。…魔剣の力を解放しない限り、私を倒す事は不可能よ」
紫苑は何処かへと消えて行った
////////
「蓮兄!!」
ひなたが思いっきり抱き付き心配した
「アタシ達がどんだけ心配したと思ってるの!」
「あはは…ごめんなさい…」
「蓮花さん本当に大丈夫ですか?」
「あぁ、全部のどかのお陰だよ。ありがとう」
3人の様子をちゆと紅牙は見守っていた
「鬼麿さん、あの原始の魔剣って何か知っていますか?」
「知らん。だがな…」
「『危険な物には違いない』ですか?」
「危険な物だけで済めばいいけどな…」
最悪の運命が始まりを告げようとする
ややこしや〜
ここまでの拝読ありがとうございました