【休載】生きたければ飯を食え Ver鬼滅の刃   作:混沌の魔法使い

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メニュー25 鮪料理

メニュー25 鮪料理

 

イソマグロと言う魚はマグロとついているが、実はイソマグロ属の魚であり本マグロとかとは種類が違う。脂身が少なく、やや淡白な味わいが特徴的だ。時期的に冬に差し掛かる手前だったので脂は乗っているが無惨が好む中トロや大トロと言った部位はあるにはあるが本鮪の物とは異なる味わいとなっている。

 

「美味いが……何か違うな」

 

「文句を言うな、文句を、俺と玉壷がどれだけ苦労したと思っている。刺すぞ貴様」

 

「す、すまん。悪かった、私が悪かった。だから包丁を向けるのをやめてくれ」

 

少しは自分の我侭を自覚しろと無惨を一喝し、皆が見ている前でマグロから柵を切り出している玉壷から柵を受け取り、それを刺身にへと切り分けていく。

 

「カワサキと玉壷がこれをつったのか……なるほど、私も時間があれば共に釣りに行きたかった物だ」

 

「なら今度は巌勝殿も参られますかな? 3人ならもっと多く釣れるかもしれませんぞ」

 

「ま、乱獲にならない程度なら俺もとやかく言うつもりは無いしな。はい、腹身な」

 

脂の乗った部位を切りわけ、小皿に盛り付けると手がさっと伸びて凄い勢いで消えていく。ちょっとしたホラーだと思わず苦笑するが、美味しいという声で笑顔だけで苦労した甲斐があったと思ってしまう俺は結局の所お人よしが過ぎるんだろうな。

 

「うん、食べやすくて美味しいですよ? 何故文句を言うんです?」

 

「いや、マグロと言うから大トロとかを期待していたんであってだな……これが不味いという訳では無いんだ」

 

ただそう、想像していた物と違うと言ってわさび醤油を漬けながら刺身を頬張る無惨。日本酒も口にして、刺身を満喫しておいてまだ言うかと肩を竦める。

 

「でもカワサキさん、凄く食べやすいですよ?」

 

「柔らかくて美味しい!」

 

「カワサキさんも、玉壷も凄い!」

 

鳴女や子供達の食べやすくて美味しいと言う声を聞いていると良かったと思うが、少し好みがあわないという声もあるのが気になる。

 

「カワサキ殿。少し早いですが、あれを出しますか?」

 

「そうだな、そうしよう」

 

まだ暫くは刺身でしのぐつもりだったが、無惨のように文句こそ言わないが童磨や半天狗の箸が進んでいないのを見て少し早めに例の物を準備する事にする。

 

「少し頼めるか?」

 

「全然問題ありませんよ。ヅケを出すだけですから」

 

離島で釣り上げてすぐ刺身にして漬けダレ……醤油とみりんと酒を混ぜて1度沸騰させてアルコールを飛ばして作ったヅケダレにつけた刺身を出すように頼んで、俺は卵黄、塩、酢をボウルの中に入れて泡たて器で良く混ぜ始める、白くもったりしてきたらサラダ油を少しずつ加えながら混ぜ合わせる。

 

「よし、OKっと」

 

手製のマヨネーズを作ってから、最初に切り分けた刺身小さ目のぶつ切りにして両手に包丁を持って刺身を叩く、ある程度刺身がつぶれてきたらマヨネーズと、本だしを入れてイソマグロに足りない油分とコクを足してひたすらに叩き続ける。

 

(うし、仕上げ)

 

小口切りにした白髪ネギを加えて軽く混ぜ合わせたらネギトロの完成だ。これを半分無惨達のつまみに出して、残りは海鮮丼とかユッケ丼にしようと思い丼に使う分は冷蔵庫に入れて、摘みにする分にごま油を加えて再びざっくりと混ぜ合わせたら韓国海苔を出して、その上に少しずつネギトロを乗せて、少しだけわさびを乗せたら完成っと。

 

「刺身が物足りなかったら、これを試してみてくれ、ネギトロ巻きだ」

 

寿司飯を乗せて巻物にしても良いんだが、まだ酒を飲んでいる様子なので海苔とネギトロを巻いただけのシンプルなそれを無惨達に差し出すのだった……。

 

 

 

 

 

カワサキ様と玉壷殿が釣って来たマグロ……詳しく言うとイソマグロと言うらしいそれは、普段食べているマグロと違っていて、正直あんまり美味しくは無かった。

 

「狛治さんも余り好きでは無いですか?」

 

「いえ、その……はい、少し物足りないと言いますか」

 

そう、そうなのだ。美味い事は美味い、だけどそれが少し物足りないんだよなあ……。

 

「き、聞かれたら怒られる……ひいいい……恐ろしい恐ろしい」

 

それは全面的に同意する。カワサキ様を本気で怒らせたら……そう想像するだけで恐ろしくて仕方ない。

 

「ネギトロ丼とヅケ丼、鉄火丼に、全部盛りなんて物もできますぞ?」

 

「え、そうなの……う、うーんじゃあ……全部盛で」

 

「はいはい! 今用意しますからなあ」

 

玉壷殿が凄く生き生きしている……魚関連だと本当に元気になるよなあと思ってみていると黒死牟殿がお盆を手に机にやってきた。

 

「ネギトロ……巻きだそうだ」

 

「……え、雑……うっ」

 

カワサキ様の料理とは思えない雑さ具合に思わず雑と口にすると猗窩座殿に肘打ちされた。凄く痛い……でもまぁ食べる前に雑とか言うのは失礼だと思い、皿の上に2つずつ乗せられているそれを手に取る。

 

「……ふむ、カワサキらしい料理では無いが……まぁ不味い訳が無かろう」

 

無惨様がそう言って海苔で綺麗にネギトロ? とか言う肉片見たいのを来るんで口に運んだ。

 

「美味い、脂がコッテリしていて美味いな、これは良いぞ」

 

無惨様が上機嫌に笑い日本酒を口にするのを見てから、俺もネギトロ巻きをやらを口に運んだ。普通の海苔よりもパリッとした塩味の強い海苔を噛み千切るとネギトロの味が口一杯に広がった。イソマグロの刺身よりもコッテリとしていて、少し鰹出汁の味がする。そして最後に強いごま油の香りと味。

 

「んんーーーこれ美味しいッ!」

 

「確かにこれは美味い……大トロのようだ」

 

「……驚いたな。こんな事も出来るのか」

 

「美味しいですね。兄上……」

 

さっぱりとしていて淡白なそれが、まさか大トロに近い味になるとは驚きだ。ごま油の味とコッテリとした味が口の中に残るので、日本酒で口の中を洗い流すとまた食べたくなる。

 

「マグロの海鮮ユッケ。生卵を崩しながら食べてくれ」

 

「わーっ! こんなの美味しいに決まってるよッ!」

 

匙で卵を崩してネギトロと混ぜてネギと一緒に口に運ぶ。ねっとりとしたマグロの旨みと卵の風味……しかしそれだけでは喧嘩するそれをほんの少しの辛味が1つにしてくれている。

 

「ん、ちょっと辛いですけど美味しいですね」

 

「ええ、それに風味と香りが良いです。これは胡麻ですね」

 

「つうっ……」

 

「ああ。兄上大丈夫ですか? はい、お水をどうぞ」

 

黒死牟殿に躊躇う事無く薬を混ぜた酒を差し出している縁壱に恐怖していると、無惨様が手を上げた。

 

「カワサキ、寿司飯にこのマグロのユッケを乗せてくれ」

 

「もう飯を食うのか?」

 

「少しだけ食べるだけだ。後で丼で大盛りで食う」

 

本当にカワサキ様の料理を無惨様は好きだなあと思いつつ、俺も手を上げて海鮮ユッケ丼を欲しいとカワサキ様に声を掛けるのだった……。

 

 

 

 

 

刺身と言うのは実は私は余り得意ではない、柔らかいその独特の食感と少し生臭い味はどうしても好きになれないのだ。

 

「はい、魘夢。お待たせ」

 

「いえいえ、すいませんカワサキ様。我侭を言ってしまって」

 

「いいさ、人には好きなもの嫌いな物がある。嫌いな物を食えなんて俺にはとてもじゃないけど言えないさ」

 

そう笑うカワサキ様だが自分1人だけ特別な物を作ってもらっていることに罪悪感が生まれる。

 

「気にするなよ。すぐにマグロのステーキも準備するから」

 

「……ありがとうございます」

 

カワサキ様に小さく頭を下げてナイフとフォークを手にする。今もまだ、ジジっと言う揚げ立ての音を立てているフライを見て、小さく微笑む。ナイフとフォークで薄く切り分けると、中までしっかり火が通っていて、白くなっている身が目の前に飛び込んでくる。

 

「あむ」

 

マグロフライは醤油で漬けてある塊で作ってあるのでソースや醤油をつけなくてもこのままでも十分に美味しい。

 

「美味しい」

 

自然に美味しいという言葉が零る。さくりとした衣とその中のしっとりとしたマグロの食感……トンカツ等には余り似てないが、強いて言えばチキンカツかヒレカツに近いが、それよりももっとあっさりとしていて、しかし絶妙な食感のそれは肉に近いが、肉とは全然違う味わいで舌を楽しませてくれる。

 

「マグロステーキ、お待ちどうさま」

 

「ありがとうございます、んーこれも美味しそうですね」

 

「そうじゃなくて、美味いんだよ」

 

こつんっと頭を叩かれてすいませんと謝罪の言葉を口にする。カワサキ様は自分の料理に絶対の自信を持っている、この傲慢とも言える自負がカワサキ様の料理の美味しさを現していると思う。

 

「どれ」

 

フライを食べていた手を止めて、マグロのステーキを切り分ける。表面だけが焼かれていて、中は赤味のまま……魚と思うと苦手だが、好きなビーフステーキと思うと最高の焼き加減なんだろうなと思いながらフォークを刺して口に運ぼうとして気付いた。

 

(これはにんにく?)

 

ガツンっとしたにんにくの香り、これはステーキのソースに近いかもしれない。そう思うとマグロのステーキが好物のビーフステーキに思えてくるから不思議だ。

 

「……美味しい」

 

そして口にして正直驚いた。マグロの表面はかりっとしていて、本当にステーキの食感に良く似ていた。中がほんのりレアのステーキと良く似た味は魚と言うよりかはむしろ肉と言っても良いだろう。

 

「魔法、これはカワサキ様の魔法だ」

 

魚を肉に変える……これは正しく料理の魔法だ。マグロのステーキと言われなければ、普通のステーキと言われていても信じていたかもしれない。

 

(これだ、このガツンと効いたにんにくのソース。これが味の要だ)

 

恐らく摩り下ろしたにんにくとスライスしたにんにくの両方を使っているからこそのこの強烈な香りがマグロを牛肉に思わせている味の要だと感じた、グラスに注がれている赤ワインを口にして小さく溜め息を吐いた。完璧としか言いようのない洋食の味付け、街中で食べる洋食とはやはりカワサキ様の料理は一回りも二回りもグレードが違うと改めて感じるのだった……。

 

 

 

 

子供達の机とは少し離れた所で食事をしている青年の鬼達の中で梅がしょんぼりと肩を落としていた。

 

「梅よぉ、食えなかったら無理に頼むんじゃねえよ」

 

「そうだぞ、梅。まぁ私は気にしないが」

 

「……ごめんなさい」

 

ネギトロ丼、マグロユッケ丼、ヅケ丼、鉄火丼を頼んで全部少しずつ食べて満腹になってしまった梅に助けてと言われて、俺と朱紗丸は肩を落とした。

 

「食えるのかぁ?」

 

「別に全然平気じゃが……そうだのう……流石に妓夫太郎が口をつけたのは抵抗があるのう?」

 

「私は気にならないよ?」

 

「普通は気にするんじゃ、梅」

 

正しくその通りである、梅が純粋なのは良いがもう少し男女の間隔のとり方を教えなければならないと俺は改めて思った。

 

「じゃあ朱紗丸から選んでくれて良いぜ?」

 

「ほほう、それは良い心遣いじゃな、ではでは」

 

鉄火丼とマグロユッケを手にする朱紗丸。俺は残ったネギトロ丼とヅケ丼を手に取り、自分の分の海鮮丼の刺身を1度皿の上に逃がして、飯を移し、その上に再び刺身やネギトロを乗せる。

 

「雑いのお」

 

「うっせ、口に入れば良いんだよ」

 

綺麗にバランスを考えて盛り付けている朱紗丸だが、そこは男女の感性の違いと言う所だ。

 

「今度は食べ切れない分を頼むなよ?」

 

「……うん」

 

梅にもう1度注意して、丼を持ち上げる。カワサキさんに飯を食え飯をくえと何度も言われて、食べる量が増えてきているから別にこのくらいの量は食べ切れない訳では無いが、それでも残しても大丈夫と思われては困るのでしっかりと注意しておく。

 

「あぐ、うん、うんッ!」

 

丼は勢い良く食え、これはカワサキさんに教えてもらったことだ。ゆっくり食べていると満腹になってしまうから、勢い良く食べたほうが食べ進めやすい。

 

「うめえッ! いや、本当にうめぇなあッ!!」

 

マグロの刺身だけだとあっさりとしているが、そのあっさりとした味が口の中をさっぱりとさせてくれる。そしてヅケの濃い醤油の味と甘みが米に染み込んでいて1口、2口と米を食べる勢いを加速させる。

 

(だけどこれが1番美味いッ!)

 

ネギトロって言う一見ちょっと不気味なそれなんだが、トロリとしていてそこが乗っている部分はまるで口の中に吸い込まれていくように食べれる。

 

「胡麻とネギっと」

 

「そんなのいれるの?」

 

「味付けの変化じゃよ。ちょっぴり味を変えると食欲が進むんじゃ」

 

確かにそれはその通りだと思う、刺身、ヅケ、ネギトロ……味付けは違うが、それでも同じ魚で脂も乗っている。正直少し腹に溜まって来たなと思う。

 

「梅、悪いけど澄まし汁貰って来てくれ」

 

「すまし汁ね、判ったわ」

 

梅に澄まし汁を頼み、その間にネギトロと刺身の部分だけを食べ進め、ヅケだけを残したら、取り皿に醤油とわさびを入れてわさび醤油を準備しておく。

 

「中々乙な食べ方じゃな」

 

「悪いか?」

 

「いいや。私もユッケじゃなければそうしておったかもなあ」

 

くっくっくと笑う朱紗丸を見ていると梅が澄まし汁を両手に持って戻ってきた。

 

「はい、朱紗丸の分」

 

「おお、ありがたいの。やはり汁物は丼にあると嬉しいからなあ」

 

口をさっぱりさせるにも、何にもやっぱり汁物があると丼は食べやすいものだ。俺は梅から澄まし汁を受け取ると丼の中に注ぎ込んで、わさび醤油とすり胡麻、そして小口切りにしたネギを上に散らした。

 

「お茶漬け?」

 

「まぁ出汁だからお茶漬けじゃねぇけど食べやすいぜ? ふーふーっ」

 

熱い汁でマグロの色が変わった所で口に運ぶ。やや濃い目のわさび醤油が汁で丁度良い薄さになっているのと摩り下ろした胡麻の香りもまたいい。

 

「うんうん、こりゃあ正解だな」

 

火で焼いたわけでも揚げた訳でもない、熱い汁でほんのり温まったそれはまた独特な食感があって美味く、汁を啜りながら俺は残った米をかき込むのだった……。

 

 

 

 

無限城ひそひそ 噂話

 

カワサキと玉壷は遠い目をして無限城の一角に新しく作られた部屋を見ていた。

 

「そう、そういう感じで、上手ですよ!」

 

「そ、そうか? なら良いのだが……」

 

「いやあこういうのも面白いねぇ! いったあッ!?」

 

「何をやっている馬鹿」

 

黒死牟殿達がトンカチを手に、頭に捻り鉢巻をして何かを組み立てているのをカワサキは呆然と見つめていた。

 

「黒マグロを釣るのに船が要ると言っていたからな。丁度鬼にされたばかりの船大工を見つけたから連れて帰って来た」

 

「いやあ、こんなに大きい船を作れるなんて大工冥利に付きますよ!」

 

止めてくれよとは言えない、カワサキも玉壷も基本的にNOと言えない日本人だからだ。

 

「これで今度は大海原に乗り出して黒マグロを釣るんだ。私も勿論行くぞ」

 

まだ完成もしてない船を見て、完成した後の事を夢見ている無惨。

 

「カワサキ様、これ大丈夫ですか?」

 

「知らん。もうなるようになれだ」

 

如何にマグロを釣るのが大変だと説明しても、釣った事のない人間にそれを説明しても理解できるわけがない。それにもう船を作り始めて

いるので、今更それを止める事も出来ない。今カワサキと玉壷に出来る事は1つだけだった。

 

「とりあえず何時になるかは判らんが、仕掛けだけでも用意しておくか?」

 

「釣り竿に拘らずなんでも良いから準備しましょう」

 

無惨も頑固な性格なので釣れるまでは帰らないと言い出しかねないと本能的に悟った2人は、なんとしてもマグロを捕獲する為の道具の準備を始める。それだけが今のカワサキと玉壷に出来る事なのだった……。

 

 

メニュー26 カワサキ特製ラーメンへ続く

 

 




マグロはマグロでもイソマグロだったので、無惨様船を作るを落ちにしました。今度はマグロ漁とかしている無限城一派が見えるかもしれないですね。次回は「変態魔忍」様のリクエストで「二郎風ラーメン」を作って見たいと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。

カワサキさんがオラリオにいるのは……

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