【休載】生きたければ飯を食え Ver鬼滅の刃 作:混沌の魔法使い
メニュー20 親子丼
さて無惨と言えば、カワサキに怒られていると言うイメージが無限城では定着している。珍しい食材、調味料を紹介されるとつい買って来てしまうという悪癖があるからだ。だから大体無惨がカワサキに叱られているのだが……。
「正座」
「はい」
「お前は何をしている。私の言葉を聞いていたのか?」
「いや、ほら……なんかあるじゃん?」
「なにかって何だ? 私に具体的に説明してくれ」
「……すまん」
「謝るくらいなら良く考えてくれ……いや、まぁ私もそうなんだが……」
無惨達一派の鬼は鬼殺隊、そして医者の鬼から追われる存在であった。しかし、時代が変わり、無惨一派の鬼に救われたという隊士が多くなれば、産屋敷も無能ではない。産屋敷の歴史などを調べ始める、そうなれば産屋敷の祖先が無惨に救われたこと、そして医者に毒を飲まされ、それが産屋敷を苦しめていると言うことに辿り着く者だっている。現に今の鬼殺隊の頭領は人を喰う鬼とそうではない鬼が存在する事、そして人を喰う鬼は気配が変わるのでそうではない鬼……つまり無惨達と医者の鬼の違いを既に気付いている。そしてその上で無惨達と協力出来ないか? と考えているのだ。それは童磨が以前柱を助けた事で人を助ける鬼がいると言うのを認知されてしまったのが大きい。
「まぁ、良い。カワサキだって間違いは犯すだろう、で、小僧。貴様は本気なのか?」
「本気だ! 俺は母ちゃんを人間に戻すんだッ! それに母ちゃんを鬼にしたあいつを俺は許せないッ!」
「……」
口枷をつけた小柄な女性の前に立つ、「白髪」の少年を見て無惨は頭をかきながら溜め息を吐いた。
「良いだろう、その目が気に入った。黒死牟、面倒を見てやれ」
「……御意。小僧、名は?」
「……不死川……不死川実弥」
「そうか、良い名だ。今日から、私がお前の師だ。着いて来い」
「待ってくれ、母ちゃんは……」
「珠世が見てくれる。だからお前は自分の事だけを考えるんだな」
黒死牟に連れられていく実弥をカワサキは正座のまま見送る。
「カワサキ。お前はもう少し人間を拾ってくる癖をどうにかするんだな」
「……多分無理」
「はぁ……お前も人の事を言えんだろう」
むしろ人間ではない分無惨の買ってくる物の方が良いだろう。ジト目の無惨にカワサキはスマンと謝罪する事しか出来ず。
「親子丼。焼いてない奴、焼いた奴は炭臭くてかなわない」
「うい」
無惨からの夕食のリクエストが出た事で、正座から解放されるのだった……。
不死川親子は俺が助けた訳ではない。狛治が医者の鬼の襲撃を防ぎきれず、母を鬼にしてしまったと連絡して来たので俺が迎えに行ったのだ。まぁそれでも連れて来るって言う選択をしたのは俺だから、俺の責任と言う事になるんだが。
「どうだ? あの子達は?」
「結構精神的にタフですね。今は皆と一緒に昼寝してます」
玄弥・寿美・貞子・弘・こと・就也の不死川一家も拾ってきた。流石に母と長男だけ連れて行き、他の子供を放置と言うのは俺には出来なかった。
「なんとかなりそうか?」
「まぁ、大丈夫だと思いますよ。何かあれば、また連絡します」
子供の面倒を見てくれている零余子にすまないなと謝り、俺は夕食の準備を始める事にした。
「でもまぁなぁ……無惨の言う事も判るんだよな」
人間だから鬼の中で暮らすのはストレスになるかもしれない。今珠世に預けているくのいちの事もある、その時でも一悶着あったのだ、それから数日もたたずにこれでは無惨と言えどなぁなぁには出来なかった。
(使い道と言ったら悪いけど……面倒は見てやれる)
万世極楽教にも人材は必要だし、何よりも巌勝が異論も無く実弥を指導するといったのは紛れも無く才能があるからだろう。そうなれば、こっちの事を探っている鬼殺隊の情報も知れるし……何よりも同等の場で話し合いのための橋渡しになる可能性もあるのだ。巌勝には優しく面倒を見てやって欲しい物だ。
「……良し」
鰹節と昆布で取った出汁が出来た所で本格的に親子丼の準備を始める。
「まずは玉葱っと」
玉葱はくし切りにし、鶏腿肉は無惨達用の大振りに切り分けた物と子供達用の小さく切り分けた物を用意する。
「醤油、みりん、塩……砂糖は少し多めにしておくか」
鰹昆布出汁の中に調味料を入れ沸騰するまで中火で煮る。
「恋雪、ご飯をどんどん盛り付けて行ってくれるか? 量は普通で」
「はい、分かってますよ」
恋雪にはちゃんと注意しておかないと、めちゃくちゃ盛り付けるからな……。
(まぁ狛治のせいなんだが……)
恋は盲目と言うが、恋雪が作ればどんな量でも食べてしまうせいで、適量って言うのが良く判ってないのかなと苦笑しながら沸騰した調味料入りの出汁を大量に並べた親子鍋の中に入れて、その中に鶏腿肉、玉葱を入れて煮る。
「はい、どうぞ」
「ああ、ありがとう」
ボウルの中に割って貰った大量の卵。煮ている間に卵を解き解し御玉で掬い親子鍋の中に順番に入れて、蓋をして蒸していく。
「丼を並べておいてくれな」
「はい、大丈夫ですよ」
耳で煮詰まったタイミングを見極め、蓋を開けて再び卵を親子鍋の中に注ぎ卵が半熟になったタイミングでご飯の上に滑らせながら乗せる。
「うっし! 鳴女頼んだ」
「はい」
べべんっと言う音と共に机に送り出されていく料理に、驚く声が聞こえるがこれはきっと不死川一家だな。
「お手伝いしたのですから、美味しいうどん。よろしくお願いしますね?」
「はいはい、分かってるよ」
半熟で提供したかったから鳴女に頼んだが、皆の食事の後にまた一仕事ありそうだと俺は肩を竦めるのだった。
俺達の母ちゃんを鬼にした鬼を倒すと言った兄ちゃん。兄ちゃんを1人で行かせないそれだけを考えて、鬼になった母ちゃんを拘束している刺青のある鬼と兄ちゃんにしがみ付いていたら、やってきた黄色の奇妙な生き物――カワサキと言う異形に連れて来られた無限城と言う異世界の城は俺達のような年齢で鬼にされた子供が沢山いた。
「あそぼー」
「やきゅうしようぜ! 面白いぜー」
「遊ぶー!」
寿美・貞子・弘・こと・就也達は殆ど一瞬で子供鬼に馴染んで遊んでいたが、俺は兄ちゃんが心配でそれどころではなかった。
「案ずることはない、兄上は厳しくはあるが優しい御方だ。心配するようなことはない」
「……は、はい。えっと」
「縁壱……お前の兄の指南をしている巌勝の妹だ」
巌勝さんと縁壱さん……か、ここには色んな人がいるから名前を覚えるだけでも大変だなと肩を竦める。
(でもこの人本当に女?)
身体つきは確かに女性なんだけど……首周りとか腕とか凄い太いんだけど……。
「兄ちゃんもあそぼう!」
「あそぼう!」
「いこー!」
「あ、ああ……分かった。分かったから」
子供鬼達に加え、弟達に手を引かれ俺は遊びの輪の中に加わり、日が落ちるまであちこちつれ回されることになるのだった。
「ご飯の時間だよー」
「皆、手を洗うのだ」
「「「「はーい!!!」」」
子供達の面倒を見ていると言う零余子さん達に遊びを止めるように言われ、順番で手を洗い案内された場所は見たことも無い作りの大広間だった。
「ここが食堂ね、ご飯の時とおやつの時はここに来るから。玄弥も道を覚えておいて」
「は、はい。分かりました」
「先導が増えると小生達も楽になる。慣れるまでは大変だがよろしく頼むぞ」
頭をぐりぐり撫で回され縮むっと思ったのだが、案外悪い気がしなかったのが不思議だ。
「兄ちゃんもご飯!」
「お兄ちゃん。お友達が沢山出来たんだよ」
「楽しかったー」
「そうか、そうか。良かったな」
兄ちゃんが若干ふらつきながら俺達の座っている場所に腰掛ける。
(兄ちゃん、大丈夫か?)
(おう……なんとかな。それよりそっちは大丈夫そうだな)
(うん。皆良くしてくれてる)
寿美・貞子・弘・こと・就也達が楽しそうなのを見てよかったと兄ちゃんと笑いあっているとべんという音がして、目の前に水とお椀が置かれていた。
「わ! 凄い!」
「ご飯!? これ食べて良いの!」
「おいしそー♪」
突然現れた料理に驚いていると累がひょこっと顔を出した。
「ご飯それ食べていいやつだからね。お代わりって言うとまたでてくるけど、残さないようにね。後はいただきますとご馳走様を忘れないで、
カワサキさんに怒られるから」
食堂の決まりを聞くが、正直それは耳から耳に流れていた。飯が美味しそうで、それ所ではなかったのだ。
「うし、じゃあ、いただきます」
「「「「「「いただきます」」」」」」
寿美達と手を合わせて、いただきますと口にしてから箸を手にする。
(これなんだろう)
ぶつ切りの鶏肉と半熟卵……それだけで高級な料理と言うのは判るけどこんなのは見たことが無い。
「お、今日は親子丼かあ。いやあ、これ好きなんだよねえ」
「静かに喰え、童磨」
「はいはい、分かってますよー」
母ちゃんを拘束した鬼の隣に腰掛ける声の大きい鬼が料理の名を口にした。なるほど、鶏肉と卵で親子丼なのかと思いながら丼を持ち上げて1口頬張る。
「うめえ!」
「美味いッ!」
兄ちゃんと美味しいという声が重なった。出汁の風味が良く効いた甘辛い卵が米全体に絡んでいて、米だけで食べても、甘辛くて美味い。
「おいしー!」
「こんなの食べたこと無い」
「美味しいね!」
「うん、美味しいッ!」
寿美達も美味しい美味しいと笑顔を浮かべている。その笑顔を見れば、良かったと俺は思った。最初はこんな場所に連れてこられて不安そうにしていたので、怯えた表情をしていたその顔に笑顔が浮かんでいるだけで本当に安心した。
「うめえな、玄弥」
「うん。美味い」
鶏肉も大きくて食べ応えも十分だ。そして肉の中にも甘い出汁が染み込んでいて、美味しいのだが……母ちゃんは大丈夫なのだろうかと言う心配がどうしても頭を過ぎる。
「大丈夫だ。俺が母ちゃんをちゃんと元に戻してみせる」
だからお前は何も心配しなくて良いと笑う兄ちゃん。だけど、それは鬼と戦うと言う事で俺は兄ちゃんは大丈夫なのと言う言葉が喉元で来るのを感じて、食事のときにそんなことを口にして、雰囲気を悪くする訳にはいかないとご飯を飲み込んでその言葉を飲み込んだのだが……どうしても不安を抱かずにはいられないのだった……。
メニュー21 寿司へ続く
うーん。そろろそろ鬼滅のネタが切れてきたかもしれません。飯を食えのオーバーロード版が回復してきたのでもしかするとこちらの行進が止まるかもしれません。流石に5作品同時は苦しいので、今後もしかするとこちらの更新が止まるかもしれません。もしそうなってしまったら本当に申し訳ありません……
カワサキさんがオラリオにいるのは……
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間違っている
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間違っていない