本編スタートです
「ハァ…ハァ…ハァ……」
ひなたとニャトランのコンビ結成の日の夜、蓮花は自分自信も力を付けるためにまず、体力強化を図ることにした
自宅からハートの形が目立つ高台まで、夜のランニングをしていた
「へぇ〜、ここからの夜景はまた一段と綺麗だ」
夜景を堪能した後は、その場で軽くストレッチを始める
(これでプリキュア は3人揃った。後は──)
「俺も剣の力を高めなくちゃ」
訳も無く
(それにしても何で俺が選ばれたんだろう?)
『それは、お前が適格者だったから』
予想もしなかった。突然碧の賢帝から声が聞こえる
『我が力の源は、
『精神の強さを具現して刃と為すのが、我が能力なり…』
「それはどういう意味?」
『強き精神と、強き想い。このふたつを備えぬ者我を用いる、資格無し』
蓮花の声に碧の賢帝は答えてくれる。なので少し質問をする事にした
「だけど、俺はその時小さな子供だった。とても、その資格に取るに足る人物だったとは思えない。父さんの方がよっぽど強い精神の持ち主」
『だが、それだけでは継承には至れぬ』
「えっ?」
『完全なる継承を果たして、初めて我は本来の姿となる。波長、輝き、カタチ、全てを満たす可能性を持つ者……故に「適格者」なり』
(凄い、父さんが調べた通りだ!)
一度剣を納めて抜剣状態を解くが
『継承せよ…全てを…』
「なっ!?」
碧の賢帝が強引に抜剣しようとする
『ひとつに…』
(もういい!引っ込め!引っ込むんだ!)
何とか碧の賢帝を出さずに済んだ
「何で勝手に出てこようとする?」
そう思ってると、後ろから手を叩く音が聴こえた
(人!?まさか見られた?)
「張り切ってるな。隣いいか?」
「う、うん。君は誰かな?」
「鬼麿紅牙」
「俺は蒼咲蓮花」
(良かった、この様子だと見られてはなかったね)
「フッ…」
遂に紅牙は一般人として蓮花と接触した。当然、紅牙がビョーゲンズの仲間だという事は、蓮花は全く知らない。
その事もあり、堂々と話し始める
「こんな時間に運動なんて、何かスポーツでもしてるのか?」
「スポーツ…では無いけど体力は付けなければと思ってね」
「そうだな、最近は怪物騒ぎもあるからな」
(その騒ぎの中心人物が、目の前にいるなんてとても言えないな…)
「スポーツで無いなら何で体力を?」
「こ、考古学者を目指してるから、その時に備えての体力作り…かな?」
「考古学者って事は何かを調べるって事だよな?例えば……魔剣、とか?」
紅牙が口にした単語に大きく反応する
「何で…魔剣の事を?」
「お前も調べてるとは。実は俺も調べてる」
「そうなんだ!ねぇ、どこまで知ってるか教えて貰っても構わないかな?」
「構わないぜ」
結構な無茶なお願いに、あっさりと返事を貰えたので更に浮き足立つ
「魔剣が所有者の精神とリンクしてるのは知ってるか?」
「一応」
「…魔剣を手にした奴は、力をフルに引き出す為に精神と一体となるんだ」
蓮花は手帳にその事を書き込み始める
「だけどな、そいつの精神状態によっては剣の力は大きく左右する事になる。強い精神を持つ程力は強大化して、逆に弱い精神なら剣は本来の力より更に弱くなる」
(精神の強さが具現って言っていたもんな。やっぱり弱くなる事もあるのか)
「それにしても良くここまで調べたね。今ので数年ぶりの情報だよ。どこで知った情報?」
「それはだな」
紅牙が近付き、蓮花の腹に手をやると
「俺も適格者だからだよ!!」
拳を握り、腹に強烈な一撃を蓮花に与えた
不意を突かれ踏ん張る事も出来ずに、大きく後ろへ飛ぶ
「うがぁ…な、何するんだ…!」
「俺は鬼麿紅牙。お前と同じ適格者であり、ビョーゲンズと手を組んでいる」
「適格者…ビョーゲンズ!」
「俺達の目的は3本の魔剣の回収。お前の魔剣を寄越せ」
「この…!」
蓮花は右手を高く掲げて喚び出す
「待ってた!」
紅牙も右手を掲げる
「「抜剣!!」」
「来い!碧の賢帝!!」
蓮花から碧の光の柱は立つ。そして紅牙からも光の柱が立つが、それは目を見張るものだった
「紅い…まるで血の色だ」
「蹂躙しろ!
碧の賢帝同様に、紅牙は喚び出された剣を握る。その剣は、装飾は少なく至ってシンプルな両刃剣
紅の暴君を掴むと抜剣者特有の姿へと変貌した。その姿は、抜剣覚醒した蓮花と殆ど変わらなかった
掴む右手は血の様に真っ赤に染まっており、同化し、赤のラインが入っており腕と背中にも光の輪がある。瞳も同様に赤く、髪の長さは変わらないが、色が赤から白へと変色している
「同じ姿…」
「そう、同じ姿で同じ魔剣。魔剣だって反応してる」
碧の賢帝に目を移すと、カタカタと震えて何か反応をしていた
「もう一度と言うぞ、剣を渡せ」
「悪いけど、この力を手放すつもりは無い!」
「…継承した者を殺さない限り、剣は活動を停止しない。それなら殺して奪うまで───覚悟がいいか?」
「碧の賢帝!」
碧と紅の剣がぶつかり合う
「君、どこからどう見ても人間だろ?何でビョーゲンズ何かに!?」
「ビョーゲンズなんか関係無い!最強の適格者は俺だと証明するだけだ!」
碧の賢帝を振り払い蓮花の腹に蹴りを食らわせて距離が開く
「この人強い!」
蓮花は更に山奥へと走り出した
「クヒヒ!逃すかァ!」
「クチュン!」
「ラテ!?」
「この症状はビョーゲンズラビ!」
「急いで3人に伝えないと!」
「覚醒しろ!ナノビョーゲン!」
蓮花を追いかける最中に、土のエレメントを使ってメガビョーゲンを作り出した
「メガビョーゲン!」
「メガビョーゲンまで!?」
「クヒヒ…あはははははっ!」
狂った様に笑い、紅牙は木々をなぎ払いながらメガビョーゲンと共に追い掛ける
(2人相手は分が悪い。撹乱して分断する!)
蓮花は木々を足場にして、森の中を縦横無尽に動き回る
「そこだ!!」
「クヒッ!」
「…ッ!?」
上から叩きつける様に切り込むも、簡単にそれを紅の暴君で受け止められた。
地面と一体となっているメガビョーゲンが、蓮花を掴んで大きく振りかぶり投げ捨てる
「オラァァ!!」
受け身の取れないまま、紅の暴君の斬撃が蓮花を襲う
「ハッ!…クッ!」
投げられるも、空中で体勢を整えて上手く地形を活かして斬撃を全て交わす
「全部防ぐなんてやるなぁ」
「分断が駄目なら必殺の一撃で」
木の影に隠れて好機を待つ事にした。隙を突いて至近距離で碧の賢帝をぶつける
「おい何処にいる!俺と戦え!!」
紅牙の声は虚しくも森の中に響き渡るだけで、返事は返って来なかった
「見つけろメガビョーゲン」
土の中に潜ってメガビョーゲンは蓮花を探し始めた。その様子を息を潜めて蓮花は見ていた
(よし、1人になった今がチャンス!)
そう思い一歩踏み出すと
「メガ!」
足下からメガビョーゲンの手が出て来て足を掴んだ
「何で居場所が!?離…!?」
容赦無く蓮花を振り回して木や地面へと叩き付ける
「地面に潜る事で、踏み出す足音で探知して捕まえる。良く出来たメガビョーゲンだろ?」
「負けるか!」
メガビョーゲンの手を切り脱出し、即座に剣にエネルギーを溜める
「賢帝解放!」
理想とはいかなかったが、至近距離での攻撃にメガビョーゲンは大きくダメージを負った
「まさか、それで本当にメガビョーゲンを倒したつもりか?」
その言葉に反応するかの様に、メガビョーゲンが再び体を大きく見せて立ち塞がる
「メガビョーゲンを浄化出来るのはプリキュア だけだ。魔剣ではダメージは与えれても、浄化をする事など不可能」
「そんな…」
「メガビョーゲン、お前は森でも病気にでもしてろ。…さてと、こっちもそろそろケリをつけようぜ!」
紅の暴君に力が一気に高まるのが分かった。想像以上の力の前に、一歩下がってしまった。そしてそれが命取りとなった
「ヒヒヒヒッ!」
紅の暴君を持つ右手の光の輪が、蓮花を捕らえる為に消えて蓮花の足下から出現し体を拘束した
「覚醒剣!」
「諦めるか!」
剣に禍々しいオーラを纏わせながら突っ込んで来るに対して、碧の賢帝でなんとか防御しようと抵抗する
「無駄だ!暴君蹂躙!!」
破壊の一撃は蓮花の体を大きく切り裂いた
「ぐわっ!!…うぐぅ…」
「あぁ?」
斬撃で大きく吹き飛ぶが紅牙は違和感を感じた。切り裂いた筈なのに血は殆ど出ずに手応えも無い。よく見ると、碧の賢帝が蓮花の体に被る様に攻撃から守っていた
「まだ抗うのか?」
「俺はまだ死ねない!」
「だったら死ぬまで蹂躙してやる!!」
////////
「プリキュア !ヒーリングフラワー!」
その頃のどか達は、プリキュア に変身して二手に別れたメガビョーゲンを浄化していた
「蓮花の姿が見えないラビ」
「この荒れよう…もしかしたら何かあったのかも」
「ラテはわたしに任せて!2人は蓮花さんをお願い!」
「分かったわ!」
「行くよフォンテーヌ!」
グレースはラテを、フォンテーヌとスパークルは蓮花を探しに別れた
荒れる森の中を辿る様に2人は奥へ進んで行く
「蓮兄ぃ〜!何処にいるの〜!」
「蒼咲さ〜ん!返事をして下さい!
名前を呼びながら進むと広い場所に出て来た。そして蓮花の姿も発見した
「蒼咲…さん……」
「嘘…」
発見するもそれは悲惨な姿になっていた。体中傷だらけで服も血で赤く染まっていた
「2人共…」
「メガビョーゲンにやられたの!?」
「メガビョーゲンでこんな傷はつかないニャ」
「じゃあ一体誰が…」
「俺だよ」
フォンテーヌ達の前に紅牙が姿を見せた
「蒼咲さんと同じ抜剣者…?」
「何言ってる?コイツと俺とでは全然違う」
「違う?」
「俺は抜剣者より強い存在『伐剣者』だ」
伐剣者───紅の暴君を持つ者を意とする呼び名。抜剣者を超える程の能力と極限まで高まった力を有してる
「2人共逃げるんだ…!」
「何言ってるの!蓮兄を置いて逃げるなんて出来ない!!」
「わたしもよ!」
「なら仲良く蹂躙してやる!!」
「どけぇ!!」
フォンテーヌとスパークルを強引に退かして紅の暴君の剣を受け止める
「もっと力を入れたらどうだ!!」
「くっ…うわああ!!」
傷だらけの体に気合いの鞭を打って跳ね除ける
「クヒヒヒッ!ヒヒッ!もっと!!」
着地と同時に紅の暴君の斬撃
「早…く…!!」
斬撃を防ごうとするも体中の傷が少し開き、蓮花の動きを鈍らせる
「蓮花さん!」
「ぷにシールド!」
後ろからグレースが飛び出して、ぷにシールドで斬撃を防御する
「凄い力ラビ!」
「それでも!ハァァ!!」
斬撃を押し返して紅牙へと跳ね返す
「やるなぁ」
「グレース…早く逃げる…よ!」
紅牙がこちらに向かい歩いて来るが、グレースとスパークルに肩を支えて貰いながらその場を離れようとする
「あははっ!逃げろ逃げろ!だが、逃がさない!」
「わたしが時間を稼ぐから2人は蒼咲さんを!」
「「うん!」」
フォンテーヌ1人が紅牙に立ち向かおうとするのを、蓮花が掴まえて引き止める
「蒼咲さん?」
「行っては駄目だ!」
「だけど!」
「お喋りはそこまでだ!」
連続で振るう紅の暴君の斬撃。だが蓮花は、3人の前に出て碧の賢帝で結界を張り守る
「なんて猛攻…だけど防げない訳でも無い!」
「蒼咲さん!」
「もう無理だ!俺を置いて行くんだ!」
「それだけは絶対出来ません!!」
「この!分からず…や……!?」
その時、蓮花の言葉を遮る様に赤い水が飛び散った
「がふっ……」
それは血飛沫だ。結界の外から紅の暴君が蓮花の腹部を貫いたのだ。突然の事に、全員が何が起きたかの状況も分からず唖然とする
「随分と手こずらさせやがって。まぁ、これで1人死んだ…と」
剣を引き抜くと蓮花は力無くフォンテーヌに体を預ける様に倒れ、碧の賢帝を落とし抜剣状態が解ける
「あ…蒼咲さん?」
「碧の賢帝は貰って行く」
碧の賢帝を拾いその場を去ろうとするが
「待ちなさい…」
「何だ?フォンテーヌって言ったか?仇討ちでもするか?アハッ!」
「お、落ち着くペエ!」
パートナーであるペギタンの声も届かず、フォンテーヌは走り出した。
ステッキと剣が鍔迫り合う。だがそれも、呆気なくステッキを弾き飛ばされて、無防備な状態になり首を掴まえ締め上げる
「あ…!」
「「「フォンテーヌ!」」」
「お前にとって奴は何だ?仲良しこよしの友達か?ビョーゲンズと戦う仲間か?それとも大切な存在の……恋人か?」
(く、苦しい…!)
首を掴む手を必死に剥がそうともがくも、抜剣覚醒の状態の紅牙に力で勝つなど不可能
「ごふっ…ちゆ…」
吐血して目を覚ますが意識は朦朧としてる。死に抗い、生を掴もうとする
(また、あの時と同じ…)
傷付く彼女を守る為に更に欲する
(欲しい…力が)
『全てを…継承せよ…!』
「欲しい…大切な人を守る、力が!大切な!彼女を守る力が!!」
その応えに呼応して紅牙が持つ碧の賢帝が光り輝く。そして剣は蓮花の元へと戻り覚醒する
「うおおおおぉぉぉぉ!!」
抜剣覚醒すると同時に紅牙に斬りかかる
「何!?」
流石の不意打ちに驚きフォンテーヌを掴む手を離す。無事、フォンテーヌもお姫様抱っこで救い出した
「ゲホッ…蒼咲さん?」
「もうこれ以上誰かが傷付くのは見たくない!ちゆは俺が守る!!」
先程までの覚醒より、力を増してる事に紅牙は少し苛ついていた
「魔剣の力を更に引き出した…。笑えねぇ」
それだけ言い残して去って行く
「蒼咲さん…あの」
「ちゆ…良かっ、た…」
笑顔で語り掛けると糸が切れた人形の様に崩れ落ちる。抜剣状態も解け、無理に動いた為に血が止めどなく流れる
「蒼咲さん?蒼咲さん!蒼咲さん!!」
薄れゆく意識の中、何度も何度も自分の名前を呼ぶ声が聞こえて心地良く目を閉じた
一気にパワーバランスが崩れましたよ。
後、ちゆかひなたのどちらかを目立たせようと悩んだ挙句、ちゆに決まった!ヒロイン未定となると、それなりに全員と絡ませなければならないからね
ここまでの拝読ありがとうございました!