【休載】生きたければ飯を食え Ver鬼滅の刃   作:混沌の魔法使い

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メニュー1 西洋風朝食

メニュー1 西洋風朝食

 

 

日のもとの国――日本には夜を支配する怪異がいる。その名も「鬼舞辻無惨」。平安の世から生きる人なざる怪異「鬼」の首魁であり、全ての悲劇の元凶。

 

鬼舞辻無惨の血を体内に入れられた者は鬼となり、人を喰らう化生となる。

 

その鬼と戦い、人知れず人の世を守る者達を……「鬼殺隊」と呼んだ。鬼に家族を殺された者、家族が鬼になってしまった者。

 

鬼を憎み、無惨を憎む者達。太陽の光が届かぬ闇の世界で人知れず鬼と戦い、人々を守る者達。

 

そんな鬼殺隊には「飯柱」と呼ばれる1人の男がいた。

 

いつから鬼殺隊にいるのかは判らないが、愛想が良く、老いる事も無くいつでもその顔に笑みを浮かべ生死を賭けた戦いから戻った者達におかえりと迎え入れてくれる男。

 

その男は色代わりの刀「日輪刀」も使えず、そして鬼と戦う為の呼吸も使えない。

 

それでも「飯柱」と呼ばれ、慕われていた。

 

……ちなみにその男の正式な役職名は「産屋敷専属料理人」ではあるが、本人がとにかく神出鬼没。そして鬼殺隊の頭領である「産屋敷耀哉」の頼みもあってあちこちの育手の所に顔を出したり、最終選別の後に料理を振舞ったりととんでもなく顔が広い、そして専属料理人でありながらも自分の店を持ち、そこで隊士や隠の為に料理を振舞い続ける。それが産屋敷専属料理人「カワサキ」と言う男だった……。

 

 

 

飯柱?ああ、カワサキ殿の事か、あのお方は良い人だぞ。とにかく明るく、そして飯が美味い。西洋の料理にも精通しておられてな、見たことも、聞いたことも無い美食を何時でも提供してくれる。

 

んん?何故そんなに親しげなのか……か?

 

うむ、御館様の専属の料理人になる前に煉獄家に居候しておられてな。

 

父上のご友人でもあるからか、俺にとっては親戚のような人なのだ。

 

……まぁ、最初の出会いはさほどいい物ではなかったが……

 

よもや!その話を聞きたいと……ううーむ、まぁ良かろう。

 

カワサキ殿の人となりを知るには丁度いいかもしれんしな、俺がカワサキ殿に出会ったのは煉獄千寿郎が生まれる少し前……俺が7つの時だった……。

 

 

 

 

その日は自然と早く目が覚めた。父上が鬼狩りに向かったまま戻っていないこともあり、父の事が心配で早く目覚めたのだと思う。

 

「母上?」

 

台所から聞こえてくる音に母上が料理をしていると思った。母上が料理をしているとなれば父上に戻っているのかもしれない、そう思い台所に向かったのだが……。

 

「だ、誰だ!?」

 

「んお?」

 

そこにいたのは父上でも母上でもない、見たこともない短く刈り込まれた黒髪の大男で思わず声を荒げてしまった。

 

「何を騒いでいる?杏寿郎」

 

「ち、父上!台所に見慣れぬ男が!」

 

「男?ああ、カワサキ殿か、俺が負傷したときに手当てをしてくれた御仁だ」

 

「よもや!大丈夫なのですか!?」

 

「ああ、カワサキ殿の手当てが良かったからな」

 

炎柱である父上が怪我をした、そのことが信じられず声を荒げると台所からカワサキ殿が顔を見せた。

 

「やっぱり槇寿郎の息子か、始めまして、カワサキだ」

 

「杏寿郎です、先ほどはご無礼を……」

 

「ははははッ!そりゃあ家に見慣れない男がいれば怖くもなるわなッ!何、気にするな、俺は気にしていない」

 

大声で上機嫌で笑うカワサキ殿は俺の頭を撫でながらしゃがみこむ。

 

「今日は俺が西洋風の朝食を作ってやるという話になっている。槇寿郎と瑠火さんと待っていると良い」

 

西洋風の朝食と驚き、父上を見ると父上は顎を摩りながら笑われた。

 

「うむ、カワサキ殿は料理人でな。今まで外つ国にいたそうだ、食材を探し山に入ったが日暮れ前に下山できず、山の中にいた所で俺とであったのだ」

 

夜は鬼が出るというのに……なんと豪胆な人物か……。いや、もしかすると鬼殺隊の関係者で呼吸を使えるのかもしれないと思った。

 

「もしや鬼殺隊の?」

 

「いや、彼は普通の旅の料理人だ。行く宛も無く、店を開ける場所を探していると言うのでな。怪我の手当ての礼も兼ねてついてきて貰ったのだ」

 

鬼殺隊の関係者と思ったがそうではないようだ。もう少し話を聞きたいと思ったのだが、父上に邪魔をしてはいけないと言われ、手を引かれて台所を後にする。

 

(んん?)

 

一瞬目を背けたとき、虚空からカワサキ殿が金色の卵を取り出したように見えたが……

 

「父上卵は金色でしたか?」

 

「うん?卵と言えば白か茶色だろう?」

 

「ですよね……」

 

金色の卵なんてあるわけが無い、きっと見間違いだと思い父上に連れられ洗顔にへと向かう。そして広間で待っているとカワサキ殿が膳を運んで来てくれた。

 

「大変お待たせしました。一宿の礼として心ばかりですが、お食事を作らせていただきました。どうぞ、ご賞味を」

 

そう言って俺と父上、母上の前に置かれた膳を見て、思わず歓声の声が出た。

 

「おお、これが西洋風の朝食なのですか?」

 

透き通るような茶色のスープと野菜の盛り合わせ、それと珍しいパンが2つと薄い肉と黄色い円状の何か。見たことも無い料理に思わず大きな声が出てしまった。

 

「スープはたっぷりの野菜で出汁を取ったコンソメスープと、トマトとレタス、それとキュウリのサラダ。そしてオムレツとベーコンになります」

 

「……カワサキ殿。このような食材は家にはなかったと思うのだが?」

 

「大丈夫だよ、俺の持ち物ですからな。槇寿郎も見ただろう?」

 

「あの馬鹿でかい背負い袋か?」

 

「アレに大量に持ち運んでいたんだ、まだまだ食材は沢山あるから気にしないでくれ。それよりも温かい内に食べてくれ。口に合うと良いんだが」

 

そう笑い部屋を出て行こうとするカワサキ殿に母上が声を掛けた。

 

「カワサキさんはお食事は?」

 

「親子の団欒を邪魔するつもりはないので台所で食べるつもりですが?」

 

「まぁ、この時期に台所で食べるのは寒いわ。槇寿郎さん」

 

「ああ、気にしなくていいからカワサキ殿も一緒に食事にしよう。杏寿郎も構わないな?」

 

「はい!カワサキ殿もご一緒に」

 

父上達に言われたカワサキ殿は少し困ったような顔をなされたが、少し待っていて欲しいと言って部屋を出てすぐに戻って来てくれた。

 

「では頂きます」

 

「「「頂きます」」」

 

父上の言葉に続いていただきますと口にして、匙を手にしてオムレツとか言う料理を食べようとして……。

 

(どうやって食べるんだ?)

 

形を崩していい物なのか?どうやって食べればいいのか悩んでいるとカワサキ殿が匙で掬っているのを見て、それと同じ様に掬って口に運んでみた。

 

「美味い!」

 

「うむ、確かにこれは美味」

 

中がとろとろしていて、半熟の卵は危ないと聞いていたが、それでも美味しいと思ってしまった。

 

「半熟で大丈夫なのか?」

 

「西洋は料理の技術が発達しているからな。卵を半分生で食べても大丈夫な調理法がある」

 

なるほど、これは半熟で食べても大丈夫な卵なのかと思いもう1度口に運ぶ、滑らかな食感と卵だけではない豊かな風味が口一杯に広がる。

 

「このすーぷ?でしたか?これもとても美味しいですね」

 

「ありがとうございます。野菜の旨みを生かしたスープですが、お味は如何ですか?」

 

「はい、澄まし汁のような物かと思いましたが全然違うのですね。とても美味しいです」

 

カワサキ殿と母上が話をしているのを聞きながら丸いパンに手を伸ばすと、指先がパンの中に吸い込まれたかと思うほどに柔らかい。

 

「んー!このパンも非常に美味しいです」

 

軽く焼いているだけなのにとんでもなく美味しいと思う。スープと一緒に食べるとなお美味だ。

 

「ふふ、喜んでもらえて何より、だけど、このパンはこうやってベーコンの脂をつけて食べると更に美味しい」

 

カワサキ殿がパンを千切ってベーコン?とか言う肉の脂をつけて食べているので、それを真似して食べてみる。

 

「美味い美味いッ!」

 

「美味いッ!」

 

「あらまぁ、私が作るよりも美味しそうね?」

 

母上の言葉に父上と揃って反応に困ってしまった。母上の料理は確かに美味しいけれど……、カワサキ殿とは違う感じで……。

 

「ふふ、冗談よ。でも本当に美味しいわね。カワサキさん、今度私にも教えてくれるかしら?」

 

「ええ、大丈夫ですよ」

 

自分の技術を惜しむでもない、値をつける訳でもないまるで何でもない事のように母上に教えてくれると笑うカワサキ殿は本当に仏様のように優しい御仁なのだと思った。

 

「いや、美味かった。ご馳走様」

 

「ご馳走様でした」

 

西洋風の朝食と言うのは少し違和感があったが、確かに美味だった。あれほど大きな手でよく、ここまで繊細な味を作ると感心した。

 

「御館様に今回の事を報告してくる。ついでにカワサキ殿の話もしてこよう、すぐに謁見出来るとは言わんが炎柱として尽力しよう」

 

「いや、そこまでしてもらって感謝しかないよ。ありがとう」

 

「何、手当てをしてもらわなければあの場で力尽きていただろう。そうでなければ妻と息子の元へと帰れなんだ。俺こそお前に感謝しているよ」

 

そう笑ってお館様の元へ向かう父上を見送る。これが俺煉獄杏寿郎とカワサキ殿の初めての出会いの日だった。

 

 

 

 

「カワサキ殿ー!カツ丼、煉獄盛でッ!」

 

「あいよー、ちゃんと聞いてるから座って待ってろ」

 

「うむ!いやあ、腹ペコだから普段より多目で大丈夫だからな!」

 

「煉獄盛の段階で半端じゃねえよ、更に増やせってか?」

 

「それで頼む!」

 

そして父上の後を継いで炎柱になった後も俺とカワサキ殿の交流は続いている。

 

この人は戦う人ではない、だがそれでも尊敬している。

 

強さとは戦う事、そして強き力だけではないと言う事をカワサキ殿は教えてくれたからだ。

 

「はいよ、おまたせえッ!!」

 

山のような大盛りの飯にたっぷりと乗せられた揚げた肉と甘しょっぱい卵のタレ。周りの隊士達が驚いているのが判るが、鬼に勝ち、戦いに勝つ、勝つ丼と言うのはやはり出立前に食べなければな!

 

「カワサキ殿。カツ丼、煉獄盛で1つ頼む」

 

「……いや、同じタイミングで来るなよ……」

 

「む?杏寿郎が来ていたか、それは悪いな、だが俺も煉獄盛だ」

 

「少し待っててくれよ。すぐ準備するけど時間が掛かる」

 

「構わない」

 

カワサキ殿と話をしている父上に席を立ち声を掛けると、父上が応と返事を返し、俺の座っている席に腰かける。

 

「おお!父上!父上もこれから任務ですか!」

 

「杏寿郎か、ああ、炎柱の地位はお前に譲ったが、まだまだお前には負けんさ」

 

そして父上と母上も救ってくれた。だから俺は一生カワサキ殿には頭が上がらぬのさ……。

 

 

メニュー2 薬膳料理へ続く

 

 




と言う訳でサイド鬼殺隊は「煉獄」家居候スタートです。救済系になるのかな?あんまりシナリオとかは考えないで、時系列とかは無しで

料理と鬼殺隊の隊士や隠の話と感想と言う形式になると思います。消えてしまった本編の飯を食えを更新する気力が戻るまでは飯を食えは
「サイド鬼」か「サイド鬼殺」のどちらかを更新して行こうと思います。

カワサキさんがオラリオにいるのは……

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