ヒーリングっど♥プリキュア 〜癒しの楽園物語〜   作:シロX

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第60話 ハイジャンプに懸ける想い♥遥かな未来へ

季節は秋。時の流れというものは早いものだ

 

そして大会も。

今日蓮花達は、秋の陸上大会を観戦しに来ていた。何故観戦かと言うと、ちゆもハイジャンプの選手として出場しているからだ

 

「次跳べたら優勝だね」

 

「観てるこっちが緊張するぜ」

 

「だよね!前もそうだけどちゆちーの緊張が伝わって来るよ!」

 

そしていよいよ

 

 

 

 

 

「「「「「「「乾杯!」」」」」」」

 

「優勝おめでとう!」

 

「感動しました!」

 

「だよねだよね!」

 

最後の難関を見事跳んで優勝の美を飾れた。しかも、すこ中が優勝した競技はハイジャンプのみという

 

「中学時代であれだけ跳べるとなると、将来は世界でも通用するわよ」

 

「世界…」

 

世界。その言葉にちゆが少し考えた

 

「あらごめんなさい。変な事言っちゃったかしら?」

 

「いえ。世界なんて考えた事なかったので」

 

「そうなんだ。少し勿体無い気がするけど」

 

「別にいいだろ?大会で優勝したからと言って、世界目指さなきゃいけないなんて」

 

確かに紅牙の言う通りだ。そもそもちゆには旅館の事もあるのだ

 

 

 

 

 

////////

 

「おはようちゆちゃん!」

 

「おっは〜!」

 

「おはよう。あ、蒼咲さんもおはようございます」

 

「おはよう」

 

次の日朝、いつも通り登校する3人。それを校門の前で花に水やりをする蓮花も挨拶をする

 

「丁度良かった。実は──」

 

「おはようございます!」

 

「うわっ!?」

 

蓮花が言い掛ける最中、突然現れた益子に挨拶される

 

「実は益子君がちゆの取材をしたいって言ってたんだよ」

 

「取材?わたしに?」

 

「オフコース!昨日の対抗陸上大会で、我が校唯一の優勝者沢泉ちゆさん!その特集号を組む事になりました!タイトルはズバリ!『すこやか中のハイジャンプリンセス!大空を飛ぶ可憐ならその姿は鳥か!?はたまた蝶か!?ちゆ!!沢泉!!すこやかに舞う!!』

 

物凄い勢いの早さで喋る益子に少々苦笑いを浮かべてしまう

 

「ふわぁ〜、長いタイトルだね」

 

「そしてダサ」

 

「もう少し簡略はしないの?」

 

「失敬ですね!それに、ちゃんと省略バージョンもありますよ!…うえっ!?」

 

益子の熱暴走も一瞬で冷める。昨日の競技を見た後輩達が、益子を突き飛ばして熱い声援を送る

 

「後輩達から愛されてるね」

 

 

 

 

 

そして放課後の練習でも周りからの熱量が凄かった。グラウンドの周りを見渡せば沢山のギャラリーで溢れ返っていた

 

「すると、旅館のお手伝いをしながら家ではどの様なハイジャンプを?」

 

「基本、家では跳んでないけど…」

 

「沢泉さん」

 

益子の取材途中で先生に声を掛けられた

 

「明日の放課後、週刊陸上トップがインタビューをしたいんですって」

 

「えっ!?わたしにですか?」

 

「『未来を担う期待の陸上界のホープ』って事で、西中の高美ツバサさんとのWインタビューになるそうよ」

 

「陸上界の未来を担うって…」

 

少し大袈裟な事に戸惑いを隠されなかった

 

 

 

 

 

そして次の日の放課後。校門前に紅牙がオンロードバイクに寄り掛かかって待ち構えていた

 

「鬼麿さんがどうして学校に?それにそのバイクは天道さんのじゃないですか」

 

「この後インタビューだろ?送ってやるよ」

 

ヘルメットを投げ渡してエンジンを掛ける

 

「乗れよ」

 

「じ、じゃあお願いします」

 

「またねちゆちゃん!」

 

「また話聞かせて〜」

 

 

 

競技場に着いてちゆは軽くお礼する

 

「帰りも送るからよ。観客席の方でゆっくり観てるぜ」

 

「何から何までありがとうございます」

 

「気にすんなよ。また後でな」

 

ちゆの取材を席から大人しく見守ってる。距離がある為、内容までは聞き取れ難く退屈な状況になるが、あっという間に時間は流れて夕方

 

紅牙は駐車場でちゆを待っていた

 

「遅いな。着替えるだけなら時間掛からない筈だが…」

 

そう思ってるとやっとちゆが戻って来た

 

「お、ちゆ!…ちゆ?」

 

しかし何があったのか分からないが、取材が終わった直後までは笑顔だったのに、戻って来れば浮かない表情をしていた

 

「ちゆ何かあったのか?」

 

「あ…いえ、大丈夫です」

 

「そうには見えないが…」

 

その暗い気持ちは次の日になっても引きずっていた

 

 

 

 

 

////////

 

久し振りにのどかの家で集まって昨日の話を聞こうとしたが、当のちゆは出された飲み物ばかり飲んで黙り込んでいた

 

「どうしたの?学校でもずっと黙り込んじゃって」

 

「眉間にシワも寄せていたし」

 

「何かあったのですか?」

 

「う、ううん。何でも…」

 

そう言ってまたカップに口を近付けようとするが、それを紅牙が止める

 

「中、もう入ってないぞ」

 

「え?あっ…」

 

何か隠し事をして、誤魔化そうと飲んでいた飲み物も空になっている事に気付いていなかった

 

「…高美さんに、わたしのハイジャンはお遊びだと言われたの」

 

「んだよそれ…」

 

「わたしだって真剣にやってる。負けたら悔しい。でもわたしは、海と空が溶け合うあの青い世界に近付きたい。その想いでやってるの!それの何処がいけないの!?」

 

これまでハイジャンプに込めて来た想いを全否定された。それが腹立たしくて仕方ない

 

でも何も悪くはない

 

「いけなくない!いけなくない!」

 

「…彼女、海外に行くから日本ではもう戦えないって。それでわたしが、ハイジャンで世界とか考えてないって言ったから…」

 

「それで?機嫌取りで『これから世界目指します』って言うのかよ?」

 

少し挑発めいて紅牙が話す

 

「さっきちゆ自身が言ったように、青い世界に近付きたいから跳ぶんだよな?それとも何だ?他人にどうこう言われたくらいで、お前のハイジャンに対する真剣な想いはその程度だったのか?」

 

「お、おい紅牙」

 

「ならお遊びだと言われてもしょうがないよな!口だけなら何とでも言えるさ!そんなの真剣にやってる奴らに失礼だ!そんな他人に言われて、中途半端な答えを出すくらいならいっその事辞めてしまえ!!」

 

あまりのいいように、ちゆは泣き出してしまう

 

「わ、わたしは…っ……この想いを糧にして、やってきたの!…真剣にやって来たもん…っ…中途、半端な気持ちっ…なんて……っ…」 

 

反論するちゆを見て、ニヤリと紅牙は笑う

 

「反論するか?だったらそれで良いじゃねぇか!」

 

「えっ…?」

 

「ちゆはちゆなんだ。何も悪くない。いつも通りにその想いを胸に跳べば良いだけの話だろ?変に悩む必要なんて無い」

 

今度は泣き止んで呆気に取られていた

 

「何だよその顔は?人が折角元気付けてあげたのによ」

 

「え!?あれで励ましてんの!?」

 

「面倒な心理誘導ね…」

 

「うるせぇ!」

 

ちゆは涙を拭いて上を見上げる

 

「そうよね。悩む必要なんて最初から無かったのよ。わたしは、わたしの想いで跳ぶ!

 

 

 

 

 

////////

 

次の日。紅牙はこっそりとちゆの練習姿を見ていた

 

「これで何度目だ?」

 

ちゆは、先日の大会記録より更に上に挑戦していた

 

しかしながら簡単にはいかない。何度も何度も失敗の繰り返し。でもちゆは諦めずに跳んでいた

 

そして

 

「お!」

 

ちゆは、誰もが無理と思われた高さを跳び越えたのだ

 

「フッ、良かったな……て、おい。何処行くんだよ?」

 

跳び終えて早々にちゆは校門を抜けて何処かへ走って行った。その後にのどかとひなたも追い掛けるのを目にする

 

 

 

 

 

追い掛けて、陸上競技場前の信号でちゆがやっと止まった

 

「ま、待ってちゆち〜…」

 

「はぁ…はぁ…」

 

「どんだけ体力あるんだよ…マラソンじゃあるまいし」

 

ちゆの元へ辿り着くと、辺りを一緒に散歩していたアスミやラビリン達、蓮花と紫苑も居たのだ

 

そんな時、ラテがくしゃみをした

 

「くちゅん!」

 

「ラテ!」

 

「ビョーゲンズです!」

 

『あっちで、お姉さんが泣いてるラテ…』

 

ラテの指差す方向は競技場だった

 

「あっちは…まさか!」

 

「行こう!」

 

 

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア ・オペレーション!」」」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」」

 

 

「「抜剣覚醒!」」

 

「絶剣覚醒!」

 

「煌めけ!溶け合う二つの光(スパークルセウス)!」

 

「吹き荒れろ!翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)!」

 

「包み込め!善なる天威(ヴァルベギオン)!」

 

 

 

「ギーッ!ギギーッ!」

 

競技場に着くと、シンドイーネとギガビョーゲンがその場でずっとジャンプをしていた

 

「出たわね!鬱陶しい奴ら!」

 

『キュン!』

 

「「キュアスキャン!」」

 

「高美さん!」

 

高美はギガビョーゲンの体の中心に居た

 

「あら?アンタのお友達?」

 

「いいえ、ライバルよ!」

 

「ライバルぅ〜?」

 

「彼女を返しなさい!」

 

「お断り!」

 

フォンテーヌの蹴りとシンドイーネの蹴りが空中で交差する

 

蓮花達も急いでギガビョーゲンを浄化する為に攻撃を加えようとする

 

「ギッギー!」

 

しかし、ギガビョーゲンはかなりの高さでジャンプして攻撃をかわした

 

「うわっ!?ギガジャンプ!」

 

「ギッガ!」

 

空中から巨大なバネをいくつも飛ばす。それをジャンプで難無く避けるのだが

 

「跳ね返った!?」

 

蓮花達に当たらず地面に当たったバネは、そのぶつかった反動でまたも予測不可能な攻撃となり襲い掛かって来た

 

「クッ!」

 

蓮花が咄嗟にシールド展開して更に跳ね返すが、バネも地面に当たって跳ね返って襲う

 

「埒があかないわね!正に無限ループ!」

 

「言ってる場合じゃないですよ!」

 

フォンテーヌとシンドイーネの方は、フォンテーヌが積極的になってるも中々シンドイーネを切り崩せず苦戦していた

 

「彼女のパワーをこんな事に使わせない!」

 

「ライバルなら丁度良いじゃない。居なくなった方がさ」

 

「違う!彼女が居てくれるからわたしはもっと跳べるの!」

 

フォンテーヌの重たい一撃がシンドイーネの顔を歪めさせる

 

「ライバルなんて邪魔で目障りでムカつくだけよ!消えりゃ良いのよ!!」

 

「貴女には分からない!」

 

「分かりたくもないわよ!」

 

挑発に乗って反撃するも、綺麗に避けられそのまま客席まで蹴り飛ばされた

 

「ギガーッ!」

 

「フッ!」

 

隙を見てギガビョーゲンも拳を振り抜くが、フォンテーヌはジャンプしてかわす。

そして、ギガビョーゲンも対抗する様にその後ろをジャンプして追い掛ける

 

「もっと…もっと高く!」

 

勢いが止まらない。先に跳んだ筈のフォンテーヌの方がより長く、高く跳躍していた。これにはギガビョーゲンも届かない

 

「雨のエレメント!」

 

下から追い掛けてジャンプするギガビョーゲンを、激しい水流が地面へと一気に叩き付ける

 

「何すんのよ!」

 

空中で身動き出来ないフォンテーヌに、シンドイーネは両手を構えて攻撃しようとするも

 

「翠嵐疾風!」

 

嵐を纏ったツタがそれを妨害した

 

「頼んだぞ!」

 

 

 

「「「「ヒーリングっどアロー!」」」」

 

「「「「ヒーリングアニマルパワー全開!」」」」

 

『キュン!』

 

「「「「アメイジングお手当て!準備OK♥」」」」

 

「「「「OK!」」」」

 

「「「「プリキュア !ファイナル!ヒーリングっど♥シャワー!」」」」

 

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「「「「お大事に!」」」」

 

「わふ〜ん!」

 

 

 

 

 

////////

 

目を覚ました高美とちゆは、先日の件を謝罪していた。そして、その会話の中でちゆはハイジャンで世界を目指すと言った。

世界という最高の舞台で、最大のライバルと共に競い合い、高め合ってそこで会おうと約束した

 

「何だよ。結局ハイジャンで世界目指すんじゃねぇか。ま、俺には関係無いけどな」

 

「その割には紅兄笑ってるじゃん!」

 

「フフッ、紅牙さんも嬉しいじゃないんですか?」

 

「笑ってる、嬉しい……。ま、人の幸せを笑うのは良い事だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライバルという存在は、きっとちゆを高めてくれるだろう




次回は日常回では無くオリストを挟みます

ここまでの拝読ありがとうございました
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