【休載】生きたければ飯を食え Ver鬼滅の刃   作:混沌の魔法使い

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メニュー21 寿司

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月に照らされた森の中から非常に耳障りな声が響いた……。

 

「あーーーッ! 腹減ったなあ!」

 

黄色の羽織を着た金髪の少年が大声で叫び、焚き火の側で口枷を嵌めた少女に膝枕をしている額に痣のある少年が窘めるように口を開く。

 

「しょうがないだろう、食料の入った袋を落としてしまったんだから」

 

「はいはい! そーですよねえ!! 落としたのは俺ですよ、ごめんなさいねえッ!!!」

 

「落ち着け善逸。俺は長男だから空腹も我慢出来る。ムンッ!」

 

「ムンじゃねえよッ!? 俺は長男じゃないから我慢出来ないのッ! 判るッ!? 炭治郎!!!」

 

「ムー」

 

「あ、ごめんね。禰豆子ちゃん、五月蝿かったねえ!」

 

さっきまでの怒鳴り声から一転して猫撫で声を出す金髪の少年「吾妻善逸」に口枷を嵌めた少女「竈門禰豆子」はむーっと唸りながら、兄である「竈門炭治郎」の膝に顔を埋める。

 

「むー」

 

「はいはい、いっつも禰豆子は甘えん坊だな」

 

「むー♪」

 

兄に満面の笑みを浮かべている禰豆子を見て、善逸は少しだけ顔を歪めた。

 

(いや、炭治郎……禰豆子ちゃんはお前の事兄貴なんて思ってないぞ)

 

善逸は耳が良い、その人物の音でその人物がどういう感情を抱いているか判る。炭治郎は禰豆子の事を妹と思い愛しているが、禰豆子がそうでは無い事を善逸は知っていた。丁度そのとき、木の枝から飛び降りてきた伊之助が炭治郎の鎹鴉に何かの紙を貼り付ける。すると鎹鴉はその場で倒れ、眠り始める。

 

「伊之助! 何をするんだ!」

 

「腹減った腹減ったうるせぇから飯を食わせてやるんだよ! だけど、鎹鴉がいると不味いんだよ。おら、来い。炭治郎、善逸」

 

焚き火を消して歩き出す伊之助に炭治郎と善逸は何も言えず。山育ちの伊之助が何かを見つけたのだと思い、後を着いていくことにした。

 

「……うし、ここで良いな」

 

「ちょっ、これ廃墟じゃん!? 何!? 何するって言うのさッ!?」

 

「うっせえ、黙ってろ紋逸!」

 

伊之助は腰蓑から何かを取り出すと、それを廃墟の扉に貼り付けた。

 

「良いか、絶対日輪刀を抜くんじゃねえぞ。皆怖がるからな」

 

「伊之助、どういう?」

 

「いいから来い!」

 

伊之助が廃墟の扉を開くと、4人の姿はそこから完全に消え去るのだった……。

 

 

 

 

何かに吸い込まれるような感覚と共に一瞬意識が途絶え、次に感じたのは眩しさ、それも太陽の物で……

 

「禰豆子ッ!」

 

禰豆子が灰になってしまうと慌てて覆いかぶさろうとしたが、禰豆子は平気そうな顔をしていた。

 

「ぎゃーーーーッ!? 何これ!? 血鬼術!? 鬼!? 鬼の仕業「やかましいッ!!」ふぎゃあ!」

 

混乱している善逸に頭突きを叩き込んだ伊之助はふんっと鼻を鳴らす。

 

「伊之助、いい加減に教えてくれ。ここは何処なんだ?」

 

「無限城……良い鬼が暮らしている場所で俺が世話になった場所だ」

 

鬼と言われると確かにあちこちから鬼の匂いがする。だけど、人を食った鬼の匂いは全然しない。

 

「え、あ、嘘本当だ!? 鬼の音がするのに、全然嫌じゃない!?」

 

善逸も動揺し、大声を上げる中。凄まじい足音がした。

 

「ぷ、ぷぎゅいいいーーー!!」

 

「母ちゃん!!」

 

「「え、ええ!?」」

 

小山ほどの猪の体当たりを受け止める伊之助。その光景に俺も善逸も混乱していると近くから凄まじい音がした。

 

「……伊之助、戻ってくるのは良いが、他の人間を連れてきてどうするつもりだ?」

 

上半身裸の若い鬼……だがその威圧感は凄まじく息を呑んだ。今まで戦ってきた鬼が子供のように思える凄まじい威圧感だった。

 

「腹が減ったってうるさいから帰って来た! 俺も腹ペコだ!」

 

「……俺が言いたいのはそう言う事では無いが……まぁ良い。おい、お前ら」

 

「は、はいいいーー! な、何でしょうか!?」

 

「刀を寄越せ、ここは子供の鬼も多い。隊服はしょうがないにしろ、日輪刀を見せるな」

 

「狛治! 刀渡すぞ!!」

 

伊之助が刀を渡すのを見て、俺もゆっくりと腰の刀を渡す。

 

「わ、渡したら殺すとかないよね!?」

 

「そんな事はしない。刀もちゃんと返す」

 

その言葉を聞いて善逸もおっかなびっくりという感じで刀を狛治さんに刀を渡す。

 

「ついて来い、今お食事中だが……この城の長の所に案内する」

 

そう言って振り返る狛治さん。その視線の先には障子が浮かんでいた……それは紛れも無く血鬼術。

 

「よっしゃー行くぜぇ! 飯だ飯だ! ひゃっほー!!」

 

「ぷぎいー♪」

 

猪と共に障子の中に消える伊之助の後をついて障子の中に入ると、一瞬で俺達は別の場所にいた。丸い何かが回転する台と、その周りに大勢で座る定食屋のような机と椅子が並んでいた。

 

「伊之助? 何だ。帰って来たのか」

 

「おーす! カワサキ! ダチを連れてきたぜ!」

 

「え、カワサキさん!?」

 

伊之助の呼んだ名前に驚きながらそっちに視線を向けるとカワサキさんが確かにいた。

 

「おー炭治郎か、元気そうだな」

 

「は、はい! お、俺は元気……じゃなくて、カワサキさんも鬼だったんですか!?」

 

おやきとかを教えてくれたあの人が鬼とは信じられなくて声を上げる。

 

「やかましいぞ、静かにしろ」

 

「無惨、そう言うなって、驚くのは当然だろう?」

 

無惨……? 鬼舞辻無惨!? 驚きながら振り返ると赤目の男が何かを食べていた。

 

「え。鬼舞辻無惨って鬼の頭領の!? ひいいいーーッ! やっぱり罠があ!?「やかましい!」

 

無惨?の投げた皿が善逸の額にぶつかり引っくり返る。

 

「鬼舞辻無惨なのか? 俺の家族を殺した……?」

 

「私は人など殺さんぞ」

 

た、確かにこれは嘘をついている匂いじゃない……それに、家にあった匂いとも違う。

 

「ね、禰豆子。お前を鬼にしたのはこの男か?」

 

「ぷるぷる」

 

違うと首を左右に振る禰豆子。つ、つまりこの男は俺の仇と同姓同名なだけ?

 

「ほう? 医者に鬼にされても凶暴性の無い者は初めて見た。座れ、飯でも食いながら話をしようではないか」

 

手招きされ、俺は大丈夫かと恐怖しながらも伊之助が座ったので、俺もその近くに腰掛ける。

 

「あ、でも禰豆子は食事が……」

 

「鬼でも食える。これはそう言う料理だ。カワサキ、卵握り5つ」

 

「……魚頼めよ、魚」

 

カワサキさんが肩を竦めながら何かを作ると、丸の上に乗せる。するとゆっくりとそれがこっちに移動してくる……えっと?

 

「流れてきたらとって食え、好きな物を選ぶといい」

 

卵焼きが上に乗った米を取る無惨?を見て、俺と禰豆子の分の皿を取る。

 

「寿司だ。食べたことがないのか?」

 

「え、寿司!? 寿司食べれるの!? マジで!?」

 

「やかましいといっているだろう?」

 

「ひいいーーごめんなさい!!」

 

無惨?に睨まれ小さくなっている善逸は隠れながら椅子に座る。

 

「食べたい物があったら好きに頼め、但し今日は寿司だから肉を言うんじゃない。それが礼儀だ。カワサキ、鮪と鰻」

 

さらりと何を食べたいかと言う無惨を見ながら俺は卵焼きの寿司を手に取った。

 

「禰豆子。これ食べれ……」

 

「あむあむ♪」

 

俺が尋ねる前に幸せそうな顔をして寿司を食べている禰豆子を見て、俺は思わず目頭が熱くなった。

 

「美味しいか?」

 

「んんー♪」

 

本当に幸せそうに食べるのを見て、良かったと思い。俺も寿司を口にした。初めて食べるそれは甘く、そして酸っぱかった……だけど……。

 

「美味しいなあ、禰豆子」

 

本当は味なんて判らない、口の中に何かあると言う感じにしか感じなかった。でも禰豆子が幸せそうにしているのを見るのが嬉しくて、味なんかよりもその笑顔を見たいと思ったのだ。

 

「むー♪」

 

嬉しそうにもごもごと口を動かす禰豆子を見て、俺口を動かす。

 

「美味しいなあ」

 

「むー!」

 

それは何よりも美味い、幸せの味がしたのだった……。

 

 

 

 

鬼の城で食事とか正気じゃないって俺は思っていた……きっと皆も同じだと思う。

 

「これは何ですか!?」

 

机の上を皿がどんどん移動しているのと、ぽんぽんぽんって言う太鼓の音が凄く気になるけれどッ!! これ物凄くおいしそうなんだけどッ!?

 

「ネギトロ軍艦と言う物だ。美味いぞ」

 

「なるほど! カワサキさん、ネギトロ軍艦を2つお願いします!」

 

「母ちゃん、美味いか?」

 

「ぷぎいっ!」

 

「そっかあー、俺も美味いぞ」

 

「ぴぎいー♪」

 

……なんで普通の外食みたいに食えるんだよぉ……でもこれを見ていると俺が馬鹿みたいに思えてきた。

 

「う、鰻ください!」

 

「あいよー」

 

カワサキさんって言う人が返事を返す。寿司でしかも鰻が食べれるとか最高だと思ってわくわくして待つ。

 

「はい、お待たせ鰻」

 

「ふおおお……」

 

身が厚い、それに焦げ目も丁度いい感じだし、タレも見るからに丁度良さそうだ。

 

「いただきまーす♪」

 

鬼の城とか関係なしで食べて良いって言うなら食べようと思い、手をあわせて頂きますと言ってから鰻を口に運ぶ。

 

「うっまーーいッ! 何これ!? めちゃくちゃ美味しいッ! 天才! カワサキさん天才!」

 

寿司飯は甘さと酸味が凄く丁度いいし、口の中に入れるとほろりと解ける様な食感がたまらない。鰻はでかいけど大味じゃなくて、まるで雪のように口の中で溶けて、タレの甘さと鰻の脂の味わいで口の中が幸せだぁ……。

 

「おい小僧」

 

「うひいっ!?」

 

「そうだ。カワサキの料理は美味い、お前は見る目がある」

 

え、怒られないの!? と言うか俺はカワサキさんを褒めたのに、なんであんなに誇らしげなんだ……。

 

「カワサキ、この小僧に大トロを」

 

「ほー、珍しいな。お前が自分の好物を他人に勧めるなんて、まあいいけどな」

 

何がでてくるのか楽しみに待つ。その間に炭治郎達に視線を向ける。

 

「む!」

 

「いや、俺はいいんだよ。禰豆子が食べな」

 

「むう?」

 

「遠慮しないで食え! 気にするな!!」

 

「え、ええ!? な、なんですかこれ!?」

 

「海鮮丼だ。譲り合わなくていい、これで2人で食べろ」

 

カワサキさん。それ正解です、炭治郎は禰豆子ちゃんに甘いので、禰豆子ちゃんが食べれると判れば自分が食べずに禰豆子に与えてしまう。だから最初から2人分出すのは大正解だ。

 

「カワサキ! 俺も海鮮丼!」

 

「ちょっと待ってろ、伊之助。はい、お待たせ。大トロ」

 

そう言って置かれた寿司を見て俺は驚いた。

 

「え、これ魚?」

 

「魚」

 

マジかよ……牛肉かと思った。キラキラ光っているし……脂で光ってる。こんな魚がいるなんて俺は知らなかったし、こんな高級品を食べても良いのかと心から思った。でも食べていいって言われたって事は食べて良い筈……こんなご馳走を食べていいなんて、俺は何てついているのだと思いふと気付いた。

 

「こ、これ醤油とかは?」

 

これほどの物だ。醤油だって適量って物があるはず……それを知らずにたっぷりと醤油をつけたら勿体無いと思いそう尋ねる。

 

「塗ってあるからそのままで大丈夫だよ」

 

「い、いただきまーす」

 

手で持ったら指先が脂で光ってる。こ、こんな魚がいるのかと思いながら大トロを口に運んだ。

 

「……」

 

「言葉も無いだろう。大トロはやはり絶品だ」

 

本当にその通りだ。口の中で広がる魚の脂……だけどそれは全然くどくなくて……寿司飯の酸味と甘みさえも飲み込み、飲み込みたくないと思っても勝手に口の中で溶けて飲み込んでしまった。

 

「天才じゃなくて神様かよ……」

 

「大袈裟だ。俺はただの料理人だよ、ほい、伊之助海鮮丼」

 

「やったぜ!」

 

「おい馬鹿馬鹿! そんなに醤油をかける馬鹿がいるか!?」

 

これはもっと慎重に、それこそ芸術品を扱うような慎重さで口に運ぶべき物だ。それにあんなに醤油を掛けて!

 

「炭治郎も何か」

 

「え?(どぼどぼ)」

 

「馬鹿か!? 馬鹿なのッ!!!」

 

なんであんなに醤油掛けてるの!? 美味しい物の食べ方を皆知らすぎると思わず叫んでしまったのだが、それが面白いと無限城に泊まっていけと言われたのか幸か不幸か。俺はそれを真剣に悩む事になるのだが、それは余りにもふかふかの布団前に満腹だったという事も相まって、一瞬で頭の縁に追いやられるのだった……

 

 

 

 

無限城 ひそひそ噂話

 

炭治郎達が寝入った頃。夜こそが活動時間である禰豆子は楽しそうに無限城の中を探検していた。

 

「むう?」

 

「おお、禰豆子。久しぶりだな、お前がいると言う事は兄もいるのか?」

 

「むむっむー♪」

 

「そうかそうか、では私が良いことを教えてやろう」

 

縁壱は久しぶりに禰豆子に会い。少々……いや、元々螺子が緩んでいるが、更にその螺子が緩み禰豆子に色々と耳打ちし、禰豆子はやる気に満ちた表情で炭治郎の部屋へと戻っていった。

 

「うっ、ううん? ね、禰豆子どうした?」

 

腹部に衝撃を受けた炭治郎は目を覚まし、自分の腹の上に禰豆子が座っているの気付いた。

 

「眠いのか? ほらおいでおいで」

 

そして炭治郎は家にいた時の感覚で禰豆子を胸の中に抱いて、寝ようとした。だが禰豆子は何も一緒に寝ようと思って、炭治郎の上に座っているわけではなかった。

 

「ね、ねず……こ?」

 

にちゃあっと言う音が相応しい、獲物を見るような目を見て初めて炭治郎は何か判らないけどやばいと悟った。だがそれは余りにも遅すぎた。

 

「うああああああーーッ!? ね、ねず、禰豆子ぉッ!?」

 

借りた寝巻きに禰豆子が手を掛け、一気に引き裂かれ、炭治郎は悲鳴を上げるが禰豆子にとってはそれさえもスパイスだった。

 

「ふーふーふー♪」

 

「ね、ね、禰豆子さん?」

 

炭治郎は始めて自分の妹さん付けで呼んだ。正確には言わざるを得なかった……上気した頬、興奮しきった顔。そして口から零れる涎にやばいと炭治郎は悟ったが、腹の上に座られ、肩を押さえられたらいかに呼吸を使えたとしても、その拘束を振り切れるわけが無い。

 

「ひゃい!?」

 

「♪」

 

「ちょ、ちょ!? ね、禰豆子ッ!?」

 

鎖骨を舐め上げられ変な声が出てしまった炭治郎を見て、禰豆子は更に興奮した面持ちになり、大きく口を開けて炭治郎の首筋に噛み付こうとしたとき。

 

「……せい」

 

「ッ!」

 

部屋の中に侵入した巌勝が隙だらけの禰豆子の首に手刀を入れ、意識を刈り取る。そしてそのまま炭治郎の首筋にも手刀を叩き込み意識を刈り取った巌勝は、服を着せなおし額の汗を拭い炭治郎の部屋を後にした。そしてゆっくりと屈伸運動をして、身体を良くほぐした。

 

「縁壱いいいいいーーーーッ!!!!」

 

無限城に響くような怒号を上げ、禰豆子を焚きつけたであろう諸悪の根源を探して無限城の中を走り始めたのだった……そしてこの日の継国兄妹の兄妹喧嘩は無垢な妹を邪悪に染め上げた縁壱に対する怒りにより、巌勝が圧倒し、縁壱を縛り上げ無限城の外に放り出すという形で完全勝利を収めるのだった……。

 

 

メニュー22 伝統的朝ごはん へ続く

 

 




次回は他の無限城の鬼達とかまぼこ隊の話などを書いて行こうと思います。禰豆子のブラコンレベル上昇、巌勝が来なければ炭治朗食われていた説があります。後善逸が意外とグルメになりました。

カワサキさんがオラリオにいるのは……

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