【休載】生きたければ飯を食え Ver鬼滅の刃 作:混沌の魔法使い
メニュー18 チーズフォンデュ(鬼ルート)
無限城名物と言えば「カワサキの料理」「継国兄妹のデスゲーム」があるが、実はもう1つ隠れた名物と言うものがある。
「正座」
腕組みしているカワサキと向かい合っている無惨だが、その顔色は悪く、自分がとんでもない失敗をしたと言うのを全身で表していた。
「いや、しかしだな」
しかしそれでもカワサキに説教されるのを拒み、なんとか説得を試みる無惨だがカワサキは言い訳無用と言うのを全身で表していた。
「正座」
「待て、確かに勝手に買って来たのは私が悪い。だが「正座」……はい」
散財をしてカワサキに説教される無惨と言うのも無限城ではよく見られる光景だ。ただしその光景を見られると無惨が凄まじく不機嫌になるので、説教が始まったら何も言わずにその場を後にすると言うのが一種のルールになっていた。
「良い物らしいじゃないか」
「お前チーズ苦手だろうが……」
「いや、まぁ……うん」
「断れよ……どうすんだこれ」
貿易商として活動している無惨は海外の食事や調味料を持ってくる。それはカワサキが望んだからなのだが……チーズ。しかも小分けにしたものではなく原型のでかい奴ではカワサキも流石に頭を抱えた。
「はぁ……食べ物を粗末にする訳には行かないからこれで何か作るけど、食べたくないとか我侭を言うなよ」
「……わ、判っている」
声が引き攣っている無惨にカワサキは再度溜め息を吐いて、無惨が買って来たチーズの塊の山を見て、頭痛を覚えたのか頭を抱えて天を仰ぐのだった……。
無惨が買って来たチーズの包みを開けて何なのかを確認する。無数の穴が空いた非常に硬いチーズ……。
「こりゃあ、エメンタールか……スイスのチーズじゃないか」
どういうレートで買って来たんだ……あの馬鹿はと苦笑しながら次の包みを開ける。
「こっちはグリュイエールチーズか」
黄色っぽいオレンジの外皮に包まれたチーズを見て、他の包みも開けてチーズの種類を確認する。1つとして同じ物は無く、そのどれもが良質だが扱いに困る物だった。
「ゴーダ、カマンベール、ボーフォール……か、決まりだな」
貿易先はフランスとかだったんだろう。それで無惨に売りつけた相手も扱いに困ってさらに無惨に売りつけたというところか……。
「ま、無理もないか」
大正時代はやっと洋食が出回り始めた頃合だ。チーズは馴染みが薄く、更に癖も強いと来るので中々受け入れられるものではない。在庫を大量に抱えて困っていたと言うところだと予測をつけてチーズを作業台の上に乗せて包丁を手に取る。
「確か……エメンタール1・グリュイエール2……後は……ゴダー1……ボーフォールとカマンベールを0.5ずつだったよな」
これだけチーズがあれば普通に使っているのでは消費出来ないので、チーズフォンデュにしようと思う。大人達は白ワインで、子供達は牛乳で伸ばせばある程度は食べれると思う。チーズを細かく切り刻んで、バットの上に小分けする。
「コーンスターチを塗してっと」
小分けしたチーズにコーンスターチを塗して手で良く混ぜ合わせる。これでチーズの下拵えは終わりだな。
「後はじゃがいも、にんじん、ブロッコリー、プチトマト……ウィンナー、鶏肉、海老、帆立、豚バラ……後は何が良いかな」
野菜は食べやすい大きさに切ってから1度軽く茹で、豚肉や鶏肉、ウィンナーは軽く塩胡椒で炒めて火を通しておく、海老は殻を剥いて、帆立は内臓と貝紐を外して、貝柱だけにしてから軽く茹でておく。
「パンは軽くトーストして、あ、そうだそうだ」
冷蔵庫を開けて下拵えしてあった肉団子や唐揚げを取り出す。本当は別のに使う予定だったが、下拵えは何時でも出来るからこれも使う事にしよう。
「どうせ揚げるならっと」
どうせ揚げ物に油を使うならと、残っていた餅を取り出して賽の目状に切る。これで餅も揚げればなんちゃっておかきの出来上がりだ。
「さてと、ソースを作るかな」
土鍋ににんにくをこすり付けて、鍋の中ににんにくの香りを移す。これを10個近く繰り返し、チーズフォンデュはチーズが固まったら最後なので、グリーンシークレットハウスに入っている持ち運びのコンロを用意して、弱火で暖め続けることでチーズが固まらないように対策するつもりだ。
「牛乳と白ワインっと」
5個には牛乳を入れ、残りの5個には白ワインを入れる。白ワインの方は沸騰したら、白ワインを継ぎ足して必要な量を沸騰させるつもりだ。牛乳のほうにはコーンスターチを塗したチーズを入れて木へらでかき混ぜる。まとめて入れるとチーズが変な風に溶けてしまうので3段階ほどに分けて溶かすのが上手にチーズを溶かすコツだ。
「良し良し、良い具合だ」
複数回に分けて丁寧に溶かしたチーズ。正直、1人で10個の鍋を見るのは大変だったが、いい仕上がりだと思う。
「仕上げに黒胡椒をふってっと」
香り付けに黒胡椒を振り、今日の夕食であるチーズフォンデュが完成したのだった。
コンロの上でくつくつと音を立てる土鍋。その中には溶けたチーズがたっぷりと入っている……。
「あまり臭くないな」
「そうですね。チーズとはもっと臭い物だと思っていたんですが……」
溶けたチーズはあまり臭くなく、チーズが余り得意ではない私も食べられそうな気がしてきた。
「カワサキー、これどうやって食べるの?」
「おいい……梅ぇ……」
「大丈夫よ、お兄ちゃん。カワサキはこんな事じゃ怒らないわ!」
梅の言葉にカワサキは苦笑して、その通りだと笑った。
「チーズフォンデュはこうやって自分の好きな具材をフォークで刺して、チーズにこうやって絡めて食べる。はふっあちい……ん、良い具合だ。具は殆ど火が通ってるから心配ないぞ、チーズは自分の好みで好きな量を絡めてくれ、はい。無惨」
「……ああ」
チーズが苦手な無惨様がフォークを嫌そうに受け取り、貝柱を刺してチーズに絡める。
「責任を持って食べる」
「……判っている」
怯えながらチーズが絡まった帆立を頬張る無惨様。
「ん、んん……美味い。なんだ、チーズがあまり臭く無い」
「白ワインで伸ばしているからな、それに使っているチーズは香りがあまり強くない物だ」
「なるほど、これは良い、食べやすい」
今までの嫌そうな顔を嘘の様にして具をフォークで刺している無惨様を確認してから私もふぉーくとか言う、槍に似ているそれを掴む。
「うわー美味しいなあ。肉団子が最高に美味しいね! そう思うだろ! 猗窩座」
「……確かに」
「そんなに顰め面をしては駄目ですよ? 美味しい物を食べているときは笑いましょう? 狛治さん」
「恋雪さん……はい、そうですね。とても美味しいです」
「わお、俺馬に蹴られて死んじゃうよ!」
けらけら笑っている童磨。だがあの3人は不思議と一緒に行動している事が多いような気がするな……。
「む、これは……面白い」
「そうですね。肉の脂をまろやかにしていますね。不思議です」
縁壱も不思議そうな顔をしている。チーズと言うのは香りが強く、そして塩辛い物と私は認識している。だがこれはあまり臭くなく、むしろ甘い……果実のような香りをしている。そして塩辛い筈のそれはまろやかな塩味で具と絡める事で具材の味とチーズの味を楽しませてくれている。
(面白い物だ)
溶かしたチーズに食材を絡めるだけでこんなにも美味しいとは……本当にカワサキの料理の知識には驚かされる。
「うーん、美味しいですなあ……なるほど魚介は良くチーズに合うと言うのは本当の事ですな」
「……ああ、落ちた……何故に」
「半天狗殿はフォークを使うのがヘタですなあ。ひょひょひょ」
「箸……箸を使っては駄目なのか」
具材を落として絶望している半天狗とそれを見て笑っている玉壷にしょうがない奴だと肩を竦め、唐揚げをチーズに絡める。
「む、これは美味い」
「本当ですか兄上。では私も」
さくりとした衣にチーズが絡んで少し柔らかくなっている。噛み締めると鶏肉の歯応えとチーズのまろやかな塩味が口の中に広がる。
「ん、これは確かに美味しいですね」
「チーズと言うのはそう悪いものではないのやもしれぬ」
その香りで避けていたが、チーズと言うのは案外悪いものではないのかもしれない。
「んー芋にチーズを絡めると美味しいわね! はい、お兄ちゃん。美味しいわよ」
「梅ぇ……俺はぁそんなに勢い良く飯を食えねえ……」
「でもチーズが固まっちゃうわ!」
「……大丈夫だぁ、これで火加減を調整すればいいんだからなあ」
梅にどんどん具を勧められて辟易した様子の妓夫太郎だが、それでもフォークを受け取っている当たり、どうしても梅には強く出れないというのが良く判るな。
「鳴女、珠世。これも美味しいんだから」
「はい、判ってますよ、ありがとうございますね、梅さん」
「……ん、貰う」
「わぁ、おかきまであるわ! もうこんなの美味しいに決まってるわよね!」
幸せそうに頬に手を当てている梅、この感情の起伏が激しいのが梅の魅力だなと思いながら海老を刺す。
「……うむ。今度はしーふーどぐらたんとやらを食べてみるか」
「おや、兄上も洋食に興味が?」
若干からかう様な口調の縁壱。確かに私は洋食を避けてきたが、これほどまでに美味ならば食わず嫌いをせずとも、1度は食べてみるのも悪くないと思う。
「少しこれだけでは物足りんな」
「そう言うと思って締めは用意してる。チーズの中に少し牛乳を入れて伸ばしたら、この冷や飯を鍋の中に入れて、溶けたチーズと絡めれば即席リゾットの出来上がりだ。簡単だから、締めを食べたいと思ったら自分達でやってくれよ」
カワサキの言葉を聞いてなんに使うやらと思っていた牛乳を土鍋の中に入れ、チーズが伸びて来たタイミングで冷や飯を土鍋の中に入れる。
「うわあ、美味しい! チーズとお米は良く合うんだねえ」
「これだけ肉や魚を入れているんだ不味い訳があるわけが無い」
「そうですね。でも本当に美味しいです」
既に締めのリゾットと言う西洋のお粥を口にしている童磨達を見ながら、私と縁壱も自分達の分のリゾットが煮えるのを土鍋の中を楽しそうに見つめながら待つのだった……。
大人達が酒を片手にチーズフォンデュを楽しんでいる中、子供鬼達がいる食堂では……
「「「みょーん!」」」
「こらー! 食べ物で遊ばないッ!」
「……あむあむ」
「大丈夫か? そんなに沢山チーズを絡めて食べて大丈夫か?」
「……おいひい」
「そうか、それなら良いのだが……」
無限城の子守の達人響凱と零余子が初めてのチーズフォンデュに大興奮の子供達を前に悪戦苦闘していた。
「母ちゃん、うめえぞ、食べるか?」
「ふご」
「駄目! 伊之助それ駄目だからッ!」
猪にチーズをつけたおかきを与えようとしている伊之助に零余子が注意すると、伊之助は小さな目に涙を浮かべた。
「うまいのに、母ちゃんは食べちゃ駄目なのか?」
「んんッ!!」
子供、涙目、上目遣いは年下趣味ではない零余子にとっても破壊力抜群だった。もしここに変態がいたら、大暴走間違い無しだ。
「伊之助、お前の母にはおかきよりも、こっちのほうが良いだろう」
「やさいか! そっか、ありがとな。ほら母ちゃん、やさいだぞ」
「ぷぎッ!」
響凱のベストなフォローで涙目だった伊之助の目から涙が引っ込み、チーズを少しだけ付けた野菜を楽しそうに母猪に与えている。
「違うからね?」
「何も言ってない」
「いや、本当に違うからね?」
「小生は何も見ていない、それで良いだろ?」
「誤解してる! 致命的に誤解してるッ!」
「大丈夫だ。小生は何も言わない」
「違うって言ってるでしょうッ!?」
変態と仲間にされるのが嫌な零余子だが、既に響凱の中では変態予備軍にされていた。
「あ、海老美味しい……」
「え、本当ー? じゃあ私も海老食べるー」
「うえ……肉団子そのままだとあんまり美味しくない」
「子分はばかだなあ! チーズにつけないと駄目だって……あふうっ!?」
「親分!?」
「熱かった……でもうまいぞ!」
「じゃあチーズに良くつけないといけないね!」
「ぷぎいー」
「母ちゃんがやけどしないように気をつけろって!」
ショタコンではないと言う零余子と響凱を後ろに、先ほどまで遊んでいた子供達はチーズフォンデュを楽しみながら口にしていた。
「おかき美味しいよ!」
「やさいもちゃんと食べないとカワサキにおこられるぞ!」
「う、うー食べる」
溶けて伸びるチーズと言うのは子供達の興味を煽り、そして楽しそうに遊びながら食べると言う事をしているのだった……。
無限城ひそひそ噂場話
「えーっと、これじゃなくてこれじゃなくて……」
カワサキがグリーンシークレットハウスの中から調味料などを探していると、外から歓声が聞こえてくる。
「んー? なんだ」
その歓声になんだと首を傾げながらカワサキが探し物を中断して外に出る。
「……ふおおお……」
「ぴぎい!」
伊之助が外に置いてある装備品……蛮族の兜を見て興奮した面持ちでそれをジッと見つめていた。歓声のように聞こえてたのは身体を震わせている伊之助の声と母猪の声が重なったからそのように聞こえたようだ。
「どうした伊之助?」
「カワサキ! これ、これ欲しい! くれッ!」
蛮族の兜は決してレア度の高い装備ではない。むしろルーキーが使うようなそんな安い装備だ。
(ああ。これか)
動物の頭部を象った物で、それは色んなシリーズがあるが、伊之助は猪の兜を随分と気に入ったようだった。
「欲しいのか?」
「欲しい! これがあれば母ちゃんとおそろいだ!」
だから欲しいと言う伊之助にカワサキはしょうがないなと苦笑し、箱を開けて蛮族の兜を伊之助に渡す。
「大事にするんだぞ?」
「ありがとな!」
わくわくした表情で猪の兜を被った伊之助は母猪に跨って、カワサキのグリーンシークレットハウスの後にする。
「まあ。大した事無い装備だから大丈夫だろう」
微弱のオートリジェネと防御力とかに軽度なバフだから大したこと無いだろうと思い、その猪兜を譲り渡したカワサキなのだが、後に……。
「伊之助君はもう全集中の呼吸・常中を出来るんですね?」
「じょう?」
「……え?」
「?」
「使ってない? 知らないんですか?」
「しらねえ……なんだそれ」
「……え、嘘。煉獄さん達もそう言ってたのに?」
鬼殺隊入隊後に柱達に全集中の呼吸・常中が出来ていると勘違いされる事になるのだが、勿論カワサキはそんなことを知る良しも無いのだった……。
メニュー19 田楽へ続く
次回は一応鬼滅の刃の原作キャラになるのかな?宇随さんの死んだ姉弟などの話を書いて見たいと思います。折角だからそう言う展開にすると面白いと思ったのでそうしたいと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。
カワサキさんがオラリオにいるのは……
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間違っている
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間違っていない