ありふれてはならない職業で世界最強(旧:憑依転生した俺、チートでがんばるぞい!!) 作:覇王風神刃
あと、ハジメの持つ黒い剣の名前を募集しています
出来ればかっこいいのでww
……原作を読んでる。と思いながら読んだ方がいいかもしれません……
橋の両サイドに現れた赤黒い光を放つ魔法陣。通路側の魔法陣は十メートル近くあり、階段側の魔法陣は一メートル位の大きさだが、その数がおびただしい。
小さな無数の魔法陣からは、
骨格だけの体に剣を携えた魔物〝トラウムソルジャー〟が溢れるように出現した
空洞の眼窩からは魔法陣と同じ赤黒い光が煌々と輝き目玉の様にギョロギョロと辺りを見回している
その数は、既に百体近くに上っており、
尚、増え続けているようだ
しかし、数百体のガイコツ戦士より、
反対の通路側の方がヤバイと彼は感じていた
だってサイズデカいし……
威圧感?ぽいのも若干出てるし……
ていうか、絶対こいつらじゃ勝てんぞ?
大丈夫かな~?
「グルァァァァァアアアアア!!」
「ッ!?」
その咆哮で正気に戻ったのか、
メルド団長が矢継ぎ早に指示を飛ばす
「アラン! 生徒達を率いてトラウムソルジャーを突破しろ! カイル、イヴァン、ベイル! 全力で障壁を張れ! ヤツを食い止めるぞ! 光輝、お前達は早く階段へ向かえ!」
「待って下さい、メルドさん! 俺達もやります! あの恐竜みたいなヤツが一番ヤバイでしょう! 俺達も……」
「馬鹿野郎! あれが本当にベヒモスなら、今のお前達では無理だ! ヤツは六十五階層の魔物。かつて、“最強”と言わしめた冒険者をして歯が立たなかった化け物だ! さっさと行け! 私はお前達を死なせるわけにはいかないんだ!」
その冒険者……
弱いんだろうな~
あと、こっそり地面を殴ってみたけどそこまで堅そうじゃないし、
ここから落ちる……という手もある
怖いからやりたくないけど……
どうにか撤退させようと、再度メルドが光輝に話そうとした瞬間、
ベヒモスが咆哮を上げながら突進してきた
このままでは、
撤退中の生徒達を全員轢殺してしまうだろう
そうはさせるかと、
ハイリヒ王国最高戦力が全力の多重障壁を張る
「「「全ての敵意と悪意を拒絶する、神の子らに絶対の守りを、ここは聖域なりて、神敵を通さず――〝聖絶〟!!」」」
二メートル四方の最高級の紙に描かれた魔法陣と四節からなる詠唱、
さらに三人同時発動
一回こっきり一分だけの防御であるが、
何物にも破らせない絶対の守りが顕現する
純白に輝く半球状の障壁がベヒモスの突進を防ぐ!
はっ……
その程度で奴を止めることなんてできるわけがないだろう?
馬鹿なのかな?
衝突の瞬間、凄まじい衝撃波が発生し、
ベヒモスの足元が粉砕される
橋全体が石造りにもかかわらず大きく揺れた
撤退中の生徒達から悲鳴が上がり、
転倒する者が相次ぐ
トラウムソルジャーは三十八階層に現れる魔物だ
今までの魔物とは一線を画す戦闘能力を持っている。前方に立ちはだかる不気味な骸骨の魔物と、
後ろから迫る恐ろしい気配に生徒達は半ばパニック状態だ
隊列など無視して我先にと階段を目指してがむしゃらに進んでいく
騎士団員の一人、
アランが必死にパニックを抑えようとするが、
目前に迫る恐怖により耳を傾ける者はいない
その内、一人の女子生徒が後ろから突き飛ばされ転倒してしまった
「うっ」と呻きながら顔を上げると、
眼前で一体のトラウムソルジャーが剣を振りかぶっていた
しょうがない……か
「-----【風刃】それと、【衝撃波】」
死ぬ――女子生徒がそう感じた次の瞬間、
トラウムソルジャーの片足が突然、
切断された
バランスを崩したトラウムソルジャーの剣は彼女から逸れてカンッという音と共に地面を叩くに終わる
更に、突然現れた衝撃によって数体のトラウムソルジャーを巻き込んで橋の端へと向かって波打つように移動していき、
遂に奈落へと落とすことに成功した
魔力回復薬を飲みながら倒れたままの女子生徒のもとへ駆け寄るは、
女子生徒の手を引っ張り立ち上がらせる
呆然としながら為されるがままの彼女に、
彼が笑顔で声をかけた
「早く前へ。大丈夫、冷静になればあんな骨どうってことないよ。うちのクラスは僕を除いて全員チートなんだから!」
自信満々で背中をバシッと叩く彼をマジマジと見る女子生徒は、
次の瞬間には「うん! ありがとう!」と元気に返事をして駆け出した
ハジメは周囲のトラウムソルジャーの足を斬って、
足止めをしながら周囲を見渡す
誰も彼もがパニックになりながら滅茶苦茶に武器や魔法を振り回している
このままでは、いずれ死者が出る可能性が高い
騎士アランが必死に纏めようとしているが上手くいっていない
そうしている間にも魔法陣から続々と増援が送られてくる
「なんとかしないと……必要なのは……強力なリーダー……道を切り開く火力……糞勇者かな?俺でもいいけどあまり見せたくないしね」
途中から演技を忘れていた彼は走り出した
光輝達のいるベヒモスの方へ向かって
ベヒモスは依然、
障壁に向かって突進を繰り返していた
障壁に衝突する度に壮絶な衝撃波が周囲に撒き散らされ、
石造りの橋が悲鳴を上げる(実は彼がこの橋を魔法で少しだけ強化していた。強化していなかったらすでにこの橋は崩れていた)
障壁も既に全体に亀裂が入っており砕けるのは時間の問題だ
既にメルド団長も障壁の展開に加わっているが焼け石に水だった
「ええい、くそ! もうもたんぞ! 光輝、早く撤退しろ! お前達も早く行け!」
「嫌です! メルドさん達を置いていくわけには行きません! 絶対、皆で生き残るんです!」
「くっ、こんな時にわがままを……」
ほんとめんどくさいよね……
分かるぞ~
とても
うん
この限定された空間ではベヒモスの突進を回避するのは難しい
それ故、逃げ切るためには障壁を張り、
押し出されるように撤退するのがベストだ
しかし、その微妙なさじ加減は戦闘のベテランだからこそ出来るのであって、
今の光輝達には難しい注文だ
その辺の事情を掻い摘んで説明し撤退を促しているのだが、
光輝は〝置いていく〟ということがどうしても納得できないらしく、
また、自分ならベヒモスをどうにかできると思っているのか目の輝きが明らかに攻撃色を放っている
あの目……
はあ……
まだ、若いから仕方ないとは言え、
少し自分の力を過信してしまっているようである
戦闘素人の光輝達に自信を持たせようと、
まずは褒めて伸ばす方針が裏目に出たようだ
「光輝! 団長さんの言う通りにして撤退しましょう!」
雫は状況がわかっているようで光輝を諌めようと腕を掴む
「へっ、光輝の無茶は今に始まったことじゃねぇだろ? 付き合うぜ、光輝!」
「龍太郎……ありがとな」
しかし、龍太郎の言葉に更にやる気を見せる光輝
それに雫は舌打ちする
「状況に酔ってんじゃないわよ! この馬鹿ども!」
「雫ちゃん……」
苛立つ雫に心配そうな香織
……雫ちゃん
頑張ってね!
さてと、
俺は俺で……やるか
その時、一人の男子が光輝の前に飛び込んできた
「天之河くん!」
「なっ、南雲!?」
「南雲くん!?」
驚く一同にハジメは必死の形相でまくし立てる
「早く撤退を! 皆のところに! 君がいないと! 早く!」
「いきなりなんだ? それより、なんでこんな所にいるんだ! ここは君がいていい場所じゃない! ここは俺達に任せて南雲は……」
「そんなこと言っている場合かっ!」
彼に戦力外だと告げて撤退するように促そうとした光輝の言葉を遮って、
彼は今までにない乱暴な口調で怒鳴り返した
光輝の胸ぐらを掴みながら指を差すハジメ
その方向にはトラウムソルジャーに囲まれ右往左往しているクラスメイト達がいた
訓練のことなど頭から抜け落ちたように誰も彼もが好き勝手に戦っている
効率的に倒せていないから敵の増援により未だ突破できないでいた
スペックの高さが命を守っているが、それも時間の問題だろう
「ああ、わかった。直ぐに行く! メルド団長! すいませ――」
「下がれぇーー!」
〝すいません、先に撤退します〟――そう言おうとしてメルド団長を振り返った瞬間、
その団長の悲鳴と同時に、
遂に障壁が砕け散った
暴風のように荒れ狂う衝撃波がハジメ達を襲う
咄嗟に、
彼が前に出て錬成&【風壁】で壁を作り出す、が、少しだけ抵抗したが、
すぐに砕かれ吹き飛ばされる
舞い上がる埃がベヒモスの咆哮で吹き払われた
そこには、倒れ伏し呻き声を上げる団長と騎士が三人
衝撃波の影響で身動きが取れないようだ
光輝達も倒れていたがすぐに起き上がる
メルド団長達の背後にいたことと、
彼の作った壁が功を奏したようだ
「ぐっ……龍太郎、雫、時間を稼げるか?」
光輝が問う。それに苦しそうではあるが確かな足取りで前へ出る二人
団長たちが倒れている以上自分達がなんとかする他ない
「やるしかねぇだろ!」
「……なんとかしてみるわ!」
二人がベヒモスに突貫する
「香織はメルドさん達の治癒を!」
「うん!」
光輝の指示で香織が走り出す
彼は既に団長達のもとだ
戦いの余波が届かないよう壁を作り出している
気休めだが無いよりマシだろう。
光輝は、今の自分が出せる最大の技を放つための詠唱を開始した
「神意よ! 全ての邪悪を滅ぼし光をもたらしたまえ! 神の息吹よ! 全ての暗雲を吹き払い、この世を聖浄で満たしたまえ! 神の慈悲よ! この一撃を以て全ての罪科を許したまえ!――〝神威〟!」
そのレベル……
無詠唱で、発動できないんだ……
このキチ外ステータスのおかげかな?
そのせいか、
自分はできる、無詠唱での発動を
ただ、魔法名は言わなくちゃいけんが……
これは、無詠唱じゃなくて、詠唱破棄かな?
まあ、そんなのどうでもいいか
詠唱と共にまっすぐ突き出した聖剣から極光が迸る
先の天翔閃と同系統だが威力が段違いだ
橋を震動させ石畳を抉り飛ばしながらベヒモスへと直進する
龍太郎と雫は、詠唱の終わりと同時に既に離脱している
ギリギリだったようで二人共ボロボロだ
この短い時間だけで相当ダメージを受けたようだ
放たれた光属性の砲撃は、
轟音と共にベヒモスに直撃した
光が辺りを満たし白く塗りつぶす
激震する橋に大きく亀裂が入っていく
「これなら……はぁはぁ」
「はぁはぁ、流石にやったよな?」
「だといいけど……」
それ、言っちゃだめだぞ~!!
フラグ発言……
龍太郎と雫が光輝の傍に戻ってくる
光輝は莫大な魔力を使用したようで肩で息をしている
先ほどの攻撃は文字通り、光輝の切り札だ
残存魔力のほとんどが持っていかれた
背後では、治療が終わったのか、
メルド団長が起き上がろうとしている
そんな中、徐々に光が収まり、
舞う埃が吹き払われる
その先には……
無傷のベヒモスがいた
低い唸り声を上げ、
光輝を射殺さんばかりに睨んでいる
と、思ったら、直後、
スッと頭を掲げた
頭の角がキィーーーという甲高い音を立てながら赤熱化していく
そして、遂に頭部の兜全体がマグマのように燃えたぎった
「ボケッとするな! 逃げろ!」
メルド団長の叫びに、
ようやく無傷というショックから正気に戻った光輝達が身構えた瞬間、
ベヒモスが突進を始める
そして、光輝達のかなり手前で跳躍し、
赤熱化した頭部を下に向けて隕石のように落下した
あ、あのジャンプ……
師匠の方が高かった……
……うん
師匠……やっぱりあなた人間じゃないでしょ……
光輝達は、咄嗟に横っ飛びで回避するも、
着弾時の衝撃波をモロに浴びて吹き飛ぶ
ゴロゴロと地面を転がりようやく止まった頃には、
満身創痍の状態だった
どうにか動けるようになったメルド団長が駆け寄ってくる
他の騎士団員は、
まだ香織による治療の最中だ
ベヒモスはめり込んだ頭を抜き出そうと踏ん張っている
「お前等、動けるか!」
メルド団長が叫ぶように尋ねるも返事は呻き声だ
先ほどの団長達と同じく衝撃波で体が麻痺しているのだろう
内臓へのダメージも相当のようだ
メルド団長が香織を呼ぼうと振り返る
その視界に、駆け込んでくるか彼の姿を捉えた
「坊主! 香織を連れて、光輝を担いで下がれ!」
ハジメにそう指示する団長
光輝を、光輝だけを担いで下がれ
その指示は、すなわち、
もう一人くらいしか逃げることも敵わないということなのだろう
メルド団長は唇を噛み切るほど食いしばり盾を構えた
ここを死地と定め、
命を賭けて食い止めるつもりだ
そんな団長に、ハジメは必死の形相で、
とある提案をする
それは、この場の全員が助かるかもしれない唯一の方法
ただし、あまりに馬鹿げている上に成功の可能性も少なく、
彼が一番危険を請け負う方法だ
メルドは逡巡するが、
ベヒモスが既に戦闘態勢を整えている
再び頭部の兜が赤熱化を開始する
時間がない
「……やれるんだな?」
「やります」
決然とした眼差しを真っ直ぐ向けてくるハジメに、
メルド団長は「くっ」と笑みを浮かべる。
「まさか、お前さんに命を預けることになるとはな。……必ず助けてやる。だから……頼んだぞ!」
「はい!」
メルド団長はそう言うとベヒモスの前に出た
そして、簡易の魔法を放ち挑発する
ベヒモスは、先ほど光輝を狙ったように自分に歯向かう者を標的にする習性があるようだ
しっかりとその視線がメルド団長に向いている
そして、赤熱化を果たした兜を掲げ、突撃、跳躍する
メルド団長は、
ギリギリまで引き付けるつもりなのか目を見開いて構えている
そして、小さく詠唱をした
「吹き散らせ――〝風壁〟」
詠唱と共にバックステップで離脱する
その直後、ベヒモスの頭部が一瞬前までメルド団長がいた場所に着弾した
発生した衝撃波や石礫は〝風壁〟でどうにか逸らす
再び、頭部をめり込ませるベヒモスに、
彼は、
「錬成」
石中に埋まっていた頭部を抜こうとしたベヒモスの動きが止まる
周囲の石を砕いて頭部を抜こうとしても、
ハジメが錬成して直してしまうからだ
ベヒモスのパワーは凄まじく、
油断すると直ぐ周囲の石畳に亀裂が入り抜け出そうとするが、
その度に錬成をし直して抜け出すことを許さない
ベヒモスは頭部を地面に埋めたままもがいている
彼が演技をしなくていいなら大爆笑していたところだ
その間に、メルドは回復した騎士団員と香織を呼び集め、
光輝達を担ぎ離脱しようとする
「待って下さい! まだ、南雲くんがっ」
撤退を促すメルド団長に香織が猛抗議した
「坊主の作戦だ! ソルジャーどもを突破して安全地帯を作ったら魔法で一斉攻撃を開始する! もちろん坊主がある程度離脱してからだ! 魔法で足止めしている間に坊主が帰還したら、上階に撤退だ!」
「なら私も残ります!」
「ダメだ! 撤退しながら、香織には光輝を治癒してもらわにゃならん!」
「でも!」
メルド団長を含めて、メンバーの中で最大の攻撃力を持っているのは間違いなく光輝である
少しでも早く治癒魔法を掛け回復させなければ、
ベヒモスを足止めするには火力不足に陥るかもしれない
そんな事態を避けるには、香織が移動しながら光輝を回復させる必要があるのだ
ベヒモスは彼の魔力が尽きて錬成ができなくなった時点で動き出す
まあ、馬鹿みたいに魔力を持っているからなくなることはないんだけどね……
「天の息吹、満ち満ちて、聖浄と癒しをもたらさん――〝天恵〟」
香織は泣きそうな顔で、
それでもしっかりと詠唱を紡ぐ
淡い光が光輝を包む
体の傷と同時に魔力をも回復させる治癒魔法だ
メルド団長は、香織の肩をグッと掴み頷く
香織も頷き、もう一度、必死の形相で錬成を続けるハジメを振り返った
そして、光輝を担いだメルド団長と、雫と龍太郎を担いだ騎士団員達と共に撤退を開始した
トラウムソルジャーは依然増加を続けていた
既にその数は二百体はいるだろう
階段側へと続く橋を埋め尽くしている
だが、ある意味それでよかったのかもしれない
もし、もっと隙間だらけだったなら、
突貫した生徒が包囲され惨殺されていただろう
実際、最初の百体くらいの時に、
それで窮地に陥っていた生徒は結構な数いたのだ
それでも、未だ死人が出ていないのは、
ひとえに騎士団員達のおかげだろう
彼等の必死のカバーが生徒達を生かしていたといっても過言ではない
代償に、既に彼等は満身創痍だったが
騎士団員達のサポートがなくなり、
続々と増え続ける魔物にパニックを起こし、
魔法を使いもせずに剣やら槍やら武器を振り回す生徒がほとんどである以上、
もう数分もすれば完全に瓦解するだろう
生徒達もそれをなんとなく悟っているのか表情には絶望が張り付いている
先ほど彼が助けた女子生徒の呼びかけで少ないながらも連携をとり奮戦していた者達も限界が近いようで泣きそうな表情だ
誰もが、もうダメかもしれない、そう思ったとき……
「――〝天翔閃〟!」
純白の斬撃がトラウムソルジャー達のド真ん中を切り裂き吹き飛ばしながら炸裂した
狙ってたのかなあいつは?
タイミングを
橋の両側にいたソルジャー達も押し出されて奈落へと落ちていく
斬撃の後は、直ぐに雪崩れ込むように集まったトラウムソルジャー達で埋まってしまったが、生徒達は確かに、
一瞬空いた隙間から上階へと続く階段を見た
今まで渇望し、どれだけ剣を振るっても見えなかった希望が見えたのだ
「皆! 諦めるな! 道は俺が切り開く!」
そんなセリフと共に、再び〝天翔閃〟が敵を切り裂いていく
光輝が発するカリスマに生徒達が活気づく
「お前達! 今まで何をやってきた! 訓練を思い出せ! さっさと連携をとらんか! 馬鹿者共が!」
皆の頼れる団長が〝天翔閃〟に勝るとも劣らない一撃を放ち、
敵を次々と打ち倒す
いつも通りの頼もしい声に、沈んでいた気持ちが復活する
手足に力が漲り、頭がクリアになっていく
実は、香織の魔法の効果も加わっている
精神を鎮める魔法だ
リラックスできる程度の魔法だが、
光輝達の活躍と相まって効果は抜群だ
治癒魔法に適性のある者がこぞって負傷者を癒し、
魔法適性の高い者が後衛に下がって強力な魔法の詠唱を開始する
前衛職はしっかり隊列を組み、
倒すことより後衛の守りを重視し堅実な動きを心がける
治癒が終わり復活した騎士団員達も加わり、
反撃の狼煙が上がった
チートどもの強力な魔法と武技の波状攻撃が、
怒涛の如く敵目掛けて襲いかかる
凄まじい速度で殲滅していき、
その速度は、
遂に魔法陣による魔物の召喚速度を超えた
そして、階段への道が開ける
「皆! 続け! 階段前を確保するぞ!」
光輝が掛け声と同時に走り出す
ある程度回復した龍太郎と雫がそれに続き、
バターを切り取るようにトラウムソルジャーの包囲網を切り裂いていく
そうして、遂に全員が包囲網を突破した
背後で再び橋との通路が肉壁ならぬ骨壁により閉じようとするが、
そうはさせじと光輝が魔法を放ち蹴散らす
クラスメイトが訝しそうな表情をする
それもそうだろう。目の前に階段があるのだ
さっさと安全地帯に行きたいと思うのは当然である
「皆、待って! 南雲くんを助けなきゃ! 南雲くんがたった一人であの怪物を抑えてるの!」
次々と疑問の声を漏らす生徒達にメルド団長が指示を飛ばす。
「そうだ! 坊主がたった一人であの化け物を抑えているから撤退できたんだ! 前衛組! ソルジャーどもを寄せ付けるな! 後衛組は遠距離魔法準備! もうすぐ坊主の魔力が尽きる。アイツが離脱したら一斉攻撃で、あの化け物を足止めしろ!」
ビリビリと腹の底まで響くような声に気を引き締め直す生徒達。中には階段の方向を未練に満ちた表情で見ている者もいる
………………………………
そのころ彼は……
いや、おいて行ってくれよ……
みんないなくなったら切り殺そうと思ってるんだ
………………………………
無理もない
ついさっき死にかけたのだ
一秒でも早く安全を確保したいと思うのは当然だろう
しかし、団長の「早くしろ!」という怒声に未練を断ち切るように戦場へと戻った
その中には檜山大介もいた。自分の仕出かした事とはいえ、本気で恐怖を感じていた檜山は、直ぐにでもこの場から逃げ出したかった。
しかし、ふと脳裏にあの日の情景が浮かび上がる
それは、迷宮に入る前日、ホルアドの町で宿泊していたときのこと
緊張のせいか中々寝付けずにいた檜山は、
トイレついでに外の風を浴びに行った
涼やかな風に気持ちが落ち着いたのを感じ部屋に戻ろうとしたのだが、
その途中、ネグリジェ姿の香織を見かけたのだ。
初めて見る香織の姿に思わず物陰に隠れて息を詰めていると、
香織は檜山に気がつかずに通り過ぎて行った
気になって後を追うと、
香織は、とある部屋の前で立ち止まりノックをした
その扉から出てきたのは……ハジメだった
檜山は頭が真っ白になった
檜山は香織に好意を持っている
しかし、自分とでは釣り合わないと思っており、
光輝のような相手なら、
所詮住む世界が違うと諦められた
しかし、ハジメは違う
自分より劣った存在(檜山はそう思っている)が香織の傍にいるのはおかしい
それなら自分でもいいじゃないか、
と端から聞けば頭大丈夫?
と言われそうな考えを檜山は本気で持っていた
ただでさえ溜まっていた不満は、
すでに憎悪にまで膨れ上がっていた
香織が見蕩れていたグランツ鉱石を手に入れようとしたのも、
その気持ちが焦りとなってあらわれたからだろう
その時のことを思い出した檜山は、
たった一人でベヒモスを抑えるハジメを見て、
今も祈るようにハジメを案じる香織を視界に捉え……
ほの暗い笑みを浮かべた
ゾクッ
(まさか、殺気?
いやこの感じは……憎悪か?
またあいつか……
(。´・ω・)ん?
おいおい!
これじゃあほんとにテンプレ通りに落とされる的な感じ?
……でもまあ
別に落とされてもいいけどな……
ここじゃあ本気で戦えないし
ただまあ、ほんとにやるならこっちもやり返させてもらうぞ?)
そろそろかな?
彼はタイミングを見計らった
そして、数十度目の亀裂が走ると同時に最後の錬成でベヒモスを拘束する
同時に、一気に駆け出した
彼が猛然と逃げ出した五秒後、
地面が破裂するように粉砕されベヒモスが咆哮と共に起き上がる
その眼に、憤怒の色が宿っていると感じるのは勘違いではないだろう
鋭い眼光が己に無様を晒させた怨敵を探し……
彼を捉えた
再度、怒りの咆哮を上げるベヒモス
ハジメを追いかけようと四肢に力を溜めた
だが、次の瞬間、あらゆる属性の攻撃魔法が殺到した
夜空を流れる流星の如く、
色とりどりの魔法がベヒモスを打ち据える
ダメージはやはり無いようだが、
しっかりと足止めになっている
しかし、その直後、ハジメの表情は凍りついた
無数に飛び交う魔法の中で、何個かの魔法がクイッと軌道を僅かに曲げたのだ
……彼の方に向かって
明らかに彼を狙い誘導されたものだ
「チッ!!」
魔法を斬ろうと思え斬切れるが
あの数だとさすがに無理である
咄嗟に踏ん張り、
止まろうと地を滑るハジメの眼前に、
その魔法達は突き刺さった
さすがの彼も着弾の衝撃波をモロに浴び、
来た道を引き返すように吹き飛んだ
ただ、特にダメージを受けたわけでは無いので
普通に生きてる
ハジメが立ち上がった直後、
背後で咆哮が鳴り響く
思わず振り返ると三度目の赤熱化をしたベヒモスの眼光がしっかりハジメを捉えていた
あ……
見ないで!!照れちゃう!!
そして、赤熱化した頭部を盾のようにかざしながら彼に向かって突進する
彼は、力を振り絞り
その攻撃を受け止める
ベヒモスの攻撃で橋全体が震動する
着弾点を中心に物凄い勢いで亀裂が走る
メキメキと橋が悲鳴を上げる
彼の身体もメキメキ言ってる
そして……彼を中心に橋が崩壊を始めた
度重なる強大な攻撃にさらされ続けた石造りの橋は、
遂に耐久限度を超えたのだ
「グウァアアア!?」
悲鳴を上げながら崩壊し傾く石畳を爪で必死に引っ掻くベヒモス
しかし、引っ掛けた場所すら崩壊し、
抵抗も虚しく奈落へと消えていった
ベヒモスの断末魔が木霊する
彼もなんとか脱出しようと這いずるが、
しがみつく場所も次々と崩壊していく
フフフフフフ……
やりやがったな!!
仕返ししてやる(状態異常系統攻撃の中でもきついのをやってやろう)
そう思いつつも対岸のクラスメイト達の方へ視線を向けると、
香織が飛び出そうとして雫や光輝に羽交い締めにされているのが見えた
他のクラスメイトは青褪めたり、
目や口元を手で覆ったりしている
メルド達騎士団の面々も悔しそうな表情で彼を見ていた
そして、彼の足場も完全に崩壊し、
彼は仰向けになりながら(ニヤケタ表情で)奈落へと落ちていった……
実は落ちる前、
状態異常系統魔法の一種をかけた
その魔法は、一日一回は下痢になる魔法である
それを、落した犯人に向かって発動した
ちゃんと効いたかな?
お馬鹿君(名前を忘れた)?
無双はしなかった
因みに、彼が攻撃を受け止めたことにきずいた人はいません
アンケートはどれかが100を超えた場合終了します
スキルを追加していいですか? 追加したいと思ってるスキルは(無限魔力・魔神化)二つです
-
いいよ~
-
駄目です
-
無限魔力は要らない(魔神化は要る)
-
魔神化要らない(無限魔力はいる)