ではスタート!
「ひなたちゃんまだかなぁ?」
いつものメンバーでお出掛けするのに、バス停で待ち合わせていた。しかしながら、ひなたとニャトランの2人がまだ来ていない
「「わーーっ!!」」
すると、背後からひなたとニャトランが驚かして来た
それぞれビックリ驚いて声を上げる
「キャアァァァァ!!」
女の子の声が辺りに響き渡る。のどかでもちゆでも無い。その人物は
「鬼麿さん?」
「ひなたビックリするだろ!!ったく…」
「いやいやいや!今紅兄変な声出してなかった?」
「何だよ、いちいち人の驚いた声に反応するな」
女の子の様な悲鳴は紅牙からだった
「それよりも俺はアスミの方に注目だ。お前、表情一つ変えていなかっただろ?」
「そうですか?わたくしも驚きましたが」
「紅牙くらいビックリしてくんないと、驚かしがいがないんだよな」
「そうなのですね。わたくしも、それくらいビックリしてみたいですね」
それを聞いたひなたは、何やら思いついた様で企みの笑顔で蓮花達の方へ目を向ける
////////
後日ひなたから連絡があり、アスミをビックリさせたい為にサプライズがしたいと言って来た。蓮花達も、それに賛成して協力する事に
それぞれ、使う物など準備する。その途中で、蓮花はアスミの様子が心配になり少し探してみる
「確か…ちゆやひなたが言うには、ラテを連れて外を歩いているって」
「あ、蓮花…」
見渡しながら歩いてると、ふと目の前にアスミが現れた
「アスミ探していたんだよ。何か元気が無いけどどうしたの?」
「いえ…大丈夫です」
そう言うが、アスミの表情はとても暗かった
「嘘だよね?」
「いえ本当に──」
「アスミ」
蓮花はアスミを抱き寄せる
「嘘は駄目だよ。そんな悲しい顔をして大丈夫なんて言わないで」
「蓮花から見たら、わたくしは悲しい顔をしていますか?」
「まあね。何があったのか話を聞かせてくれない?」
「そう、そんな事がね」
アスミが話し掛けようとするが、皆んな自分を避けてる様に散らばり去って行く
何でこんな状況なのかは蓮花とラテは知っている。しかし、ここでそれを言ってしまったら色々と計画が水の泡となる
「わたくしは嫌われているのでしょうか?」
「そ、そんな事ないよ!今回は偶々!偶々用事があるだけで!」
「わたくしを避けてまでですか?」
「違う。皆んなアスミを思ってるんだ」
何とか暗くなるアスミを元気付けようとするが、段々とアスミの身体は薄く透明になり始めてる
「わん!わん!」
ラテも焦って、蓮花とアスミの周りをグルグル駆け回る
「…俺は、アスミの事好きだよ」
それを聞いてこちらを見てくれた
「君の事いつの間にか目で追っているんだ」
「わたくしの事が好きだからですか?」
「好きだよ。特別で、大切な存在だと自分でも気付いてる。この気持ちに嘘はない」
「ありがとうございます…!わたくしも蓮花が好きです!」
「……」
2人が良い雰囲気を醸し出してる様子を、ひなたは建物の影から見ていた
ひなたは、少しモヤモヤしていた。自分に対して『好き』と言う言葉は一度も言われた事無い。アスミに言って自分には何も
これは嫉妬なのだ
(ダメダメダメ!)
ひなたは首を振って変な考えを捨てる
(蓮兄はアスミンを選んだんだよ!アタシがどうこう言える立場じゃないし、もう応援する側なんだよ!でも……)
未だに蓮花に好意があるひなたは諦めれずにいる。だが、蓮花はアスミを選んだ
その現実に受け止めれずにいる
「ふんふん!」
ひなたは両頬をペチペチと叩いて気持ちを切り替える。
今自分は、アスミをのどか達の元へ案内する為に此処に居るのだ
「蓮兄〜!アスミ〜ン!」
「ひなたか。アスミ、目を瞑ってくれない?」
「は、はい」
「俺が手を引くからゆっくり歩いて」
蓮花がアスミの手を引く。そしてその後ろから、ひなたが細々と付いて来る
////////
「着いたよ。目を開けてご覧」
「はい…」
目を開けると、スイカに竹で作った流しそうめんが置いてあった
「ええ!?」
「「「サプラ〜イズ!」」」
「皆さん!?」
更に、空には花火が打ち上げられる
「あれは?」
「やっと驚いたな」
「アスミちゃんを驚かせる為に、皆んなでこっそり準備してたんだよ!」
「驚いてみたいって言ってたでしょ?」
「そういう事でしたか!」
アスミも今日1日避けられてた意味にようやく理解した。暗い気持ちから一転して、笑顔になり身体が元に戻った
「蓮花さんとラテも引き止める様にしてたんだけどね」
「お2人も知っていたのですか?」
「ごめんな。まさか、あそこまで避けられてる事に意識するとは思わなかったんだ」
蓮花とラテは申し訳無さそうに謝る
「オレ達も流しそうめんの組み立てに苦労したんだぜ」
「ラビリン達の力作ラビ!」
「竹を集めるの大変だったペエ!」
「完璧な物を作りたく設計は俺が担当したが、目視で
「本番はこれからよ!」
ちゆが取り出したのはお手製と思われる浴衣だった
「因みに、浴衣も全て俺が縫った!どうだ?良い仕上がりになってるだろ?」
「紅兄のセンスエグい!」
「それ褒めてんだよな?」
初めての浴衣、初めての流しそうめん。未知なる体験にアスミの笑顔は膨れ上がる
打ち上がる花火にもアスミは釘付けだった
「どうアスミちゃん?沢山ビックリ出来た?」
「ええ!わたくし、ビックリが大好きになりそうです!」
アスミの横顔に蓮花も満足していた
「ところで、紫苑はどちらへ?」
「紫苑さんなら、打上君達と一緒に花火のお手伝いしてる筈だよ。なんでも『お世話になるばかりじゃ気が引ける』って言ってたの」
「そろそろこっちに来る筈だけど」
「俺が電話する」
紅牙が電話しようとすると、丁度良いタイミングで紫苑から連絡が来た
////////
「さてと、私もそろそろ行かないと」
後の事は打上家に任して紫苑は皆んなの所へ行く
けどその道中で違和感を感じる
(見られてる?誰かしら?)
様子を伺いつつもバレない様に道を進むも
(シツコイ、と言うよりマズいわ。これ以上進むと…)
蓮花達が居る場所にもうすぐ着いてしまう。誰だか知らないが、下手に皆んなを危険な事に巻き込む訳にはいかない
「──ッ!」
紫苑は走った
(不審者なら警察に、もしビョーゲンズなら浄化するまで!)
林に入り、入り組む道をジグザグに走るがそれでも追い掛けて来る
(もう!)
紫苑は身軽な体で木の上へと飛び乗った
(突き刺してやろうかしら?)
紫苑は気配を消して静かに潜む。
付いて来る人物は真下を通った
(誰だろう?暗くてよく見えないわ)
謎の人物は周りを見渡した後、歩いて何処かへ行った
「ふぅ…行ったわね。さて、そろそろ降りようかし──」
木から降りようとすると、紫苑の視界が傾いていくのが分かった
「ちょっ、え!?」
紫苑が登っていた木が倒れようとする。それに気付いて、急いでその場から飛び出して地面に足をつく
「一体何が?……これって」
倒れた木を見ると切られていた
けれど妙だ。切られた断面があまりにも綺麗過ぎる
「……はぁ、私が甘かったようね」
先程何処かへ行った人物が戻って来ており、紫苑の後ろに近付いているのが足音で気付く
「貴方は誰?」
謎の人物は答えない。暗くて顔は見れない、そして性別も
「……」
謎の人物は前に手を出すと力が膨れ上がるを感じた。そして手には、紫苑が一度手にした事のある剣が握られていた
「原始の魔剣。それはビョーゲンズを抜ける時に、ビョーゲンキングダムに置いて来た剣よ。何故貴方が──」
紫苑が喋っているにも関わらず、謎の人物は剣を突き出して攻撃して来た
「ッ!?」
思わぬ攻撃から横に回避した。間一髪だったが頬から熱く、赤い血が流れ出た
「クッ…!」
攻撃はそれだけでは終わらない。近付いて剣を振り回す。抜剣してない為、紫苑は経験からの予測だけで避けるしかない
「どうやって手に入れたの!」
「……」
「話を…聞きなさい!!」
全く話を聞かない相手に紫苑は苛立つ。牽制で回し蹴りを出して距離を取る
「話は聞かない、いきなり襲い掛かる、それに魔剣を所持してる。もう容赦はしないわよ」
「絶剣覚醒!」
「包み込め!
「その力…そうか絶剣者か」
黙りしていた人物は、紫苑の姿を見てようやく口を開いた
「もう遅い!!」
超高速で近付き連続で切りつけるも、全ていなされる
「ハァァァ!!」
絶剣と魔剣の激しいぶつかり合い。そして紫苑は知りたくない真実を知った
「…とうとう力を取り戻したようね」
(私もどんな力か把握してない。力を使われる前に殺す!)
紫苑は木々を利用しての超高速で撹乱させる
(これぐらい幻惑させれば捉えられない!)
「絶・覚醒剣!」
「天威絢爛!」
蓮花や紅牙でもこれを防ぐのは容易ではない。相手も、紫苑の動きに諦めたのか静止してる
「終わりよ!!」
背後から縦に切る
「…」
更に縦、横、左右と四方八方から仕掛け飛び跳ねる
最後の一撃として力いっぱい振り抜くが
「──ッ!?」
善なる天威の勢いを止められた
それどころか、相手の身体には傷らしいものは全く見られない。無傷なのだ
「…どれだけ動いても、結局自分に降り掛かって来るんだ。後はそれを避ければ良いだけだ」
(この声男!?いや、それよりもこの距離は──)
足を止めてしまって棒立ち。しかも、未だに得体の知れない魔剣相手にこの至近距離。
バックステップで距離を置こうとすると
「がはっ!?」
紫苑の背後から、腹に2本の剣が貫いた
「剣…?そんな、何処から……?」
剣は独りでに浮遊しており、腹から抜き出る
「ふぐぅ……!」
2つの穴から血が流れ出る
男が原始の魔剣を天へ翳すと、空中から多種多様の剣が生成され紫苑に襲い掛かる
「クッ…!」
ジャンプして躱すが、傷口の痛みが紫苑を苦しめる
先程までのキレのある動きは殆ど無い。動けばそれだけ血が流れ落ち、紫苑の意識を奪っていく
絶剣で剣を打ち払っているのに折れる気配が無い
「この剣まさか…」
「勘がいいな。そうだ、生成する剣は全て魔剣」
道理で折れない訳だ
「ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛!!?!」
そして遂に剣が紫苑の脚を裂き、悲鳴が響き渡る
脚の筋肉の筋を大きく裂かれて、紫苑は地面を転がり落ちる
「うぅ、脚が…痛い!ッ脚がぁ…!?」
もう紫苑に立ち上がる力は無い。それでも諦めず、剣を杖の様にして起き上がろうとするが、更に剣が追撃をかます
横一閃
紫苑の喉がパックリ裂かれて血が辺りの草木に飛び散る
それを最後に紫苑は力尽きて無様に倒れる
「フシュ……シュ…」
僅かだが呼吸はしてる。しかし、裂かれた喉からは泡を吹いて、満足に呼吸は出来てない
「…」
男は、紫苑のポケットからスマホを取り出して電話する
『おい紫苑!いつになったら来るんだ?』
「……」
『聞いてんのか?』
電話の相手は紅牙だ
「天道紫苑は死んだ」
『…お前誰だ?何を言って──』
男は会話の途中で切り、スマホを捨ててその場から立ち去った
残されたのは紫苑のみ
紫苑は必死に命の手綱を繋いでいたが────耐えれずその手綱を手放してしまった
様々な進展があった回でした
次回はオリストと予定しております
ここまでの拝読ありがとうございました